クマヒロさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

散り行く花(1919年製作の映画)

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『國民の創生』『イントレランス』に続くグリフィスの第三の傑作として名高く、2作に比べるとかなり規模の小さな作品。
『國民の創生』で人種差別について考え、『イントレランス』で大規模の作品を作り赤字を背負
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担え銃/チャップリンの兵隊さん(1918年製作の映画)

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64作目『犬の生活』に続くチャップリン出演66作目の作品で、こちらも記念碑的な作品。戦時中、塹壕の中で暮らす兵士の厳しく孤独な生活を喜劇に落とし込む作品は当時としては画期的だったそうで、今観てもそのこ>>続きを読む

犬の生活(1918年製作の映画)

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チャップリン作品の中でも重要な、チャップリン作品内での「放浪者」のイメージを形作ったのが本作。
チャップリン作品を観ているとどうしても感じてしまう人間を貶める笑いではない新しい方向に進んでいることが分
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クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王(1993年製作の映画)

3.5

「映画クレヨンしんちゃん」一作目。
原恵一さんが絵コンテ、湯浅正明さんが設定デザインで参加した本作は、一作目にして「映画クレヨンしんちゃん」らしさを感じる作品でした。

日常に侵食する非日常、子供向け
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.2

この規模のミステリー映画を映画館で観るのも久々、分かりやすいエンタメ作品で、楽しかったです。

ただ、ヒントになりそうなシーンやアイテムがあまりにも露骨で動機もひねりがなくミステリーとして物足りなさが
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おいしい家族(2019年製作の映画)

3.7

キャスト一人一人のキャラが立っていて、可愛らしくて愛おしくなる作品でした。
家に帰ると色々と様子が変わっている家族。ふくだももこ監督の描くそれは嫌味がなく、温かいものでした。

一見閉鎖的に見える「実
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毛虫のボロ(2018年製作の映画)

4.4

三鷹の森ジブリ美術館のみで公開されている『風立ちぬ』以降初の宮崎駿監督作品。
毛虫から見た世界観が少年の想像のような世界観で描かれる堪らない映像体験でした。可愛らしくて、神秘的、時々グロテスクに表現さ
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スーパーサイズ・ミー(2004年製作の映画)

3.4

マクドナルドを1ヶ月間食べ続けたときの体の変化を見るドキュメンタリー作品。アメリカの肥満率が高いのはマクドナルドのせいだ、とマクドナルドが女子高生2人に訴えられたことをきっかけに監督自らが体を張る企画>>続きを読む

二十才の微熱 A TOUCH OF FEVER(1993年製作の映画)

3.5

袴田吉彦さんが演じる空虚な若者像が90年代の作品ですが現代的に感じました。
人生を時間の消費と考えてしまうのは、効率性を考える現代に通じるものでした。

ファーストカットが特に印象的な本作。ボタンをカ
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チャップリンの霊泉(1917年製作の映画)

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ミューチュアル社製作の10本目。療養所のような場所でチャップリンが大暴れする作品。チャップリン以外も皆酒に酔っていくのは珍しく、これも実は社会性を帯びた作品でした。

アメリカで問題になっていた飲酒を
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牛首村(2022年製作の映画)

3.2

清水崇監督村シリーズの中でゾクっとするシーンが一番多い作品でした。
詳しくはないけど、急に何かがいる、siriの気色悪い誤作動、鏡に映る何か、等ジャパニーズホラーらしい居心地の悪い怖さが特に前半にはあ
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チャップリンの冒険(1917年製作の映画)

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ミューチュアル社製作12本目、最後の作品。全編追いかけっこのチャップリンらしいドタバタで、ラストもチャップリンらしくペーソスのある喜劇でした。

本作、日本人として気になるのが日本人キャスト高野虎市さ
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チャップリンの勇敢(1917年製作の映画)

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1917年、ミューチュアル社製作の9本目。『移民』が11本目であることを考えると本作で取り扱った内容も含め、1916年と違い1917年でチャップリンの作品に政治的内容が用いられ始めていることがわかりま>>続きを読む

アンチャーテッド(2022年製作の映画)

3.4

思わず体がのけぞってしまうアクションから始まる、まさにハリウッド超大作な本作。ルーベン・フライシャー監督が得意とするバディ同士の掛け合いととんでもアクションで頭を全く使わずに楽しめる作品でした。

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キートンの囚人13号/ゴルフ狂の夢(1917年製作の映画)

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チャップリン、ハロルド・ロイドと並んで「世界三大喜劇王」と呼ばれるバスター・キートンの作品。
体を張っているのに無表情、というのが彼のコメディの特徴で本作もそんな彼らしさが出ていました。

終始無表情
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.6

2回目
一年毎に戻っていく構成。その生活を切り取っただけ。それなのにこれだけ豊かで、戻っていくからこそのマジックが起きており、観るたび価値が上がりそうな作品だと思いました。

1度目で話が整理された分
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塙凹内名刀之巻(なまくら刀)(1917年製作の映画)

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1回目 2021/1/3
2回目 2022/2/17

日本最初のアニメーションフィルムと言われることもある作品。アニメーションならではの豊かな動きがこの時期で確立していることに驚きで、日本アニメらし
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チャップリンの移民(1917年製作の映画)

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「自由の国アメリカ」へ向かう移民を描いた作品。初期のチャップリン作品の中で政治的な皮肉が込められたものとして有名です。

ラストこそいつものチャップリン作品らしいのですが、前半部がかなり異質です。揺れ
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午前一時(1916年製作の映画)

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監督チャップリン、ミューチュアル社製作の4作目。最初の3分ほど以外全てがチャップリンの一人芝居で、彼の技を思う存分味わうことのできる作品でした。

午前一時の酔っ払いがただ寝室に向かおうとするだけの話
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イントレランス(1916年製作の映画)

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四つの「イントレランス(不寛容)」について並行してみせる作品。
大作『國民の創生』で確立したクロスカッティングやフェードイン、フェードアウト、バストショット等の手法を活かしつつ、過去から現代に繋がる物
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.5

大切な手順をしっかり踏み聾者を描くことに真摯に向き合った作品として、重要な作品。聴者の自分にはうまく言えませんが、聾者の方々にしかできない演技と表現が惹きつけられ、心を震わされました。

今では当たり
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チャップリンの伯爵(1916年製作の映画)

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ミューチュアル社製作の5作目。
ミューチュアル社以降、コメディの原型がかなり定まってきていることが分かりますが、本作も上流階級を笑い飛ばすような作品でした。

トラブルメーカーがひょんなことから上流階
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チャップリンの消防夫(1916年製作の映画)

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『替玉』と『放浪者』の間に来るミューチュアル社製作の3本目。本作のチャップリンも奔放なようでいて、誰の支配にも屈しない姿をコメディを通して描いていると感じます。

ミューチュアル社時代の仲間エリック・
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チャップリンの替玉(1916年製作の映画)

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ミューチュアル社製作のチャップリン作品の一作目。ということで『放浪者』『質屋』に比べると目新しいものは少ないが、基本平行移動のこれまでの映画の中でエレベーターやエスカレーターを使って上下を意識させるよ>>続きを読む

チャップリンの質屋/チャップリンの番頭(1916年製作の映画)

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小道具を効果的に使用したスラップスティックコメディとして語られるミューチュアル社製作の作品。『モダンタイムス』まで続くチャップリンの右腕ヘンリー・バーグマンとの初共演作で、エドナ・パーヴィアンスも出演>>続きを読む

チャップリンの放浪者(1916年製作の映画)

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エッサネイ社製作『チャップリンの失恋』を発展させたと言われるミューチュアル社製作の作品。
コメディにペーソスを組み合わせた『失恋』にもう1展開加わることによってドラマ性がグンと増しています。

扉を使
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.5

2年ほど前に観たオリジナル版『ウエストサイド物語』も「今観ても通じるストーリー性だ」と感じましたが、より「今こそ」描かれる作品なのだということが分かりました。
それになんせスピルバーグ作品、本当にエキ
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チャップリンのスケート(1916年製作の映画)

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チャップリンのローラースケートが観れるのは本作と『モダンタイムス』だそうで、そういう意味で重要視されがちな作品。
前年の『國民の創生』の影響か本作はクロスカッティングや、バストショットの多用等がこれま
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國民の創生(1915年製作の映画)

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アメリカ映画最初の長編作にして、映画の基礎を作った作品。また、歴史の改編が甚だしい大問題作として知られている作品。

まず、問題の部分は置いといて作品として非常に面白くできているということは言わざるを
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チャップリンの拳闘(1915年製作の映画)

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ボクシングのシーンが有名なチャップリンの作品。ここまでアクションシーンが多いという意味でも、犬の演技が出てくるという意味でもここまでよりまた革新的な作品であると考えます。

アクションシーンの一つ一つ
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ムーンライト・シャドウ(2021年製作の映画)

2.7

画面と音楽が美しく、小松菜奈さんの演技も素晴らしく、見応えがありました。

しかし、設定が突飛で、かつカットが変わるごとにやっていることが急に変わる前半部はついていくことが難しかったです。
カット毎の
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チート(1915年製作の映画)

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『戦場にかける橋』の早川雪洲の出世作として知られる1915年の作品。
『國民の創生』と同じ年の作品ですが、当時では珍しいほどの長尺でお金も気合も入っているであろう作品で日本人が主要キャストとして抜擢さ
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チャップリンの失恋(1915年製作の映画)

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チャップリンのドタバタコメディにペーソスを組み合わせる特徴的な作風が初めて確立されたとも言われる作品。

2作観たチャップリン作品とは違い、本人が監督をつとめたということもあるでしょうが、キャラクター
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斬、(2018年製作の映画)

4.0

刀鍛冶が刀を打ち付けるシーン。ブツとして生々しく伝わってくる刀のファーストカット。この映画内の暴力装置として機能するそれは現在にも通じる暴力の連鎖と暴力にすがるしかない人間のおぞましさを叩きつけてきま>>続きを読む

ヴェニスの子供自動車競走(1914年製作の映画)

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諸説あるらしいが、チャップリンの出演2作目とも言われている本作。
前作『成功争ひ』では髭も服装も若干イメージと違うものでしたが、本作からはかなりイメージするチャップリンの像に近いものとなっています。
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.9

ウェス・アンダーソン作品を映画館で鑑賞するのは初めてで、こんなにも多幸感に満ちた体験になるとは思わず、胸躍りました。

雑誌の最終号に掲載される四つの記事をめぐる物語は隅から隅まで統制されていて雑誌「
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