クマヒロさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

片桐はいり4倍速(2009年製作の映画)

3.5

はいりとすれ違う太賀、辛酸なめ子が描くはいり、恐怖のどん底へ突き落とすはいり、アクションを繰り広げるはいり、と片桐はいりさんの魅力が詰まったオムニバス。オムニバスはあまり上手くいくイメージがないですが>>続きを読む

鼓動(2019年製作の映画)

3.4

細い糸でも人との繋がりがある限り、その鼓動が大きくなったり、小さくなったり、なくなったりすることで人は一歩成長出来るし、人との繋がりを一つずつ大切にしたいと思えました。

藤原季節さんほどキャラクター
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Yes-People(2020年製作の映画)

2.8

第93回アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネート作品。3Dアニメーションですが、ストップモーションアニメ「リラックマとカオルさん」を思わせるデフォルメされたずんぐりむっくりなキャラクターのやけにリ>>続きを読む

ポレットのイス(2014年製作の映画)

3.4

石田祐康監督×短編で『トイストーリー3 』のような作品。3分で流石にそこまでのドラマの積み上げはできないものの突き抜けた想像力豊かな表現で見事に補完しています。

すっとんきょうなオチも含め監督の過去
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FASTENING DAYS(2014年製作の映画)

3.0

石田祐康監督らしい少年・少女を描いた作品。空を飛ぶ表現も石田監督らしいです。

しかし、『フミコの告白』『陽なたのアオシグレ』のようなぶっ飛んだ作品と比べると、軽くて観やすいですが表現が抑えめで期待し
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ハッピーアワー(2015年製作の映画)

5.0

カメラの前で演技をすること。『ドライブマイカー』しかり、その独特な行為をここまで突き詰めて自身の作品で探究することが本当に興味深い監督です。本作はこの行為を突き詰める序章とも言える作品でした。

鑑賞
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DEATH DAYS(2021年製作の映画)

4.3

「ただ生きていることが偉い」
よく聞く言葉ですが、本作ほどそれを骨身に感じさせる作品はなく、突飛な設定ではあるものの、それを凌駕する説得力には脱帽でした。

長久允監督は大量の要素の足し算になりそうな
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そうして私たちはプールに金魚を、(2016年製作の映画)

4.2

CMディレクター出身、長久允監督の初短編作品。CMディレクターと言われて納得の中島哲也監督味、そして全体の空気感は『ラブ&ポップ』に近く、退廃的な空気感で少女たちが大人になっていくのをポップに切り取っ>>続きを読む

Rain Town(2011年製作の映画)

3.3

どのコマを切り取っても絵になるほど美しい静謐な雨の描写に心が洗われるような作品でした。
『フミコの告白』『陽なたのアオシグレ』を観ているとアニメーションならではの超現実的な表現が見受けられますが、それ
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極北の怪異/極北のナヌーク(1922年製作の映画)

-

世界初のドキュメンタリー作品とも言われている作品。ドキュメンタリーと信じて観ていたこともあり、イヌイットの生活を興味深く鑑賞していました。

しかし、今の基準で聞くとドキュメンタリーとしてはいささか疑
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チャップリンの給料日(1922年製作の映画)

-

チャップリンの最後の短編作品。労働者階級のペーソスをベースにしたコメディで、女性に対する価値観は古臭いですが、チャップリンらしく、待たざるものの話として面白いです。

また、思いつく限りでは『番頭』『
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風の電話(2020年製作の映画)

4.3

大事故で亡くなった人、これから生まれてくる人、囚われている人、広島から岩手まで様々な人の命に触れながら、主人公ハル同様、観客側もじっくりと命に向き合うことができる作品でした。
迫る3.11を意識して観
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キートンの警官騒動(1922年製作の映画)

-

破壊的なアクションと無表情でお馴染みのバスター・キートン。本作はこれより過去作に比べるとクローズアップが多く、無表情のシュールさをさらに感じました。
また、大量の警官に追いかけられたり、人間シーソーの
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吸血鬼ノスフェラトゥ(1922年製作の映画)

-

『カリガリ博士』と同じくドイツ表現主義の作品。ユダヤ人のステレオタイプとして描かれたというバンパイアの造形は本当なら解せませんが、展開も分かりやすくスッキリと観やすい作品でした。

『霊魂の不滅』等と
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チャップリンのゴルフ狂時代/のらくら(1921年製作の映画)

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1921年のファースト・ナショナル社製作の作品ですが、『伯爵』『スケート』『替え玉』等ミューチュアル社時代の作品と基本的には近い性質を持った小さな作品。
安心して観られるパッケージではありますが、やは
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キッド(1921年製作の映画)

-

喜劇の中にペーソスと呼ばれる哀愁を持ち込んだチャップリンらしい作品の一つでありながら、これまでのチャップリン作品の中でも総決算的な位置に当たる作品。
今観てもダントツで面白かったし、大好きな作品になり
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フミコの告白(2009年製作の映画)

3.4

『陽なたのアオシグレ』のクライマックスにガッツリ繋がる作品。
勢い余って空を飛んでしまう発想、そのなか見える街中のごちゃつきも含め豊かな画作りに見惚れます。

内容自体はコメディに全振りしてて、2分の
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霊魂の不滅(1920年製作の映画)

-

スウェーデンのホラー作品。当時は画期的であった映像技術で、超現実的な事象に直面したことによる男の改心を描いた作品。

二重露光を使った幻想的な死神の描写、モノクロサイレント映画であること、冷たい画作り
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何食わぬ顔(2003年製作の映画)

3.7

男女間の関係性を描き、大切な人の不在があり、劇中劇があり、、、
『ドライブマイカー』まで通じる濱口竜介監督作品の要素が大学の映画研究会時代に作った作品から観られることに驚きです。
『PASSION』で
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我らの罪を赦したまえ(2022年製作の映画)

3.4

あまりにも残酷なT4作戦。それがどういったものなのか知るきっかけになったことだけでもありがたい作品でした。

差別的な授業風景から子供達が当時受けていた教育がわかり、当たり前のように引き離される親子、
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Two Balloons(原題)(2017年製作の映画)

3.2

温かみのあるストップモーションアニメでした。『ロボットの恋物語』もでしたが、共に落ちていくことで恋が芽生える描写がアニメーションではよく観られる気がします。『天空の城ラピュタ』もそうだと思いますし、そ>>続きを読む

ロボットの恋物語(2016年製作の映画)

3.1

可愛らしいロボットの恋物語。アニメーションで観るから可愛いもののこれは実写で考えると、破滅に向かうグロテスクな愛の物語に感じ得ます。絵柄も相まってタダでは終わらない作品な気がします。

VS Santa / サンタ vs. 少女(2017年製作の映画)

2.9

スペインのアニメーション。少女対サンタの『ホームアローン』でした。
頭を空っぽにして観られます。

ベナジルに捧げる3つの歌(2021年製作の映画)

3.6

ファーストカット、上空に浮かぶ物体からグーッと街を写すのですが、後にこの物体がアフガニスタンが難民を監視するためのものだったと分かります。

自由が奪われ、生きる選択肢が奪われ続ける難民の彼。少しでも
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東への道(1920年製作の映画)

-

『散り行く花』に続くグリフィス監督作品。規模の小さな『散り行く花』で大作路線から一度それ、再び大作寄りに戻したような印象を受けました。
クライマックスの盛り上がりは『國民の創生』『イントレランス』に近
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オーディブル: 鼓動を響かせて(2021年製作の映画)

3.4

アメフトの強豪校メリーランドろう学校のアマレを主役に、チームメイトや家族らも含め、彼らの環境や抱えているものを知るドキュメンタリー。

2022年アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門にノミネートされる
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PASSION(2008年製作の映画)

4.8

学生時代から濱口監督らしさがガッツリあって至福の映画体験でした。
役者の演技を通して映画でしか、映画館でしか作れないような空間が立ち現れてくるようでどの作品も何回でも映画館で観たいといつも思わせてくれ
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ハート・ショット(2022年製作の映画)

3.2

鑑賞後に印象がガラッと変わる短編作品。生まれ育った環境の違うレズビアンのカップルが家族や恋人との日々に葛藤する姿を切り取った作品かと思ってましたし、前半はそう言う作品としてちゃんと観られます。

です
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陽なたのアオシグレ(2013年製作の映画)

3.5

少年少女のラブストーリー。妄想を具現化するアニメーションらしい表現は楽しく、2人の心の距離感がよく表現されている作品でした。

絵自体は可愛らしくて優しいタッチなのですが、その絵柄の中で密度濃く描き上
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キートンの案山子/キートンのスケアクロウ(1920年製作の映画)

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バスター・キートン監督初期作品。案山子もそうですが、『文化生活一週間』でものにしたであろう家を舞台にした体を張ったコメディがこれまた楽しいのが本作。

今のところですがバスター・キートン作品には政治的
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ゴヤの名画と優しい泥棒(2020年製作の映画)

4.0

不器用なおじいちゃんがゴヤの名画を盗み、その身代金で孤独を感じるイギリス中の高齢者にテレビを無料で観れるようにしようとするとんでもない実話を元にした作品。

ジム・ブロードベント演じる不器用なおじいち
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ドリームプラン(2021年製作の映画)

4.1

鑑賞前、家父長制のとんでも父さんの話とどこかで見ていて、今作られることに意味があるのかと思い観始めました。
たしかに教育法に受け入れられない厳しさあるものの、様々な逆境をはねのけ、娘を育て上げる父リチ
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文化生活一週間/キートンのマイホーム(1920年製作の映画)

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バスター・キートンの初監督作品。
新婚生活の七日間に渡って繰り広げられるアクション、お色気、ロマンス。全編笑える上に七日間一つも手を抜いていないことが伝わってきて見応えたっぷりです。

七日中全てで下
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カリガリ博士(1920年製作の映画)

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ストーリーでも美術やメイクの面でも未だに影響を与え続けている最初期のホラー映画。この時期の映画の中では入り組んだストーリーで、見応え抜群、71分というタイトさもあり今観ても面白い作品でした。

まるで
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一日の行楽(1919年製作の映画)

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『キッド』を控えたチャップリンが『キッド』撮影の合間に撮ったジャッキー・クーガンも出演した作品。『犬の生活』以降の作品に比べると手が込んでいない作品で、物足りなさを感じますが、のちに『キッド』を観るこ>>続きを読む

サニーサイド(1919年製作の映画)

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『担え銃』の次に低迷期に突入したチャップリンの67作目。当時の評価は自他共に低かったそうですが、私は初期チャップリン作品の中でも展開が多く楽しめる作品の一つだと思いました。

『担え銃』の夢オチがあっ
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