ころっぷさんの映画レビュー・感想・評価

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華氏 119(2018年製作の映画)

3.0

軽妙な語り口の監督が珍しく怒りを隠さない表情が多く見られた。それだけアメリカの権力者達の言動が酷いという事なのだろう。集団心理やマインドコントロールの恐ろしさも感じる本作。日本も他人事では無いなと改め>>続きを読む

僕のニューヨークライフ(2003年製作の映画)

3.0

映画って本当に不思議なものだと思う。観ている間はイライラしたり、退屈に感じたり、楽しい事ばかりとはいかないのに過ぎ去ると懐かしくて少し愛おしくなっている。この作品も大分イカれた戯言ばかりなのに、なぜか>>続きを読む

ヴォイジャー(2021年製作の映画)

3.0

全体的にはよく出来た作品だと思った。宇宙船内のデザインや小道具も良かったし、設定も展開も悪く無い。壮大なSF大作というよりは、ミニマムなテーマを扱ったという意味でも狙いは良かったと思う。ただ登場人物達>>続きを読む

アメリ(2001年製作の映画)

3.5

久し振りに鑑賞。独創的なストーリーとディテールに拘った映像が印象的。かなり奇天烈なキャラクター達だが、観ている内に自然とポジティブな気持ちにさせてくれる。愛すべき人生讃歌の作品だ。

アノマリサ(2015年製作の映画)

3.0

これを人間が演じたら普通なのかも知れないが、あえてストップモーションで表現する事で実に異質な違和感が生まれる。暗喩に満ちた悪夢の様なエピソード。不気味だが癖になる。

ゴッズ・オウン・カントリー(2017年製作の映画)

3.5

壮大な自然美に圧倒される。主人公の青年の孤独とその反動の自暴自棄な雰囲気が、後半に掛けて再生していく様が感動的。同性愛を扱った作品だからという先入観無く、純粋に人を想う姿に惹き付けられた。俳優達の演技>>続きを読む

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)

3.0

この監督の作品の中では、割合普通の分類に入るのでは無いかと思う。勿論至る所に際どい描写があるものの、起承転結で理解可能なストーリーテーリングになっている。アニメーションシーンも比較的大人しく、今回は物>>続きを読む

朝が来る(2020年製作の映画)

3.5

色々と考えさせられる作品だった。それぞれの立場から「幸せ」という物についての物語だった。世間の不寛容や制度の問題もあるだろうが、それを社会の所為にするのでは無く、個と人間を描いた所にこの映画の価値があ>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.0

細部に至るまでファンを喜ばせる仕掛けに満ちていて飽きさせない。正に王道のファミリーエンターテイメント。ファミコン時代から慣れ親しんだ世界がまさかこんなクオリティで甦るとは。ハリウッドの本気は本当に凄ま>>続きを読む

アルゴ(2012年製作の映画)

4.0

驚愕の実話。過不足無い脚本で一時の中弛みも感じない。忠実に再現した美術、衣装、メイク、配役が信じられないリアリティを築き上げている。要所の見せ場の演出も冴えていて、ラストはしっかりと感動させる。ベン・>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

3.5

強烈な個性。各所暗喩的な描写で不穏な余韻を残す。自由な発想を思い切り具現化して、さぞ会心の心持ちだろうと思う。映画の新たな可能性を広げた革新的作品。

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)

2.5

全く意味不明。映像の美しさと奇っ怪な描写は目を引くものの、監督の悪趣味一辺倒の世界観にただただ唖然とする。随分と手の込んだ冗談としか思えなかった。

セリーナ 炎の女(2014年製作の映画)

2.5

登場人物の誰にも感情移入出来ず、共感も持てない。鉄面皮のジェニファー・ローレンスの感情も理解不能。展開に説得力も無いので引き込まれない。退屈な作品と言わざるを得ない。

少女は卒業しない(2023年製作の映画)

2.5

原作小説を読んだので鑑賞。連作短篇の再構成自体は巧く纏められていたと思う一方、エモーショナルな部分が薄口で、もっと感情に訴えた演出で良かったのかも知れないと感じた。全体のトーンが低く、間延びしていた印>>続きを読む

ライダーズ・オブ・ジャスティス(2020年製作の映画)

3.0

意外性のある展開で個性的な登場人物が面白い。マッツの容貌がまた凄まじい。躊躇なく悪党を皆殺しにする大味感。最後のクリスマスセーターのファンサは100点。

ファーナス/訣別の朝(2013年製作の映画)

2.5

豪華キャストの骨太のドラマという感じだったが、やや単純で薄い印象。展開に意外性も無く、全てどこかで見た事のあるシーンの寄せ集めという気がしてしまった。キャストは皆練達の名優揃いなので見応えがあったが、>>続きを読む

やすらぎの森(2019年製作の映画)

3.5

人生の終幕を自分の自由意志で引く事には一種の憧れを感じる。その自由と引き換えに多くの物を失ってもきたのだから、人生の辛辣さは語らずとも伝わってくる。ベテラン俳優達の佇まいが美しい。荘厳な風景。夜の闇。>>続きを読む

ムーンライト(2016年製作の映画)

4.0

再鑑賞。1人の人生には望む望まずに関わらす、多くの人間が関わっていて、色んな影響がその人生を豊かにも惨めにもする。その辛辣な現実を正面から描き、荒んだ心を癒すのもまた他人との関係性であると訴えている。>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.0

まるで日常を映し取ったかの様な自然体の映画。不穏な空気が流れる中、言葉にならない葛藤とそこからの形にならない前進を描いた佳作。この監督の作品は本当に不思議な尾を引く。観終わってもまだ彼等の生活がどこか>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.5

これまでの映画シリーズとは一線を画すリアルなサスペンス映画という印象が強い。腐敗した街の権力争い。フィルム・ノワール調の緊迫感溢れる画面作りが徹底されていた。どの登場人物も心に深い闇を持っており、その>>続きを読む

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)

2.5

原作小説を読んだので鑑賞。キャストは全力で役に入り込んでいて迫力を感じた。ただやっぱり感情移入させるまでの要素に欠けていて、描写をなぞるだけの単調な観察に終始していた様に思う。原作から敢えて離れた表現>>続きを読む

さよならくちびる(2019年製作の映画)

2.5

若者達の不安定で剥き出しも感情が、物語に共感性を持たせるが、正直ありきたりの脚本と単調な演出に退屈さを感じてしまった。演者の演技にも、今一つ迸る発露が見られず中途半端な感が否めない。楽曲と歌唱シーンは>>続きを読む

エリジウム(2013年製作の映画)

3.0

設定はまぁ、よくある奴だけれども、暴力描写とその質感にこだわりを感じる。悪役が意外に弱いが、スペースコロニーの造形やシップのデザインが良い。第9地区ほどのインパクトは無いが、やはりこの監督の際どい個性>>続きを読む

12モンキーズ(1995年製作の映画)

3.0

久し振りに鑑賞。テリー・ギリアム監督の独特の世界観が懐かしい。薄暗くて、薄汚くて、煙っている感じ。フィジカル的な存在感が抜群のブルース・ウィルス。やりたい放題のブラット・ピット。余りに繰り返される夢の>>続きを読む

ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019年製作の映画)

3.0

設定と展開は良かったのだが、もう少し謎を巧く開陳して欲しかった。登場人物ももう少し有機的に絡めばもっと面白くなる可能性があったと思う。コーエン兄弟の諸作品の系譜を感じたが、脚本と演出の出来は遠く及ばな>>続きを読む

エターナル・ドーター(2022年製作の映画)

3.0

何かが決定的に欠落しているけれど、その隙間を埋めないままに進んでいく。その奇っ怪さ。ティルダ・スウィントンでしか成立しない様な雰囲気の作り。霧、鏡、窓。夜のホテルで彷徨っている悪夢が覚めない感覚。

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

3.0

これでもかと観る者の倫理観をえぐる作品。目を背けたくなる描写の数々に激しく動揺させられる。マット・ディロンの怪演は忘れ難い。作品の度に議論を呼ぶ監督の、諸作品の中でもキワモノであると思う。最後の一種フ>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.5

正に全篇が絵画の様に美しく、構図・光彩が完璧な作品。ここぞというシーンでの音楽の使い方も秀逸だった。霧掛かった様な蒙昧とした景色の中、いつ終わるとも知れぬ人生の一瞬の輝き。瞬間を鋭く映し取った演出は素>>続きを読む

テオレマ(1968年製作の映画)

3.0

かなり謎のストーリー。家族の関係性も、女中さんのサイドストーリーも、謎の男の正体も。パゾリーニの何時もの過激さとはまた別物の不思議な作品。宗教観と死生観と思想的なものが暗喩的に表現されているのだとは思>>続きを読む

WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

3.0

人生の僅かな隙間にすれ違う叙情。情感的で湿度のある映像が印象的だった。主人公の2人の互いを見つめ合う視線、交わした言葉と言えなかった事が後半に迫ってくる。14階の窓から、彼の後ろ姿を眺める情景が何とも>>続きを読む

地球に落ちて来た男(1976年製作の映画)

3.0

中々にシュールな映像の数々で困惑させられる。ボウイの美しさは尋常では無いが、まぁ、よくもこの作品に出演したなと思う。余りに先鋭的なので理解が追い付かなかった。長尺に過ぎるが、悪夢の様に頭から離れない。

エリックを探して(2009年製作の映画)

3.5

流石ケン・ローチ監督、思っていたのとは大分違ったが面白かった。笑えて、考えさせて、じんわり温かくさせる。さり気なくこだわった構図の行き届いた演出。展開も巧い。カントナの演技も思ったより良くて驚いた。

ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画(2013年製作の映画)

2.5

乾いた心理描写で結末も敢えて曖昧にして終わる所なんかはこの監督らしい部分。ただ如何せん主人公にもヒロインにも感情移入が出来ずに、映画鑑賞としては辛い所があった。目的や内証も曖昧で、批判とも問題提起とも>>続きを読む

麻雀放浪記(1984年製作の映画)

4.5

日本映画史上、屈指の傑作。モノクロの美しい陰影。研ぎ澄まされた構図。洗練された台詞といぶし銀の演技派達。これがデビュー作とは思えない卓越した演出をみせた和田誠監督はやっぱり凄い。麻雀が一切分からない自>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.0

どこまでも続く砂漠の景色と、何度も繰り返される日夜が観ている内にトランス状態へと誘う。開拓というアメリカのアイデンティティに対する荒涼とした問題提起。それは現代に於いても本質的には変わる事の無い不寛容>>続きを読む

瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと(2022年製作の映画)

3.5

監督と被写体との信頼感。互いが想い合う関係性が観ていて本当に美しい。あの年齢になっても、寂聴さんは女であり、作家であり続ける。それは並大抵の事では無いだろう。深い愛情を持ち、豊かな表情で、周りを照らす>>続きを読む

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