ペインさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

4.1

アリ・アスターやジョーダン・ピールのそれといった怪作群に比べると、たしかに巧さや垢抜け感はないかもしれないが(カットの繋ぎがやや粗い)、作り手の"この1作にかける情熱"がこれでもかと画面の隅々から伝わ>>続きを読む

流浪の月(2022年製作の映画)

3.5

まさか松坂桃李×山椒大夫(溝口)!な入水ショットが見られるとは。150分と長いが退屈する瞬間はなし。

ただ役者陣は勿論のこと、撮影ホン・ギョンピョ (『パラサイト 半地下の家族』、美術種田陽平 (キ
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窓辺にて(2022年製作の映画)

4.3

約140分、贅沢な弛緩。

『街の上で』に匹敵、あるいは上回る最良の今泉監督作品の1つかもしれない。個人的に最良の今泉作品における会話の妙、面白さ、愛おしさは、最良の森田芳光作品たちのようでもあり多幸
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落穂拾い(2000年製作の映画)

4.5

ケリー・ライカートのフェイバリット。
何回も見返したい!っていう類いの作品ではないけれど、いちドキュメンタリーとして、芸術として豊かとしか言い様のない1本。

10年以上、ゴミ漁ってメシ食べてるサラリ
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山の音(1954年製作の映画)

3.0

不出来というわけじゃないけれど、中途半端に小津安二郎に接近した結果なんとも微妙になったような印象…。

本作だけとったらたしかに「小津は二人いらない」と言われても致し方ないが、成瀬は他に確かな傑作名作
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サイド・エフェクト(2013年製作の映画)

4.3

ソダーバーグ監督が描く“副作用”。

公開時以来、約9年ぶりの鑑賞だが初見時より更に楽しめた。欺き欺かれ、どこまでもクールなタッチのサイコサスペンスの傑作。

ブライアン・デ・パルマの『ミッドナイトク
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RRR(2022年製作の映画)

3.0

あくまで私の思う"王道"と呼ばれる"純映画的快楽"とは少々異なるものではあった。これを思い切り楽しめなかったからといって、"王道娯楽が楽しめない捻くれた人!"みたいに人格否定までされたら正直辛いものが>>続きを読む

ディセント(2005年製作の映画)

4.1

『チタン』の監督ジュリア・デュクルノーも大好き『ディセント』。

デュクルノーはとても容姿端麗な女性監督だが、好きな映画は『悪魔のいけにえ』『食人族』『ヒルズ・ハブ・アイズ』『ピラニア3D』『スリー・
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ジャッキー ファーストレディ 最後の使命(2016年製作の映画)

4.3

『ニトラム』『ポゼッサー』に続き、気鋭の配給会社wild bunch作品のレビュー。今日『チタン』も公開時以来見返したので最近は1人wild bunch祭りである。この会社の映画は作家性重視で、どれも>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

4.3

クローネンバーグ息子の長編2作目。親の七光りかなと思いきや予想の斜め上いく面白さ。たしかな才気を感じさせる。

ジェニファー・ジェイソン・リー出演はやはり『イグジステンズ』への目配せか。しっかりグロも
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タイム・トラベラーズ(1964年製作の映画)

4.5

『SAW』の脚本や傑作リメイク『透明人間』の監督でお馴染みリー・ワネルも影響を公言する発掘良品。

監督はあの悪名高き(褒めてます)『デス・レース2000年』の原案と脚本を務めたイブ・メルキオール。5
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リバース・エッジ(1986年製作の映画)

5.0

タランティーノも愛する暗黒カルト青春譚。岡崎京子の同名漫画『リバース・エッジ』の元ネタで、デヴィッド・リンチの盟友ティム・ハンター(※後にドラマ『ツイン・ピークス』も数話手掛ける)が監督を務める。>>続きを読む

ドリーマーズ(2003年製作の映画)

4.5

エヴァ・グリーンのくっきりとした乳輪、1920~30年代にかけてのドイツ映画全盛の名女優マレーネ・ディートリッヒのポスターでシコシコするルイ・ガレル。

観る人によってというか、見方によっては本当に雰
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キャット・ピープル(1942年製作の映画)

4.7

ザラーやアピチャッポンも大好きジャック・ターナーのまさしくホラークラシック。

人間の内なる暴力性を声高に説明的にではなくサラリと浮かび上がらせる心情描写と、光と影を巧みに使い分けるシャープなモノクロ
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神様なんかくそくらえ(2014年製作の映画)

4.3

『ニトラム/NITRAM』に続き、怪優ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ出演作。

『自転車泥棒』+ジョン・カサヴェテス諸作+『ブラウン・バニー』の超現代アップデート版な趣でインディペンデント魂溢れるサ
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.3

監督のジャスティン・カーゼルさんは、『セブン』『ファーゴ』『隠された記憶』『こわれゆく女』『ザ・バニシング-消失-』等がフェイバリットとのことで、実際本作『ニトラム/NITRAM』を観るとそれらのエッ>>続きを読む

ディーバ(1981年製作の映画)

4.5

かつて園子温(東京ガガガ)が警察で軟禁された際、身元引受人となって救出したでお馴染みフランスの名匠ジャン=ジャック・ベネックス。

本作はまさに"恐るべき子供たち"、"ネオ・ヌーヴェルヴァーグ"と呼ば
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大列車作戦(1964年製作の映画)

4.3

監督ジョン・フランケンハイマー×主演バート・ランカスターコンビ作。硬派 on the 硬派。

フランケンハイマーの映画には間違いないのだけれど、どことなくメルヴィル感(※『海の沈黙』っぽさ)。メルヴ
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周遊する蒸気船(1935年製作の映画)

3.8

流石に全体で見ると『駅馬車』や『荒野の決闘』の洗練には劣るし観づらいけど、それでもクライマックス20分間のレース🏁シーンの純度200%の活劇っぷりには大興奮。ヒロインのアン・シャーリーがとってもキュー>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.7

セリーヌ・シアマ監督
「自分がトライしようとしている、あるいはしなければいけないと義務感を抱いているのは、家父長制社会で繰り返し行われているようなコードとは違った形で映画の真髄を突く方法を考えるという
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ブロンド(2022年製作の映画)

3.8

デヴィッド・フィンチャーがspecial thanksに。

監督のアンドリュー・ドミニク、今回の『ブロンド』騒動以前から元々🇯🇵では知名度も評価もとにかく低いという印象(※本作はヴェネチア映画祭で上
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

4.1

ミヒャエル・ハネケが
"ハッピーエンド"な映画を作るわけがないのと同様、深田晃司が"LOVE LIFE"なハートウォーミング映画を作るわけがない←

ただ最終的に残る余韻は意外や意外、これまでの深田作
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クライ・ベイビー(1990年製作の映画)

4.3

ジョニー・デップの映画初主演作。

デヴィッド・リンチと同い年で50sアメリカに取り憑かれたジョン・ウォーターズの50sアメリカ愛炸裂のご機嫌な1本!たしかに展開は出鱈目で荒唐無稽ながらも、ウォーター
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

4.1

日本のアニメは門外漢だし、ましてやその製作裏の葛藤を見せられても…なんて思って期待薄めで観始めたらあれよあれよと引き込まれて期待を遥かに超える面白さ。

たしかにこれはスポ根映画で、評判になるのも納得
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孤独な天使たち(2012年製作の映画)

4.1

ベルトルッチが当時71歳で車椅子👨‍🦽に乗りながら撮った遺作とのことで、つい同じく🇮🇹の巨匠ヴィスコンティの遺作『家族の肖像』と重ねてしまう部分がある(※内容は全然違う)。

本作は『暗殺の森』とか『
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みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.5

初めてのギヨブラ👙映画。

私の中ではケリー・ライカート同様、シネフィルからの絶大な支持率を知りつつ横目にスルーしてきた監督。おったまげました。なんという逸材!

知人が大袈裟ではなく映画史に残るレベ
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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.1

タルコフスキー、去年マリエンバートで、ブレードランナー、ウォン・カーウァイ、エドワード・ヤン、ガス・ヴァン・サント…と監督の好きなもの全部盛りトッピング映画で満腹感が凄い🍴

途中、ギャスパー・ノエの
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.5

所謂"70点満点"の映画だけれど、
ジャッキー・チェン及びバスター・キートンオマージュ等も楽しく、『デッドプール2』よろしくなデビッド・リーチのやり過ぎてて微妙に笑えなくなるギャグのバランスも健在でニ
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シンプルな情熱(2020年製作の映画)

4.1

ポルーニンのアソコ♂️がポローリン。

この後に久々見返した『荒野の千鳥足』でもモザイク無し性器が観られて、モザイク無しってこんなに清々しいものかと感じた次第。

本作は女性監督ダニエル・アルビドの長
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荒野の千鳥足(1971年製作の映画)

4.5

アリ・アスターやギャスパー・ノエも愛して止まない、オーストラリア🇦🇺産ヘルライドムービーのカルト怪作。

本作と同じく1971年公開の『美しき冒険旅行』(ニコラス・ローグ監督)と共に私の中ではふとした
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冷たい水(1994年製作の映画)

4.3

杉田協士(『春原さんのうた』監督)が、
"世界一くらいに好きな映画"だそう。

陰鬱な反権力志向の雰囲気が16ミリで切り取られる。全編、若さという瑞々しい暴力に満ちている。ただ荒いようで巧さもしっかり
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望郷(1937年製作の映画)

4.1

S・クレイグ・ザラーも好きなジャン・ギャンバン主演の代表作。

本作は当時、特に日本で熱狂的に受け入れられたとのことだが、たしかにこの手のメロドラマは日本人受けし易いのも頷ける。ギャバン演じるキャラク
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逃げた女(2019年製作の映画)

4.1

まさに"軽みの巨匠"ホン・サンス。
こんなにも面白くないことが面白いという凄み←『恋は光』はけっこうサンス感のある映画だったなと今になって思う。

男たちはメインのフレームから閉め出され、防犯カメラや
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人間失格 太宰治と3人の女たち(2019年製作の映画)

3.0

撮影が近藤龍人さんだからか他の蜷川実花作品よりはグンと画は良い気がする。そして沢尻エリカはやっぱり華がある。

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.5

ここ数年でも最高レベルのIMAX映像体験!
IMAXで観られなければ、もういっそのこと観なくてもいいんじゃない?という『トップガン マーヴェリック』と同じ案件。

ピール監督、前2作の頭で理論的に緻密
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殺しが静かにやって来る(1968年製作の映画)

4.5

タランティーノやアレックス・コックスが愛して止まないというのが納得の、とことん定石を外していく、文字通りアヴァンギャルドという言葉がピッタリな怪作ウエスタン。

久々に観ても本当に歪でとことん変わった
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