KtaSakuraiさんの映画レビュー・感想・評価

KtaSakurai

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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やっぱりノーランはハイカロリー

フラッシュバックする爆発音や大喝采で気が気でなくなってしまうような演出はなかなか面白い

競争の中で結果としてたまたまアメリカが最も早く実用化に成功しただけだと言う人
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

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ヴィルヌーヴの作品に出てくる広大無辺な風景や巨大なものにはいつも圧倒されてしまう、IMAXのフォーマットと1番相性がいいのではないか

もともとそういう物語だと言ってしまえばそうなのかもしれないが、典
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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『ベルリン・天使の詩』で小津への敬意を表しながらも『夢の涯てまでも』では少々(?)誇張した日本のイメージを披露したヴェンダースが、まさにその日本の俳優陣や製作と組んだということで正直不安な部分もあった>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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名前とかはよく知らないけれど、特殊なレンズを多用した歪んだ映像は過去のシュルレアリスム映画へのオマージュなのだろうか、ベラが死体の目をメッタ刺しにするシーンが『アンダルシアの犬』への100年くらい越し>>続きを読む

グッドフェローズ(1990年製作の映画)

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濃密な男性性、それによって同時にもたらされる生と死
レイリオッタの引き攣った笑いは、喜びと恐怖が同時に与えられるその瞬間を示しているように思える

超うろ覚えだけれど『ゴッドファーザー』とか、典型的な
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

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社会が構造化されていく鏑矢としての牛と、アメリカがアメリカになる前の儚い夢

クッキーが初めてルーの家を訪れた時の、ルーが薪を割っている間にクッキーが掃除をして、適当に花なんか飾っちゃうみたいな淡々と
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簪(かんざし)(1941年製作の映画)

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先に観た『むかしの歌』で日本家屋のさまざまな意匠が遮蔽物として用いられ、室内のショットに閉塞感が感じられたのとは異なって、こちらは襖の開閉により空間に奥行きが生まれていたのがおもしろい

あらすじから
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むかしの歌(1939年製作の映画)

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障子や段差、柱など日本家屋のつくりを利用した画作りがとてもおもしろい、この点は清順あたりにも影響が及んでそうな感じもする

以前小津の『秋日和』を観たとき、日本にも思ったより昔からシスターフッド映画の
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

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一般的なロードムービーではトラブルがあってもなんやかんやでとりあえず旅は進んでいくという展開がよくある気がするが、現実にはそうはいかないというレイヤーを新たに加えたような作品、夢がないといえばそれまで>>続きを読む

マーベルズ(2023年製作の映画)

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キャラクターの描き方やアクションの見せ方は悪くなかったものの、MCUはどこに向かっているのか

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終話の「就任演説」のような姿勢がいまこそ必要なのでは

パリ、テキサス(1984年製作の映画)

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一般的なロードムービーがある場所から別の場所への移動のあいだの物語とするならば、この作品はそうした空間の移動だけでなく、現在と過去であったり、人と人との心理的な距離であったりとさまざまな移動(あるいは>>続きを読む

ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)(2022年製作の映画)

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多作なゴダールのキャリアを一通りおさえていて大満足、彼の独特な手法についてもたくさん取り上げられていたが、多くの作品に出てくるあの妙に噛み合わない会話もその手法ゆえだったのかと納得

前日に『軽蔑』を
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モダン・タイムス(1936年製作の映画)

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妖怪回しちゃうぞおじさん
ポーレット・ゴダードの踊るような身のこなしも素敵

ランチ食べさせマシーンのくだりはなんとなく昨今のサイゼ問題を思い出した

共通点も多いルネ・クレール『自由を我等に』より5
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

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作中で上映される映画や家の窓、女の子2人の行動、あらゆるシーンが作品の根幹としっかり結びついているような、とんでもなく洗練された作品

原題もその英語訳も直訳すると「蜂の巣の精霊」みたいな感じだが、邦
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シーズ・ガッタ・ハヴ・イット(1985年製作の映画)

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ジャームッシュといいカラックスといい、80年代あたりにデビューした監督は初作品から攻めててやはり良い

インタビュー風のシーンや写真で間を繋ぐところは作風が強く出ていて面白いが、何よりあの肌の美しさに
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スサーナ(1950年製作の映画)

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スサーナのキャラクターは『欲望のあいまいな対象』のコンチータとそっくりだが、両作のあいだにはそれなりの年月があるとはいえあまりに異なるエンディングなのでブニュエル自身もこの作品の終わり方には納得してな>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

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映画ネタもちょこちょこあるし、一部を除いて結構あるあるネタだったりするので単純にコメディとして面白く観られた

実際には複雑なものを含んでいるとはいえ、二元論的である限り逆さまにしてもディストピアはデ
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暗黒街の弾痕(1937年製作の映画)

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いうほど「暗黒街」ではない

この時期はまだアメリカに移住してからあまり経っていないはずだが現金輸送車襲撃のシーンや霧の中の脱獄シーンはさすがとしか

ホワイト・マテリアル(2009年製作の映画)

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積み重なったものが物語世界ごと爆散して消えるみたいな、少しフォークナーっぽさも感じる作品だった

作中の描写とは少し離れるものの、"material"という語そのものには素材という意味もあるので、後半
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

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これが最後の作品になるのだとしたら、ある1人の作家の生涯を締めくくるものとしてこれ以上のものは考えられないのではないか

ショコラ(1988年製作の映画)

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かつてアメリカのプランテーションでは、農場主の子供と奴隷との関係は大人のそれとは異なっていたという話を聞いたことがあるが、まさしく作品の根幹となっているところの水平線から作品が始まる、という点がとても>>続きを読む

ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

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断片の積み重ねていくカサヴェテスらしい語り口でありながら、終盤はわりと大胆な展開があって驚き

愛が流れであるならば、一ヶ所に流れこみ留まることもあろうし、何かのきっかけでその向きが変わることもあるだ
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ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償(2020年製作の映画)

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70年代のいわゆるブラックスプロイテーション映画は当時の産業構造において求められた形式(すなわちアウトローや暴力という主題、魅力的なファッションや音楽など)に基づきつつも、たとえば『スーパーフライ』に>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

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ここ最近のマーベル映画の中で1番安定したクオリティで安心して観れた、何よりオープニングがよすぎる

しかしまあ、どこがとは言わないが予告の作り方がアレなせいで一本取られた感じ

素晴らしき放浪者(1932年製作の映画)

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ルノワールといえば『ピクニック』にみられるような自然の風景を美しく切り取るような映像だと思っていたが、むしろ意図的に演劇的な演出を取り入れているのかもしれないと最近考えるようになった

今回の作品でい
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デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

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アサンブラージュ人間、デヴィッドボウイ

今だと多動とか言われちゃうのかな

泣きしずむ女(1978年製作の映画)

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さも当然のごとくぶつ切りカットなあたりヌーヴェルバーグ以後を感じる

ドミニクラファンの出演作は今まで観る機会はなかったのだけれど、それほど暴れたりしないのにすごい存在感と牽引力があった

黄金の馬車(1953年製作の映画)

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ルノワールのキャリアの中でこの時期のものを観るのは初めてだったが、これでもかとセットを使い倒す技術のすごさ

喜劇と現実が混じりあうところ、というのを考えるのも面白い

証人たち(2007年製作の映画)

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生(性)と死が季節の移ろいとともに語られる、シンプルで強度の高い物語……の割に、解説でも話されていたが人物の描写は一貫させることを避けたつくりになっていて、複雑さを加えている

カメラも人もびゅんびゅ
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スーパーフライ(1972年製作の映画)

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この手の作品はどうしてもステレオティピカルな人物描写になりがちだが、それでもしっかり梳かした髪型など、細部に切実さが滲む

売人-元締めのかたちで反復されるものがあり、また台詞の端々には彼らの歴史が息
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冬の旅(1985年製作の映画)

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『好きなように作り変えることができなきゃ、世界は何のためにあるの?』

トニ・モリスン『ジャズ』に書かれていたこの言葉を思い出した

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

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前作と異なりアフリカ西岸とカリブ海諸島を往復するような構成になっていて、舞台設定だけで十分な内容を含んでいる上にさらにその先の話をしていて、とても濃密で強度のある物語

ネイモアの設定も予告から予想し
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マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ウェアウルフ・バイ・ナイト(2022年製作の映画)

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セットや音楽、映像の質感、ウェアウルフのデザインなどなど、古典映画の趣がかんじられるところが観ていてたのしい

『ワンダヴィジョン』の序盤や『シャンチー』の格闘シーンみたいに何か特定の表現にこだわった
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