矢野竜子さんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

(2023年製作の映画)

3.5

見えない蛇に怯える短編。
見ることができる、見ることができない、
可視と不可視が本シリーズの
一貫したテーマと個人的には思っているけど
どうなんだろうか。
ひたすらカメラに向かって語りかける
キャラ兼
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ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)

3.5

前作とは違った形で
言葉を画として表現するという試み。
最初、鼠男が鼠をポケットから出した際、
鼠は実体がない。
その後、賭けをする際に
鼠は急に実体として登場する。
だがその鼠はアニメであり、
リッ
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白鳥(2023年製作の映画)

3.5

語り部のセリフが言葉が、映像の先を走る。
映像はそのセリフを再現するに過ぎない。
一方で最も本作で映像にすべきパートは
ロアルドダール自身の語り部によって紡がれ、
私たちは言葉としてそれを聞くことにな
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コカイン・ベア(2023年製作の映画)

3.3

コカインクリスマス笑った。
一方で想像よりも真面目に
アニマルパニックをやっていてビビる。
見せ場は上下シチュエーションが基本で
誰かが下にいる時、誰かは上にいる。
そもそもコカインを森に落下させる
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ジャム DJAM(2017年製作の映画)

3.2

冒頭、柵の前で歌い踊るダフネ・パタキア。
不自由の象徴としての柵と
自由の象徴としての歌とダンス。
道中は色々と不自由さにまみれるわけだが、
そのアンチテーゼとして女性2人に
奔放性を託しすぎているよ
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ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

4.0

とにかく過剰なまでの
隙、間を一切作ってはいけないと言わんばかりの
一種の強迫観念に近いようなセリフ量で
アニメ四畳半神話体系を思い出す。
執拗なまでに作中登場する
可視化された語り部の存在は
本来隠
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

3.5

正直、宮崎駿の新作以上に変。
熱に浮かされているかのような情念の映画。
なんだかロマンポルノを見たような感覚。
監督はこの方向性でさらに極めてほしい。

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.0

90年代の匂い立つような
アンダーグラウンドなキモさが
真空パックで凝縮されていて最高。
オタクの歯並びとかマネージャーの〇〇とか
悪意しか感じられないし、とにかくグロい。
音割れしてるアイドルソング
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誰も助けてくれない(2023年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

エイリアン侵略を通して
自分を許せるようになるまでの
女の子を描くかなりトリッキーな一作。
セリフなしで進む90分は野心的だし
自分を助けられるのは自分しかいない
という皮肉的なメッセージも面白い。
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バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

3.9

漂流の映画でフラフラしながらも
最終的に至るところに落ち着いていく。
原作は知らないけど
モームの月と6ペンスをどこか思い出した。
我々はどこから来たのか
我々は何者か 我々はどこへ行くのか。
序盤で
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突然の花婿(1952年製作の映画)

3.7

本来は字幕なしで楽しむ映画だと思う。
それぐらいずっと喋りっぱなし。
時間と空間(部屋)の映画で面白い。
時間もないし空間(部屋)もなくす主人公の
追い詰められっぷり。
ちゃんと階段も転げ落ちてくれる
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

4.1

ゲームとリアル、夢と現実、
そしてその境界・狭間で
揺れる人々を描いていて当然のように好き。
本作が描きたいのは
その境界が「繋がる」部分であり、
その境界を「超える」部分であろう。
そこにこそドラマ
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シドニー・ホワイトと7人のオタク(2007年製作の映画)

3.0

「オタク」の定義の広さにビビる。
てか一人色情魔みたいなのいるし。
落ち着く呪文の「グッチ、プラダ、シャネル、アルマーニ」は
好きすぎて英語と日本語吹き替え両方で聞いてしまった。
ピッチパーフェクトよ
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禁じられた遊び(2023年製作の映画)

3.0

どうせつまんないだろうなと思っても
毎回劇場まで見に行ってしまう
中田秀夫最新作。
壮大なコント感はありつつも、
こういうの意外と嫌いじゃないです。
いろんな和洋ホラーのちゃんぽん感。
それに雷鳴轟く
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.4

一人一人が何かと何かの間で
絶えず揺れ続け葛藤する映画。
物事や考え方等単純ではなくなっている時代。
人は馬鹿みたいにひたすらに喋り続けて
戸惑い邪推し混乱し
不器用ながらそれでも生きる。
情報(言葉
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だめんず・コップ(2001年製作の映画)

3.5

本編内で最も外国人発音による
チンポ(notディック)が登場する
アメリカ映画だと思う。
エンドクレジット後、ゲロで終わるように
全く何も残らない映画で最高。
絞殺魔みたいなスプリットスクリーンが
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スイート・マイホーム(2023年製作の映画)

2.2

哀愁しんでれらといい
やっていいことと悪いことがあると思うし、
劇場版火曜サスペンスってことで
よろしいでしょうか?
ちゃんと全部説明してくれる安心設計仕様。
斎藤工って映画好きみたいな感じだけど、
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ドラキュラ/デメテル号最期の航海(2023年製作の映画)

2.0

災いの象徴としての吸血鬼に
黒人が立ち向かうという構図が
現代的ではあるものの
同じ船に魔物がいるはずなのに
全然緊迫感がなく、
魔物と一緒に暮らしてる?
って感じだった。なんにしても長い。
あと30
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哀愁しんでれら(2021年製作の映画)

1.5

劇場版世にも奇妙な物語春の特別編みたいな感じだった。
そんなのありませんけど。
冒頭とラストでタモリ出てきそうだなと思った。
ラストに象徴されるようにとにかく終始品がない。
監督のやったりましたわみた
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

1.5

クローネンバーグの私が人体の内側をみたい
100の理由、的な感じで正直しんどい。
しかもなんかずっと暗いから
地下の居酒屋で2人っきりで
ぐちぐち言い訳きかされてる気分になってくる。
説明パートが全て
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恋のミニスカ ウエポン(2004年製作の映画)

3.0

20年近くも前の映画ながら内容が現代的でびっくり。
そしてビジュアルがゼロ年代初頭のいなたさと
キュートさが詰まっていてとにかく最高。
お金強盗しといてごめんね!って返すの最高。
Death In V
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.3

カメラを動かす気持ちよさを
1番知っている監督でお馴染み、
ウェスアンダーソン最新作。
その気持ちよさは
ひとえにフレームの拡張に他ならない。
フレームの拡張とは映画的空間の拡張であり、
虚構が拡張す
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ホーンテッドマンション(2023年製作の映画)

2.2

ディズニーのアトラクションは大好きだけど
びっくりするぐらいつまんなかった。
物語を複雑にすればするほど
ホラーから離れていくのが悲しい。
チーム戦になってもキャラクターが
全然魅力的に描かれていない
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セクシー・ビースト(2000年製作の映画)

3.7

プリンスの曲名にありそうな
「セクシービースト」って
タイトルがまず最高で
冒頭から太陽と
プールで日焼けする腹が出たおっさんの
切り返しで最高だった。
終盤でも水着のおっさんが大集合するわけだが、
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ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

4.3

アフリカで時間や時代性という概念を喪失した主人公が
ただただ流されることで女性の幻影に沼っていく
真っ当なファムファタールもので魅せられた。
主人公が外交官というよりか
モラトリアムで春休み期間中の大
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search/#サーチ2(2023年製作の映画)

3.6

画は普段目にしているようなものばかりだが、
アイデアと脚本が凄くて見応え十分。
何かの画面上という制約下や
前作からの期待を背負う逆境下で
これだけ面白くできるのは単純に凄い。
前後の情報を繋げて
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search/サーチ(2018年製作の映画)

3.1

公開当時に歌舞伎町のTOHOシネマズで深夜見て寝て以来に見た。
映画館にパソコンのデスクトップが表示される倒錯っぷりも良いけど
普通に家で見た方が適しているとは思う。
単なるギミック映画ではあるけど二
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ブギーマン(2023年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ホラー映画というよりか
もはやモンスター映画だけど
小道具を上手く使った映画でわりと支持したい。
絶対ライターが最後武器になるだろうな
と思ってたらやっぱりそうしてくれて満足だし、
何ならそこから家燃
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

3.5

なぜか急に見たくなって見た。
早稲田松竹でかなり前に見て以来見た気がする。
今日、柴田聡子と家主のライブに
行ったからかもしれない。
私にとってはこの映画は
コーヒーとタバコというよりかは音楽映画。
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肉の蝋人形(1953年製作の映画)

2.8

蝋人形館同様に見せ物としての映画。
序盤からクライマックスという感じで
以降はどうしてもインパクトに欠けた印象。
見せ場は必ず階層が分かれた空間が出てきて
落下するから楽しい。
90分しかないのに謎の
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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

3.2

モールのトイレで終わる映画。
暮らしが、生きることが、画として提示される
このロケーションだけで+1.0。
生きるためには食べて出すしかない。
つまりは生きる映画で良かった。
ただ画はFIXと手持ちを
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ニモーナ(2023年製作の映画)

4.0

真面目に今年一のダークホース作品な気がする。
〇〇のようでいて〇〇という二面性がテーマ。
実際、軽い作品のようでいて重厚だし
子供向けのようでいて大人向け。
当然のように泣いた。
最初はあまりに質感が
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バケーション・フレンズ(2021年製作の映画)

3.2

基地外カップルとの付き合い方指南書。
ポテチ食べながら見れる系なので好き。
基地外カップルとのファーストコンタクトが
車とボートの並走で絵面として最高だった。
(多分本当にやってる)
セットだったりロ
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ポゼッション(1981年製作の映画)

3.9

ある女性が抱えた問題が家族に他人に
そして世界に災いを伝播させていく、
という意味で正統派ホラー。
ラストのセカイ系的な禍々しいイメージが非常に良かった。
個人と世界は直結する。
女性の中に姉妹のよう
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サイコハウス 血を誘う家(2020年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

評価すごい低いけれど私は大好き。
4人の猜疑心こそが「殺人鬼」を
誕生させてしまうという斬新なホラー。
だからこそその「殺人鬼」は顔がずっとわからない。
つまりそれは誰かであって誰でもないのである。
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SAND LAND(2023年製作の映画)

3.4

鳥山明未履修だけど面白かった。
マイケルチミノの心の指紋を思い出したり。
シンプルなストーリーラインに
ひたすら足し算していくことで面白くしていく。
どこまで原作ベースか知らんけど、
鳥山明ってやっぱ
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