佐藤克巳さんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

佐藤克巳

佐藤克巳

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喜劇 駅前音頭(1964年製作の映画)

5.0

夢のハワイで盆踊りとは大胆不敵なアイデアで盛り上がった佐伯幸三監督のシリーズ頂点に達した人情喜劇の傑作。呉服屋森繁久彌、淡島千景と洋装店伴淳三郎、淡路恵子夫婦のライバル関係と、広告代理店フランキー堺、>>続きを読む

椿三十郎(1962年製作の映画)

5.0

前作「用心棒」で世界のヒーロー像に転換をもたらした黒澤明監督の続篇として、金を稼ぐ娯楽作でありながら、時代劇に新風を巻き起こした傑作。国際的スターとなった三船敏郎の存在無くして成立しない作品だが、加山>>続きを読む

士魂魔道 大龍巻(1964年製作の映画)

5.0

稲垣浩監督の「大坂城物語」の続篇だろう大坂城落城から豊臣再興を偽る一味との内紛の渦中に大竜巻で一掃されるまでを描いた痛快な時代劇巨編。先々代市川染五郎、佐藤允、夏木陽介を主演、相手役に星由里子、久我美>>続きを読む

虎の尾を踏む男達(1945年製作の映画)

5.0

黒澤明の混じりっけのない純粋な黒澤映画といった趣きある傑作で、私の一番好きな作品である。本来弁慶大河内傳次郎が安宅関で、「勧進帳」を読み上げ、義経岩井半四郎に杖を打つ大芝居がメインだが、強力榎本健一の>>続きを読む

ゲンと不動明王(1961年製作の映画)

4.5

ゲンの小柳徹は、若くして交通事故で亡くなったニュースを今でも記憶している。やんちゃ坊主の彼の言動、行動は当時の男の子の自然な対応であり、他人に預けられる環境も当たり前なんだけど、現代の子には理解出来な>>続きを読む

大盗賊(1963年製作の映画)

5.0

同年の黒澤明「天国と地獄」より溌剌とした三船敏郎主演の冒険活劇映画の傑作。円谷英二特技監督の特撮技術が冴え渡り、谷口千吉監督の荒唐無稽なアクション演出も見事に発揮されたCGでは創れない世界を構築した。>>続きを読む

乱れ雲(1967年製作の映画)

5.0

巨匠成瀬巳喜男監督の遺作に相応しい不滅の傑作で、東宝のトップに立った加山雄三と司葉子の頂点に位置する作品でもある。自動車事故の加害者と被害者の越えられない壁を、踏切の汽車の通過で予感させ、旅館で臥せる>>続きを読む

コント55号 世紀の大弱点(1968年製作の映画)

3.0

爆発的人気で大ヒットしたが作品レベルはB級レベルで低調。ストーリーとしては、55号の嘘から出た誠で、バーホステスから人気作家に化た水垣洋子一人が役得。

昭和ひとけた社長対ふたけた社員 月月火水木金金(1971年製作の映画)

4.0

続編に至って、小林桂樹、加東大介、藤岡琢也の達者な芸を競って本領発揮し石田勝心監督の秀作となったが、とうとう、シチュエーションコメディの東宝名物シリーズの幕が閉じ、以降、日テレ「おひかえあそばせ」に始>>続きを読む

国際秘密警察 絶体絶命(1967年製作の映画)

5.0

原作都筑道夫、脚本関沢新一、谷口千吉監督の名人が出揃って放つ荒唐無稽なアクション映画の傑作。軽妙で洒脱さを増す国際秘密警察官三橋達也に相棒ニック・アダムス、飛び入り助手希望のお茶目な水野久美が、某国首>>続きを読む

昭和ひとけた社長対ふたけた社員(1971年製作の映画)

3.5

夕日くんを撮った新進の石田勝心監督にバトンタッチされた社長シリーズだが、森繁久彌が抜け社長小林桂樹が中心となってスケール感は小さくなったが、世代格差に焦点を当てた喜劇としては佳作。本来なら、出戻った黒>>続きを読む

若大将対青大将(1971年製作の映画)

4.0

若大将と青大将が二枚看板で登場は本作が唯一で、青大将シリーズもあっても良かったとも思えた。大矢茂は加山雄三の二代目というより弟分に終始した印象で、それに対し新ヒロイン吉沢京子は「恋人って呼ばせて」に代>>続きを読む

喜劇 駅前怪談(1964年製作の映画)

4.0

山梨勝沼の旅館夫婦森繁久彌と淡島千景、食堂夫婦伴淳三郎と乙羽信子の息の合った上質の芸を中心に据えた、佐伯幸三監督の風俗喜劇の佳作。伴淳が勝手に貸した別荘に居座った作家三木のり平を、運送屋フランキー堺等>>続きを読む

国際秘密警察 鍵の鍵(1965年製作の映画)

5.0

後年ボンドガールになる浜美枝、若林映子をたっぷり堪能出来る谷口千吉監督のアクション映画の傑作。金庫破り名人若林が刑務所から脱出した先が国際秘密警察官三橋達也の車だったが、これを計ったのは某王国で、横浜>>続きを読む

国際秘密警察 火薬の樽(1964年製作の映画)

4.0

全2作とは対照的な娯楽アクション映画に変貌し、坪島孝監督の喜劇色豊かな作品となった。国際秘密警察官三橋達也と警視庁敏腕刑事佐藤允とがコンビで、世界統一を目指す悪の組織を追求すると共に、囚われの博士田崎>>続きを読む

クレージーの殴り込み清水港(1970年製作の映画)

4.6

脚本が田波靖男に代わり次郎長三国志パロディの要素が薄まった上、配役も見劣りがするが、内藤洋子の気風の良いやくざの娘が素晴らしく、4年前の前作の風情が継承された坪島孝監督の秀作。追分の三五郎植木等と森の>>続きを読む

国際秘密警察 虎の牙(1964年製作の映画)

5.0

グレン・フォード似の三橋達也主演の、スリルとサスペンスに秀でた国際秘密警察シリーズの模範型を創った福田純監督の秀作。東南アジアの某国次官中丸忠雄のボディガードに潜入した三橋のスパイ活動を怪しみ、黒部進>>続きを読む

俺の空だぜ!若大将(1970年製作の映画)

3.5

小谷承靖初監督の若大将シリーズだが粗雑な喜劇の域を出ず凡作。二代目若大将の大矢茂も未熟感は否めない。

国際秘密警察 指令第8号(1963年製作の映画)

4.5

タイトルバックから007を意識して製作された暗黒街シリーズの発展型を杉江敏男監督は見事に秀作とした。ベトナム戦争が本格化する前の混沌とした情勢に暗躍する死の商人ジェリー伊藤の組織と、潜入した国際秘密警>>続きを読む

ブラボー!若大将(1970年製作の映画)

5.0

社会人篇若大将シリーズで最高作となった岩内克巳監督の秀作。社会は甘くない、つくづく大学時代が楽園だった事を思い知る若大将加山雄三、マネージャー江原達怡の義兄弟。
グァム島では開放感溢れる若大将でも、現
>>続きを読む

クレージーの大爆発(1969年製作の映画)

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三億円犯植木等が新興宗教の教祖で、国際陰謀団員松岡きっこの誘いに乗り、銀行地下金庫から金の延棒を強奪迄のスリルは快調。その後パトカー追走劇、陰謀団の水爆で日本政府のドタバタ振りには先見性が有り、更に進>>続きを読む

ニュージーランドの若大将(1969年製作の映画)

4.5

「フレッシュマン若大将」と同年前後篇に近いと思われるが、オーストラリアとニュージーランドの豪華ロケの贅沢さと、福田純監督のエンターテイメント性に優れた演出により前作に見劣らない秀作となった。青大将田中>>続きを読む

続社長学ABC(1970年製作の映画)

4.0

森繁久彌から小林桂樹へ社長引き継ぎと共に松林宗恵監督のシリーズ最終作となり心寂しい気持ち。本作では、新宿ママと尾道芸者の二役団令子が際立って良かったし、内藤洋子も映画最終年も感慨深い。

社長学ABC(1970年製作の映画)

4.5

森繁久彌の社長シリーズも大詰にきても作品の質は依然維持された松林宗恵監督の秀作。人事異動で森繁は会長、小林桂樹が新社長、加東大介が専務、藤岡琢也が営業部長で、秘書関口宏代わらず、台湾バイヤーに小沢昭一>>続きを読む

クレージーのぶちゃむくれ大発見(1969年製作の映画)

4.0

大作が続いたクレージーシリーズだが、久々古澤憲吾監督に代わり、こ気味の良い軽妙洒脱な喜劇の秀作となった。殺されたホステス中山麻里を人工知能に置き換え蘇生するとタレントデヴューさせ、キャバレーマネージャ>>続きを読む

クレージーメキシコ大作戦(1968年製作の映画)

3.5

メキシコ篇で支離滅裂。結果、ナベプロ企画クレージーの一本立て興行を終結させた坪島孝監督の失敗作だが、春川ますみのママ殺人事件でハナ肇が谷啓の車に死体、更に橋の下の植木等のベッドに落下、3人とも容疑者で>>続きを読む

日本一の断絶男(1969年製作の映画)

4.5

鬼才須川栄三監督の演出が冴えた、日本一シリーズの中でも異色なブラックジョーク喜劇の傑作で、無責任男植木等が行き着いた先が社会からの断絶だった。そのインパクトはジャン=ポール・ベルモンドの域に達した感。>>続きを読む

フレッシュマン若大将(1969年製作の映画)

5.0

「風邪イヤーね」のCMでブレイクした酒井和歌子の新ヒロインは、前年の名作「兄貴の恋人」で当時予測出来た。兎も角も、東宝を代表する若大将シリーズの加山雄三社会人篇が、稀に見るフレッシュな青春映画に仕上が>>続きを読む

日本一の裏切り男(1968年製作の映画)

4.0

オムニバスで日本戦後史を描く鬼才須川栄三監督の力作だが、政治色が強く出過ぎ素直に笑い飛ばせない植木等作品となった。しかし須川監督の演出は丁寧な風刺漫画の様な風格があり、製作費を掛けているのか映像や美術>>続きを読む

続社長えんま帖(1969年製作の映画)

3.5

社長森繁久彌が本社社長就任へ、そして小林桂樹社長時代に引き継がれる分岐点となった作品だが、人事の話に時間が割かれ笑える場面が少なくなり、久慈あさみ、司葉子の妻の不信がストーリーの中心となった。冒頭、関>>続きを読む

社長えんま帖(1969年製作の映画)

4.0

メンバーが一新しフレッシュさを取り戻した松林宗恵監督のシリーズ中の佳作。三木のり平の役割を小沢昭一、フランキー堺の代わりを藤岡琢也が、小林桂樹の後を関口宏が無難に務めだが、なんと言っても小林の妹に内藤>>続きを読む

ひとりぼっちの二人だが(1962年製作の映画)

4.0

坂本九、浜田光夫、吉永小百合の幼馴染の同級生と吉永の兄高橋英樹が、浅草を駆けずり回った舛田利雄監督の青春ミュージカル映画の佳作。花屋敷遊園地の楽しさが活かされ、坂本のストリップ劇場でのボードビリアン振>>続きを読む

狙撃(1968年製作の映画)

5.0

岡本喜八の暗黒街シリーズとは違い本格ハードボイルドに挑戦した加山雄三の意欲が見事開花した堀川弘通監督の傑作アクション映画で、日活の浅丘ルリ子を迎えロマンチックな映像表現も兼ね備えた贅沢な作品に仕上がっ>>続きを読む

続社長繁盛記(1968年製作の映画)

3.5

森繁久彌、加東大介、小林桂樹の3人が全面に出て本来のペースに戻った続編で盛り上がり、黒沢年男と酒井和歌子の仲が焦点となった松林宗恵監督の佳作。森繁の社内体力測定や奥道後の芸者沢井桂子との騒動での妻久慈>>続きを読む

社長繁盛記(1968年製作の映画)

3.0

黒沢年男の相手役に酒井和歌子が起用されて本作のテーマ社内の若返りに則したメンバーチェンジが行われた松林宗恵監督の喜劇だったが、三木のり平、フランキー堺に代わり谷啓、小沢昭一となったが違和感は隠せない。>>続きを読む

明治侠客伝 三代目襲名(1965年製作の映画)

4.0

鶴田浩二は東宝、津川雅彦、大木実は松竹、嵐寛寿郎、丹羽哲郎は新東宝、品川隆二は大映と外人部隊で構成された加藤泰監督の任侠映画の初作で佳作。ローアングルを多用した美しいセット撮影が見事で、藤山寛美の拳銃>>続きを読む