セリフはないのだが、字幕の入れ方やショットのリズムはサイレント映画ではなかった。音楽中心といえども、やはり観客は映画の物語目当てな訳で、試みとしては面白いが、ちょっと無理があったと思う。
濱口竜介>>続きを読む
あの事件を知っている人からしたら、血まみれでタバコを吹かして階段を下るオープニングショットはわざとらしさしかないし、それに続いて笑う橋本愛がスプリンクラーで濡らされるありきたりな描写を見て嫌な予感が>>続きを読む
あまりのアクションの多さとおもしろさのせいでアトラクションと化していたので-0.1点、続編のあることを知らなかったので-0.1点
これはおそらく宮崎駿個人の話、それも映画制作の話であるのは間違いない。しかし、個人の話に留まらず、人間社会、そして人間の抑えきれない想像力と物語についての話にもなっている。
フェリーニ「8 1/2>>続きを読む
人形劇の場面や少年が彷徨う場面など素晴らしい場面がいくつもあったのだが、あまりに疲れすぎて、自ずと瞼を閉じ、20分ほど眠ってしまった。
物語の省略が残す不気味さ、フレーム内で動き回る人物とそれを捉えるカメラ、技術的にも洗練されたこの恐ろしい映画に打ちのめされ、2回目の鑑賞にも関わらず、しばらく席を動けなかった。
一日中この映画を見てた気がするが、100分ちょっとなのは驚き
ちょっとくどさはあるが、映画とカメラの冷徹さが一致した稀有な映画であるのは間違いない。死や悲劇を劇的に引き延ばさず、さらりと描いたのは、この映画が初めてかも知れない。
黒人の話の一人芝居が素晴らし>>続きを読む
写真は、生きた人間を永遠の死の空間に閉じ込めている。では、逆を考えてみよう。写真を元の生きた人間に現像する、それが殺人カメラである。
ヴェーラで35mmを見たが、鮮烈な色彩の映像、そして女性に限った話でありながら、戦争に取り残された人々も暗に描いてることに驚いた。4年前の自分がいかに馬鹿だったかがわかる。岡田茉莉子の走るシーンは、ど>>続きを読む
後期の作品に比べ、会話が成立しすぎている気がする。カサヴェテス の作品は基本2時間半なのに、本作はなぜか異様に重苦しく長い
和解せずにお互い殺し合うつもりで迎える演劇の場面は、今まで映画を見て感じたどの感情でも捉えられない不思議な瞬間を生み出す。
芸術家が己の馬鹿げた信念や世界を具現化することに取り憑かれた存在だとするなら、新海誠は間違いなく芸術家だろう。ここまで裸になれる人間は中々いない。しかも、作品を積むにつれて、見るに耐えない変態さは削れ>>続きを読む
ステレオタイプな安っぽい人間像を各登場人物に着せ上げてしまった是枝・坂本・川村元気(日本映画界の諸悪の根源)の三者、そしてこの映画を評価したリューベン・オストルンドを筆頭とするカンヌの審査員たちは、よ>>続きを読む
ネルソンの100倍面白い。映画内に出てくる動物や脇役の連中のどれも躍動することで、単純な話をこれ以上なく美しく感動的にしている。
アウシュビッツで殺された何百万もの罪なきものたち、人間に虐待され殺された動物たち、そうした愚かな人類のため犠牲になった無垢な全ての存在に対する鎮魂歌である。弔うだけでなく、映画全体で救済しているように>>続きを読む
この映画をアケルマンの映画に比する人がいるようだが、それは間違っているように思える。なぜなら、アケルマンの映画は冷徹な眼差しで厳格に物事を淡々と捉えるが、この映画の眼差しは厳格なルールに欠け(フレーミ>>続きを読む
全編ワンカットということで、カメラの精度は落ちるが、ロシアという奇怪な国の偉大さと影をこれほど顕示した映画は今後生まれ得ないと思う。案内役の男の最後が素晴らしい。「独裁者たちのとき」と同じ作者だとは思>>続きを読む
ソクーロフ舞台挨拶付き。スターリン、ヒトラー、ムッソリーニ、チャーチル、偉大な英雄である彼らは同一画面で増殖しながら、魑魅魍魎とした霧深い黄泉の世界を歩き回る。今残っている資料から、実在した人物を再構>>続きを読む
製作者は真剣なサスペンスを作ろうとしたのだろう。しかし、映画は目的地目指しながらも、ハンドルを失い街中を爆走する暴走車と化してしまった。
ほんの僅かに登場する五月蝿い脇役達が、主人公若尾文子と我々観>>続きを読む
自分は映画に生活を求めていないことがよく分かった。嫌な日常の限界を打ち破る何かを見たいのだ
自転車の壊れる音が響くと、暗闇から奥にまっすぐ伸びる畦道の中央で、男が自転車を投げる様が写し出される。この一瞬に、全編を貫くギョームブラックの渇いた眼差しが現れている。
途中寝てしまったのだが、これほどなんでもないストーリーで泣きそうになるのは奇跡というしかない。
10/27 東京国際映画祭
ヘルツォークは、恥じることも恐れることもなく、原住民の顔を無礼とも言えるほど真っ向から捉えた点で偉大なのである。最後の種明かしが余計だったので、-0.3点
1回目
先>>続きを読む
古川琴音が夢に出てきたので、彼女を一目見ようと映画館に駆けつけたのだが、あまりのくだらなさに苦笑するのみであった。彼女の演技も脚本のせいか、偶然と想像にあった底の知れない良さが感じられなかった。
核戦争下における病院の子どもたち、それを見た主人公の悲鳴。水浸しの図書館、地下壕。クリスマスツリーの蝋燭に照らされる言葉なき子供たち。雪の積もった中山を登る最後には心を打たれる。
京マチ子と山本富士子のウィットに富んだ皮肉の応酬に痺れる。ただ宮川一夫の緑がかった鋭い画に助けられてる部分は多い
冒頭、フランス語のさよなら、“Au revoir ”、単語に即して訳すなら、「また会いましょう」を親族ではない老人たちに伝えていくのだが、死に行く祖母には伝えられなかった。なぜなら祖母とはもう二度と>>続きを読む