くましんさんの映画レビュー・感想・評価

くましん

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デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版(1987年製作の映画)

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とある中世の人物を調査している人類学者がその探索に没入していくなかでその対象の人物の世界が幻想として現実に入り混じりその幻想と対峙していく物語です。幻想的な現実というか現実的な幻想というかダニエルシュ>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

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普遍性のある、というか凡庸と言っても良い恋物語なのですが、この映画のシーン達はこの物語に対してカウリスマキの作家性の一つとも言えましょう「ラジオ」から流れるウクライナ戦争のニュース放送が通奏低音のよう>>続きを読む

ヒッチコックの映画術(2022年製作の映画)

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ヒッチコックのモノマネ芸人(?)にヒッチコック自身の言葉として語らせ、ヒッチコック映画の批評を試みるという奇妙な作品です。実際の彼の作品を引用しながら、尚且つヒッチコック自身に自作を語らせているかのよ>>続きを読む

ぼくの小さな恋人たち 4Kデジタルリマスター版(1974年製作の映画)

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とても退屈な映画だったと回想することもできますが、そのように感じることが致し方ないほど、この映画は、ユスターシュの「超」個人的な映画であるのではないでしょうか。
ショットや編集も平凡でありました。物語
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苦い涙(2022年製作の映画)

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ファスビンダーが書き監督した傑作である同作とは比較せずに鑑賞すべきかと感じました。
なぜならば、この映画はオゾン監督の脚色により主人公であるペドラフォントカントはファスビンダーをモデルにした男性に入れ
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

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服装や髪型や、つまり、この映画に写っているあらゆるモノが日本の90年代「画」を想起してしまいまして、また、この映画のストーリーの題材も90年代のフジテレビをはじめとした映像制作者が量産してきたドラマや>>続きを読む

天使の影(1976年製作の映画)

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認識と理解をするのに困難が生じた映画でありました。途中からこの映画が何を物語っており何を描写していたのか、さっぱり分からなくなってしまったのです。主人公の彼女が教会の中で長めに独白していたその言葉たち>>続きを読む

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

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オーソドックスなメロドラマを描きながらも、物語の進行とともに流れているこの映画の音や音楽たちは、この映画の筋とは異質な何かを纏っているとしか思えないほどの違和感とその違和感による快感を鑑賞者である僕に>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

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主人公が狂気に至るまで、主人公の主観的な描写のみで映画が動いており、その描写も現実と妄想が入り混じっていたため、サイコスリラーの趣が充溢したこの映画は、そのような狂気の描写と並行して、マーラーの交響曲>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

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モルモット吉田氏が書いてらしたこの映画の評論文では、サイレント映画の手法を用いて作られたのではないかと論述されていたと記憶している。僕にはサイレント映画の教養が全然ないために、この映画からそのようなヴ>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

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長回しのショットを多用することによって、ある女性の労働(娼婦、主婦、ベビーシッター)を仔細に描いた映画だ。
そのショットはどのシーンも外していない。そして、劇伴は一切なく台詞もほとんど無い。この映画が
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イントロダクション(2020年製作の映画)

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ドイツに留学した彼女に振られてしまった俳優志望の青年の心情を約60分の映画で描けていた。最小限にシンプルであり、映画のストーリーテリングとしては理想的だ。流石です!

あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

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終盤のダイアローグシーンにて明かされる主人公の彼女の余命宣言によって初めてこの映画の主題が出来する事に、ある種の美しさを感じた。
が、ホンサンス映画の本質は俳優さんの高スキルのみで出来上がってるのでは
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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

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何の映画か忘れてしまったが、最近鑑賞したその映画のセリフによって「rainy day」という言葉が「逆境の時に助けてくれる」という比喩的な形容詞として使われていることを知った。つまりこの映画は「災厄を>>続きを読む

旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)

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 前田敦子のアイドル映画と言えてしまうほどに黒沢清の揮ったこの映画のカメラは前田敦子を中心に据えた画ばかりを撮っていた。もちろん前田敦子はもはやアイドルではなく才能ある女優であるため、この映画はアイド>>続きを読む

嵐電(2019年製作の映画)

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一見しただけでは理解し尽くせないほどに現実と虚構が入り乱れた上質な映画だった。僕の中の何度も観たい映画の1つになっただろうと思う。
また、京都に再訪したいと強く思わせられるほど、生まの京都の雰囲気をし
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リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

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過去のイーストウッドの映画の中で、この映画ほど受け身になってストーリーを全うした主人公はいただろうか。イーストウッドの映画であるから、もちろん不条理と闘う個人を描いている。しかし中盤まで敵にやられっぱ>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

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ワンカット的な画作りはフィルムではなくデジタルで撮るようになった為に可能になったテクニックで、いわばそれは昨今のテクノロジーの所産であると思われる。21世紀の映画作りの1つの基礎となるのだろうか。と、>>続きを読む

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

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日本における中学生3年生にあたるスクールカーストの下層にいる女の子の中学生日記だった。僕の記憶における中学校の、あのイヤな雰囲気を思い出してしまった。ましてや今の中学生にはSNSとYouTubeが取り>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

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ゾンビ映画の新たなヴァリエーションではないだろうか。「影」たちのムーヴや存在意義がゾンビのそれらにかなり似ていると感じる。この映画の結末もゾンビ映画を彷彿とさせた。
「me」というよりは「us」と言っ
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ラストレター(2020年製作の映画)

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童貞が書いたような恋愛譚である。
すでに不在になった実質の主人公である美咲への手紙が、不在であるため手紙が届く事はない美咲の周りをぐるぐると旋回しているように感じる事が出来た、コミカルと言っても良いこ
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さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)

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逃亡劇でありながら陰鬱なムードは一切なく、ある種ドライで穏やかな映画でした。そのような映画でないと、「幸福に」犯罪をする主人公の彼がこの映画の中では生きないと思うので、バランスの良い映画の雰囲気である>>続きを読む

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

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IMAXで鑑賞したためか、車体や部品、エンジン音にも芸術性を感じられた映画でありました。クールな男の映画です。僕にとってオールタイムベスト級の映画になるかと思います。
ハワードホークスの映画には2種類
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ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

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ラース監督の作品は、とても高揚させられる「ダンサーインザダーク」や「メランコリア」を除けば、ことごとく不快にさせられるものばかりです。もちろんラース監督は才能ある映画作家ですので、人を不快にさせられる>>続きを読む

ゾンビ-日本初公開復元版-(1979年製作の映画)

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ある種のアマチュア感、あるいは荒削りな映画の出来の中に美学を感じられなくもない、という所感を鑑賞後に感じおります。この美学は現在までに作られている多くの「ゾンビ映画」に通底しているのかもしれません。こ>>続きを読む

ラストムービー(1971年製作の映画)

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この映画は前衛的で難解な映画ではなく、失敗作です。失敗作と言いましたが決して貶しているつもりはなく、監督のデニスホッパーが意図的に失敗していると考えられるのです。「イージーライダー」の次作であるこの映>>続きを読む

21世紀の女の子(2018年製作の映画)

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うつらうつらと鑑賞していましたのですべての映画を観ていないです。
観ることが出来た映画に限定した全体ですが、全体的に主人公の彼女らの自意識を物語としたワタクシ小説的な映画が多かったです。短編映画の性質
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ジョーカー(2019年製作の映画)

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ジョーカーへと「成長」するまでを美しく描いた傑作です。
腐敗したゴッサムシティの画と禍々しいプレジョーカーである彼の生活を描いた画はダークに美しく、またこれらの画は共鳴し合っており、物語の禍々しさを強
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ザ・フォーリナー/復讐者(2017年製作の映画)

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(ジャッキーチェンの事は、すんません、ほとんど知らないんですが、それでもなんとなく感じたので以下のように書きますけど)ジャッキーの過去作のキャラクターがすべてを包括されたような老齢の彼が復讐を達成する>>続きを読む

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)

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この映画の制作手法は手元にカメラを持っている人が多い現代人にとって容易いですが、その現代人の多くを占めている凡庸な才能がこの映画のように制作するとただのホームビデオと化します。やはりジョナスメカスは天>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

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「映画史」の続編的作品ともいえる。理解は出来ていない。たくさんの映画や映像、つまり「イメージ」の夥しい断片が延々と続く。そこにゴダール的BGMとゴダールのナレーションが乗っかる。1本の映画として成立し>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

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今日はタラの「ワンアポ」を観る予定ではなくセルジオレオーネの「ワンアポ」を観る予定で映画館に行きチケットを買ったのですが、そのチケットに記載されている映画名の末尾をよくよく観ると、「ウエスト」ではなく>>続きを読む

アド・アストラ(2019年製作の映画)

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父と邂逅するために海王星まで行くというSFでありながら、その道程の中で、主人公のブラピが自身を省みるという映画です。登場人物は多数いるのですが、実質の登場人物は主人公のブラピのみと言っても良いかもしれ>>続きを読む

ビール・ストリートの恋人たち(2018年製作の映画)

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アフリカンな褐色の肌がとても映える画が連綿と続く中で展開される悲劇の物語です。この映画から発せられる人種差別の政治的メッセージを受け取り考えることも大事でありますが、それよりも、黒人の肌の色が美しいと>>続きを読む

オペレーション:レッド・シー(2018年製作の映画)

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カイエデュシネマの編集長をゲストに招いた講義に参加したことがある。現在どこの国の映画に勢いがあるのか、という(たぶんこの講義の担当教授の)質問に対してその編集長は、インドと韓国と中国と答えていたことが>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

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とあるトラットリアで食事をしている時に僕の隣席に座ってらした上品なオジ様のグループがイーストウッドの話題で盛り上がっていました。イースドウッドは保守主義者であるのに彼の映画からは保守主義を感じられない>>続きを読む

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