ksさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

バッドガイズ(2022年製作の映画)

4.3

盗みをしくじった悪い子は良い子に矯正だよ!しかしそう簡単にいくわけがない。あっちとこっちで騙し騙されオセロはどちらに決まるのか?!キングスマンのオマージュにやたら興奮、劇伴はコードネームuncleのダ>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

アイスランド山奥の厳しくも美しい風景に目を奪われるが、白夜がどこか奇妙な現実味のなさを連れてくる。作品の底には自然への畏敬があると思った。自然の持つ力は人の想像を時に軽々と超える。その中で生きる人間の>>続きを読む

物ブツ交換(2018年製作の映画)

3.8

トビリシから辺境地へ車で物売りに行く男。カルトーシュカ、じゃがいも、唯一通貨の代わりになるもの。貧困とは機会と選択を手に入れられないこと。働き手の女たちへのダブルバインド。2018年作品。

血のお茶と紅い鎖(2006年製作の映画)

3.9

依頼されて作った人形を手放せなくなった職人、彼らから人形を盗んで連れ帰る依頼主、自分の縄張りで狩りをする蜘蛛とハルピュイア。森の隠者が職人たちにふるまう焼き芋虫が美味しそうでした(こんがり)

異形は
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ダイヤモンドの不思議(2016年製作の映画)

3.5

ダイヤモンドにまつわる言い伝え。それから発見された原石が人間の歴史でどう扱われてきたかについて。また石と現代人とに見られる奇妙な相似についての視点は、多面なカットを施された石の輝きの鋭さを思わせる。

画家と泥棒(2020年製作の映画)

4.2

常に誰にも必要とされないと感じる、己の存在に関わる苦しみの呼応がキャンバスに確かな姿となって現れたときの高まりが凄かった。あの絵が大写しになった瞬間ボロボロ泣いた。死への魅了と抵抗。あまりにも複雑で美>>続きを読む

ウィリーズ・ワンダーランド(2021年製作の映画)

3.7

ニコラス・ケイジ演じるハイパー無口掃除人がヤバいロボットをお片付け(物理)する話。片付けシーンが無双すぎて大笑いしてしもた。

他所から移動してきた人間が閉鎖的な田舎町にとどまらざるを得なくなるところ
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神々の山嶺(2021年製作の映画)

4.3

何年も前に消息を絶った登山家・羽生を追うカメラマン深町。作中にはいくつもの「何故」がありそれらが複雑に絡み合うが唯一の解が出ることはなく、答えは観る者に委ねられる。
過酷な登山で起こる心身や雪山の天候
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.0

故郷を追われ難民となることは、自分自身を失うことに等しく、さらに移り住んだ場所で生きるためには偽りの人生を語らねばならず、アミンの経験した苦しみは軽々しく理解ができるなどと口にすることができない。>>続きを読む

ことりのロビン(2021年製作の映画)

4.3

クリスマスシーズンど真ん中のお話、季節外れにも程がある今(5月)見ました。ミュージカルがぴったりだった。カササギが出てくるのにもにっこり。全部作り物なのに動き始めると何もかもがリアルに思えるストップモ>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.2

子供と大人それぞれが持つ異なる複雑さを丁寧に掬い上げ、単純化しないようにとても気をつかって作られている作品だと思った。
土曜の朝の爆音レクイエム(モーツァルト)には笑ってしまったけども、あれはジェシー
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林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

4.0

記憶喪失の病にかかり、人生やり直しプログラムに臨む男。治療のために様々なミッションをクリアし、達成した一部をポラロイドに収める。
上書きされる新しい人生は乾いて、空虚で、おかしみさえある。無くした記憶
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ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.9

スローモーションと散らばる薬莢、ありとあらゆる武器を本から手に取れ、殺傷力すなわちそれは姉妹たちの言葉!!めちゃくちゃ熱い。たまに首が飛ぶ(一瞬見える)のと血飛沫多め。ラストのマーキュリー・レヴが染み>>続きを読む

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

3.9

イランの社会にある理不尽をひとつひとつ丁寧に取り上げて、静かにでも決して目を逸らすことを許してくれない力を持った作品だった。

イラン国内では検閲のため数回しか上映できなかったというのも「そうだろうな
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METライブビューイング2021-22 テレンス・ブランチャード「Fire Shut Up in My Bones」(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

今までオペラを見たことがなく、古典についていけるか不安だったので最初に見るなら現代作品がいいと思っていた(それでも全然分からんかったらどうしようとは思っていた…)
舞台から目を離さず字幕を追えるライブ
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キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

3.5

・ラスプーチンのファイトコレオグラフィー。ほぼダンスだった回転がすごい。(実際ジョージアンダンスがベースとのこと) 
・やたら心配性の父(オックスフォード公)
・史実はどうなってるのかというツッコミは
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MONSOON/モンスーン(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

生まれ故郷と繋がりを切らざるを得なかった身で、さらに親の遺灰と共に帰郷することになってしまった青年キット。ベトナム戦争ののち、開発によりもの凄いはやさで昔の姿を失いゆく都市の姿には、己の実感の伴わなさ>>続きを読む

茲山魚譜 チャサンオボ(2019年製作の映画)

4.0

流刑の学者と島の青年漁師が師弟になる過程を主軸に、1801年朝鮮の姿が丁寧に織り上げられる。悪政に虐げられる民衆と、知識と力を独占し富を得る層の対比など見ていて本当に辛くなる場面もあるけど、人の歩みへ>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.3

聖書をよく知っているひとならタイトルでかなりのネタバレ(というか要素バレ)をしてるとピンと来たかも。事前に何も知らずにのぞんで良かった。ウエスタンの皮をかぶったサイコスリラー。
「犬」が象徴するものを
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ほんとうのピノッキオ(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作は1883年に出版された児童文学ピノッキオの冒険。

全体のテンポはゆっくりめ(ピノッキオとジェペット爺さんの年齢によるスピードギャップがあるから、老人寄りなのよね)
しかし心のままに突き進む悪童
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モータルコンバット(2021年製作の映画)

3.7

色んなスタイルの格闘が見られてわくわく!
ビ・ハン(ジョー・タスリム)とハンゾウ(真田広之)の×年越しの怨念バトルが最大の見せ場だったかな。※戦う真田広之初めて見ました。
しかしコールをはじめ人間界の
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素晴らしき、きのこの世界(2019年製作の映画)

4.0

タイムラプスでとらえられた、ぐんぐん育つきのこの美しいこと!
しかしきのこ(菌類)の本当の姿は地下にある。菌類と人、それから生態系との関わりなど事柄を追うごとに広がるダイナミックきのこワールド。

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Everybody's Talking about Jamie~ジェイミー~(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ドラァグクイーンになる夢を抱く16歳のジェイミーは、誕生日に母親からもらったハイヒールを前に、6週間後のプロムにはクイーンの姿で参加しようと決意する。

ジェイミーの親友プリティ(彼女がまた素晴らしく
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モンタナの目撃者(2021年製作の映画)

4.0

命を狙う暗殺者と山火事が同時に襲ってくるサバイバル劇。
ダレるパートが全然なくすごい緊張を強いられる一方、悲しみを抱えたコナーとハンナの結びつきや細やかな人間描写などただハラハラするだけでは終わらない
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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

4.3

予期せぬ妊娠を誰にも相談できないオータムは、従姉妹のスカイラーの手を借りて中絶手術を受けに高速バスでペンシルベニアからニューヨークへ向かうが、日帰り手術の予定が狂い泊まる所もないまま現地で二夜を過ごす>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.0

2006年の作品。事前にあの頃の世の中どうだったか簡単に振り返っておけば良かった。(マークとカートの人物像がもっとはっきりするはず)
再会した旧友の二人は犬を連れて秘境の温泉を目指す。あらすじとしては
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ソク・ソク(2019年製作の映画)

3.8

レインボー・リール東京で見ました。
リタイアの年齢になってから出会ったパクとホイの恋を中心にしつつ、社会は同性愛者を認めていない現実もきっちり描かれている。
作中の日常や家族のかたちなどが自分の見聞き
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ベルヴィル・ランデブー(2002年製作の映画)

4.2

自転車レースの真っ最中に出場していた孫シャンピオンが消えた!愛犬と共におばあちゃんは海を渡って大都会ベルヴィルへ。物語の一部的存在の老三老女に助けられ、シャンピオン大追跡が始まる……!
街中カーチェイ
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スーパーノヴァ(2020年製作の映画)

3.9

認知症で自分を失う恐怖と戦うタスカーと彼を失う重みにギリギリ耐えているサム。
二人はサムの演奏会のため車で湖水地方をゆく。だがタスカーにはサムに明かしていないある目的が。
終盤、恐れに負けず本心を口に
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83歳のやさしいスパイ(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

老人ホーム入居者親族から探偵に潜入調査の依頼があり、雇われたセルヒオ。高すぎる対人力の持ち主セルヒオがホームに起こすコミカルな騒動(?)もありつつ、メインは入居者ひとりひとりと彼が重ねる対話。本当にド>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

4.0

よく考えたら自分の親とほぼ同い年くらいの人デイヴィッド・バーン…全21曲歌って踊って語る、エネルギーに溢れてるとしか言いようのない凄いステージフィルムだった。
氏の作品を予習せず臨んだので脳の歌(He
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ファーザー(2020年製作の映画)

3.9

まるで終わりのない悪夢。
現実と妄想が混濁してしまう人の日常のしんどさを垣間見た気分。とにかく空間美術の魔法とでもいうのか、アンソニーの認識で微妙に変わる部屋の様子にもゾクゾクした。

認知症などで妄
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一瞬の出来事(2016年製作の映画)

3.7

車のトランクにチェロが入りきらない。運転中にトランクから落ちたり、ましてや事故が起きたらどうしよう……極度の心配が生む「現実」に振り回される男の話。
タイトル「瞬き」の間に起こるとんでもないこと。恐ろ
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SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

12歳少女を装ったアカウントに、性的搾取目的で近づいてくる相手の卑劣さに引きつつ、固唾を飲んで見守った。
プロジェクト途中で接触者が特定できる事態が発生(最早おとり捜査)最後はなんと本人への突撃訪問を
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ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

3.9

呪いのアイテムで入れ替り、13日の金曜日は街を巻き込む狂乱の血祭りに。
入れ替わり後のミリーが襲う相手がもれなく下衆な精神をお持ちの方々でほぼ成敗の殺人シーンは不謹慎にも(やったな!)と思ってしまった
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