矢野竜子さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ダンケルク(2017年製作の映画)

4.1

オッペンハイマーが個人的に良かったので
こちらも改めて公開時以来見直してみたら
ある種、歪な変な映画で面白かった。
いきなり何かが舞っているシーンから
スタートするように過程等なく
いきなり映画は始ま
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

2.5

原作未読だけど
色んなSF作品の要素がパッチワークのように
これでもかと組み合わせられていて
正直胃もたれしてしまった。
70年前近くたっても参照され続ける
「幼年期の終わり」の凄さを思う。
破滅だけ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.8

35mmにて。
水溜りに映る波紋から始まる。
そこには波紋という結果のみが映されている。
波紋を生じさせる原因は映されていない。
宮崎駿のような矛盾性を抱え
見えない何かに導かれ見えない何かに恐れ
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鯨の骨(2023年製作の映画)

2.5

フレーム内フレームとか痕跡とか
映画を志していることは伝わるけれど
いかんせんつまらない。
予算があまりないのだろうが
この手のテーマなら一つぐらい手の込んだ
大掛かりな仕掛けが見たかった。
あのちゃ
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マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

3.5

ジェニファーローレンスのガチ感に
終始圧倒される100分。
車が奪われるシーンから始まるように
ひたすら奪い奪われるだけで
物語が進む気持ちよさ。
回想シーンがありそうでなかったのも良かった。
前にし
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ラブ・ザ・ドッグ 犬依存症の女(2007年製作の映画)

3.5

恋の呪縛(byつんく)ならぬ、愛の呪縛映画。
人生における
愛を与え与えられの相互作用について。
愛を与えるものがいなくなり
その均衡が崩れたことによって
主人公は次第に暴走していく。
与え与えられの
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恋わずらいのエリー(2024年製作の映画)

2.8

序盤の扉のダイナミックな倒れ方で
ジョニートーを勝手に連想したり
カサヴェテスが示した
転倒は愛してるのサイン(notドリカム)を
勝手に見出しするものの
とにもかくにもベランダから突然やってきたり
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FLY!/フライ!(2023年製作の映画)

3.6

脚本マイクホワイト。
いつものイルミネーション作品らしく
キャラクターをいかに動かすかしか
考えていない内容で良き。
地上と空の2つのシチュエーションで
脱走劇できるのは鳥だけでしょう。
「落下」の用
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

2.5

色々てんこ盛りの内容で
あきらかに日曜のこの時間に
見るべきじゃなかった。
さらにはガンガン動き回るカメラに
かなり過剰な味付けの演技も加わり
全部あわさってどっと疲れた。
これまた回想で物語が
あっ
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DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

3.7

犬が走り出すと映画も走り出す。
犬を「痛み」に寄り添ってくれるバディと捉え、
そこにアンチヒーローものを絡めた一種の発明。
原作あるんじゃないかというぐらい
キャラクターや設定が上手くて痺れる。
正直
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PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~(2024年製作の映画)

3.8

「チーム友達」案件。
大人と子供(といっても高校生だけど)、
そして現実とゲーム。
主人公の周りにいる大人たち(家族)は
基本的にほとんど全員が
様々な現実に追い詰められ
孤独に疲れ切っている。
この
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変な家(2024年製作の映画)

1.3

まず音で怖がらせるのではなく
驚かせるのはホラーではない。
横のカップル(特に男)は4DXか?
というぐらいに飛び跳ねるレベルで驚いていて
その後のデートが勝手に心配になった。
斉藤由貴が出てきたあた
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.9

やはりシリアスなガイリッチーは侮れない。
敵が味方に、味方が敵に、優勢が劣勢に、
攻めが逃げになどなど色んなものが
突然反転していくあやふやな世界で
たしかであり信じられるのは約束であり絆。
下手と上
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映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)(2023年製作の映画)

2.5

共産主義とファシズムとロボットと友情。
色々内容詰め込みすぎ感あり。
空が舞台のはずが全然その舞台設定が活かされておらず残念。
ラストは鉄腕アトムっぽくもありびっくりした。
友達友達いうので
最近狂っ
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すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

4.1

多摩ニュータウンという
いわば「時代」を象徴する街を舞台に
過去に想いを馳せたり
未来に想いを馳せたりそして今を感じたり。
多摩ニュータウンはいわば時代性が幾重にも重なる
時空が歪んだ空間なのである。
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マリー・アントワネット(2006年製作の映画)

3.3

早稲田松竹にて35mm。
自分の居場所を求めて
1人の若い女性が彷徨い続ける映画。
歴史映画としては見るべきじゃないと思う。
美術、衣装、小道具が何より圧倒的。
十数年ぶりにみたけど
正直中身は全然覚
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.8

小難しくなりそうな実話を
しっかりコロナ禍階級闘争エンタメに
仕上げていて面白かった。
株という目には見えないし形がないものの
一方でコロナも目には見えないし形がない。
皆見えない何かに怯え、見えない
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ハンテッド 狩られる夜(2023年製作の映画)

4.2

素晴らしい!
異色すぎる対話映画。
これは20年を経た現代アメリカ版
バトルロワイアル(by深作欣二)と言っても
過言ではない。まさに「走れ」
本作含めて個人的に今年良かった映画は
偶然なのか夜の映画
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

1.5

海外の映画祭で賞を総なめしてるみたいだけど
名前の通りで落下そのものには
興味・関心がない完全に内容の映画でノれず。
落下は解剖しなくて良くて
人が落ちた!それだけで良いはずなのに
ぐだぐだとあまりに
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カラーパープル(2023年製作の映画)

2.8

良いんだけど個人的には
画がツルッとしすぎていて終始のれず。
否が応でも現在を感じさせられてしまう。
フィルムの方が良かったとかは贅沢だろうか。
冒頭も神の視点的に真俯瞰から始まったから
当然ラストも
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ミニー&モスコウィッツ(1971年製作の映画)

4.4

独り身の不器用な人たちが
結婚して独り身でなくなり
社会性を獲得するまでを描いた映画。
大人になりきれない大人たちしか出てこない。
つまりは私のことでもありますが…。
ずっと基本的に2人しか映さないカ
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ラバー、ストーカー、キラー(2024年製作の映画)

3.0

ネトフリのこういう類の実録犯罪ものは
不謹慎ではあるけどやはり面白い。
被害者たちが平気で顔出しで出演してるあたりが
アメリカって凄いなと改めて思わされる。
ただ同じくネトフリの
「アメリカン・マーダ
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

1.0

ムー一族だかポーの一族だか知らんが
うっすいマックのコーヒーをさらに
水で薄めたような映画。深みゼロ。
もちろんA24の映画が全て嫌いなわけではないけど
A24の悪いところが凝縮されている。
THE
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Here(2023年製作の映画)

4.4

hereというタイトルが示すように居場所の映画。
仕事が休みになって主人公は
「そこ」にいる理由を失くしてしまう。
ポケットにいつの間にか入っていたという
種はまさしく主人公を表しているのだろう。
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熱のあとに(2023年製作の映画)

3.9

だいぶ色々こねくり回して
完全におかしくなってるけど正しいと思う。
ダーティハリーが実はベースにある?
という感じの善悪と上下、そして愛
の哲学的映画として評価したい。
冒頭から階段を下に降りていく橋
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紅の豚(1992年製作の映画)

4.0

シアタス調布にて朝一で見てきた。
冒頭は空を見上げている状態から
ティルトダウンで始まる。
陸(海)と空の上下。
ただ今回は上下におけるテーマ性は希薄で
娯楽作に徹しているように思う。
陸(海)と空が
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

三宅唱監督最新作。
言わずもがな素晴らしい傑作に尽きる。
この監督の作品で今まで見ている限り
傑作でなかったことがないので
多分傑作だろうとの確信を持って
見に行ったらやはり傑作だった。
名前の通りで
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それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

3.5

通訳、翻訳を生業とする主人公は
プライベートにおいても様々な人々と「間」に立ち
ひたすら選択を迫られる。
迫り来る現実を示すかのように並列的にぶつ切りで
羅列される主人公の日常(家族、愛人、仕事)
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放課後アングラーライフ(2023年製作の映画)

3.3

男はほとんど宇野祥平しか出てこない稀有な映画。
このようなアイドル映画の重要なシーンで
長回しをする心意気は凄いし、
終盤ではそれにしっかり応える
主人公の女の子も凄いのだけれども、
色々と面白くなる
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.6

早くも今年ベスト1な気がする。
様々な境界(輪郭線)が溶け合うと同時に
様々な境界が出現する夜の映画。
エドワードヤンの恋愛時代を思い出した。
冒頭の夜が部屋をゆっくり支配して
個人の世界が徐々に消失
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キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(2020年製作の映画)

3.1

リアルタイムで実際にあった事件を描く映画。
最終的には部屋に入るか否かが
人間の尊厳を犯すか否かに変奏されていく。
回想等が一切入らないので良いのだが
終盤の過剰な演出はやめてほしいし
最後までリアリ
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バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

3.5

お馴染み小山力也の吹替で鑑賞。
マッドマックス×ゾンビかあと
個人的にはガッカリしたものの
思わぬ団地映画にあがることに。
しかも結構血みどろだし結構キモいし
アクション撮り方上手いしでノれた。
団地
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崖の上のポニョ(2008年製作の映画)

4.4

公開時、今はなきパルコ調布キネマで
たしか塾をサボってみた記憶...。
当時から波の表現や水の表現が面白いなあと
思ってみていたけど改めて見てもその印象は変わらず。
とにかくいろんな流動体の表現が出て
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

5.0

池袋グランドシネマサンシャインにて。
まさかこの映画があのIMAXで見れるとは
想像もしていなかった。
昔みたときはめちゃ小さいテレビ画面で
深夜に見たものだから音量は小さかった。
これはただの音楽映
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オアシス:スーパーソニック(2016年製作の映画)

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JUMADIBA最近よく聴いているから見た(?)
インターネットが席巻する前のある意味で憧れの時代。
オアシスはスタンス含めてモノホン。
このギャラガー兄弟のサクセスストーリー、
そして喧嘩含めてもは
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鶏の墳丘(2021年製作の映画)

4.0

純粋培養された良い意味で
イッちゃってる作品で久々に痺れた。
全部自分1人でやってるから
誰も止める人がいない。
わかるわからないを超えて
ただディテールのみが矢継ぎ早に提示され
過剰な情報の暴力にさ
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