スガシュウヘイさんの映画レビュー・感想・評価

スガシュウヘイ

スガシュウヘイ

母性(2022年製作の映画)

3.0

高畑淳子の「義母っぷり」も凄かったが、
やはり一番凄いのは戸田恵梨香が放つ、母性ゼロ・体感温度ゼロの冷たさか。

ついでに言えば、色気ゼロ、幸福感ゼロで、見ていて痛い。


んー、そうだなぁ、でも本当
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8番目の男(2018年製作の映画)

3.5

8番、という番号は『十二人の怒れる男』でヘンリー・フォンダが付けていた番号なので、そこから引用したんだろうか。


『十二人の怒れる男』『12人の優しい日本人』が大好きな私は、韓国版はどんなもんか、と
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

「我は死 世界の破壊者」

ロバート・オッペンハイマーは、
戦争を終わらせた英雄か。
地獄の兵器の生みの親か。


彼の科学者としての本能は、人間としての心を凌駕した。

原爆実験は成功した。


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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.0

2024年に見る『AKIRA』は未来的でありレトロでもある、やはり魅力的な作品だ。
斬新かつ古典。

極彩色に退廃した街・ネオ東京。


言うまでもないことだが、メカデザインは圧巻で、音楽も素晴らしい
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レクイエム・フォー・ドリーム(2000年製作の映画)

4.0

この上なく悲劇的な物語。
心が絞られる、凶々しい鬱映画。
なのに映像はスタイリッシュで洗練されている。
この違和感に酔いそうになる。


まず、音楽がいい。
弦楽器のつんざくようなメロディが、人生の崩
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エデンの東(1954年製作の映画)

4.0

「愛なんて損するだけだ」 


伝説の俳優ジェームズ・ディーンのデビュー作。ジャケット見ればわかるが哀愁たっぷりである。
てか哀愁たっぷりの新人ってすごいな笑。


—————


父から愛されたかっ
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.5

正義と悪が混在する街「ゴッサム」のノワール感が、やはり大好き。
今回も、終始ダークなトーンで犯罪が展開され、闇も深く、その中で正義を求めることの無力感に苛まれる。それがいい。

今回のヴィラン=リドラ
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Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

4.3

「お前がチャンピオンになって、俺が親分になったら、また会おうや」

🥊🥊🥊

北野武といったら『アウトレイジ』だよなと思ったけど、そうだやっぱり『HANA-BI』だったとこの前思い出して、でもやっぱ
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正欲(2023年製作の映画)

3.5

正欲とは。
正しい欲望、
正しい性欲、
正しくなりたいと願うこと、かな。


圧倒的に正しい人間・稲垣吾郎は、「正しくない人間」を許せない。


正しくない人間。
それは、万引きを繰り返す女。
学校へ
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ウォーリー(2008年製作の映画)

3.0

美しいアニメーションとストーリー。


大学生のとき見たときは何だか白けてしまった記憶があるが、ジジイになった今見返してみて、シンプルに楽しかった。


WALL・Eの造形がかわいい🤖
ほとんど単語し
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

きた!奇跡体験!

今までヨルゴス・ランティモスは、天才というより、何か“超越した価値観”というような感覚で楽しませてくれていたが、反面、何を暗示してるかわからない、という凡人の悩みはあった。

一方
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.0

おもしろかった!
ただこれは私がヨルゴス・ランティモスに近づけた訳ではなく、ヨルゴス・ランティモスのほうが下界に降りてきてくれたからだろう。

凡人の私にとってもストーリーが追いやすくて見やすい。少な
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.0

まだ何も起こってない時点で、不協和音が鳴り響いており、不吉な予感しかしない。

ただ、変な表現だけど、これが“心地よい不協和音”なんだよなぁ。
ヨルゴス・ランティモスが何をしでかそうとしているのか期待
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ロブスター(2015年製作の映画)

-

残酷コメディ。
戦慄ファンタジー。
不条理ロマンス。
いや、どんな言葉で形容していいのかわからん。

ただ、自分の価値観の外側にある映画ということは確かで、これをうまく取り込むことができれば私の審美眼
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

-

ヨルゴス・ランティモス初めて見たけど、確かにこれは天才なのかもなぁ。
ほとんどついていけなかった。こんなに置いてけぼりにされたのは久しぶり。
うん、たぶん天才なんだろう。

評価は保留にして、もっとい
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愛のむきだし(2008年製作の映画)

4.3

「聖」と「性」の波状攻撃。

クリスチャン、盗撮、パンチラ、マリア、教会、変態、神父、祈り、自慰行為、懺悔、罪の強要、女装、レズビアン、結婚、ベロキス、家族、お義兄ちゃん、新興宗教、のぞき、洗脳、拉致
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街の灯(1931年製作の映画)

4.0

- You ? -

この3文字がこんなに力を持つ瞬間があるだろうか。
ずっと暗い世界で生きてきた彼女に光を与えた紳士は、実はみすぼらしい男だった。

出会えた瞬間の、喜びと戸惑い。


一方で、チャ
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インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

カナシミの行動がよくわからん。なんで思い出に触っちゃうんだ。
かと言ってヨロコビも元気過ぎて好きになれない。もうちょっと落ち着いてほしい。

どっちかと言えば、私はむしろヨロコビの方が苦手。


ポジ
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波紋(2023年製作の映画)

4.0

【新感覚・絶望コメディ】

“苦悩する女性をソリッドに描いた絶望エンターテイメント”というキャッチコピー。
絶望エンターテイメントってなんだよ、と思い見てみたら、なるほど、こういうことか笑。


これ
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フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.0

21世紀の『トュルーマン・ショー』
舞台はテレビドラマからソーシャルゲームの世界へ。


自分がゲームの中の「銀行員A」だと気づいてしまったガイ。
彼は知能を持ち、ゲームに干渉し始めるようになる。
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.0

もうこれ以上やめてくれ、と思うほど泣かされてしまった。
自分でもようわからん。体調のせいだろうか。

戦争中の実話ということで、ちょっと唐突な展開もあり、そのような言わば“フリースタイル”のストレート
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わたしは金正男を殺してない(2020年製作の映画)

3.5

衝撃だ。
まさか金正男殺害の裏にこんなストーリーがあったとは。全然知らなかったなぁ。

まぁ、あんまり煽りすぎて未見の方のハードルを上げてしまうのもよくないんだけど。



何も知らずに暗殺を行った“
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Winny(2023年製作の映画)

3.5

「Winny事件」という実際の冤罪事件にスポットをあてた意欲作。


安い人間ドラマや感動ポルノ的なものを挟むことなく、淡々と裁判シーンを重ねていったところが良かった。
逮捕→保釈→裁判→裁判→裁判→
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レオン 完全版(1994年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

この映画に含まれるいくつかのギャップが、いつも私を惹きつける。

🪴🪴🪴

怜悧な頭脳に温かい心。
幼いのに妖艶。
警官なのに狂人。
ギャップを抱える3人のキャラが立ちまくり。


暗殺のプロで恋愛は
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そして人生はつづく(1992年製作の映画)

3.5

前作が『友だちのうちはどこ?』だとすれば、本作はさしづめ「アハマッドのうちはどこ?」になるのか。

地震で崩壊した町へ、アハマッドを探しにいくセミ・フィクション。

不謹慎なことをいうと、
地震で崩壊
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.0

「友だちの家までノートを届けに行く」という 、大スペクタクル映画。
なんとアハマッド君は、友だちのうちを知らないのに旅立つという、勇者っぷりを発揮する。
小さな冒険RPG。

間に合わなければ友が死ぬ
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

3.5

日本のアニメとは異質の表現。
まさに異次元。
前作も凄まじかったが、今作はさらにパワーアップしている。


ただ問題なのは、私の感覚器官のほうで、どうやら前作の『スパイダーバース』の段階で、私の容量は
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セブン(1995年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

エンドロールが上から流れてくるの、そういえば初めて見たかも。変な感じ。音楽とも相まって不気味な余韻だ。


“俺は感情で生きる”といったミルズを見透かしていた犯人。

「こいつを殺せば、こいつの勝ちだ
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「拾えよー!お前だよお前!」のとこの田母神さんが一番好き。
ついにキレた!
そうだよ、田母神さん、もう爆発していい。
憤激のカウンターパンチ喰らわせてやれ!


っと思って見ていたら、私の期待した展開
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.5

犬たちはすげー流暢にしゃべるのに、人間のアタリはなんであんなにカタコトなんだ笑?
このカタコトな吹替は、原作に忠実なんだろうか?そうだとしたら、やっぱ独特だなぁ、ウェス・アンダーソン。


架空の日本
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.5

ウェス・アンダーソンにハマって連続3作目。
彼のワールドにハマっている人(例:私など)は、好きだと思うが、やっぱり相変わらずストーリーは掴みにくい。ストーリーを楽しみたい人は無理かもしれない。

今回
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.3

ポップなスタンリー・キューブリックとでも表現できるような細部まで完璧なインテリア配置。
左右対称・垂直水平が多用され、幾何学的な印象が残る。

色彩はカラフルで楽しい。

そうかと思えば、指や首が飛ん
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.0

初ウェス・アンダーソン監督。
近景から遠景までポップで楽しい。おもちゃみたいな家・山・車・宇宙人。
トイ・カメラに入り込んだみたい。

セリフの情報量が多いけど、たいして重要な会話もないような感じ。お
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ウィッシュ(2023年製作の映画)

4.0

えー、めっちゃよかったよ。

シンプルで力強い作品。

100%絶対悪のマグニフィコ王がもはや清々しい。やっぱりこういう分かりやすいヴィランは楽しいね。福山の声も合ってた。

立ち向かう子ども達も、い
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.5

2分間タイムリープもの。
『ドロステ〜』より規模が大きくなり、登場人物も多いが、脚本はシンプルになり見やすい作品。

起・承・転・結の展開が絶妙で、ずっと飽きずに見れる。


天候だけはパラレルにズレ
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朝が来る(2020年製作の映画)

4.0

「あなたは誰ですか。」
この言葉が、本作の切なさを象徴していると思う。

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片倉ひかりが体育館で体操服を着て、恋愛話をしている姿は、本当にどこにでもいる、女子中学生だった。
何も悪いこと
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