きよ坊さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

きよ坊

きよ坊

映画(162)
ドラマ(1)
アニメ(0)

渇水(2023年製作の映画)

2.9

「怪物」は少年2人、「渇水」は姉妹少女、ラストの感触はどちらも悲壮感を感じないものになっているが、似て非なるもの。
本作は原作を改変、原作通りのラストも観なければ、少女の苦しみに近づけないのではないか
>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.1

カンヌ映画祭で評価された脚本は、これまでの監督オリジナル脚本ではなく、テレビドラマで視聴者を虜にしてきた坂元裕二氏、作業を分担したことによって得られた効果は大きかったと思う。
「いじめ」でひとくくりで
>>続きを読む

せかいのおきく(2023年製作の映画)

4.1

実の親子が同じスクリーンに収まって、別の人生を演じているというのは、感慨深いものがある。物語の中核を語る。いい場面だな〜

一瞬、カラーになる。なぜこの場面で、色味を与えたのか。監督の意図したことは何
>>続きを読む

THE WITCH/魔女 —増殖—(2022年製作の映画)

2.9

前作はジャユンという少女がある謎の組織と対決、超人的アクションが目を奪う展開で、今作も期待して観た。ヒロインとなるのはジャユンではない。Part3への布石を打つ回なのか、広げ過ぎて収拾つかない。最後3>>続きを読む

午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

3.5

とりとめもなく家族のエピソードが連なって、ところどころでカメラを替えて過去風景をはさみ込む。
長い豊かな髪、無造作に服を着こなすセンス、ガラス張りの角部屋アパルトマンで物憂げな表情でタバコを吸う、人助
>>続きを読む

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

3.6

移民一族の苦労や世の中の矛盾を感じ始める多感な時期に、心の支えとなったのは思慮深い祖父であった。
中流家庭の少年が地域公立校とエリート私立校のふたつの教育を経験するのだが、関わる人が非常に政治的で辟易
>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

指揮者のメンタルが良くも悪くも不屈であって、音楽への愛ゆえということであるなら説明が付くが、そうとは限らないことで現代性を浮き彫りにしている。

指揮者が一手に握っている交響楽団の運営が、ハラスメント
>>続きを読む

銀河鉄道の父(2023年製作の映画)

3.0

直木賞受賞の原作を映画化。原作にはない脚色の部分は、突飛な感じを受けた。
花巻の四季の移り変わりと賢治親子の情景は、VFXによるものかとか、なぜ居室の撮影は手持ちカメラのゆらゆらばかりなのか、
物語に
>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.0

最終章に相応しい結末に胸のすく思いがして満足度が高い。

親がどんな極悪人でも、生い立ちや経歴がどうでも、かつては憎み合った間柄でも、助け合うことで深まる絆にどんなに勇気をもらえたか。
仲間を大事にす
>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.0

ティーンエイジャーにデレデレして、起死回生を企む白人おじさんの浮き沈みドラマ。
真面目に生きようと何度もチャレンジはしたのだろう。社会は彼を受け入れず、不真面目に生きることの苦難が続く。現代の世相が顕
>>続きを読む

ノートルダム 炎の大聖堂(2022年製作の映画)

3.6

2019年4月15日、ノートルダム大聖堂火災の再現ドラマ。
屋根の鉛が溶鉱炉のように熱の塊となって流れ落ち、火の勢いで大聖堂の上部が崩れ落ちる迫力はすさまじい。
原因や対応に人的ミスではないかと疑問が
>>続きを読む

ヴィレッジ(2023年製作の映画)

3.5

エンドロールが終わってから、大事な救いのシーンがあるので席を立ちませぬように。
ある若者が陥っている現在の窮状について尺が長かったところを差し引いても、俳優たちの迫真の演技は見どころが充分。
横浜流星
>>続きを読む

ブラック・フォン(2022年製作の映画)

3.6

ホラー映画製作会社「ブラムハウス」による連続殺人事件、原作はスティーブン・キングの息子、監督も人気監督、面白くないわけがない。
イーサン・ホークがほぼ顔出しせず気持ち悪い感じを醸し出す、これも演技力。
>>続きを読む

幻滅(2021年製作の映画)

3.5

バルザック本人の経験をもとに書かれたという「幻滅」の映画化。19世紀前半のコスチューム劇として華麗な人間模様を楽しめる。金、金、金って出版業界も演劇もお金でどうにかなっちゃう危うい世界が醜悪であるから>>続きを読む

トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.7

最悪の結末にはならないことを願いながら、祈るような気持ちと緊張感は最後まで続く。弱みにつけ込む卑劣な輩が、異国の地で必死に生きている姉と弟を取り囲む。賢い弟が姉を慰める言葉には真理がある。ダルデンヌ監>>続きを読む

The Son/息子(2022年製作の映画)

3.5

前妻と暮らす息子から、再婚して新しい家族のある実父と暮らしたいと提案してきた時点で、違和感と深刻さを容易に感じる。明るいシーンで重くて悲しげな音楽を重ねるハンス・ジマーの映画に与える効果は絶大。「ファ>>続きを読む

search/#サーチ2(2023年製作の映画)

2.8

「吹替」上映しかなかったので字幕で観たかった。テンション低めで観たので、PC画面が続いた時には退屈してしまった。彼女が達者過ぎて付いていけなかったのかもしれないが、窮地に陥ってはなぜかピンときて打開し>>続きを読む

パリタクシー(2022年製作の映画)

4.0

お年寄りのおしっこ問題に、こんなに明解に答えてくれる映画があったかな。壮絶な過去に負けず最後まで自分の足で立っている92歳の人生は尊く美しい人生だ。迂闊なところのある運転手シャルルが、高齢者をリスペク>>続きを読む