矢野竜子さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.1

彷徨う寄る辺ない映画。
90分さえも切る
73分という強気のランタイムが素晴らしい。
おっさん2人と犬1匹で
温泉に行くという映画で
どうなるんだろうと思ってみていたけど
微妙な感情の機微や色気が
>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.2

テレ東の深夜に
流れてるのを見て以来の鑑賞。
当時はまだ小学生とか中学生だったと思う。
廃盤DVDも持っているが結局見てない。
思い出補正がかかっていたからか
改めて見るとけっこう退屈な印象だった。
>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.8

たけしお得意の
死が目の前にある人々の遊び。ゲーム。
虚無の香りがずっと漂っているのも同じ。
ただ振り回されている人々だけ。
ドラマも何もあったもんじゃなく
呆気なく流れるように死んでいくのが良い。
>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

まず不死身と戦場は相性が悪いと思う。
いつ何で死ぬかわからないのが戦場では。
無敵なら割り切っておじいさんの
描写は極力排除した方が良かったと思う。
たとえばおじいさんが敵に見つかるかも…!
と隠れる
>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.4

子供を寄せ付けない映倫区分PG12。
実際、結構えげつない内容で見ていてくらくらした。
やたらとたばこを吸いまくるキャラクターたちも良かったし
ある一族の問題が戦後日本の未来・危機と直結している
とか
>>続きを読む

グリズリーマン(2005年製作の映画)

3.8

ヘルツォークが好きそうな
ある狂人のドキュメンタリー。
作り物=映画としか思えない
奇跡的なショットの数々に度肝を抜かれる。
やいのやいの茶々を入れながらも
現実と虚構の狭間に死んでいったこの男に
>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

原作を知らないので中盤まで
一体どうなるんだろうと思って見ていたが
結末に向かうにつれてそういうまとめ方かあ
と個人的には残念に思ってしまった。
説明がひたすら優先される。
抑圧と解放を水やダンスで描
>>続きを読む

ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

4.0

渋谷にて35mmで見た。
何十年ぶりに見たけど劇場では初めてで
改めて見ると夜の映画だなあと思う。
7割ぐらいは夜のシーン。
アンミカじゃないけど黒色って
こんだけあんねんって感じで感動した。
この黒
>>続きを読む

コンペティション(2021年製作の映画)

3.3

往年のハリウッドメジャーな映画製作を
徹底的に皮肉っていて笑える。
結局映画を動かすのは金であり、
至るところで格差、搾取を生じざるを得ない
資本主義メディアという事実。
金を出している出資者の下に
>>続きを読む

駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)

3.5

かなりニッチなネタながら
91分で非常によくまとまっている手堅い快作。
脚本の教科書に載っても良いんでないか。
それぐらい上手いと思った。
味を表現するのは実写でも難しい訳で、
大体がシズル表現に終始
>>続きを読む

私がやりました(2023年製作の映画)

3.3

現代ネタをベースにしながらも
往年のスクリューボールコメディを
志していて新鮮。
フランス映画でありながら
明確にアメリカ映画で
見ていて混乱してくる。
ただ画ではなくひたすら台詞の洪水なので
個人的
>>続きを読む

パニック・ルーム(2002年製作の映画)

4.0

何十年ぶりに見たけど
こんなに面白かったとは。
当時はデヴィッドフィンチャーも
デヴィッドコープも知らなかった。
ずっと4階建ての家屋内で
展開されるわけだけど全く飽きない。
改めて見ると階段の映画だ
>>続きを読む

MOTHERS(2020年製作の映画)

3.5

たった60分だが濃密な体験だった。
兎にも角にも「お父様」のキャラクター性に
尽きるのだが、そのお父様登場の前に
豪邸の実景を入れるのがしたたかであり、
監督としてのセンスを感じる。
以降も律儀に場所
>>続きを読む

理想郷(2022年製作の映画)

2.9

村の呪縛に囚われてしまった者たちの
境界にまつわる物語。
去るもの、留まるもの、
留まらざるを得ないもの。
1章目がどうにもつまらなくて
しんどいなと思っていたけど
そこから脱線していく2章目で持ち直
>>続きを読む

トンソン荘事件の記録(2020年製作の映画)

2.2

一瞬だけエリサラム事件の
あの監視カメラ映像を模したカットが
あったような。
こういう類ではもはやゾゾゾの方が
クオリティ高いと思う。

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.2

シネマート新宿のブーストサウンドにて。
ザスミスの楽曲と
殺人のプロの美学、独白、
そしてひたすら移動、待機、観察、後処理。
なんだこれ。
本番の映画ではなく
そこに至るまでの
前戯の映画とでもいうべ
>>続きを読む

ドミノ(2023年製作の映画)

3.3

2023年なのにまだこんなSFを
やってるのは一周回って正直愛せるし
90分でまとめるのも好感だけど
結局どうしても説明に次ぐ
説明になってしまい、ノれず。

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.1

口に咥えたら放り投げる
ゴジラが犬っぽくて可愛い。
主役2人の演技が
劇中の東京の街のように壊滅的にひどい。
とってつけたようなドラマは逆に笑えた。
これを見ると庵野のシンゴジラって
ブラックコメディ
>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

4.0

思わぬ移動映画であり、逃走映画でびっくり。
この監督は演劇出身だそうだけど、
映像の感覚も持っていると思う。
心の距離と車、電車の移動(物理的距離)は
相似的関係にある。
そして人それぞれの輪郭線も
>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.5

SONYのFX3で撮影されたと聞いて
あえてのIMAXで見た。
映像制作者からするとFX3は
SONYのシネマラインではあるものの
ハリウッドのこのような大作で
用いるものではないと思う。
どちらかと
>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

2.0

言い方悪いけどお勉強映画。
搾取する者、される者。
わざわざIMAXで見たけど
長けりゃいいってもんじゃない。
そういやスコセッシの映画って
個人的に良いと思ったこと
一回もなかったなあと思い出した。
>>続きを読む

北極百貨店のコンシェルジュさん(2023年製作の映画)

2.5

西村ツチカの独特さ、歪さが
アニメにすると欠けてしまった印象があり
個人的には残念だった。
良くも悪くも何もひっかからずに
スルッと見れてしまう。

くるりのえいが(2023年製作の映画)

-

個人的にくるりといえば
沖縄のタワレコでドライブ用に買った
チームロックなんだけど、
本作は偶然にして海(伊豆)とドライブの
映画になっていたと思う。
冒頭の揺蕩う波の様子は変化し続ける
このバンドの
>>続きを読む

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

3.7

一億総アーティスト化時代におくる
どぎつめのブラックコメディで面白かった。
見ながらストーンローゼズの名曲
憧れられたい(I Wanna Be Adored)を思い出していた。
結局どうしてもアーティ
>>続きを読む

トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.9

僕はロキタが本当に好きなんだとこの監督は
言葉で絶対に言わせない。モノローグもない。
無言でひたすら自転車を漕いで
自分の描いた画をとりに行ったり、
行動でそれを丹念に描いていく。
(カメラはその様を
>>続きを読む

アンダーカレント(2023年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

原作が出来上がり過ぎちゃってるから
映画でそれを超えるのは無理だろうな…
と思いつつも見た。
実際、原作にあったコメディ感とか
間とかの良さが映像に落とすと
ほとんどなくなっていたのが残念。
漫画の間
>>続きを読む

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

3.8

35mmで見た。色合いがめちゃ綺麗。
7割暖色、3割寒色の感じ。
内容自体は性の悦びを知りたいトムクルーズが
徹底してセックスできない
しょうもないコントみたいな映画。
フルボッキ状態で街を徘徊する
>>続きを読む

わたし達はおとな(2022年製作の映画)

3.5

人間って所詮、猿。
SANTAWORLDVIEWも歌ってたけど。
というか大学生なんてチンパンジー。
撮影まわりがかなり健闘してるものの
変化を意識させるごちゃ混ぜ編集が
好きじゃない。
ラストの薄暗
>>続きを読む

ランドスケープ・スーサイド(1986年製作の映画)

4.2

痛みと場所。
それを繋ぐ殺人者という存在。
それゆえに汚れてしまった街街。
冒頭の観客に対する
嫌がらせのようなテニスのサーブの
描写だが、サーブの行為のみが捉えられる。
行為、原因、過程のみが執拗に
>>続きを読む

オクス駅お化け(2022年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

めっちゃカット割るしスピーディーで
ジャパニーズホラー感ゼロだし、
そのわりに設定リングで
なんだこれ?と思っていたら、
呪いの伝播を韓国映画でやると
こうなりますというラストの読み替えに
興奮せざる
>>続きを読む

11×14(1977年製作の映画)

4.0

恥ずかしげもなくいえば
映画とは何ぞやという問いに対する
60数カットによる一種の答えのような。
空間芸術と時間芸術のちょうど中間地点。
分断された個々の映像を意味性にとらわれず
強引に繋ぐ感覚は現代
>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.5

見えない蛇に怯える短編。
見ることができる、見ることができない、
可視と不可視が本シリーズの
一貫したテーマと個人的には思っているけど
どうなんだろうか。
ひたすらカメラに向かって語りかける
キャラ兼
>>続きを読む

ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)

3.5

前作とは違った形で
言葉を画として表現するという試み。
最初、鼠男が鼠をポケットから出した際、
鼠は実体がない。
その後、賭けをする際に
鼠は急に実体として登場する。
だがその鼠はアニメであり、
リッ
>>続きを読む

白鳥(2023年製作の映画)

3.5

語り部のセリフが言葉が、映像の先を走る。
映像はそのセリフを再現するに過ぎない。
一方で最も本作で映像にすべきパートは
ロアルドダール自身の語り部によって紡がれ、
私たちは言葉としてそれを聞くことにな
>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

3.3

コカインクリスマス笑った。
一方で想像よりも真面目に
アニマルパニックをやっていてビビる。
見せ場は上下シチュエーションが基本で
誰かが下にいる時、誰かは上にいる。
そもそもコカインを森に落下させる
>>続きを読む

ジャム DJAM(2017年製作の映画)

3.2

冒頭、柵の前で歌い踊るダフネ・パタキア。
不自由の象徴としての柵と
自由の象徴としての歌とダンス。
道中は色々と不自由さにまみれるわけだが、
そのアンチテーゼとして女性2人に
奔放性を託しすぎているよ
>>続きを読む