Sosekiさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

Soseki

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はちどり(2018年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

ウニと家族の日常を淡々と描き、その向かう方向は定かではなく、何より家族関係がギスギスしているので、居心地の良い作品ではなかった。

そしてやはり長すぎる。自分なら、少なくとも後輩女子とボーイフレンドの
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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.0

色々考えなければ軽く楽しめると思う。
ティモシー・シャラメとエル・ファニングは眼福だし、今では夢のようなニューヨークの風景も素敵だ。

しかし、個人的には#MeToo騒動が頭にチラついて色々考えてしま
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落穂拾い(2000年製作の映画)

4.0

ミレーの落穂拾いから着想し、現代フランスで食べ物(だけでもない)を捨てる人とそれを拾って食べる人を追いかけるドキュメンタリー。

…というと、堅苦しく思われそうだが、全然そんなことはない。何せ映像がい
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珈琲時光(2003年製作の映画)

3.1

いや〜ウトウトされた方が多いようで、ちょっと安心した。ゆったりとした時間が流れる嫌味のない映画だとは思った。

約20年前の作品だが、その時点でも少しレトロな東京が見られる。老舗の喫茶店にかかってくる
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

4.2

音楽もビジュアルも良い。
内容は思ったより重く、また青春物というより、家族の再生の物語だった。ありがちと言えばありがちなのだけれど、説得力があったと思うし、アメリカで黒人が持つ成功することへのプレッシ
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ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

3.8

ダゲールはダゲレオタイプ(銀板写真)の手法を発明した人。

このドキュメンタリーは、ダゲールの名前を冠した通りの住人の肖像だという。なので、肖像画のような、或いは幽霊写真のようなショットがたくさんあっ
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コリーニ事件(2019年製作の映画)

2.0

ドイツ刑法の問題点を指摘した原作は意義深いものだと思う。こういう作品があることを知るきっかけとなったのは良かった。

しかし、映画としては今ひとつ。法廷物として後出し(過去に加害者が被害者を告発して裁
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ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方(2018年製作の映画)

4.0

自然は人間に思い通りにはならない。でも良く観察すれば、自然が人間を助けてくれる。

自然の厳しさを描きつつ(虫系苦手な人要注意)も、前向きな気分になれるドキュメンタリーだった。アメリカの良い面、優れた
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上海の伯爵夫人(2005年製作の映画)

3.1

日中戦争直前、1936-37の上海租界。それぞれ大事な人を失った過去を持つロシアの伯爵夫人とアメリカの元外交官の恋愛。カズオ・イシグロのオリジナル脚本とのことで興味を持ったのだが、難解さは一切なく、超>>続きを読む

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

とても良い話なのだけど、きれいにまとめ過ぎていると思った。

見た目は変えられない、私たちが見方を変える必要がある、というのは含蓄のある台詞。
ただ、これを単なる説教にしないためには、ジャック・ウィル
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.9

若草物語ってフェミニズムのお話だったんだな。思った以上に現代的な作品だった。時代を行き来して、最後の最後で世間受けする創作と現実に分かれるのも頭イイ感じ。物語が単線で進まないから、とっ散らかってる印象>>続きを読む

マシュー・ボーン IN CINEMA/ロミオとジュリエット(2019年製作の映画)

3.8

もはやロミオとジュリエットではない。しかし、管理される若者の鬱憤とか、仲間意識とか、一目惚れの瞬間とか、エネルギーを持て余している感じとか、そういう「若さ」はすごく伝わってきた。
そして、自由な読み替
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バニラ・スカイ(2001年製作の映画)

3.0

アメナーバル監督オープン・ユア・アイズのハリウッド・リメイク。約20年前の作品。

…ということで、トム・クルーズ始め出演者が若い!

内容は意外とオーソドックスかもしれない。夢(創作)と現実、どちら
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.7

これは今見るべき作品。

子どもの出来心からの盗みが大事になる。
怒りが怒りを、憎しみが憎しみを産む。
人が人を信頼できない社会。
辛いけれど現実をまずは受け止めないと。

とはいえ、すべてが深刻でも
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コロンバス(2017年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

シネフィル向けの作品。
建築好きとして、コロンバスの建築群の映像は眼福だった。が、建築を見る視点としてはさほど突っ込むわけではなく、スピリチュアル寄り。

そしてジンとケイシーの関係も、まあ、うーん。
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ぼけますから、よろしくお願いします。(2018年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

80代の母がアルツハイマー型認知症を発症。同居する父は要介護認定は受けていないものの、90代であり聴力、体力は落ちている。その夫婦の暮らしを娘が記録する。

老いや病により、これまで出来ていたことがで
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わが青春のフロレンス(1970年製作の映画)

3.3

1970年代イタリア映画の名作で、音楽はモリコーネ。邦題は「わが青春のフロレンス」。以上の事前情報から、フィレンツェを舞台にした若者の恋愛物語と思いこんでいたが、だいぶ違いました。

ペリツッア「第四
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ジャック・ドゥミの少年期(1991年製作の映画)

4.6

とても素敵な作品だった。アニエス・ヴァルダのジャック・ドゥミに対する愛情ーパートナーとしても創作者としてもーが伝わってくる。

第二次世界大戦中、ドイツ占領下のナントで少年期を過ごしたドゥミが、戦後、
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5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

3.7

公開された1962年は、アルジェリア戦争が休戦となり、フランスに戦争への食傷気分が満ちていた頃。死の病(実際にはそうとも限らないが)に怯え、パリを彷徨う若い女性歌手と、間もなく戦地に戻らなければならな>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.0

観てて楽しい映画ではない。ただ、作品の締め方が良くて評価上がる。

刑事達のあまりにも辛く、忘れられない記憶、諦めきれない思いが主題か。

舞台は軍事政権下の1986年の韓国。警察がやたら暴力的だが、
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.0

面白くはなかったのだが、すごい作品だとは思った。
人はどうしてカルトにハマるのかを、丁寧に丁寧に描いている。
一見美しいが奇妙なホルガ村の作り込みも説得力ある。

しかし最後の笑顔でえ、そっち⁉︎って
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レディ・バード(2017年製作の映画)

4.0

プロムのシーンが良い。
一般的に見ればダサくても自分はこれが好きだ!と胸を張って言えるようになることは超重要。

しかしまあ、主人公のイタさがリアルなので、同世代がみると苦々しいだけかもしれない。その
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.3

確かにアクションゲームみたいだ。
英国軍らしい小ネタと映像は一見の価値ありだろう。

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「リーマン・トリロジー」(2019年製作の映画)

3.6

2008年に破綻した米国リーマン・ブラザーズの歴史、或いは1844年にドイツ南部のリムパーから米国に移住し、財を成したユダヤ人リーマン一族の諸行無常の物語。

サム・メンデスの演出はこれ以上ないくらい
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娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)

4.0

2012〜2016年のアレッポの戦いを、反政府側の市民として生き抜いたジャーナリストの女性、医師の夫、そして戦火の下で生まれた娘Samaの記録。

とにかく私的で生々しいドキュメンタリー。ぼんやり子ど
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ロバと王女(1970年製作の映画)

4.0

原作はシャルル・ペローの童話。

これを、ミュージカル化して
ミュージカルをアニメ化して
アニメを実写映画化したようなシュールさがある。

そういうところを含めて全体に笑えますが、ルグランの音楽はとて
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アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.0

3時間半の長尺だが、身終えると必然性のある長さ。
ただし、冒頭からジミー・ホッファ登場までは淡々とフランクの(裏社会での)出世物語を描いており、また、土地や人間関係が分かりにくいこともあって、たまにウ
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

3.4

期待値あげ過ぎた。
面白かったけど、割と想定内(ダソンが活躍しなかったのは意外)。監督の意図が見え過ぎる。

韓国の格差社会を描いた映画なら「バーニング」の方が断然良い。で、何でかなと考えると、最終的
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淪落の人/みじめな人(2018年製作の映画)

4.4

香港の公営団地。一人暮らしで半身不随の男と、香港に出稼ぎにきたフィリピン人家政婦兼介助者が、お互いかけがえのない存在になるまでのあれこれ。

Heartwarming Movie という形容がぴったり
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.5

第二次世界大戦末期のドイツ。ヒトラーをヒーローとして崇めるドイツ人の少年が、(実はレジスタンスな)母親が自宅に匿っていたユダヤ人の少女の存在を知り、彼女との交流を通じて成長する話。これをポップにコメデ>>続きを読む

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

3.8

特にマスメディアで働く人に見てほしい作品だった。これだけ無実の人を苦しめても罰せられることはない、それだけ重い役割を担っているのだから。
もちろん、今は誰でもSNSで自由に発信できる時代だから、皆が心
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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.3

離婚する際の子どもの親権争いの話なんだけど、この協議を通じて、どうして結婚しようと思ったのか、どうしてダメになったのか、を振り返ることになるので、マリッジ・ストーリー。

終わったからといって結婚が無
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アニエスによるヴァルダ(2019年製作の映画)

4.0

アニエス・ヴァルダによる自身の作品の解説。そしてこれが遺作となった。

キーワードは、ひらめき、創造、共有。

作品を成立させるのにひらめきは必要だが、それだけではない。与えられた条件の中で、制約を逆
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ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー(2010年製作の映画)

3.0

銀行家の息子でインテリのゴダールと、「大人は判ってくれない」そのまんまのお育ちといわれるトリュフォーについてのドキュメンタリー。

二人はお互い良き理解者となり、助け合いつつ映画に革命(新しい波)を起
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エル ELLE(2016年製作の映画)

3.3

不思議な映画。

冒頭の事件から、サスペンスかと思うと、話半ばで犯人は判明。犯人の動機も単純と言えば単純。
では、父のエピソードと親子関係がメインか?と思うと、こちらもあっさり終わる。

冒頭の事件と
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メランコリア(2011年製作の映画)

4.5

カイエの2010年代ベスト10に入っているのを見て、思わず再見。

奇妙な軌道を描く惑星メランコリアが地球に衝突するまでの富裕層姉妹の話。
通常なら、主人公が頑張ってこの危機を回避するんだけど(タルコ
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