小嶋貴之さんの映画レビュー・感想・評価

小嶋貴之

小嶋貴之

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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

モノは上から下へ流れる。
これを見事に貫き通してる脚本がまず見事。
そしてフラットにものを見た時に「悪」と言うモノは存在せず、摂理だけがある。
人間レベルでは理解しきれないものがそれを含む摂理がそこに
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ただいまはいまだ(2023年製作の映画)

3.3

悪くはなかった。
なんかもう少しバックストーリーなのか、描写なのか欲しい。

Flip-Up Tonic(2023年製作の映画)

3.0

30年前の自主映画の様。
芝居が素人だからか。こう言う意味ありげなセリフ的仕掛けのある作品こそプロを使うといいんだけどなぁ。
そういう意味でPFFが好みそうだった。

章立てで自制をバラバラにした作り
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見知らぬ人の痛み(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

コンテンツモデレーターと言う設定や、テーマ、時間軸を追いながらも、コラージュの様な断片を並べた映画の造りはとても好み。
後頭部のカットに代表する全てを見せないショットも先鋭的でとても良い。

ただいろ
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母という名の女(2017年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ミシェル・フランコ、やっぱ凄い。
ファーストシーンから驚かせて、いい母親で前半何も動きないなと思ったが、中盤から母親が本性を現せてくる。
娘を勝手に容姿に出したかと思えば、自分で引き取り、その娘の旦那
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見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

前半で情報が整理されて提示されるのが巧妙。
中盤以降はそこに細かい裏切りを加えて物語が加速していくのも見事。
冒頭の見せ方から、メガネに映る絞殺シーンだったり、影の使い方だったり、テニスシーンの一人だ
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.8

ミシェル・フランコの冷徹さが,一番わかりやすく出てる映画。

緑の水が出るところから、昔の使用人が金を借りに来て不穏がはじまり、どうしようもない終わり方へただただ突き進む。

人間の悪の部分をこれほど
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或る終焉(2015年製作の映画)

3.8

淡々と介護者の日々を綴っていく。
それだけなのに、それだからか深くて重い。
全く説明が無く淡々と伝える事を逆手にとって、相当いろんな仕掛けをしてくる。
脚本賞貰ってるけど監督賞あげたい。

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

3.9

ほぼ法廷シーンに絞った造りなので、世界の殆どを台詞で伝えねばならず、そこがどう思うかだけど、感情はちゃんと伝わった。

女性の抱える大きな闇を男性は知らずに、のうのうと生きてるんだなと。

呪術が本当
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.7

25年ぶりに鑑賞。全く忘れてたので楽しくみれました。
単なる映像パズルが楽しいけど、それしか無いのは物足りないかな。
6000ドルで撮ったのは驚き。人件費ボランティアだとしても。

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

とてもシンプルな人間関係の話なのだけど、登場人物の気持ちが凄く伝わってきた。
特にアーサーの気持ちが凄く伝わった。
アーサー側の話で見たい。

あとやはりノスタルジーを感じさせる映画は画作りが大事なん
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君だけが知らない(2021年製作の映画)

-

何度も途中で見るのをやめたり、男性二人の顔の区別がなぜかつかなくて、集中力も欠けた為、全くストーリーがわからなかった…。
見てないと同じなので無得点で。

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.7

やたら評判良いので期待しすぎたかも。
役者はみんな良いのだけど(誰も誰かを責めないのは今っぽい)、動機が弱く切実さがあまり無いので、どこかでどうでも良い話、と思ってしまった。
全体的なコメディの作り、
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泥の子と狭い家の物語(2022年製作の映画)

3.7

思ったより面白かった。
妄想かどうかわからないファンタジー設定で細部を曖昧にしてるのが雑に見えたり、人物の行動原理があいまいだったりして、物語の強度を落としてるのは勿体無いけど、カタルシスはあった。
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小原庄助さん(1949年製作の映画)

4.0

この作品を見て思ったのは、映画は様を撮る事が一番重要だと言う事。
意外性で裏切ったり、美しかったり見たことない世界を見せたり、と言うのは副次的なもので、本質は様を見せる事だと思った。


あと、とても
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(2020年製作の映画)

3.0

母との関係性だったり、細かいところが上手いなー、と思いつつも全体的には食い足りない。もうちょい見たい。

ジュリアン(2017年製作の映画)

4.0

共同親権の話題で、この映画が持ち出されてるけど、それ以前にストーカーの話だった。

グザビエ・ルグラン、めちゃくちゃ演出が上手い。視線の使い方やなんでもないシーンをやたら長く見せたりすることで不穏さを
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Winny(2023年製作の映画)

3.8

淡々と描く事でいろんな感情を想起させる手腕が見事。

役者はみんな良かったが、東出昌大が本当にプログラミングが好きな、大きな子供に見えて素晴らしかった。

私がやりました(2023年製作の映画)

3.7

スクリューボールコメディなプロットが楽しい映画。
ルビッチや、日本で言うと三谷幸喜?
ただテンポが早過ぎるので、説明を端折り過ぎて、頭の中で繋げないといけない部分があるのが残念。
しかしこう言う映画は
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.9

役者の芝居がたまらなく楽しい映画。
父兄妹のケンカのシーンは最高。

前半と後半で分かれてしまう作品。
もし兄二人が前半にも上手く絡んでたら、そうは見えなかったかも。
また窪田、大賀の存在理由がだんだ
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ダリー・マルサン(2014年製作の映画)

3.8

ああ、群青いろってこうだったよな、と言う重さエグさ炸裂の作品。
ほぼ追い詰められた人しか出てこない。
編集で捻る映像効果も楽しいし、全く退屈はしなかった。

ただ廣末パートの過去のやつ必要だったのかな
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隣人は静かに笑う(1999年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

いやー、これは凄かった。
サスペンスとして脚本も上手い(と言いつついくらか突っ込みたくなるところもある)し、役者もいい。
ティムロビンス夫妻の不気味さよ。。。
終わり方の衝撃よ…。

ラストの方のカー
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.6

とても王道な復讐映画。
するかしないかずっと迷ってるのが良いですね。
でも結局犠牲者出してしまうのが切ない。

演出、撮影がとても端正。

人に非ず(2014年製作の映画)

3.0

こだわりのある演出、画作りは良かったが、他が全て弱い。

撮影も照明をまともに使って無くて決まってないし、脚本も説明無い事を手抜きのために使っているように見える。

タクシードライバー風なシーンもあっ
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ビニールハウス(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

プロットは最高に面白くてとても好み。

押さえた演じや画作りも品を感じて美しかったし、芝居も無駄がなくて、とてもわかりやすかった。


なんだけど、編集がストイック過ぎて、フリとオチしか見せない、もし
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お葬式(1984年製作の映画)

3.8

面白かったが,それ以上に伊丹十三の映像センスが凄い。
全てのシーンで楽しませようと、いろいろ練られている。
映像的にも覗き込む所を広角で捉えたり、要所で長玉アップなど、人間の業を上手く感じさせるショッ
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12日の殺人(2022年製作の映画)

3.7

刑事ドラマをサスペンスではなく、人間的,社会的な面から見せてくれる映画。
刑事ドラマ部分が単調なのだけど、刑事が事件をミソジニー的に扱ったり、そこから来る?刑事のプライベートな部分を浮き彫りにすること
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海辺のリア(2017年製作の映画)

3.0

設定は良かったけど、場面変わらない単調さの上に観念的な展開で、掴みきれなかった。
役者が豪華。

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.8

思ったより家族の話だった。
けど、そこを掘り進めずに、ブラックコメディな方向に持っていってしまったのは物足りなかった。
ブラックコメディにするならもっと無茶苦茶だと良いのに。
ただ現代に対する批判の姿
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彼女はなぜ、猿を逃したか?(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

こちらは「雨〜」とは違ったアナモフィックレンズを使って、映像で深度の浅い画で見せて、キャラクターの精神性を伝えて行く演出が、脚本に合ってて面白かった。
少し話は観念的で雑な部分もあるけど、終わり方が清
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シンプル・プラン(1998年製作の映画)

4.0

面白い!!
今だと多少聞き飽きた話だけど、心理が二転三転するサスペンスな脚本が見事。

芝居や演出が丁寧なので、人の心変わりが手に取るように伝わるし、その伝え方も驚きを持って伝えてて、ずっと面白い。
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Bico(2004年製作の映画)

3.3

写真集の様な作り。
映画同様無駄な動きをさせない事で、その人を丁寧に炙り出す。
この季節を選んで撮影したカウリスマキのセンスに脱帽。

Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白い!
「落下の解剖学」とモチーフは同じだった。
男の気持ちはもちろんわかるし、最後自分を守る女の気持ちもわからないではない。
しかし結局情より自分の事なんだな。

モチーフがそのままテーマになって
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.7

脚本はサスペンスとして凝ってて面白い。
テーマも現代に通づるところもあって、感心した。
ただ少し雑かなと。

あと舞台が夜なのだけど、それだけにずっと暗くて、あの時代の夜というのはあのくらいだったと思
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告白小説、その結末(2017年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

雰囲気は好きなんだけど、もう少し要素を足して複雑にするか、カメラのワークとかでサスペンスフルに振ったらよかったのかな。

結局エルが、主人公の妄想だった、二重人格だった?というオチなのはどちらでも良い
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