矢野竜子さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.2

面白いし覚悟はしていたけどあまりに長い…。
ウェスアンダーソンとティムバートンを
足して2で割ったような世界観で描かれる
女性が本来の「人間」として
生き直すまでを描いた御伽噺。
御伽噺なのに全裸の男
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リゾートバイト(2023年製作の映画)

1.2

こういうノリなら中田秀夫の「禁じられた遊び」の方が
全然良かったかと思う。
笑いと恐怖は紙一重とは思うけれど
やるならせめて冗談と本気のせめぎ合いを見せてほしい。
恥ずかしげもなくB級というノリを理解
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もののけ姫(1997年製作の映画)

4.3

吉祥寺プラザにて。
子供の頃父親と見に行って
ギャン泣きした思い出。
今見てもなかなかの血生臭さだった。
ひたすら上下という構図。
食うか食われるか。
神と人と生き物たちで天と地上(上と下)。
鳥が全
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反撥(1964年製作の映画)

3.6

扉や家、音等を通して
男という得体の知れない存在=恐怖を描いたホラー。
そこには常に「侵入」の気配=不安がある。
「侵入」は他人の領域を犯すということであり、
主人公にとっての領域は家ということになる
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私は決して泣かない(2020年製作の映画)

3.9

死と金のシビアな現実問題と主人公と父親の関係性を
絶妙な距離感と温度で描いた傑作。
運転免許試験に落ちるところから始まる映画で
最終的に思わぬ着地になるところも含めて面白い。
とにかく本作で重要なのは
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僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)

3.2

母親は息子以外の他人に息子を見出し、
息子は母親以外の他人に母親を見出し、
その愛をそれぞれ拒絶されて
結局お互いに向き合うことになるって話だが
ラブストーリーみたいな終わり方に
反吐が出るというか
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Renaissance: A Film by Beyoncé(2023年製作の映画)

-

眩しすぎるエネルギー(光)の乱反射の祝祭。
40代はもっと最高になる
という言葉を信じて生きるしかない。

658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

3.8

熊切和嘉監督最新作。
前作の「#マンホール」が
主人公がひたすら追い詰められる内容だったが
本作もとことん主人公が追い詰められる。
ただ前作がマンホールの中のみであったのに対して
本作はタイトルが示す
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市子(2023年製作の映画)

1.8

こういう内容なら
カメラをこれ見よがしに揺らさず
FIXで撮ってもらいたいし
せっかく良い俳優のみなさんを
使っているのに画が明らかに弱くて残念。
終盤の脚本のあざとさもノれず。
ずっとリアルぽい感じ
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あるじ(1925年製作の映画)

4.3

100年前から人間って
全然変わってないと思わされる。
去年公開されたバービーよりも
メッセージ強い。
カメラ目線で説かれる、男はいかに馬鹿か。
そして100年前なのに抜群に面白い。
市井の夫婦の暮ら
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Gメン(2023年製作の映画)

1.0

20年前ぐらいに日テレで
やってそうなドラマでにっこり(死)
あの実質何にも映してない
パンしたあとの残像?みたいな
カラオケ映像でしかよくみないあれなに?
あれを映画で令和に見ると思わなかった。
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放蕩娘(1981年製作の映画)

4.0

感情移入を一切拒絶する映画でありながら
最後は妙なカタルシスドラマがある変な映画。
突然終盤でメタ発言したり
ソーサーで思いっきり父親の頭をいきなり殴ったり
車庫ごっこという名の「あーん」をしたり
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.8

原作は買っておきながら読んでいない
という体たらくで申し訳ないが、
子供と大人の間で揺れ格闘する様が
歌を通して描かれていて面白かった。
変声期や映画を見る会のビデオが
象徴するように
巻き戻しの効か
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.0

イメージフォーラムにて。
兎にも角にも劇場の画面を埋める巨大な顔。
ジャンヌがそこに映し出される時は
大抵彼女は1人で孤高に
フレームに収まることになる。
彼女対そのほか大勢という構図。
「異端」とい
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ゴールデン・エイティーズ(1986年製作の映画)

3.8

抑圧を感じる閉鎖的な地下のモールが舞台の
愛と人生についてのミュージカル。
最初はなんかずっと同じセットで
つらいなと思っていたけど
うまくいかない一方通行の愛の物語が
立ち上がり始めてから面白くみれ
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彼方のうた(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

何かが欠けてしまい世界から
切り離されてしまった人たち。
それを世界と再び繋げるものは一体なにか。
バラバラの点となり世界から離れてしまった
人たちを再び世界と接続する線のような
役割を果たす主人公。
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ファンハウス/惨劇の館(1981年製作の映画)

4.1

内容はありきたりかもだが
登場する人々(襲われる側、襲う側含め)の
キャラクターの人格を掘り下げているからこそ
カタルシスドラマを生むし面白い。
特にモンスターをただの一辺倒の悪として描かないのが
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彼女の面影(2023年製作の映画)

3.2

俳優デイヴフランコ監督最新作。
共同脚本と主演を
自身の妻であるアリソンブリーが担当している。
仕事もプライベートもどん詰まりの
主人公が最終的にとる行動は
原理的にはおかしくないと個人的には思った。
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女咲かせます(1987年製作の映画)

4.3

まるで漫画を読んでいるような感覚で圧倒された。
クセが強く基本ハイテンションな
キャラクターたちが駆け抜ける
笑って泣けて充実すぎる90分。
個人的には体感30分ぐらいな気がした。
「秘密」を言いたい
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こどもが映画をつくるとき(2021年製作の映画)

3.6

映画を構成する断片がそのまま剥き出しに
順々に提示されていて面白い。
映画に限らず映像は決して1人ではできないし、
そこには必ず他者との軋轢や格闘があり
様々な制限下のもとで偶然の要素が
複合的に絡み
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.0

好きな監督だけに期待していたが
そこまでノレず残念。
キャラクターが多すぎるのがかなりノイズ。
話がその分いったりきたりしてしまう。
本作の最大の見どころの殺しのアイデアを
ともかく見せたいがゆえと
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アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

3.4

ほぼ劇伴や説明がない
ドキュメンタリーで良かった。
社会に適応できなくても
自分を受け入れてくれる場所の重要性。
対話を筆頭に表現することで
他人と自分の世界を繋げることの重要性。
効率化、単純化を図
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仔犬ダンの物語(2002年製作の映画)

4.2

職人監督としての澤井信一郎が味わえる傑作。
これをあのカオスとしかいいようのない
樋口真嗣のミニモニの映画と同時上映
していたという事実にクラクラくる。
もはや今となっては
芸能界を引退した人多数の
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ある日 ディズニーで(2019年製作の映画)

3.0

ウォルトディズニー社の
コーポレートムービー+リクルートムービー
みたいな内容。
当然のように夢と希望に溢れている。
死んだ目つきの人は当たり前のように
出てこない。
この仕事に対する前向きさを
見習
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ミニモニ。THE(じゃ)ムービー お菓子な大冒険!(2002年製作の映画)

3.0

この頃のハロプロは一種の狂気性を感じて正直好き。
お正月にこんな映画を見ている私も大概だけど...。
劇場の大スクリーンで35mmで見てみたすぎる。
アングルの概念が存在しないような実写パートは
映画
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ママボーイ(2022年製作の映画)

1.5

ゆるい近親相姦願望みたいな
中途半端な内容で正直しんどい。
亀梨和也と小泉今日子みたいな
関係なんでしょうか。知らんけど。
観賞魚は不安や孤独のメタファーと思ったけど
それもうまく描けていたとは思えず
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ブルドーザー少女(2021年製作の映画)

3.3

タイトルからハナタラシを
勝手に連想して見てみるも
そもそもハナタラシは
ブルドーザーじゃなくてユンボだった…。
主人公がカチコミをかけるように
物怖じせずあらゆるところに乗り込む様を
背中から捉える
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ヨーヨー(1965年製作の映画)

4.3

フリとオチのコント100連発的な感じで
安心感が凄いし、
たけしの作品の笑いに近いと思った。
寄席的な意味でお正月にNHKあたりで
毎年放送してほしい。
激動の時代における
笑い、興行の「居場所」の物
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ワンダーガールズ東方三侠(1993年製作の映画)

4.0

起承転結がグチャグチャで
ジョニートーの映像論理のみが
全てを優先するいつもの怪作。
サビだけ続く曲を
ずっと聴いている感じで正直好き。
本来説明をもっと加えるべきシーンを省き
ついてこれないものは振
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スチームボーイ STEAMBOY(2003年製作の映画)

3.0

AKIRAがトラウマを残し続ける
私にとってあまりに物足りなすぎた。
あれだけ気持ち悪くて
見てはいけないものを見ている感じが
ここには全くない。
これだけ破壊描写がありながら
血を流す描写が1つしか
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お早よう ニューデジタルリマスター(1959年製作の映画)

5.0

ひたすら画面の奥行きと
呼応と非呼応で
横に横に接続されていく人物関係。
応じるだけで起こる関係性だけでなく
応じないことで起こる関係性をも
描くのが面白い。
会話はカットを接続する糊でもあると
思わ
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Saltburn(2023年製作の映画)

3.5

同監督の前作よりも
明らかに画作りのグレードが
上がっていて見応え十分。
だがそれゆえにネタバラシの仕方等が
安直すぎてどうにも
品に欠けて見えてしまう。
あそこまで事細かに説明してしまわず
有耶無耶
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あしたの少女(2022年製作の映画)

3.7

PERFECT DAYSの対極にあるような作品。
労働はやはり尽くクソでしかないと年末年始に思う。
ひたすら人権を無視され企業と学校の間で
押しつぶされ亡くなった少女が空から
降る雪を見上げるカットが
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王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

-

監督と観客の間に
「王国」を建国しようとする
2時間半にわたる壮大な禁忌にも似た儀式。
セリフは儀式における呪文に近い。
組み立てて壊し組み立てて壊しで
映画自体はもはやボロボロになってる。
言葉自体
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屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

2.3

ストーリーが複雑すぎて
登場するキャラクターたちが
全く魅力的に描かれていると思えず。
つまりはジブリのようでいて
根幹が全くジブリとは異なっている。
いくら子供向けといえど
イマジナリーがどうとか
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迷宮物語(1987年製作の映画)

3.4

35mm、神保町シアターにて。
フィクションの奥へ奥へと
誘われるような画面構成が多く
名前に違わず迷宮感あった。
ノイズまじりのフィルムで見ると
これがさらに良い味を醸し出すから面白い。
個人的には
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