久遠さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.8

細田守は良くも悪くも稀有な映像作家だなと。アニメーションの持つ威力を最大限に発揮できている。今時の凡百な実写邦画を遥かに凌駕する美しいショット・演出と役者の悠々たる演技には満足。後半、無理のある/問題>>続きを読む

彼女はひとり(2018年製作の映画)

4.6

演出や会話から想起されるのは清よりも濱口。まだ気が早いかもだが、彼の正統後継者は中川奈月では。femme fataleのように映る主人公が周りを精神的に侵食していくけれど、結局彼女の行為は自傷に近いも>>続きを読む

ヘルドッグス(2022年製作の映画)

4.4

尺のバランス、台詞量、カット割、カメラワーク全てがイカれていて原田眞人作品だー!!!と室岡ばりにずっとニヤニヤしてた。主要人物の造形が超面白くて大変俺好み。てか、新しき世界がATBな自分にとって本作=>>続きを読む

LOVE LIFE(2022年製作の映画)

4.3

前半のヒリヒリ感と画面を覆う陽光のギャップが凄まじいけれど、後半の深田晃司作品だー!!とニヤニヤ止まらんツイストの連発が大変良い...木村文乃さんを追うカメラの躍動感よ。音楽と汽笛が最良の合図!欲を言>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.5

マジで後半良すぎて昇天するかと思ったわ。映画が持ちうる威力を最大限にブチかまされた感じ。何言ってもネタバレなっちゃう気がするんだよな...お猿さんが怖い。横移動の躍動感、見る⇄見られるの描き方がどれも>>続きを読む

時をかける少女(2006年製作の映画)

4.8

1人の少女が過去を変えようと七転八倒する中、最後には確かな成長を遂げる青春アニメ映画の金字塔。“アオハル”の語源は今作だと言い切って良い。
このネットミームは全く好きじゃないが、“陽キャ”の恋模様を描
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.5

是枝好きな点を抜きにしても、断固支持を表明する。理想とされてきた家族の在り方を完全に打破するラストに感服。スター揃いの中でも、ドンウォンとIUが対面する観覧車のシーンは言葉にできない感動があった。汚れ>>続きを読む

なまず(2018年製作の映画)

3.6

イ・ジュヨンの律動的/突発的な運動と、魅力引き立つ多様な装いが観ていて凄く楽しかった。
ただ、直線的な話であるのにオムニバス方式なことが、推進力を損なったのは否めない-特に、彼氏視点のエピは結構退屈(
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妖怪人間ベラ(2020年製作の映画)

3.9

とても映画とは呼べない(呼びたくない)ハンサムスーツ以来の英勉作品鑑賞だが、映画の基本を抑えた上で悪ふざけしまくる技術を彼は身に付けたのだと感心。ただ、キャラの狂気を強調するなら「母子」のどちらか、も>>続きを読む

なま夏(2005年製作の映画)

3.2

吉田恵輔監督が「全然上手くいかないから、最後にオナニー映画作ったろ!」と撮ったらしい作品。彼のフィルモグラフィー、基本的に紆余曲折ありながらも最後に希望を写しとる系が殆どなのは皆さん良くご存知かと思わ>>続きを読む

約束のネバーランド(2020年製作の映画)

2.3

城桧吏くんが只管かわいそうな作品。声変わり中だから、後から声つけるとか鬼畜の所業だろ。めちゃくちゃ不自然に見えた。これを含めて数ある失点は完全に監督の責任で役者に罪はない。べーやんは相変わらず良いし、>>続きを読む

あの頃。(2021年製作の映画)

3.9

登場人物の背景を深く掘り下げないのは今泉あるあるだが、今作は描くべきだったのではと思わずにいられない。また、“敢えて”のホモソーシャル感・露悪的なコズミンの人物造形に対しては実話を元にしてるとはいえ、>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

物語、それ自体は濱口作品の中で分かりやすい部類。けれど、矛盾するようだがハイコンテクストでもあるのだ。それが如実に現れるのが“濱口メソッド”を反映させた“本読み”とそれを実際に「演劇」へ落とし込むシー>>続きを読む

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

4.1

高橋和由脚本むき出しの「理屈がドーッン!!!」な作品。ポンコツ頭の俺にとっちゃ親密さに並ぶ難度なのだよ。そのため、思春期に鑑賞していたならアンナ・カリーナを彷彿とさせる瀬戸夏美の尋常じゃない優美さにし>>続きを読む

琥珀色のキラキラ(2008年製作の映画)

4.2

城定秀夫と組むべきだったのは今泉力哉じゃなくて中野量太だろ...と思わずにいられない彼の嗜好が剥き出しの巧い短編。観てから半年以上経っているのもあり、ほとんど覚えていない中ではあるが、大変魅力的なオノ>>続きを読む

DEAD OR ALIVE 犯罪者(1999年製作の映画)

-

観たのは割と最近だけど、思い出せるのはやはり衝撃のラストだけ...

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)

3.8

結局、ヒトラーを特別視してない...?というか無意識にせよ神格化すらしてると捉えかれない危うい作品だと思うんだけど(全体的には勿論、ナチスやヒトラーは否定しているが)現実と接続するドキュメンタリックな>>続きを読む

DEATH NOTE デスノート the Last name(2006年製作の映画)

3.6

実写映画トップレベル!と言われたら、「いやいや、もっと良い映画はあります...明日、本物の“面白い実写映画”を見せてあげますよ...!」と痛い映画ヲタクを存分に発揮したくなるが、リアルタイムで原作既読>>続きを読む

DEATH NOTE デスノート(2006年製作の映画)

3.2

私的には前半部分はアニメ、トータルだと原作、ラストは実写版が優れていると思う。その前編であるが、安い画と南空ナオミのキャラ改悪を除けば、そこそこ上手く纏めている方ではなかろうか。凶悪犯が野放しにされて>>続きを読む

ザ・ファブル 殺さない殺し屋(2021年製作の映画)

4.5

改めて観ると、話が丁寧で面白いなーと思った。何気ない台詞に、ちゃんと意味があるの好感。言葉のチョイスも。アクションは言わずもがな凄くて、めちゃ興奮する!手数の多さと間延びしない感じも大変良い。あと何気>>続きを読む

余命10年(2022年製作の映画)

2.7

きっと、力作なんでしょう?役者の演技は完璧と言っていいし、随所に製作陣のこだわりと熱意が窺えるので無下には扱いたくない。けれど、演出と撮影の下品さは醜悪だとさえ感じる。今村圭佑の撮影は肌に合わないな。>>続きを読む

キャラクター(2021年製作の映画)

3.8

初見よりは楽しめた。特に中盤までの展開が好き。けれど、キャラの善悪が最後までそのまま揺らがないため意外性はない。また、両角が行う殺人自体は全く描かれないから、観客に共有させるべき誰もが持つ暴力性や怨念>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

5.0

卒制ってマジ...?と観る度に思っちゃう頭抜けた大傑作。村上淳さんも仰っていたけれど、本当に出来過ぎな映画。バス・トラックと、乗り物により物語は運ばれ、そして断絶が描かれる。また、フィクション性が高ま>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

5.0

濱口竜介作品の中では軽やかな雰囲気を纏う力の抜けた映画だが、人と人との間で発生するどうしようもない“愛”とそこにポツンと残る“希望”を3編通して、鋭く描かれていた。また、1対1の関係で交わされる会話は>>続きを読む

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

3.0

評判通りの暴虐さ!特に、フライヤー熱々描写と電車内の地獄絵図シーンは、ひえ〜って感じ。意志と知性を持つが極めて残酷なゾンビ、めちゃフレッシュ!ただ、中盤近くで定型的な“終末もの”だと薄々気付いちゃう作>>続きを読む

鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成(2022年製作の映画)

2.5

前作より20分ほど尺が長いので、もしやダイジェスト感は減るのでは...?と思ったが気のせいだった。というか、残り40分まで原作13〜27巻の出来事を羅列したのみである。また、間を作らないので気持ちは全>>続きを読む

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

相変わらず“今”を描きつつ、人と人を描くのが上手いなー!!と感心。構成と伏線は引き続き丁寧で、そのぶん割と展開が読めちゃうきらいもあるけれど、ムロさんとゆきのちゃんが各々幅広く緩急ある演技を魅せてくれ>>続きを読む

恋は光(2022年製作の映画)

5.0

大好きの一言で済ませちゃいたいくらい!キュンキュン!
路面電車、自然に囲まれた民家・庭園や町すべてが風情を感じさせ、観ていてとても心地よい。そこにバッチリ嵌る役者陣。漫画的な人物造形に自然さを纏わせる
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わたし達はおとな(2022年製作の映画)

4.6

直哉を始めとして、出てくる男性たちがトキシック・マスキュリニティそのもので気持ち悪すぎてどうかなりそうだった。優実は名前通り「優しさ」の人で、だからこそ彼女の思いや言葉は無視されるし、こともなげに虐げ>>続きを読む

青 chong(1999年製作の映画)

4.2

名匠が中後期に作った巧みな小品のような堂々たる出来栄え。初作品とは思えない。パッチギ、GO以前に、ここまで鮮やかな在日コリアン学生の青春と日常を描いた作品があるとは驚きだ。昨今の李監督作品の作風とは全>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

3.6

役者陣のパフォーマンスは申し分ないし(特に伊東蒼、森田望智)面白い要素は揃えてあるため、娯楽作品として楽しめる出来ではあった。ただ、いくつかの事件をモチーフとしているのだが、単純に背景でしかなく、はな>>続きを読む

先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

4.4

フォロイーの方から勧められた作品。特に前半のスピーディなカッティング、明暗の使い分けがとても良かった。また、フィクションに振り回される主人公の夫はさながら我々観客であり、感情移入もしやすい。そして、ベ>>続きを読む

パンケーキを毒見する(2021年製作の映画)

1.0

自分はゴリゴリの左派で日本共産党に概ね票を投ずる人間です。と同時にオールド左翼的思想が大嫌いな人間でもあります。この映画はまさしくそれらの集合体で、本当にクソです。終わってる。ミソジニーと若者蔑視を隠>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

4.4

古田新太の独壇場になっても可笑しくない、否そうなったとしても充分良作なり得たと思うが、今作は脇に至るまでしっかりと人物を描いているからこそ胸に響く。決して一方的に断罪しない姿勢は、ともすれば結局「家父>>続きを読む

浅草キッド(2021年製作の映画)

3.3

柳楽優弥さん、やっぱ凄えんだなと思わせてくれる作品。ウェルメイドっぽくは見せてるし、凋落した師匠が弟子の前では気張ってみせる姿には胸が熱くなった。やはり、芸人の中で劇団ひとりは映画監督に向いてる方。

Arc アーク(2021年製作の映画)

3.0

個人的に石川慶監督は「愚行録」が原点にして頂点なんすよね。それ以降は後退し続けてんなあという印象。今作も試み自体はおもろいし興味深くはあるけど、全体的に薄ぼんやりした話に感じた。よく覚えてないのも大き>>続きを読む