トラディショナルさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

トラディショナル

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パリ13区(2021年製作の映画)

4.1

ノラにもエミリーもアイデンティティが揺らぐようなことが起こったところでそういう話かと思ったら、案外他者についての話だった

"インターネット"を、安易に「社会」を表象するのでなく見知らぬ人とつながるパ
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ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

4.5

強いからこそ孤独でいなければいけなくて、それはすなわち「弱い」ってことで……。

ドラマ部分の分厚さにとにかく喰らってしまうが、ドンパチシーンの演出も超一級。光と音で伝える同場所性、この世界をこの手で
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ここ以外のどこかへ(2021年製作の映画)

3.7

海の抜けの悪さとか、ひかるの家のからっぽさがあんまり映ってないところとか、画として気になるところは多かったけど

"ほしいものが無い"家から出ていくひかると"いらないものばかり"の家から出ていくみおな
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家庭(1970年製作の映画)

4.3

ドワネルに帰る場所ができて、僕は嬉しいです。

夜霧の恋⼈たち 4Kデジタルリマスター版(1968年製作の映画)

3.8

仕事にしたって恋にしたってドワネルは何も悪くないじゃないか!?

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

3.8

ずっと歌ってるミュージカルはたいてい飽きるしだんだん間延びを感じてくるものだけど、調外の音を気持ちよく挟むメロディワークがそうさせなかった。

ストーリーは真っ直ぐだなと思ったけど、カトリーヌ・ドヌー
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ロシュフォールの恋人たち(1966年製作の映画)

4.0

とにかくスコアが良い。フランス語をこんなにポップに響かせられるんだなぁ。

祭りに向かって溜まっていったウキウキが本番で解放されるのかと思いきや、そういうことでもないのが意外だった。さらにこれだけポッ
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殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)

4.0

傷痕が残るんじゃなくて、傷痕が消えることで存在が刻まれるの良い。


キャスティングがバチバチにキマっていた。

豚と軍艦(1961年製作の映画)

4.2

こんなめちゃくちゃやられておもろくないわけない

映像にこんなに思いっきりぶちまかれてる衝動から、出てくる人たちと当時の社会の抱える"どこにも行けなさ"が逆に伝わってくる。

距ててて(2021年製作の映画)

3.8

劇伴かと思ってた音楽が実はその場に流れてたものだったり、濱口竜介ばりのカメラ目線の入れ方で客を巻き込んだり、見ているこっちと登場人物が同じレベルにいるように感じて心地良かった。映画内の人たちのディスコ>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

3.6

アヴちゃんの声、大友良英のギターの音色、松本大洋のキャラデザ。マテリアルは良いのに突き抜けてこない感じがあった。もっとトべるもんだとてっきり。

目とか肢体の欠落がなにか駆動させるのかと思ったらそうで
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.7

異常な面白さに興奮。楽しすぎてどうかしてて笑っちゃった。

こんなに面白くなくてもいいのに。いや、面白くてありがたいけども。

もうそろそろ終わりかってところから何段階もギア上げてきた。普段なら時計気
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教育と愛国(2022年製作の映画)

3.6

「反日=悪」が正しくないことを教えるにはそれを"疑う"ことを教育しなければならないのに、"自虐史観"に対する疑いが映画に表現されてなさすぎるのが残念。作品に通底するイデオロギー自体には賛同するが、「教>>続きを読む

ONODA 一万夜を越えて(2021年製作の映画)

3.8

ちょうど往きしなに「100分de名著」の"決意性をもって生きようとしたハイデガーがなぜナチスの全体主義に身を捧げてしまったのか"の回を見ていたので「こういうことか……」となれた。

他人の声聞くこと大
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グリード(1924年製作の映画)

4.0

金欲と愛欲の境目がわからなくなっていくの面白かった。

男が金に見え、金が男に見える女。

ラストの砂漠の"渇き"具合が物語と見事に調和してて見応えがすごかった。

恋の秋(1998年製作の映画)

4.2

アテンダーたちのネジ外れてる感じとっても良かった

ドタバタした割に終わり方が大人っぽくて好き

夏物語(1996年製作の映画)

4.0

ロメールの描くキショ男たちのなかで一番共感できた(笑)

流浪の月(2022年製作の映画)

3.9

「はいはい、大きな声で泣けて偉いですね。社会って嫌な人ばっかで嫌ですね」って言いたくなる嫌いなタイプの映画。

だけどそういう露悪的なシーンの閉塞感とは対岸にある風通しのいいシーンがとても心地良かった
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.7

エヴァ𝄇がやはり庵野秀明の現在地なんだと感じるところが多くて、だとしたら政治とか組織みたいなのはノイズなんじゃないかな……。

『シン・ゴジラ』よりはケレン味が薄く、物語もダイナミックさに欠ける。でも
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アンナの出会い(1978年製作の映画)

4.4

欲を言えば深夜に独りで見たかった。

それほど人間にとって孤独は根源的なものであると気づかされ、それに対する救いを与えてくれるわけでもない。

それでも緩慢と続く車窓の風景も、アンナの寂しさに向き合わ
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さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌(1992年製作の映画)

3.9

視覚と聴覚の共感覚トリップはこれぞアニメーションの醍醐味。ポップスターたちによる挿入曲、歌詞をよく聴いたら不穏なこと言ってて好き好き。

個人的にはもっと2つの絵にフォーカスストーリーにしても良かった
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私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

3.7

部屋にいるときはなんだか見応えがあったけど、他は「長ぇ……」って思ってた。

でもつまらないことを面白がる作品なのかもしれない。

ホーホケキョ となりの山田くん(1999年製作の映画)

4.5

前景と背景を描き分けない反ジャパニメーションな手法は作画だけではなくて、主人公がスイッチし続ける登場人物の配置にも表れている。皆が主人公とかいう話ではなく、みんなが背景で脇役であり続けている。

だっ
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おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)

4.2

憧憬れていた"ここではないどこか"で"今ではないあの日"を思い出す。ここもどこかも、今もあの日も隣にあって、私は私。

些細な日常の奥に色んなものが見えてずっと懐かしかったり不安だったり嬉しかったりし
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ウェディング・ハイ(2022年製作の映画)

4.0

パブリックな場所でプライベートな物語を積み重ねるいい企画。

幸せの絶頂を描いているかと思うとそうでもなくて、映画のなかの人もそれを観た人も、始まりより終わりで"少しだけ"幸せになれる感じが良い。単な
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劇場版 テレクラキャノンボール2013(2014年製作の映画)

4.2

5年前にBiS誕生の詩でカンパニー松尾を知って以来、ずっと見なきゃいけないと思ってたけど映画館でかかるってことでやっと。

愛なしセックスありのボーイ・ミーツ・ガールになんでこんな癒やされるんだろう。

やがて海へと届く(2022年製作の映画)

4.1

大事な割に宣伝では隠されていたことが多くて、想像してたのとはいい方向で違う味わい。

対象を喪失したまなざしが海へと届き、地球の上をめぐりめぐって自分のに届く―みたいな解釈を今のところはしてる。

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ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)

3.8

前世と現世がごっちゃになってると掲示された記事を読んでなるほどと思った。

わからなくても自然に包まれるのが気持ち良い。

ずっとふわふわしてたからそういうもんかとも思うが、最後の曲はやっぱり変(笑)

生きる(1952年製作の映画)

4.3

筋書きを思い返すと大人の青春物語普通な気もしてくるが、観てる間は映像のスペクタクルに魅了されてた。

ハッピーバースデーまでの一連は興奮して脳汁がやばかった。

M/OTHER(1999年製作の映画)

3.8

作り方を知っていたからこそ"演じる"ことについての映画だというのがわかったが、完成度高くて独特の作り方の旨みは味わいきれなかった。俳優たちしんどかっただろうなー。

親密さ(2012年製作の映画)

4.0

あんなのスクリーンの前の私たちより、中の観客のほうが気持ち良いに決まってる。なぜなら演劇をカメラで撮るのはひとつの記号化だからで、そこに言葉と魂をめぐる断絶を重ね合わせて考えた。「映画は、演劇を運ぶ列>>続きを読む

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.0

彼が普通の人間のように生活をしている瞬間が一番怖かった。彼も私と同じであることに気付かされるから。

彼がたてる騒音だけが彼の存在意義であるからなのか、映画を満たすすべての音が心地よかった。

「銃社
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ニッポン国 古屋敷村(1982年製作の映画)

4.2

自然と対話し、歴史を語る村人たちが神秘的な存在に見えてくる。

周縁をみつめて全体にふれる偉大な試み。

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

「愛する理由などない、愛さない理由があるだけ」みたいな恋の落ち方が成立する世界観は、分断と差別を乗り越えるヒントがある気がして良かった。共同体に分断が生まれるきっかけがまた別の分断でしかないリアリティ>>続きを読む