何もない部屋の「私」
そこで繰り返される動と静。
滑稽なような切ないような。
ずっと見ていられるような、もう勘弁って言いたいような。
「彼」は安定せざるえない人生を嘆いているのか誇らしげなのか。
い>>続きを読む
MGMのライオンみたいな雄たけびをあげて、闘争心むき出しでシャーシャー言ってた野良猫が、その闘争心に惚れ込んだ大富豪の遺産相続人になって、野球チームの守護猫になる話。
ルバーブ(=野球用語で大乱闘)と>>続きを読む
失う恐怖があらぬ疑念を創りあげて、しかも相手がその疑いを認めてくれたら自分はきっと苦しみから解放されるんじゃないかとまで考えるんだから、相手からしたら迷惑千万な話。囚われているのは女ではなくむしろ男の>>続きを読む
閉鎖の決まった刑務所には、移送先のトラブルによって足止めされた12人の囚人とその監視のために残された職員15人という、私の大好物、ミニマムな人数によるワンシチュエーションドラマ。
さまざまな予定外が>>続きを読む
アケルマン2作目、暗い廊下の縦構図と人物と風景の横移動を観ただけで、ああアケルマンだと生意気なことを思ってみたりもしたのに、実際はなかなか入り込めずに苦戦した。そういえば『地獄の黙示録』も同じだった。>>続きを読む
べロッキオ作品には、自身の家族(特に母親)が色濃く投影されている、らしい。べロッキオ作品をよく知っている人には興味深いドキュメンタリーに違いないだろうけど、残念ながら私は近年のべロッキオ作品を数作、し>>続きを読む
イタリア映画界のニューカマー、双子のディンノチェンツォ兄弟による作品は、思った以上にホラー味が強くて、なかなかの緊張感で引っ張られる。音で脅かす系も安易だけどまんまとビクついたし。
ラストはどんな「>>続きを読む
華麗なるヒモ生活のスローガンは、
働くやつは罰当たり!
クズはクズらしくクズに徹していればよいものを、純真無垢なる処女(おとめ)に恋してうっかり真人間になろうとか血迷ったのが運の尽き。クズがそうそう>>続きを読む
彼女がブリュッセルで降りた列車はたしかMoscow発Paris行きだったと思う。戦争の爪痕をなぞるような道程でのいくつかの邂逅は、話しても歌っても身体を密着させても、誰とも繋がれず、行き場を失った心だ>>続きを読む
自分の嫁と子供を使って、私小説的作品を撮ろうってんだから、この監督は頭がどうかしてる。
ドSともドMともいえるまさにド変態映画。
デフォーのこわもてに、娘ちゃん完全に引いてるやん。デフォーが寄っただけ>>続きを読む
念願叶いまして。jaihoさんありがとうございます。
巧み過ぎる編集はあざといといえなくもないけど、まんまと多幸感に包まれたから良し。
自然と人工がないまぜになった島に、人生が交錯する。
夏休みをど>>続きを読む
名前だけは存じてましたが…な人たち。
キモノマイハウスから始まる最初のブレイク期はまだ全然子どもだった。むちゃくちゃ聞いてそうな90年代は彼らにとっての暗黒時代で全く露出がなく、ここまであまり触れる機>>続きを読む
ロマ人奴隷の売買という、1850年代まで続いた黒歴史を背景にした皮肉溢れる自虐映画は、出てくる人間ほぼ口悪いのにどこか牧歌的で、まるで人間讃歌のような錯覚を覚える。息子のグダグダの令状読み上げのシーン>>続きを読む
根本的に銃を規制すれば済む問題じゃないとはいえ、まるで洋服でも選ぶみたいな気軽さで銃を売り買いする場面には心底ゾッとした。
何が正解だったのかあるいは間違いだったのか、父親と母親の対応が真反対なゆえ>>続きを読む
何ひとつ装う気のない人間と対峙すると、人は己の真の欲望に気づいてしまうのかしら。ザ・自由のパワーに最初は魅せられるも、やがて彼女を放り投げてしまうのは、それがとうてい自分には手の届かないものであること>>続きを読む
前作を観ていない人のために、前半はそのダイジェスト版といった感じなのに、まだ元気だったころのお母さんが出てきただけで泣く。なんなら最初から最後まで泣く。
前作は信友一家の姿に、近い将来直面するであろ>>続きを読む
惜しみなく与えられた愛情は、どこへ行こうとも足元に根ざす支えとなり続けるというのがこの作品の最大のテーマで、想像以上に温かみがある。そして想像してたのより一回りこじんまりに感じたのは、北アイルランド紛>>続きを読む
太宰ばりに「恥の多い人生を送つてきました」と身悶えしがちな性格が災いして、楽しかった思い出より嫌な記憶ばかりが残りがち。恥じたところでどうにもならないし、これからも人生は続くのだ。せめて大切な人との楽>>続きを読む
内戦や性的マイノリティに対する迫害から逃れた人たちは、この国では不法入国者としか扱われない。
同じように命の危機に晒されていながら、ウクライナの人たちと一体何が違うというのか。
「日本でこんな辛い思>>続きを読む
最近残念な人ばかりやっているような気がする中島歩のクズぶりもなかなかだったけど(あそこでほくそ笑んだのコワイ)、一花のエゴ全開にドン引き。
岬の親のシーン、いるかなあ。異質で違和感ありありだった。>>続きを読む
暴力や差別にさらされてきた自分のような人生を娘たちには絶対に歩ませたくないという強い決意とテニスを選んだ経緯に、娘たちの意志は存在しない。
見ようによっては「プラン実行のために手段を選ばない父親と、そ>>続きを読む
うーん…
話が王道どころかあまりにも雑過ぎる&ウケまくる隣のおじさんとの温度差が悲しくて全く乗れなかった…泣
ある日付だけで見る、6年間のふたりの終わりから始まり。
感情を揺さぶられるには私はババアになりすぎていたらしい。
むしろ「あーこのときはまだコロナじゃなかったんだよな」という方向で感傷的になりがちだっ>>続きを読む
日本だったら確実に「発達に障害あるひと」認定されそうなタイプだけど、ここでは憎みきれない愛されキャラ(とはいえもちろん怒っちゃう人もいる)で、あっちこっちで約束したり忘れたり口説いたり歌ったり(通りが>>続きを読む
80年代の養子縁組システムの不備によって、何十年とアメリカで生活しながらその国の民と認められずに国外退去という悲劇に見舞われる人々がいる。
この作品が理不尽極まりない事実を改めて世に知らしめる役割を果>>続きを読む
2019年に劇場公開されたときはタルベーラ未経験で7時間18分に挑む自信が1ミリもなく、だからといって家でDVD鑑賞なんてことは微塵も考えられず、こりゃ一生観る機会はなさそうだぞと思っていたら、イメフ>>続きを読む
『ファミリー・ネスト』に続いてこちらも冒頭の精神病院にワイズマン感あり。
そこかしこに労働者たちの不満が垣間見られるけれど(当局に目をつけられたのはそのせい?)、現状を打破してやろうといったような気概>>続きを読む
ところどころに感じるワイズマン味と顔顔顔のオンパレードでなかなか面白かった。
需要が供給を決める社会主義理想からは程遠く、平等であるはずの労働者に勝ち組負け組を生みだしてしまった国の縮図にも見える家族>>続きを読む
一点の曇りなく神の力を信ずる純心さはヨハンネスと少女のツーショットに狂気にも似たホラー味を与えているというのに、その場にいる者たちと同様に奇跡を待ち望んでしまった。
全員の夢オチと言われても違和感な>>続きを読む
息が詰まるほどの沈黙が支配する部屋の外では、風の音が恐ろしいほどにごうごうと鳴り響く。
繰り返されてきた父娘の日常が徐々に狂いだしてもなお、父は気づこうとはしない。あるいは気づきたくないのか。
たぶ>>続きを読む
これが世に言う「タル・ベーラスタイル」なのか…
長尺にびびり倒して観なかった『サタンタンゴ』の前年に撮られたというこの作品で初めて知った。
右から左あるいはその逆、ゆっくりとパンしていくカメラの先に見>>続きを読む
ウェスアンダーソンの世界、特に「グランド・ブダペスト・ホテル」が大大大好きなもんで、これもソワソワワクワク…ワクワク…あれ?…なんだろう、あんまり楽しくない…どこからどう見てもウェスアンダーソンなのに>>続きを読む
いかにもGAGA★が配給しそうな、ストレートにいい話(他意なし)。
ええ、泣きましたとも。
あのサイレントのシーンは素晴らしかった。
終盤のやや雑な駆け足感は否めないけど、素直に心に響く優しい作品。>>続きを読む
『ボーダー』のアリ・アッバシ作品。これが長編デビュー作らしい。
食べ物は自給自足で白いものは口にしないビーガン夫婦のもとに短期ハウスキーパーとしてやってきたシングルマザーが、子どものできない夫婦のた>>続きを読む
結婚によって女が奴隷化していくさまをつまびらかにする異色のインド映画。
役名なし。
リズミカルな包丁さばきが小気味いい調理の景色が最初は楽しかったのだけど、徐々に「おさんどん地獄」がエンドレスになっ>>続きを読む
短編『ファミリーファミリー』の大川裕明による初長編作品。
ポジティブシンキングのおじドルあずぽんと潔癖症のヤクザのバディムービー。
お話の方はクラシカルと言っていいほど分かりやすくメッセージはかなり>>続きを読む