marutabatsuoさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

marutabatsuo

marutabatsuo

映画(1602)
ドラマ(0)
アニメ(0)

PIGGY ピギー(2022年製作の映画)

3.4

それは愛の抱擁か惨殺の緊縛か。
『PIGGY ピギー 』
肉屋の娘でかなりのぽっちゃり体型。同級生からは「子ブタちゃん」などとからかわれる辛い日々。
そこにある男が現れ、恐怖と復讐と愛のようなものが入
>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

5.0

天才。何度も見ているけど見る度に鳥肌。シーンごとのつなぎが恐ろしいほどに上手く、すべての画にダブルーミーニング二重性を持たせている。
それがそのまま虚実を行き交う作品のテーマそのものを形作るという完璧
>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.5

本物のレースを忠実にシミュレーションしたレースゲーム。そのトップゲーマーが実際のレースに出場したら……。
そんな空想世界をやってしまった実話を映画化。10分に1度はフリとオチが繰り返されるえらく分かり
>>続きを読む

キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(2020年製作の映画)

3.8

ただ静かに眠りたかっただけなのに……。
精神と心臓に病を持つ70代の黒人。機器の誤作動で警察官が安全確認をすることに。そこから権力への過剰な思い、人種差別的偏見、歪んだ正義感が重なり悲劇へと結びついて
>>続きを読む

熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

3.7

イラン政府から映画を取ることを禁止されながらも撮り続ける不屈の映画監督ジャファル・パナヒ。
自らのその立場を題材にしたフェイクドキュメンタリー的内容で、現実世界とのオーバラップが多層に仕掛けられ見てい
>>続きを読む

グリーンフィッシュ(1997年製作の映画)

3.8

世界の巨匠イ・チャンドン監督のデビュー作。
貧乏だが純朴な青年があるきっかけでヤクザ世界へ踏み込んでゆく。東映映画の傑作『仁義の墓場』を思わせるような哀しみと運命に加え、イ・チャンドンらしい優しいファ
>>続きを読む

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

4.5

みずみずしく危うい青春。傑作。
親同士が友人の14歳の少年と16歳の大人びた少女。ふた家族でバカンスに訪れた湖畔の別荘での数日間。
微妙な距離感と淡い恋心、性の匂い。大人になる手前の触れただけで壊れそ
>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

4.5

人に言えない関係に一番起こって欲しくないこと。
冒頭からどうやったらこんなリアルな男女を描けるのか。すべての会話が表面的にはどうってことなくて、関係と感情を通してみると心が痛くて居心地が悪くてたまらん
>>続きを読む

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.4

94年のエドワード・ヤンによる青春群像劇。もうめちゃくちゃにエモい。
オープニングから目まぐるしい多人数の入り組んだ恋愛関係とビジネス関係。経済発展する社会の中で揺れ、懸命に生きる若き男女の姿に感情が
>>続きを読む

君は行く先を知らない(2021年製作の映画)

4.0

両親と兄、小さな弟の4人が車で出かける。行き先も目的も子供の弟だけが知らない。観客はその子視点の情報しか与えられず、まったく先の読めない。
時にユーモアたっぷりに、時に家族が喧嘩、不安に襲われ、やがて
>>続きを読む

春に散る(2023年製作の映画)

3.6

夢半ばであきらめた元ボクサーおじさんと最後の夢を託して弟子入りする若き青年。典型的な師弟物の系譜だが、リングアナや入場シーンまで本物を使い、過去最高クラスにボクシングのリアルさを追求している。

今回
>>続きを読む

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!(2023年製作の映画)

3.8

POV形式のフェイクドキュメンタリーホラ-。
ゾンビが出てきそうなあの場所へ。インフルエンサーを狙う男女が都市伝説を訪ねるホラーに時空を飛び越えるパラレルワールドものがミックスされるはちゃめちゃ展開が
>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

3.9

関東大震災直後に混乱の中で起こったある虐殺事件を映画化。
根深い差別意識と恐怖心の中で起きた集団ヒステリー。お国のための大きな物語、自分たちを守るための大義、小さな村の正義。

「鮮人だったら殺してえ
>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.0

疲れすぎて寝ちゃったので記録のみ。ウェス・アンダーソン今回も克服できず

バービー(2023年製作の映画)

3.7

ある種のフェミニズム映画だが、女が男に取って代わるに終わらず、ケンも含めてありのままの姿見せるのよバービーバージョンになってるのが良いね。

白人も黒人も大統領も肉体労働者もあらゆるバービーが活躍する
>>続きを読む

アウシュヴィッツの生還者(2021年製作の映画)

3.6

なんか映像に良く言えば重厚感、悪く言えば古臭さを感じるなと思ったら監督バリー・レビンソン!
アウシュビッツからの生還者でその後のボクサー人生と当時のトラウマを重ねながら見せるんだが、描き方がマフィアの
>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.6

最高オブ最高。人生と歴史をもう一度やり直す映画だけの魔法。

観客だけが知る史実ゆえ、どうしても不穏な空気が漂っているのに余りあるほどに全編を包む多幸感。エグいバイオレンスなのに信じられないほど爽快で
>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.2

人体の物理的変容と社会変化、エロス。相変わらずのぶっ飛びクローネンバーグ作品。
あんまハマらなかったが、クローネンバーグ好きなら見ざるを得ない

北のカナリアたち(2012年製作の映画)

3.5

関係者の視点を変えながら立体的に物語の輪郭を紡いでいくスタイルは湊かなえ原作の真骨頂。港かなえ臭がやや鼻に付きすぎるきらいはあるがまずは成功している。

殺人事件が鍵になっているが、ミステリー的には特
>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

4.3

激ヤバ。クレイアニメの枠を遥かに飛び越えたまったく新しい悪夢の映像。
カルト施設から逃げ出した少女が隠れた家。そこで2匹の豚と暮らした生活を描いているのだが……。
とにかくこれまでにないぶっ飛び映像体
>>続きを読む

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

4.0

韓国人両親の元に生まれるが里子としてフランスで育ったフレディ。ふとしたきっかけで韓国に訪れるが、心は完全に仏人で言葉も話せない。両親を訪ねたり、アイデンティティに揺れる物語へ。
ユーモアとヒリヒリとし
>>続きを読む

ジェーンとシャルロット(2021年製作の映画)

3.6

モデルで女優で歌手。フランスのアイコンだった母と特別な存在感を見せる女優シャルロットのセルフドキュメンタリー。
母娘ならではの距離の近さと才能のある同士のわずかな心の壁。互いの本音を探り合う感じがなん
>>続きを読む

クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男(2019年製作の映画)

3.6

ファンとしては見ざるを得ないQTドキュメンタリー。過去作を振り返りながらマイケル・マドセン、ティム・ロスらが語るんだが、もう作品映像だけでニヤニヤ。

『パルプ』のトラボルタは最初はマドセンへのオファ
>>続きを読む

エル(1952年製作の映画)

3.8

金も名誉も持つ紳士が見初めた女性をストーカーまがいで自らのものに。しかし、独占欲と嫉妬から徐々に精神崩壊してゆく。壊れていく男の様子をつぶさに追ったブニュエルの傑作。
シネマヴェーラ渋谷にて

17歳は止まらない(2023年製作の映画)

4.0

畜産家女子高生たちの青春物語。年上の先生に憧れ、言い寄る同年代男子には目もくれず。
よくある青春もの……と思いきや途中からぶっ飛び。なんだか映像も効果音もへんてこで大林宣彦映画見ているような気になって
>>続きを読む

キングダム(1994年製作の映画)

3.6

1990年代にデンマークで大きな話題になったテレビドラマ。新作に合わせて4話を劇場公開ってことで鑑賞。

意外なまでにブラックコメディ色強い病院アンド幽霊ホラー。内部の人事や実験のような手術、医療過誤
>>続きを読む

658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

4.0

コミュ障の中年女。突然の父の訃報に青森に向かうも、訳ありヒッチハイクに。しかしまともに同乗のお願いもできなければ、車内の会話も、お礼すらまともに言えず……。
様々な人に出会い、優しさに悪意にも触れ、少
>>続きを読む

ナチスに仕掛けたチェスゲーム(2021年製作の映画)

3.6

頭の中で思考を張り巡らすことだけが心を保つぎりぎりの支え。究極の状態に置かれた男のそんな姿を追体験するような映像に参った。
ナチスに監禁され繰り返される拷問。そんな日々を支えたのが、ひそかに手に入れた
>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

4.3

これはべらぼうに面白い。大友克洋オマージュであろう少年少女のサイキックスリラー。

自閉症の姉に疎ましささえ覚えていた妹と新しい遊び仲間。たわいない遊びが猫へのある行動あたりから狂気へと変わるにつれて
>>続きを読む

星くずの片隅で(2022年製作の映画)

3.6

典型的なメロドラマだが演出が丁寧で良いですね。心優しくなれる。
真面目に清掃屋を営む中年男の元に若いシングルマザーが職を求めてやってくる。貧困ゆえ手癖が悪いが、徐々に心を通わせ、仕事とともに人生を取り
>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.3

びっくりするほど古典的な悪魔払いホラーだった。実在のエクソシストの回顧録がベースで時代も1980年代後半というのがすごいが、中身は完全に典型的なB級ホラー。
もうちょいやりようあっただろうになあ。『ベ
>>続きを読む

神回(2023年製作の映画)

3.2

教室に男女二人きり。何度も繰り返す5分間。青春ものの気配がムンムンなのだが……。

SFではないタイムリープ作品というアイデアは拍手。しかしド級の珍作。構図に気づいた瞬間に美しい純愛と思えるか、童貞●
>>続きを読む

アイスクリームフィーバー(2023年製作の映画)

4.0

どうせふわふわした女の子映画でしょくらいに舐めて観たらめちゃくちゃかっこいい。なにこれ。
「これは映画ではない」で始まりもしやゴダール系? と思いきやむしろウォンカーウァイ的。でもあっちがウエットで熱
>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.7

今の時代を象徴するような自走しはじめるAIの兵器化を巡るスパイアクション。AIなのに奪い合うのは物理的な鍵ってのがちょいダサ&古臭さだけど、トム・クルーズが走りまくって飛びまくってぜんぶOK!
後編は
>>続きを読む