矢野竜子さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

源氏物語(1987年製作の映画)

3.9

35mm、神保町シアターにて。
現代の採算とれることが
GOサイン前提のアニメ製作体制では
絶対に無理な気がする。
ある種、時代が遺した産物感があった。
ただ彩度の低い色合いや
髪などの線を筆頭に独特
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ザ・スチューデント(2016年製作の映画)

3.4

キリスト教原理主義に狂っていく息子、
対処に困る家族・学校という
シリアストーンな映画なのかと思っていたら
話が深刻になるにつれて
どんどんブラックコメディかつ
風刺劇のようになっていくのが面白い。
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.3

現代日本を舞台に「祇園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり」といった趣き。
世界は常に変化し人は死に向かって生きている。
ちょっと綺麗事が過ぎるとは思うものの
役所広司が玄関を出ていく時の
鍵やら小銭や
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.8

名店が復活して
久々に味わうチャーハン定食的な。
犬が出てきた時の餃子感(?)
ほんとに餃子みたいな色してたけど(??)
激動の時代においても全く変わらない味。
建設現場の広い画など現実感が凄くて
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

4.5

ちょっとびっくりするぐらい良かった。
ファーストカウよりも断然好き。
ケアと芸術創作活動の関係性。
鳩こそがそのケアと芸術をつなげる
媒介を果たしているわけだが、
そんな鳩へのある行為一点に
本作のテ
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ザ・ヒューマンズ(2021年製作の映画)

3.4

あるガタがきている
アパートメントの数階のみで
繰り広げられる人間どもという寓話。
ガタがきているアパートメント自体が
今の社会ということだろう。
その社会の中でみな様々な
問題、不安を抱えている。
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

2.5

まあそうなるでしょうね
というオチでがっくりくる。
もっと呪いが感染していく様が見たかったが
主人公の内的世界に終始するのが
個人的に残念。
こっちは世界の破滅が見たいのに。
それと手を握ること=地獄
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ファニー・ページ(2022年製作の映画)

4.0

サブディ兄弟プロデュース
ということもあるか知らんが
とにかくアップ多用で
ヒキ画はほとんどない。
序盤で主人公が漫画タッチで描かれた
自身の姿を見たように
この映画は漫画を志向している。
真っ当な道
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ウェンディアンドルーシーは
列車から始まったけど本作は船から始まる。
解釈は人それぞれだろうけど
価値が曖昧な時代だからこその
高純度ラブストーリー。
家から薪を割る姿を
みつめるシーンで確信した。
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悪魔の追跡 4Kデジタル・リマスター版(1975年製作の映画)

3.0

ある意味で潔すぎる斜め上の話の決着の付け方が
完全にどうかしていて好き。
〇〇先生の次回作にご期待くださいという文字が見えた。
あの図書館で調べ物するパートとか
現場まで戻って検証するパートとかヘビと
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ワンス・アポン・ア・スタジオ 100年の思い出(2023年製作の映画)

3.5

オフィシャル同人的な
ディズニーの禁じ手で
つまらないはずないという…。
改めてディズニーアニメ=動き
ということを認識させられる。
ひたすらフルアニメーションの快楽性。
ウォルトディズニーとミッキー
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ウィッシュ(2023年製作の映画)

2.8

主人公がニュジのミンジに似てるって
思ったり思わなかったりして
揺さぶられた(?)
ちなみに韓国版の主題歌歌唱は
ミンジではなくIVEのユジンが担当している。
想いが形を成して上空に浮かぶ、
そしてそ
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デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

5.0

極私的オールタイムベスト。
カーアクション×スリラー×駄弁×ジェンダー。
今こそもっと評価されるべき。
全てが反転するアドレナリン出まくりの
終盤は神がかっている。
史上最強のエンタメサドマゾ映画。
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マーサ、あるいはマーシー・メイ(2011年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

モノローグ等一切なく説明がほとんどない
稀に見るストロングスタイルで好感。
ショーン・ダーキンは
観客を信用しているということだろう。
特に具体的にその名が出ることはないが
見ていくうちにこれはマンソ
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ながらえば(1982年製作の映画)

4.0

笠智衆×列車で傑作。
列車が想いを直線的に象徴する一方で
それに思い通り乗れずに
途中下車、乗り遅れを何度も繰り返す
不器用な笠智衆。
その他出てくる男たちも
全世代全員悉く不器用で
女たちは振り回さ
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ソルフェリーノの戦い(2013年製作の映画)

3.8

大統領選、離婚夫婦の揉め事という
疑似的戦争(戦争ごっこ)と
その狂乱と喧騒に
巻き込まれる人々を描いた
一種のセカイ系作品で面白い。
あと喧嘩映画なので単純に好き。
序盤から赤ちゃん泣きっぱなしで始
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ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間(2018年製作の映画)

3.0

一応「ちいさな英雄」というテーマなんだろうけど
それぞれの短編作品のトーンが違いすぎて
トータルとして見るとチグハグな印象が否めないし
それを包む、側のOPとEDのトーンも
ただお祭り騒ぎ感というだけ
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ノロワ(1976年製作の映画)

3.9

死、欲望=
スペクタクル、見せ物(映画、演劇、舞踏)
楽団の音楽と色とりどりの衣装が象徴する。
ただラストの対決は楽団の音楽もなく、
衣装も白でフィクションが後退し
現実が迫り出してくる。
「今夜わた
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.0

沖縄桜坂劇場にて。
坂本慎太郎in沖縄を観る前に観たら
しっかり気を滅入らせてくれて感謝。
いつか人間は死ぬ、
その逃れようのない事実をこれでもかと
強制的に2時間半一部始終観させられる
一種の拷問装
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交換ウソ日記(2023年製作の映画)

3.4

桜田ひよりの目の大きさとか高橋文哉のメガネ姿とか
めちゃ気になるけど、単純に撮照、グレーディングが
素晴らしくて面食らう。
最近の松竹のこういう恋愛ものは
どれもルックが抜群に良くて本当に全く侮れない
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

3.9

早稲田松竹にて35mm。
再生(移動)と停止(宿泊、中断)の映画。
執拗なまでの冒頭の長回しカットが
それを象徴する。
ポールダンスを見ている父親は途中で寝るし、
(セックスの最中に寝るカットもある)
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モスキート・コースト(1986年製作の映画)

4.2

面白すぎる。色々受け止めきれないぐらい面白い。
アメリカという国はもう終わってるから
今から未開の土地に移住しなければならないと
藤岡弘、と川口浩もびっくりの
生粋の基地外父さん(ハリソンフォード)に
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パトリック(1978年製作の映画)

3.0

もっとパトリックに
暴れてもらいたかったのが正直なところ。
ただところどころ
急に真っ当なスリラーを
挟んでくるあたりが面白い。
序盤の自宅への侵入者を疑うあたりとか
中盤の婦長がパトリックの部屋に
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.1

列車で始まり列車で終わる移動映画。
列車は決まったレールの上を走る一方で
ウェンディは無軌道で不条理な
人生のレールをひた走ることとなり、
そんなウェンディをカメラは
ずっと捉え続ける。
モノローグは
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終わらない週末(2023年製作の映画)

3.5

毎年年の瀬に
世界破滅系コンテンツを提供の上、
私たち人間はいつか必ず死ぬことを
思い出させてくれるNetflixの
底意地悪さが正直好きです。
世界が終わっていく描写として
飛行機墜落とか
街並みに
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Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

3.7

セックスと資本主義の映画で面白かった。
そこにはゲーム性があり優位劣位がある。
そしてそこに平等性はなく、
勝者と敗者しかいない。
作中において、
女性は女性という枠組みの中で
必死でもがき
男性は男
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クレイジークルーズ(2023年製作の映画)

1.5

今更になってドラマsilentを見て号泣し
寝れなくなったのでなんとなく見た。
ネトフリ資本の日本作品は悉く終わってる。
「インフェルノ蹂躙」ぽい
死人シチュエーションがあったので+0.5。

愛のメモリー(1976年製作の映画)

4.0

何十年振りに見たが、
ヒッチコックは言わずもがなだけど
改めて見ると実に
ポールシュレイダーぽい内容だなと思う。
抑圧と狂気。罪と赦し。
妻子が誘拐されたとしても
大して驚いてるようにも見えないし、
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天はすべて許し給う/天が許し給うすべて(1955年製作の映画)

4.2

とにかく窓映画で素晴らしい。
窓は世間(社会)と主人公たちの間にある
フィルター。
ラスト間際に窓戸が閉じられることで
世間と断絶したかに見えるが
ラストで窓戸は開けられる。
そこに繰り広げられる景色
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.8

つまるところ大砲=男根ってことか。
血生臭いエゴとプライドまみれの
欲望の歴史といった趣きで楽しめた。
男の弱さと女の強さ。
リドスコは最近ずっとテーマは同じ気がする。
歴史は男だけが作ってきた訳では
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エコーズ(1999年製作の映画)

3.8

物事の核心に迫るため全てをかなぐり捨てて
ひたすら家を深く深く掘り続ける
男の話で怖面白い。
まさしくミスタードリラー(byナムコ)な
ケヴィンベーコン。
ホームセンターにドリルを
買いに行くところと
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ロスト・フライト(2022年製作の映画)

3.8

カツ+カレーの
足し算カツカレー映画で最高。
原題PLANEが飛行機映画としての
矜持を感じさせる。
回想とか一切挟まず
ひたすら前に進むのも良い。
無駄なドラマ性がほとんどないのも好感。
ラスト、サ
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春画先生(2023年製作の映画)

2.3

運動がとかフレーム内フレームがとか
思うところはあるが
所詮シネフィルではないので
つまらないものはつまらないし
寒いものは寒いというしかない。
すみませんが…。
尖って知的で高尚なのか知らんが
豚野
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ファミリー・スイッチ(2023年製作の映画)

4.0

マックGからの少し早い
最高のクリスマスプレゼント。
自分が求める
アメリカ映画の全てが詰まってた。
全家庭今すぐネトフリに契約の上
ケンタッキー食べながら視聴すべし。
家族嫌いの永年思春期状態の
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

2.3

このレビューはネタバレを含みます

社畜とループものの掛け算は面白いと思ったけど
中盤以降の展開で何が何だかよくわからなくなった。
劇中漫画で映画のストーリーを補完させるとか御法度じゃね。
人生まだまだあるしさって終わりだけど
フレシノ
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こいびとのみつけかた(2023年製作の映画)

1.5

時事性を内包した
現代のおとぎ話みたいな感じで
ハッキリ言って大嫌いな類の
あざとい映画だった。
それ込みで冒頭のテロップもダサすぎる。
好きな人は申し訳ないです。
芋生悠が秋元康が書きそうな
ちょっ
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