矢野竜子さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

メランコリア(2011年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

終わりと繰り返しの映画。
惑星が地球にぶつかるところからスタートし
ラストもう一度
惑星が地球にぶつかるところで終わる。
遠ざかったと思った惑星は
結局また近付いているし、
姉は妹に時々あなたが
たま
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ヘル・オブ・ザ・リビングデッド 4Kリマスター版(1980年製作の映画)

2.6

色んな原液をぶち込んで強火で煮込み、
最終的に水で5割近く薄めた感。
たまにわかってやっているかのような
シュールなヒキ画が入るのがツボ。
一時、シネマカリテが
ディスクユニオン臭で充満してた気がする
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

3.8

目線と走り。
この2つの要素が色んな意味を
持ち出すあたりに映画を感じた。
淡々と脈略もなく日常を描きつつ、
自転車の距離感など目に見える形で
次第にすれ違っていく様を
演出していくのが上手い。
また
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ニンフォマニアック Vol.2 ディレクターズカット完全版(2013年製作の映画)

4.2

歪な快楽を経由しつつ、
最終的に人間とは何か、愛とは何かを
愚直なまでに迫ろうとする
ひねくれ監督に涙。
セックスの話からここまでくるとは。
vol.1とは全く違う味わいを見せる。
最終的にちゃぶ台返
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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011年製作の映画)

3.3

内容もアクションも
前作より明らかにスケールアップしているが
個人的にちょっと寂しかったり。
良くも悪くも真っ当な
ハリウッドアクション映画に
なってしまったというか。
可愛げがなくなってしまった。
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DASHCAM ダッシュカム(2021年製作の映画)

3.0

POVなのにあれだけ感情移入できない主人公像は新しいし、
手ブレしてても数フレで事象を捉え(たように見せ)
理解まで持っていかせるのは凄いと思う。
POVゲロって初めて見たかも。
あとiPhoneの防
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ニンフォマニアック Vol.1 ディレクターズカット完全版(2013年製作の映画)

3.9

たかがセックス、されどセックス。
哲学対話的に進むセックスの奥深い世界。
脱線に次ぐ脱線が文学的で正直面白い。
結局、総体として上部だけのセックスは
ただのポルノ、エロなのだが、
細かく分解していくと
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ミッション:インポッシブル3(2006年製作の映画)

3.5

トムクルーズを
ひたすら走り回らせることのみしか
考えてなくて良かった。
結局、騒動の原因だったものって
何だったん?という観客全員の質問を
キュートにはぐらかすあたりも粋。
要はどうでもいいってこと
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サントメール ある被告(2022年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

母と子の呪縛映画。
説明なく淡々と進むわりに
最終的にセンチメントにわかりやすく
綺麗にまとめている感じが
どうしても好きになれず
小賢しいなと思ってしまった。
ひねくれものですみません…。
弁護士の
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

2.3

ホラーというよりかどちらかといえば
顔芸大会inスペインという感じだし、
1体?の悪魔との対決にフォーカスしすぎて
ひたすらテンポが悪い。
最後の方はだんだんラッセルクロウが
ハリーポッターに見えてく
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

風立ちぬB面。
宮崎駿の現実と夢、生と死。
あきらかにまとまりに欠けてるけれど
集大成とばかりにやりたいことを
やっている感じで嫌いになれない。
改めて作家だなあと思わされるなど。
最終的には世界の創
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Pearl パール(2022年製作の映画)

2.7

一種のフェチ映画で
こういうのは大好きなんだけど
(テロップのフォントとか色味とか)
いろいろ真面目すぎて
全てが想像の域を超えずつまらない。
タイウェストは誠実すぎるのだと思う。
もっと観客を突き放
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遠いところ(2022年製作の映画)

3.4

漫画でいえばウシジマくん、
映画でいえばケンローチ的な…。
現代沖縄の暗部をひたすら巡る地獄ツアー。
容赦なさすぎてしんどかったが、
旅行中だからこそ見れて良かった。
ただ滞在しているだけは
こんな現
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少年と犬(1975年製作の映画)

3.2

カネコアヤノのライブを見に
はるばる沖縄まで来ているが…
着いて早々映画を見に行った。
旅行地で映画を観に行った方が良いと
エッセイでハルキムラカミが書いていたような…
たしかに画面の向こうの非日常と
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

2.3

内容はさておき画作りの点で徹底してのれず...。
時代設定はぼやかされているが
室内明るすぎやしないだろうか。
顔にあてられた都合の良い照明が
いかにも舞台感を強調する感じがして好きになれないし、
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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

4.0

正直長すぎるものの
想像以上に大暴れする終盤に感動した。
見ていて劇場版鋼の錬金術師
シャンバラを征く者(傑作)を思い出す。
汽車、電車、馬、自動車、船、
バイク、飛行機と乗り物追いかけっこの
オンパ
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小説家の映画(2022年製作の映画)

4.0

今回全てを全部監督自身が
やってるわけだが、最後に意味がわかる。
ホンサンス重すぎじゃね。
画と意味性の意図的な分断と結合。
意味を動きで再現する手話、
白飛びして意味性が排除された
外界の情景の会話
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フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)

2.8

中年サイコ野郎の
行き場のない怒りが酷暑によって爆発、
社会に暴力という実力行使で
当たり散らし出すという一種のホラー。
現代日本でこれからの時期にあり得そうで
恐ろしさを感じるものの、
そのキレっぷ
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

3.8

外の空間が一切出てこない。
男も一切出てこない。
デカすぎる宗教画?とマネキンが乱立する
謎の閉鎖的半地下住居空間で繰り広げられる
支配所有を巡るひたすら会話に次ぐ会話。
窓はあるが窓の先は一切映らな
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.8

駆け引きの映画であり、賭するということ。
何かを犠牲にしてこそ得られる何か。
仮初でしかない戦いを中断して
本物の戦い(駆け引き)に向かう主人公とか
いちいちカッコいいなあとなるし、
そんな自分の正義
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アシスタント(2019年製作の映画)

3.7

ストレス耐性テスト映画。
映画館という強制視聴環境で
逃げることはできない
業界の現実と対峙する90分。
観客が主人公のアシスタントとして
仕事を1日見学する感じ。
音がこれほど不快に
響きわたる映画
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君は放課後インソムニア(2023年製作の映画)

3.8

内容は凡すぎるものの
「距離感」で様々な演出を施し、
明らかに映画を志していて推せる。
2人が何かを挟んで
遠い距離感でやり取りするシーンであったり
録音アプリ?を通して
2人の距離が物理的になくなっ
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

3.4

前作に引き続き映像がとにかく凄い。
画面の情報量にひたすら圧倒される。
こんなのやられて
大根仁の3Dクレヨンしんちゃん大丈夫か。
ただこれで140分はあまりに
サービス精神がすぎる。
ストーリーも特
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忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)

4.1

清水崇なりのジャパニーズホラーに
対するケジメを感じる一作で
勝手にかなりグッときてしまった。
これだけの複雑な要素を大した説明もなしに
羅列し最終的に回収していく
109分の充実たるや。
(ちょっと
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タイラー・レイク 命の奪還2(2022年製作の映画)

3.4

相変わらず擬似長回しが物凄くてなんだこれとなってしまう。
リアルタイムで進行し、
ひたすら縦横無尽に事象を追い続け
あり得ないアングルに入り込むカメラ。
あまりのやりたい放題っぷりに笑ってしまった。
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M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

2.6

エンジンがかかるのが遅すぎるし
私が期待していたホラーではなかった。
というかシリアスすぎる。
こんな題材ならもっとミーガンを
暴れさせてほしかった。
ドラマパートを20分削って
ひたすら人間どもをね
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MAY -メイ-(2002年製作の映画)

3.2

スラッシャーのようなラブストーリーのような
シュールコメディのようなジャンルレスさに戸惑いつつも
最終的には切なさ哀しみにやられてしまう。
色々と感情を掻き乱してくる良い意味で変な映画。
ダリオアルジ
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リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

3.3

IMAXにて。
至極簡潔で良かったアニメ版を
だいぶ味濃いめにしている感はあったけど、
これはこれで正直好き。ただ長い。
ラストの意味とかあまりに長すぎで
冒頭とのリンクを忘れる。
デヴィッドロウリー
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マリとユリ(1977年製作の映画)

3.8

建前と本音と規律と逸脱と男と女。
様々な相反する要素が複雑に絡み合う。
逸脱・自由に憧れつつも恐れる主人公。
逸脱者を拒絶したすぐ後に
受け入れる主人公をカメラは一連で捉える。
ついに想いが爆発する
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リトル・マーメイド(1989年製作の映画)

3.5

実写版前に見た。
最近よく聴いているのは
JJJの新譜と実写版のサントラな私。
アランメンケンの音楽だけで最高なんだけど、
ひたすら泡の描き込みの凄さに目がいくし、
水中でのアリエルの髪の重力感とか
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逃げきれた夢(2023年製作の映画)

3.5

スタンダードサイズで
ひたすら切り返し。間とリズム。
そしてそのリズムが壊れる瞬間。
真っ向から光石研を迎える
吉本実憂の演技が凄まじい。
撮影は四宮秀俊。

ナイン・マンス(1976年製作の映画)

3.9

所属と所有と自由意志の映画。
空は白く、暗く、街(社会)は狭く、
どん詰まりの空気感の中
流れる物憂げなメロディ。
あんなラストなのに
希望も未来も全く感じさせない。
生きるということは
どこまでいっ
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裸の拍車(1953年製作の映画)

4.0

ワンピースもこういう話なら面白いと思う。
三者三様ならぬ五者五様の思惑、欲望が蠢く
単純ではいかない道中。
裏切りで話が進んでいくわけだが、
最後の思わぬ裏切り、
そして結末にグッとくる。
高低差を意
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怪物(2023年製作の映画)

3.3

まずは日本のテレビドラマ出身の
坂元裕二が世界で認められたという事実。
フジテレビが是枝作品を
長年、製作手掛けていた理由はここに
あったのだろうか。知らんけど。
パズルピースのように
複合的に組み合
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放課後(1984年製作の映画)

3.5

ひたすらやられたらやり返す、
やられたらやり返すを繰り返し続ける
ウェットさのかけらもない
青春2割バイオレンス8割。
目には目を、歯に歯を。
殺しのバリエーションが豊富で楽しい。
どのように殺される
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スマイル(2022年製作の映画)

2.0

エイフェックスツインのMVとリングを
かけあわせた的な。
ただ驚かせるだけで芸がないにも程がある。
音を使って驚かせるホラーは
もはやホラーとしての矜持を捨てている
としか思えない。
妙に理屈っぽいく
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