michiさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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美しき冒険旅行(1971年製作の映画)

4.0

冒頭から可笑しな空気。断片的な映像。奇妙な女子高校生たち。神経質な父親。セクシャリティーを誘うカット割。ルイス・ブニュエル作品のようなシュールさ。まもなく父親が焼身自殺(?)をはかり、それすら単なる不>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.0

ジョン・カサヴェテスは、自宅を抵当に入れて撮影し、出来るだけ一般的な共感を「得られない」ようなつくり込みを行い『アメリカの影』を完成させたという。

暗い部分や強い影を作らない全体に明るく構成された「
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パラノイドパーク(2007年製作の映画)

4.3


パラノイドパークとは違法につくられたスケードボーダー達の公園で、ほとんどの床が滑るために作られた曲面を持っていて、そこを流れる姿がスローで写され、常に画面を見切ってしまうその動きは断片でしかないのだ
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愛の渦(2013年製作の映画)

4.7

乱交パーティを目的に裏風俗店に集った初対面の男女10人。性欲ない交ぜの会話劇。当然セックスシーンも多いわで、ポツドールによる芝居ではメゾネットの舞台セット上で全裸の役者が絡み合う、それまでに観たことの>>続きを読む

ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)

4.4

モラルの崩壊が徹底されて行く特殊な状況下で、徐々に思考停止へと踏み込んで行ったまったく普通の人々が、余りにも機械的な作業として積み重ねた先に、未曾有の悲劇は存在した。ハンナ・アーレントによる、『イェル>>続きを読む

リアル 完全なる首長竜の日(2013年製作の映画)

4.3

これはスゴい、原作も面白いのだろうけど言葉と映像の決定的な違いをよく分っている黒沢清でないと表現出来ない世界観ばかりで、とうとうここまで来たかという素晴らしい映画。

前田敦子の主演を前提に黒沢監督が
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俺俺(2013年製作の映画)

3.1

原作者・星野智幸は日本における個人という位置づけが社会的存在の中でいかに矛盾しているのかを訴え続ける内へ小説を書く意味(のようなもの)を見つけている作家だと思うのですが、映画・俺俺にはそんな問題意識は>>続きを読む

オブリビオン(2013年製作の映画)

3.9

トムクルーズ主演のSFとしては、マイノリティ・リポートほどではないですが、宇宙戦争よりかは面白いです。

上空数千メートルの居住空間スカイタワー、なかなか凝っていますがどーも「未来=冷たい空間」という
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short cut(2011年製作の映画)

4.2

112分のワンシーン・ワンカット。先日見た空港ものとちがって山の中を歩く夫婦。チャード・リンクレイターによる、『ビフォアサンライズ』に近い構成だけれど、一度もストップなしの、「芝居」よりある意味で過酷>>続きを読む

サマリア(2004年製作の映画)

4.1

演出が省略されているため、起きていることの背景がなさすぎて幻想的な、現実感のないままに進んでいく。けれど見る側はいつでもわずかなスキマへ感情移入するので、十分に女子高校生と刑事である父の尋常でない行動>>続きを読む

アイム・ソー・エキサイテッド!(2013年製作の映画)

4.1

この映画、先日見た三谷幸喜の「大空港2013」と同じくワンシチュエーションドラマだけど、セックスを描かない彼の作品と違って、ゲイを公言しているペドロ・アルモドバルはそもそもキャビンアテンダントが3人と>>続きを読む

建築学概論(2012年製作の映画)

4.4

まず自分の暮らしている街を撮影しレポートを書く、身近な地域を愛することから建築学概論をはじめよう。同じ地域に住む二人が出会うきっかけとなった授業の流れがとても良い、自分も建築を概論からやり直したいと思>>続きを読む

LOFT ロフト(2005年製作の映画)

3.7

相変わらず妙なシーンが多い。西島秀俊演じる編集者のインテリアが妙だ。中谷美紀が住み始めた家のつくりも変。ゴミを焼却する装置も妙な迫力。豊川悦司がたまに来る大学の研修施設、なんで同じ敷地に建っているの。>>続きを読む

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

4.6

早稲田松竹、水曜日の最終会。客席は3割くらいか、学生や20代前半くらいの方が多い。エドワード・ヤン監督の遺作を5年ぶりに観た。59歳はあまりにも早かった、、。

映画と写真へ惹かれるのは、どちらにも「
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箱入り息子の恋(2013年製作の映画)

4.2

これ、青春映画の基本である孤独の痛み、そこからの渇望、愛への疾走などそろっていて、ある意味レオス・カラックスの『汚れた血』ではないか。星野源の表現する「生きにくさ」は、フィクションに納まらない切実さが>>続きを読む

嘆きのピエタ(2012年製作の映画)

4.1

ポン・ジュノ『母なる証明』もそうだけど、韓国における親子関係の濃密さがベースにあって、死んで十字架から降ろされたキリストを抱くマリア像の「ピエタ」は、この母を説明するに十分なのかも。見る人を不快にし、>>続きを読む

ミツコ感覚(2011年製作の映画)

4.2

『効率の優先』という芝居が無性に面白くて、劇団・城山羊の会が、山内ケンジの脚本・演出によるプロデュース・ユニットだと知り、彼の監督第1作目であるコレにたどり着きました。ストーカー、不倫、誤算、絶望、不>>続きを読む

テッド(2012年製作の映画)

4.3

この映画、ストーリーは相棒もの、成長もので、それは特にありきたりなんだけど、ディテールが半端なく先鋭されているw。セクハラ上司の屁の爆発、、パーティーでキめキめ、、無意味な暴走、、誘拐オヤジのセクシー>>続きを読む

ブリングリング(2013年製作の映画)

4.0

盗難したセレブ私物を戦利品のようにまとって歩く富裕層の子たち、罪の意識もなく親の金で弁護団に守られ、証拠はSNSへさらけ出し、何度も自らの姿へ酔いしれるさま、派手なサウンド・トラックに乗せられ、内面な>>続きを読む

恋の渦(2013年製作の映画)

3.8

三浦大輔の劇団ポツドールは他人の恋愛を覗き見る感覚で話題になっているけど、どことなくそこへ気持ち悪さを感じるのは、出演者も観客も無自覚に「リアル」を見つけそ称賛してしまう時代の空気みたいものがある。>>続きを読む

ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

3.3

たまたま町山智浩のアメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない、という本を読んでいて、アメリカ人の反知性主義なるものの恐ろしさを、そのファンキーな狂乱ぶりに驚愕していたら、まさにこの映画はそのど真ん>>続きを読む

地獄でなぜ悪い(2013年製作の映画)

4.2

例えば、森田芳光『の・ようなもの』のように初々しく、フランソワ・トリュフォー『アメリカの夜』のように映画へのオマージュが満載で、テオ・アンゲロプロス『霧の中の風景』のように秀逸な長廻し。それは園子温が>>続きを読む

ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)

3.5

やっぱりアキ・カウリスマキの描く空は北欧だよなと思ったらフランス語で始まる映画で、ル・アーヴルは北フランスの港湾都市だけれど、いつもより日差しの強い映像が後半に多かった。今回も確信的にバンドの演奏シー>>続きを読む

さよなら渓谷(2013年製作の映画)

3.1

渓谷を流れる水面へ落ちた光に照り返される大西信満、木造家屋に差し込む薄明かりにスッピンすらいとわない真木よう子。どちらも壮絶な愛憎を描くには綺麗すぎて、脇を固めた大森南朋のたるんだ体のほうが遙かに説得>>続きを読む

トゥ・ザ・ワンダー(2012年製作の映画)

3.4

広角レンズは映された景色を見る側へ世界として収斂させる力があり、ローアングルで手前に置かれた人物は画面を占有しながらも風景に先立って存在しない。

さらに、セリフでなくナレーションのように語らせること
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

3.8

ソフィア・コッポラの『SOMEWHERE』に見られるアメリカの終りなき日常は、カサヴェテスの描いていた頃から変わっていないのだと思った。優雅にすさんだ生活をおくり、突然泣き出す感情の起伏をプールに揺ら>>続きを読む

台北の朝、僕は恋をする(2009年製作の映画)

3.8

ゆるいドラマでギャングが出てほのぼのした、エドワード・ヤンもそうでしたが好きなフランス映画に似ていると思った、たぶんジャン=ジャック・ベネックスの『ディーバ』 あたり。でてくる女の子がみんな可愛くて、>>続きを読む

海炭市叙景(2010年製作の映画)

4.2

同じ街で同時期に展開する人間模様。日本の中にはこんなドラマが無数にありそうだし、今この時代の空気はとても刹那的でその先へ希望を感じない自分の抱いている漠然とした不安へとても鮮明な輪郭を与える映画だった>>続きを読む

ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)

3.7

リチャード・リンクレイター、イーサン・ホーク、ジュリー・デルピーの全員が『ビフォア・サンセット』の続編の可能性を示唆していた。なんとも幸せな映画、それは3人の人生であり青春で、同世代である自分にとって>>続きを読む

ツレがうつになりまして。(2011年製作の映画)

3.9


朝のラッシュ時にぶつかる背中へ、嫌悪と苛立ちを覚え、夕方に入った居酒屋で偶然打ち解けた隣の人が、ひょっとしたら同じ人かもしれない。そういった環境や状況によって変化する社会性は、一方で本来的にその緊張
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