世襲議員(宮沢りえ)と秘書(窪田正孝)の掛け合いだけで、政治の理想と現実がひとめでわかる心憎い演出。このふたりのリズム感が心地良い。
水と油の理想と現実のぶつかり合いって、こんなに面白いんだね。>>続きを読む
仕事の夢と恋の夢。
この両輪がないと不安でしょうがない若者たち。
そこを今風のキーワードでソフトランディングさせている作品。
何十社も受けて内定を勝ち取った、いわゆる「勝ち組」。就活生の憧れ>>続きを読む
同じくアル・カポネを描いた『アンタッチャブル』と話が被っていないところがミソ。
『アンタッチャブル』は、どちらかと言うとカポネを追う側のエリオット・ネス(ケビン・コスナー)の視点」から描かれていた>>続きを読む
中田敦彦のYouTube大学を見ると、いかに酒が百薬の長ではないことがわかる。
酒は、人体に悪影響を及ぼす毒素しか発しない、と言い切っている。
大酒飲みでこのコロナ禍でようやく断酒した私も、酒>>続きを読む
ビートルズのことをあまり知らなくて、曲もあまり聴いたことがない人が、この作品を観たらどう思うのだろうか。7時間という長丁場はただただ苦痛で地獄だったりするかもしれない。余計なお世話だけれど、そこがい>>続きを読む
ひとりの若い女性の視点から見たおじいちゃんの死。
おじいちゃんが死んだのに、なんで遺族のみんなは悲しそうじゃないんだろう?
彼女の素朴な疑問が印象的だ。
おじいちゃんの死の知らせを聞いた時、自>>続きを読む
人は無意識のうちに、思い込み、思い上がる。
自分しか見えてないと他人の立場に立って物を考えられなくなる。
あたりまえの人間の性(さが)なのだが、そこにきちっと踏み込んだ作品だ。
主人公の小説家>>続きを読む
コルトレーンのことを知っているようで知らなかった。
麻薬で徹夜したまま音合わせにくるため、マイルスがコンボをクビにしたこと。
彼が後期に神がかり的な曲調になっていったのは、神父だった祖父へのオブ>>続きを読む
最近読んだ『売春島』みたいに、置屋の悲喜こもごもを描いた作品だと思ったが、完全に当てが外れた。
初監督の佐藤二朗の思い入れが強烈だった。
監督の特権で、仲里依紗、坂井真紀に中途半端な汚れ役を演じ>>続きを読む
上から目線でもなく、下から目線でもない。私にとっての下北沢のイメージ。
高慢でも卑屈でもない。そうとも言える。
そんな下北沢のイメージに、最もフイットした作品のように思える。
古着屋、古本屋、>>続きを読む
「いいか客に媚びるなよ。何がおもしろいかはおまえが教えてやるんだよ」
たけしの師匠は言う。
でも、たけしは思う。
「裸見たさの客笑わせてなんになるんだよ。そうやってね夢見てのたれ死んでいくんだよ」>>続きを読む
幼い頃、ヒーロー=正義の味方と刷り込まれたものだ。いまでも、ヒーローに対する自分の中の定義はあまり変わっていない。
だが、本作を観て、ヒーローとは本当は何者なのだろう?と問い返したくなった。
少>>続きを読む
車椅子の風刺漫画家ジョン・キャラハンを支える人々。禁酒セラピストのシドニー、そして恋人のアヌー。
シドニーは、老子の教えを説くことで、彼に生き方を見直すよう助言する。
「自分を捨てないと大きな力>>続きを読む
ネットによると、本作の舞台であるイリノイ州ロックフォードは、アメリカで最も危険な10都市の第6位にランクインしている。貧困率が25%、失業率も8%と高い。
本作では、そこに住むスケボーが趣味の若者>>続きを読む
交通事故の加害者と被害者。やれ一審、二審の裁判やら、加害者の家族、被害者の遺族の双方の葛藤やら。そんなストーリー展開なら、何度も見せられている。
だが、本作はいままでの定番を見事に覆す。
女子>>続きを読む
「その日に何があったかは覚えていませんが、その日がどんな日だったかという感情は残っているんです」
今は亡き認知症だった母親の主治医が言っていたことを思い出した。
本作の認知症の「ファーザー」(アン>>続きを読む
映像は語る。大人になれなかったんじゃない。大人になりたくなかったんだ。
映像は、現在と過去をめまぐるしく往復する。
大人になることの実感がつかめないまま、大人になりたくなかった過去がフラッシュバ>>続きを読む
小中学校の頃の社会科の教科書に、『造船大国』、『鉄は国家なり』といった日本の代名詞の横っちょに、あまり触れられたくないという感じで記されていた、『公害』の二文字。
人間や猫が、狂ったように痙攣を繰>>続きを読む
主人公ファーンとひとりの老人との語りが、ノマド(車上生活者)たちの高ぶる想いを代弁している。
ファーンは最愛の夫、老人は最愛の息子を喪っている、似た者同士。
私が去れば、彼の存在した証しが消え>>続きを読む
この作品を観て思い出す。結婚式の披露宴の一芸に熱中していた時代があったことを。とにかく披露宴で目立ちたい。スピーチや芸の披露を新郎新婦側から頼まれたい。ついでに目立って女性の目を引きたい。
そんな>>続きを読む
ユダヤ人夫婦が、ユダヤ人国家のイスラエルで生活することが、移民になっちゃう。
おまけに、旧ソ連ではあった声優の仕事が、イスラエルではないときてる。
夫は、海賊版レンタル店の吹き替え、妻は、なんと>>続きを読む
もともと凄い俳優なんだろうが、この作品の役所広司は並外れている。
とにかくワンシーンごとの感情の上げ下げが絶妙。
服役囚の更生云々より、喜怒哀楽の感情表現を、これほどまでに微妙に操れるのかと度肝>>続きを読む
佐々木みたいな同級生いたよ。自分から盛り上げて突飛な行動をする。
本音がどこにあるかわからないんだけれど、なぜか存在感がある。
家族や家庭環境のことは一切触れず、学校の自分がすべて。
どうして>>続きを読む
ユン・ヨジョンが、韓国人初のアカデミー賞を受賞したことより、彼女が、家族における「おばあちゃん」のポジションを教えてくれたことに感謝したい。
ポジションというより、距離感の取り方と言った方がいいか>>続きを読む
男は逃げ回る。家族に亀裂が入ると。
女は逃げない。家族に、子供に、感情の嵐を吹き込む。納得がいくまで。
男は仕事に逃げる。外に出れば鉄砲玉。子供も自分の親も妻に押し付けたまま。
女は外に出よう>>続きを読む
三者三様の3人。試合は連敗続きだが、面倒見がいい瓜田。女性にモテたいがために、懸命に練習に励む楢崎。日本チャンピオンの実力はあるが、身勝手で身体を大事にしない小川。
彼らのそんな人となりが、ボクシ>>続きを読む
ギャンブルで身を持ち崩した主人公のゴウ演じる沢田研二。映画館の館内にいやけに50代から70代の女性が多かった理由(わけ)は、おそらくジュリーの時代の彼と彼女たちの青春時代をラップさせているからなのだ>>続きを読む
鮮明で構図がしっかりした画像。
それだけですべて許せちゃうから、やはりそこが、ロイ・アンダーソンの天才たるゆえんか。
こういう絵があったらいいなあという映像だもねえ。
ただ、これが写真だったら>>続きを読む
どこで生まれてどんな経歴でどんな人生を送って来たか。
それらをいっさい明かさないドキュメンタリー。
本作は、ドキュメンタリーの肝ともいうべき個人の歴史を、見事にそぎ落とす。
都営霞ヶ丘アパート>>続きを読む
有名女優フランキーの余命いくばくもない人生の最後の旅で思ったこと。
その近づきつつある死を目前にして、本当に心配してくれるのは、必ずしも家族ではないこと。
彼女が形見にしようと思っていたネックレ>>続きを読む
世に言う怪しげな宗教を描いた作品も多いが、その宗教にとりつかれた両親に育てられた娘という視点は新しい。原作も読みたくなった。
こう言っちゃなんだが、その両親は宗教に傾倒し周囲はちっとも見えてい>>続きを読む
本作の劇作家のように、妻が死んだ喪失感が大きいのは、自分を愛してくれた面と他の男と不倫した面をすべて受け容れることなく逃げてたからだと、冷静に認めることができるだろうか。
劇作家のドライバーのよう>>続きを読む
「あの頃」が、松浦亜弥アイドルだった時代の人たちにとっては、完全にツボなんだろうね。
「ハロー!プロジェクト」のアイドル自体初耳で、昔から握手会というものがあったのも知らなかった。
どちらかと言うと>>続きを読む
差別とかマイノリティとかの切り口で観ると、この作品は袋小路にはまっていく。
そうではなく、人と人とのつながりの観点から観ると、世界が広がる。それは「共感」の観点と言い替えてもよいかもしれない。>>続きを読む
人は人、自分は自分。自分らしく生きればいい。
人生の啓発本は、多かれ少なかれ、そう訴える。
でも、そうは言ってもねえ。特に世の中、とりわけ若者の世界は、比較で成り立っている。
野球部と演劇部>>続きを読む
こんな不思議な空間を創造した監督が素晴らしい。
この村人たちはどこがルーツなのかわからない。そこがミステリー。
移民なのか難民なのか奴隷なのか。皆目見当がつかない。
村の長老の死で久しぶりに村>>続きを読む