矢野竜子さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

普通の人々(1980年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

家族が喪失に向き合い、結束していくのではなく
結局崩壊していくという容赦の無さ。
次第に感情を露わにしていく息子によって
膿みが溜まるように家庭不和がその声を大きくしていき、
そしてある瞬間に皮肉にも
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ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

3.8

何が本当で何が嘘かはもはやどうでも良く、
そのドライブ感にまんまとのせられる。
亡霊おじさんと夫が一連で立ち替わり
喋るところとか
黒沢清のホラーでありそうな演出。
キスしている人がズームアウトしたら
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

2.7

私が生粋の捻くれ者というのもあるけど
みなさんが多分1番盛り上がる場面で
しらけてしまった。
ちょっとあざとすぎじゃなかろうか。
あまりに曲に頼りすぎてる印象が拭えない。
あと祝われている正面の姿に
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雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)

4.2

イケメン拾ったら…?みたいな
バナーでよく見るような感じなのかと
思っていたら
静かに確実にジリジリと狂気・破滅へ
向かっていく様が恐ろしすぎる。
真っ直ぐな目つきで完全にイカれている
主人公の表情が
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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

3.6

容赦なく暗い映画で良かった。
なんなら画面も暗い。
見ていてベタながら
「大人は判ってくれない」を
思い出していたけど
本作では成熟しきった「大人」の
アンソニーホプキンスが
主人公をしっかりと導いて
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65/シックスティ・ファイブ(2023年製作の映画)

3.2

正直、微妙だけど
この内容で90分にしたのは
一種の美学を感じる。
あと低予算ながら娯楽映画の華たる
恐竜モノに挑む姿勢は好感しかない。
B級をやってやりますという感じ。
ホログラムの光の娘を
恐竜が
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決戦は日曜日(2022年製作の映画)

3.5

「ケイコ 目を澄ませて」の
撮影:月永雄太、照明:藤井勇
ということで見た。
なんか起こってる感ある
ひたすらパンするクセあるカメラワークと
宮沢りえのハッとさせるような
ひたすら「赤」が妙なグルーブ
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The Witch/魔女(2018年製作の映画)

1.7

キャラクターにとりあえず
ベラベラ語らせたいらしく徹底してのれず。
例えば銃を構えてから
ひたすら大独演会が始まる。
間もなにもあったもんじゃない。
映画というよりかは
終始2時間ドラマを見ている感じ
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キャビン・フィーバー2/キャビン・フィーバー スプリング・フィーバー(2009年製作の映画)

3.3

タイウェストは作品を見ると
かなり堅実なトーン志向の監督だと
個人的に思っている。
良くも悪くも生真面目というか…。
だからこういう作品とは正直合ってない。
ゴシックホラーとかが合うと
思うんだけどど
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インビジブル(2000年製作の映画)

3.6

レディースコミック×SFで
マーベル系もこのぐらいの中身の無さ、
下世話さでいいんじゃないだろうか。
透明人間になってもひたすらエロに執着する
スーパーヒーロー笑えないけど。
主観映像とエリザベスシュ
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ストーカー(2002年製作の映画)

3.4

サイコ中年おじさんが身につけている
全く格好に合っていない水色のショルダーバッグが
絶妙で最高だったし、モール映画だったので嬉しかった。
モールに入っているフィルム現像店という設定も
上手いと思う。正
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ボーイズ・ステイト(2020年製作の映画)

-

最近新書等で
現代アメリカについて知るうちに
興味が出てきて鑑賞したが、
多くの人がすでにコメントしているように
この政治を学ぶキャンプが
男女で分かれていてまずそこから
なんだかなとなってしまう。
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運転免許証(1988年製作の映画)

4.1

車は自由の象徴と劇中で高らかに宣言される訳だけど、
その自由の象徴をひたすら不自由な状況で
転がしまくるのだから面白い。
悪者がひたすらいない世界で
本当に恐るべきは警察ではなくて父親。
思わぬシナト
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デスパレート・ラン(2021年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

想いが走るという行動で
視覚化できるというのは
映画の鉄則なわけだけど
それをこの時代にあえてやることに
興味があり鑑賞した。
絵的に厳しいのにインサートにあまり頼らず
これでもかとドローン、地撮で
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おとななじみ(2023年製作の映画)

2.4

そもそも東映がこういう青春映画のイメージが
全くなかったけど
走りが全然足りてないし、あと自転車もないし
全然映画してなくて残念。
あと素っ頓狂なSEつけてなんか観客を誤魔化すみたいな
よくわからない
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食人族4Kリマスター無修正完全版(1980年製作の映画)

-

徹底してクソという点で最低で最高。
矛盾する相反するもの同士が
たくさん詰め込まれている。
そういった意味でも4500円する
109シネマズ新宿プレミアムで上映してこそ
さらに輝くと思うがいかがでしょ
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スーパー!(2010年製作の映画)

3.8

真っ当に生きることができない人たちしか出てこない。
正しいか間違っているかではなく
主人公にとっての不条理に対して
自分自身を納得させるまでの過程。
何者にもなれない
どこまでも不器用な男の悲哀が切な
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TAR/ター(2022年製作の映画)

2.2

見掛け倒しで長々とふざけるなと正直思った。
1時間で終わるような内容を
さも意味ありげに 2時間半も
延々とやるセンスとあざとさ。
映画祭で受けそう。
高尚な「アート」とやらに拍手。

タバコは咳の原因になる(2022年製作の映画)

2.8

松本人志が目指してるのは
こういうことなんじゃないかとは思った。
人志松本の怖い話からの
本当に怖い歴史修正主義へ。
中身ゼロの体裁だけのヒーローが
自分たちの勝手な個人的な想いだけで
時代を書き変え
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帰れない山(2022年製作の映画)

3.3

山自体にある種呪われた人々の人生模様。
説明に終始するナレーションは
うるさかったけど、
雄大な山々の光景の美しさ厳しさ
両方とらえており見応えがあった。
人生=山と視覚的に訴えるには
十分なほどだっ
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パリ、18区、夜。(1994年製作の映画)

4.1

早稲田松竹にて。
クールでいて哀しい
様々な青色を纏った街の物語。
序盤でおばあさんが被る帽子の色が
非常に美しい青系の色で、
目を惹かれたのも束の間、
昇る階段もこれまた青で
もはや青に注目せざるを
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浮き草たち(2016年製作の映画)

4.4

やっと見れたけど、
一体これはなんなんだ
というぐらいに素晴らしい。
ストーリーほぼないのがまた良くて
1つの鞄にただ振り回されるだけ。
ひたすら移動に次ぐ移動。
その様がかなりロングショットで
撮ら
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

2.7

絶賛の中申し訳ないですが
演奏シーンのインサートとして
過去の努力してきた過程を見せるのは
あざとすぎると思うし、
我々観客を説得させる「逃げ」
でしかないと思ってしまう。
あと技巧的な部分はフォーカ
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カルメンという名の女(1983年製作の映画)

4.9

なんというか映画を素因数分解して
バラバラにしたものを
最終的に合体させて映画を顕現させる的な…。
こんな芸当ができるのはたしかに
ゴダール先生しかいない。
完璧な結合は飛躍を妨げるって
元ナースが記
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ヘビーウェイト/サマー・キャンプ奪還作戦(1994年製作の映画)

3.4

太っちょの子どもたち勢揃いで
ひたすら癒されたし、
これぐらいの時代(90年代)の
これぐらいゆるくてバカしてる
淡い色合いの作品をずっと見ていたい…。
Disney+はこういうライン、
掘りがいある
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はなればなれに(1964年製作の映画)

4.0

新宿TSUTAYAのVHSで
レンタルして以来見たけど、
当時よりかは何倍も面白く思えた。
今回はいちいちナレーションで
過剰なまでに説明してくれる
ツンデレなゴダール先生が愛おしくなる。
はなればな
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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.3

色の映画。赤と青と白と黒。
冒頭から赤と黒がコマ落としかのように
ひたすら点滅する。
赤は明確に夢、フィクションの象徴として
作中機能している。
青と白は逆に現実の象徴として
機能しているように思う。
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パッション(1982年製作の映画)

-

ゴダール先生には申し訳ないけど
うどん食べて見たら寝てしまった。
おにやんまはどこも美味しいけど
渋谷のおにやんまは座れることもあって
よく行きます。

キャビン・フィーバー(2002年製作の映画)

3.5

ストーリーの大元の伝染病の原因を
徹底して一切描かないのが良い。
別にそんなことはどうでもいいという
監督からの宣誓ともとれる。
ただ結果だけがありそれの積み重ねで
映画はできてしまうし、
ラブストー
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ウイークエンド(1967年製作の映画)

4.0

10数年ぶりに見たけど
驚くほど覚えていなかった。
車(資本主義)をトリガーにして
ゴダール先生の人類の略奪の歴史が
寓話的に繰り広げられていく。
最終的には文明までをも失い
人としての尊厳さえをも無
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RRR(2022年製作の映画)

3.5

やっと見た。
歌舞伎町の109シネマズプレミアにて。
週刊少年ジャンプ!!
(まともにジャンプの漫画読んだことないけど)
劇団新感線!!
(まともに舞台みに行ったことないけど)
あるいは中島かずきが脚
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デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

-

自分の中で「アーティスト」といえば
まずデヴィッド・ボウイなんだけど
改めてその認識に相違なかったと見て思った。
学生の時にブックオフで買った
彼のたった500円の中古CDで
バカな自分なりに品と知性
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.5

吹き替えで見ていたけど、
一瞬クッパに岡村靖幸が憑依する瞬間あり。

私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

-

地下のイメージフォーラムで
どす黒い念のようなものを蠢かせている本作。
見ていてどっと疲れた。
個人と社会が怨みで自動接続され、
負が条理を超えて爆発する瞬間。
ものすごいあっさりと
呆気なく淡々と描
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洞窟(2021年製作の映画)

4.3

目的の映画。
洞窟の最深部に調査隊が達すると映画も終わるし、
お爺さんが死ぬと映画も終わる。
その過程がそれぞれひたすらに
セリフもなく描かれるだけで
映画になってしまうし、
そこに意味など見出すのは
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.3

生きねばって感じなのだが
阪本信者の私から見ても
いくらなんでもハードコアがすぎると思う。
全然お客入ってなくて心配になった。
何かを失うけれどそれによって何かを得る。
そういったことが糞の循環や
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