kamakurahさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ(2021年製作の映画)

3.0

アメリカの映画監督は、どうしたってヒッチコックを意識しないではいられないんだな、ということをあらためて実感させられる一本。このシチェーションで『裏窓』を想起しない映画ファンはいない。84年のブライアン>>続きを読む

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.0

公開時から話題のドキュメンタリーを、ようやく鑑賞。三島由紀夫の存在感と1000人の東大全共闘の熱意とが鮮やかに対比された見応えある一本。50年後の今を生きる当事者たちと、伝説としてその日を受け止め咀嚼>>続きを読む

白鳥の歌なんか聞こえない(1972年製作の映画)

3.5

庄司薫4部作のひとつ『白鳥の歌なんか聞こえない』の映画化。由美役が前作の森和代から本田みちこに代わるも薫くんは岡田裕介が引き続き好演。加賀まりこも細川俊之も実に若々しい。原作の抒情が必ずしも十分には描>>続きを読む

AWAKE(2019年製作の映画)

3.5

2015年の阿久津八段とAI将棋ソフトAWAKEとの一戦をもとにMV界の山田篤宏監督が、脚本、編集も手がけての商業デビュー第1作目という一本。第1回木下グループ新人監督賞グランプリ受賞作なる冠がついて>>続きを読む

私をくいとめて(2020年製作の映画)

3.5

大九監督、ちょっと長いです。綿矢りさ原作を、前作に引き続いての映画化、意図するところは受け止めました。のんと橋本愛のシーンでは、別の文脈も重なり涙ぐんでしまった。第33回東京国際映画祭観客賞。それにし>>続きを読む

フェイフェイと月の冒険(2020年製作の映画)

3.5

作画力、技術力に驚愕するばかりでなく、美しいメロディーラインにも心打たれるオスカー候補に相応しい第一級アニメ。吹替版も健闘してます。

オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

3.5

必見のドキュメンタリー。緻密な観察眼が、自己刷新をもたらすという物語性も兼ね備え、美しい海洋風景とも相まって惹き込まれる。オスカー納得の佳品。

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-(2020年製作の映画)

4.0

ずっと辛い展開が続き、やはり貧困が映画の世界的共通項なのかな、と観続けていると、祖母役で圧倒的存在感のグレン・クローズが気力を振り絞って愛孫の教育に覚醒するクライマックスから高揚感が湧き起こり、終盤は>>続きを読む

ザ・ホワイトタイガー(2021年製作の映画)

3.5

これからは中国とインドの時代、という劇中の一節がリアルに身に沁みつつ、貧困がここしばらくは世界中の映画の共通項になるのだなと実感させられる一本。所謂インド映画の根底での能天気な雰囲気が微塵もない重い主>>続きを読む

これからの人生(2020年製作の映画)

3.5

ソフィア・ローレン86歳にして堂々たる主演ぶりに脱帽。新人イブラヒマ・グエイェが見事に大女優と渡り合って、胸打つ抒情が醸し出されている。内容は古いフランス映画のリメイクで、ホロコーストの扱いが希薄にな>>続きを読む

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

3.5

作品外の論議が喧しく、それを理由に敬遠していた話題作を、妻の誘いで小映画館で鑑賞。主演男優賞納得の仕上がりながら、本作成功の最大の殊勲賞は、新人服部樹咲の存在と受けとめた。日本版Billy Ellio>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

4.0

遅まきながら、オスカー受賞式直前の滑り込み鑑賞。黄昏期に入った者にとっては、切なく、胸締めつけられる仕上がり。原作に魅せられ映画化権を自ら買い取ってプロデュースしたという主演のフランシス・マクドーマン>>続きを読む

白痴(1951年製作の映画)

3.0

数十年ぶりの『白痴』通読にあわせて、黒澤明の、公開にあたり松竹と揉めに揉めたと伝説の同名作品を、ハードディスクに保存しておいたBS放映版で、こちらも40年ぶりかの再鑑賞。初見の時のガッカリ感が今なお鮮>>続きを読む

感染家族(2018年製作の映画)

3.5

気楽に笑えるゾンビコメディ。本邦の「カメ止め」テイスト、趣は「カタクリ家の人々」の印象かな、ということは、すなわち韓国『クワイエット・ファミリー』の系譜作品。オチも上手いです。

マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

3.5

『フェンス』に続けての配信鑑賞。こちらも戯曲の映画化ながらブルース草創期の実存明白な場の鮮やかな描出で興味関心掻き立てられて、あっと言う間の90分。ヴィオラ・デービスの圧倒感はさすがだが、同等の存在感>>続きを読む

フェンス(2016年製作の映画)

3.5

今期アカデミー賞主演女優賞候補ヴィオラ・デービスの助演女優賞獲得作品を振り返るべく日本未公開作を配信鑑賞。沈鬱な人間ドラマで戯曲の映画化色濃厚な仕上がりは台詞のひとつひとつが重く、2時間が辛い。デンゼ>>続きを読む

私というパズル(2020年製作の映画)

3.5

アメリカでの自宅出産についての問題意識、社会環境を理解していないが興味深く鑑賞し、あっという間の2時間だった。主演のバネッサ・カービー、オスカーノミネート納得の演技で、切実で悲痛な体験を乗り越えて行く>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

4.0

文句なしの映画体験、90分。緻密な脚本が、厳選された名優により体現され、それにより産み出された芸術的時空経験は、あたかも楷書で書かれた見事な一幅を堪能したような印象で、特に年配者には必見と奨めたい。映>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.5

遅まきながらアカデミー賞作品賞ほか6部門ノミネートで知って配信鑑賞。メタルバンドのドラマーが聴力を失い、難聴ではなく静謐感を生きるという価値観に立つ世界を知り、それでも選択すべきはいずれかなのかで葛藤>>続きを読む

完璧な他人(2018年製作の映画)

3.5

イタリア映画『おとなの事情』のリメイク。オリジナルの軽みを韓国版はより丁寧に、かつ人生訓度も深めて、こうなると好き嫌いの差異で、どちらを選ぶかは判定が難しい。本作の方がより重く、脚本の密度は濃厚で、コ>>続きを読む

おとなの事情(2016年製作の映画)

3.5

日本初公開時のトークショー付き上映会以来4年ぶりの配信再鑑賞。本作が、この後、各国でなぜ頻繁にリメイクされるのか、いまだに十分理解できない。今あらためて観直しても、とびぬけての良作という印象はなかった>>続きを読む

なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

3.5

評判のドキュメンタリーをCS録画で鑑賞。高評価に違わぬ見応えで、終盤、涙ぐむ自分に驚かされた。政治的スタンスに囚われず凝視し続けると、いつの間にか監督大島新のニュートラルなタッチにつられて政治に志を持>>続きを読む

赤頭巾ちゃん気をつけて(1970年製作の映画)

3.5

昨年11月に実父と同じ急性大動脈解離で亡くなった岡田裕介氏追悼番組としての放映を録画して、50年ぶりに鑑賞。原作を溺愛していた中学生の自分が、特にラストに憤ったことを懐かしく思い起こしながら、同時に当>>続きを読む

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)

3.5

すっかり本格的大物女優となったケイト・ウィンスレットと今をときめくシアーシャ・ローナン競演の英国心理劇。永らく不当に扱われていた実在の古生物学者と孤独に閉じこもった裕福な化石蒐集家の妻との葛藤と融合が>>続きを読む

カポネ(2020年製作の映画)

3.5

アル・カポネの晩年という設定が秀逸。認知症の現実を、いかにもかくありなんというタッチで描きあげている。悪道の業火から逃れることのできなかったろう歴史的人物の無惨が主演のトム・ハーディの怪演で実に映画ら>>続きを読む

どん底作家の人生に幸あれ!(2019年製作の映画)

4.0

邦題、いけません。ディケンズの名作「デイヴィッド・カッパーフィールド」の映画化です。驚くべきことに2時間でほぼ万遍なく筋をさらって、カッパーフィールド自身に全てを語らせ仕立てが実に映画的。アーマンド・>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.5

ドメスティック、パーソナルな視点で独自世界を紡ぎ続けてきた西川美和監督、初の原作映画化作品。未読のままとなったものの佐木隆三ということで、社会派作家の選択がどのような形で結実しているのか、出来るだけ前>>続きを読む

コインロッカーの女(2015年製作の映画)

3.5

村上龍の大きな転機となった『コインロッカー・ベイビーズ』は映画化決定が報じられたまま、ついに実現していないが、韓国ノワールとして5年以上前にこんな形で一本になっていたなんて、恥ずかしながら情報をキャッ>>続きを読む

時の面影(2021年製作の映画)

3.5

イギリス映画らしい雰囲気に満ちた好編。大英博物館で観ているはずなのに全く知織化していなかったサットン・フー船葬墓遺跡発掘の物語が英国調色彩感のうちに静かに描かれる。キャリー・マリガン、レイフ・ファイン>>続きを読む

スペース・スウィーパーズ(2020年製作の映画)

3.5

もはやVFXでも韓国には追いつけないことを痛感させられる一作。脚本や尺については注文もあるものの、Netflixバックの圧倒感に啞然とするばかり。脱帽です。子役が愛らしくてまいります。

ミナリ(2020年製作の映画)

3.5

オンライン試写鑑賞。80年代の過酷な渡米韓国一家の現況が静かに描かれ、あまり説明はされず、そっと救いを添えられエンディングとなる佳品です。ミナリ、とは、芹のこと。監督の自伝的作品との説明に接しました。>>続きを読む

音響ハウス Melody-Go-Round(2019年製作の映画)

4.0

誠に心地よいドキュメンタリー。大瀧詠一を伝説的立ち位置に送り出した音楽プロデューサー大森昭雄の功績の背景に、こんな素晴らしいスタジオがあったんなんて、しかも銀座に、不明にして知りませんでした。坂本龍一>>続きを読む

Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.5

ゲイリー・オールドマンの独り舞台の印象ながら、オスカー受賞のチャーチル(『Darkest Hour』)のような堪能感はなし。オーソン・ウェルズへよりも映画史の傑作『市民ケーン』へのリスペクト横溢で、新>>続きを読む

ラスト・クリスマス(2019年製作の映画)

3.5

イギリス映画らしいハートウォーミングな上質小品。結末が既視感満載ながらクリスマスに相応しい奇跡で、なるほどね、と膝を打って、今やすっかり古典となったワムの名曲が味わえる。

ザ・プロム(2020年製作の映画)

3.5

ミュージカルとして上出来ながら製作動機であろうLGBT主題が強調され過ぎて、どこか乗り切れない印象が惜しまれる。メリル・ストリープに脱帽。主人公エマ役のジョー・エレン・ペルマンが実にらしい歌声で嬉しい>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

3.5

ようやくの劇場鑑賞。韓国の1994年現況感が掴めないが中学2年の限定された身の周りを描いた普遍性は大いに共感できる。個人的にはキム・ボラ監督の散文詩として受け止めた。細かくあれこれを書きたくなる仕上が>>続きを読む