kyokoさんの映画レビュー・感想・評価

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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

5.0

2022年の邦画NO.1
いや、洋邦問わず、かも。
脚本も演者も音も、何もかもが素晴らしい。

痛みと強さの混沌の中にある温かみ。
ハンデを持ち、一見他人との繋がりに無関心のように見える彼女が、実は誰
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そばかす(2022年製作の映画)

2.9

誰ひとり事前に確認をしないという荒技で絵に描いた餅と化したデジタル紙芝居を中途半端に披露するなら、アマプラ制作の『シンデレラ』をそのまま観せたら良かったのに。

すべてが唐突オン唐突で、彼女がどうあり
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パンと塩(2022年製作の映画)

3.7

実際にあった事件から着想を得たという。

冒頭からその町の「民度の低さ」は明確で、生涯モラトリアムとばかりに怠惰な日々を送る若者たちがたまり場のケバブ屋で毎度繰り広げる侮蔑と嘲笑に、心底うんざりしてし
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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.0

ブレッソンの『バルタザールどこへ行く』は残念ながら未鑑賞。この作品にインスパイアされたというスコリモフスキ監督の新作は、ほのぼのドンキー映画……なわけがなく、不穏な音と刺激的な赤から始まる、ロバEOの>>続きを読む

ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

3.7

ロンドンのオートクチュールハウスで弟の全てに睨みを利かせていたファントムスレッドのシリル姉さんが、今度は素朴な庶民としてパリのディオールに心を奪われてる!

夢に向かってまっしぐら、パリで出会った人た
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ブラインドマン/タイタニックを見たくなかった盲目の男(2021年製作の映画)

4.0

生きることを諦めてるわけじゃないんだぞ、コンチクショーとばかりに、不自由な身体から迸る「Freedom!」の叫びが胸に刺さる。

演出も脚本も秀逸だけど、なんといっても主演のペトリ・ポイコライネンがい
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あなたの微笑み(2022年製作の映画)

4.0

エンドロールはもちろん、賑やかな舞台挨拶にもつい泣きそうになったのは、愚直に映画を作り続ける人たちの熱と、全国の小さな劇場を守り続ける人たちへの愛が、素直に伝わってきたから。

今、映画とミニシアター
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地獄(2009年製作の映画)

-

栗みてぇな顔と称され、死ぬほど走らされたレジアニより、主役逃げたからお前がやれとばかりに海パンの股間をもっこりさせて腰をふらされた男(ごめんなさい名前忘れた)の方がよっぽど気の毒だった。

眠れないク
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離愁(1973年製作の映画)

3.7

ドイツの侵攻から逃れるための疎開列車。極限状態でのなか、出会ってしまった相手がひっつめ髪でも美しいロミー様なのだから恋に落ちるのは致し方ないのだけど。
男には臨月の妻と幼い娘がいるんだよねえ。それゆえ
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夕なぎ(1972年製作の映画)

3.9

陽気なモンタン、暴れるモンタン、無茶ぶりするモンタン、しょんぼりするモンタン。ロザリーの娘(この子もかわいい!)を溺愛する様はコロナ禍で会えなかった孫に久しぶりに会えた田舎のジイジなみのテンション。そ>>続きを読む

マックスとリリー/はめる/狙われた獲物(1971年製作の映画)

3.9

見ようによってはエガちゃん味のあるマックス刑事と男たちの会話がどうにも退屈な30分を堪えてようやく我らがロミーシュナイダー様が登場。「いよっ、待ってました!」と声をあげたいくらいの美しさ。エナメルの黒>>続きを読む

きっと地上には満天の星(2020年製作の映画)

3.8

フロリダプロジェクトから太陽光を除いてケンローチの底辺味とルームの緊張感を加えたような作品。

ドン底人生に我が子を巻き込む母親、親から引き剥がすことを最善と決めつける行政、子どもすら食い物にしようと
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WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.0

荒れ放題の家と赤子の泣き声にまるで反応出来ずにひたすら惰眠を貪る女。すぐに思い浮かべたのはライカートの『リバー・オブ・グラス』なのだけど、ここじゃないどこかに行きたかった夢想どころか、常に思考停止状態>>続きを読む

土曜の午後に(2019年製作の映画)

3.8

日本人7人を含む、20人が犠牲となった2016年のバングラデシュ・ダッカのテロ事件をベース(あくまでもベースで大半はフィクション)にした作品。次に誰が殺されるか分からない緊張感に満ちた86分をまさかの>>続きを読む

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)

4.5

548日間、実際に極寒の山奥で生活しながら撮影したというから、もうその時点で常軌を逸しているのだけど、その狂気はチェコ映画史上最高傑作という名声にふさわしい美しいショットに見事結実していた。

露わに
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

2.9

メインからほんのワンシーンまで、知ってる顔が次から次へと出てくる。
この「いかにも日本人が喜びそうな顔ぶれ」を集めることで力を使い切ってしまったのかと思うほどに、肝心のお話は「どこかで見た・聞いた」よ
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ヘィ!ティーチャーズ!(2020年製作の映画)

-

いやー、マジで可愛くないヤツばっかり。不良学生というより単にやる気がないというか何を考えているのか分からない生徒たちを前にして、新米教師たちの熱意は完全に空回りしていた。

彼らの熱意、ひいては生徒の
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もう雪は降らない(2020年製作の映画)

3.9

高級住宅街と呼ぶにはあまりにも味気なく見分けがつかない戸建がずらりと並ぶ区画を、折り畳みベッドを肩に下げて次から次へとドアチャイムを鳴らしながら漂流する男。彼がただのマッサージ師でないことは冒頭で分か>>続きを読む

リフレクション(2021年製作の映画)

4.0

アトランティスと同じ、ワンシーンワンカット。さらにカット数が少ない気がする。25から30の間くらいかしら。
そこで起きていることを1から10まで映し出すことで、男の孤独と戦争が刻みつけた苦痛が伝わって
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三姉妹(2020年製作の映画)

3.8

台湾映画『弱くて強い女たち』のような温かみのある三姉妹ものを想像していくとかなり痛い目に合うので要注意。
「 야 ヤー!!!!」という金切り声が響くたびにメンタルが擦り切れた。

実は私も三姉妹の末っ
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スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

-

鑑賞後にジャケ写を見るとまたじわり泣けてくる。

こんな辛い記憶ならば、いっそ忘れてしまった方が楽だろう。その記憶から母親を解放させたいと思いながらも、歴史の語り部としての役割を担ってしまった娘は、も
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恋人はアンバー(2020年製作の映画)

3.8

90年代のアイルランドの田舎町で、セクシャルマイノリティであることに気づかないふりをするエディと、マイノリティであることは否定はしないけど周りがうるさくて辟易しているアンバーが、カップルのふりをして卒>>続きを読む

走れ、ウイェ!走れ!(2020年製作の映画)

3.6

パーキンソン病を発症したスウェーデンのミュージシャン、ウイェ・ブランデリウスの自伝的映画。彼とその家族がoneself出演している。
ほのぼのキャラのウイェ、バリキャリの妻、見た目に反して自分を出すこ
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.9

壮大なノスタルジー映画 →いい意味で

これの前に1を再鑑賞しておくかと思って観始めたのだけど、うそーん、これこんなにダサ演出だった!? こういうノリの時代だったにしてもつらい。10分経たないうちにギ
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ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇(2018年製作の映画)

-

漁業のサプライチェーンに潜む、人身売買と奴隷労働者という深い闇と、そんな状況から彼らを救うべく奔走する労働権利推進ネットワークのパティマさんたちの活動を追う。『ヒューマン・フロー』みたいにドローン映像>>続きを読む

私だけ聴こえる(2022年製作の映画)

4.0

ろうの親の元に生まれた健聴者の子どもCODA(Children of deaf adults)。

不幸じゃない、でもろうだったらもっと楽になれる、親と離れたい、でも愛している、同情はいらない、共感だ
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必殺! 恐竜神父(2018年製作の映画)

1.0

これはヒドイ。
たかだか1時間ちょいだけど、3時間くらいに感じた。時間返せと言いたい。

こういうのは馬鹿馬鹿しいことを真面目にやってナンボでしょ。マネキンの首はギリギリOKだけど(OKなのか?)着ぐ
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教育と愛国(2022年製作の映画)

-

人は何のために歴史を学ぶのか。
戦時に起きたことの真相を紐解き瑕疵を認めることは、二度と悲劇を起こさないために、ひいてはこの国をよりよくするために必要なことだと思っていたけれど、今の日本ではその考え方
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.7

息子の幼少期に一緒にウルトラ怪獣大百科を眺めていた程度で、物語としてのウルトラマンをあまり知らない身としては、これくらいざっくりで深読みしないで済む方が気楽に楽しめた。禍威獣羅列の導入部分がいちばん楽>>続きを読む

ドンバス(2018年製作の映画)

-

2014年以降、親ロシア派勢力とウクライナ軍の武力衝突が絶えないウクライナ東部ドンバス地方を舞台にした、実話に基づく13のエピソード。登場人物がエピソード間を横断することで繋がりを生んでいる。ダークユ>>続きを読む

流浪の月(2022年製作の映画)

3.8

『八日目の蝉』の悲恋バージョンかと勝手に思っていたけれど、人間が持つ様々な「嫌悪」と生きづらさ(でも結局は養育環境の影響大)に、今となっては避けては通れない現代の社会問題(SNS)を加えた、なかなかヘ>>続きを読む

乾いた人生(1963年製作の映画)

3.8

冒頭、なんだかわからない音が鳴り響く中(あとで車輪の軋む音だと判明)カラカラに乾いた土地を歩く家族。炎天下、水無しだと嚥下が激ムズそうなパッサパサの何かを食べるしかなく、すでにギリギリ感がハンパないけ>>続きを読む

メイド・イン・バングラデシュ(2019年製作の映画)

3.8

ファストファッションの裏側にひそむ過酷な労働問題と貧困に女性の人権問題が絡んで、バングラデシュの暗部ばかりが目立つというのに、あまり暗澹とした感じを与えないのは、意外にも女たちが男たちに対してかなり強>>続きを読む

潜水艦クルスクの生存者たち(2018年製作の映画)

3.9

『レッドスパロウ』でプーチンもどきを演じたマティアス・スーナールツと、リアル妊婦のレア・セドゥやコリン・ファースといった有名どころをメインキャストに据えて、リュック・ベッソン総指揮、トマス・ヴィンター>>続きを読む

BEGINNING/ビギニング(2020年製作の映画)

-

固定カメラによる長回しといい、『ジャンヌ・ディエルマン』の芋むきを彷彿とさせるシーンといい、これはやはりアケルマンに対するオマージュ作品なのかしら。
アケルマンをさらに暗くした感じで、4:3の画面が固
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.5

アケルマン祭はこれで締めようと決めていた。

1日目の冒頭になにやら後ろ暗い影と彼女の神経質な部分を垣間見せることで、リズミカルな生活でありながら不穏な展開を予感させる。
1日目を下敷きにさせることで
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