佐藤克巳さんの映画レビュー・感想・評価 - 30ページ目

佐藤克巳

佐藤克巳

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Fukushima 50(2019年製作の映画)

4.0

10年前日本は終わったなと思った恐怖感は、こんなものではなかった。多分、地震と津波の恐怖が省かれ、原発危機にのみに焦点を当てたからだろう。残酷描写を回避する日本人の弱さかな?であろうから、未だに危機管>>続きを読む

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

5.0

はっきり言って、本編シリーズより面白い。流石、ルーカスの弟子。第1作の原点を踏まえた優れたサブストーリーで、続編を期待したいレベル。チューバッカーの存在感は抜群で、反乱軍リーダーの美少女とハンの彼女の>>続きを読む

ウエストワールド(1973年製作の映画)

3.5

ユニバーサルスタジオ顔負けの歴史実体験が呼び物のテーマパークを舞台に、「ブレードランナー」・」ターミネーター」に魁てロボットの反逆を描いたSFホラー映画の古典。荒削りな感じは否めないが、発想の卓抜さと>>続きを読む

メトロポリス(2001年製作の映画)

3.5

近未来SFアニメーションの佳作。手塚治虫初期の同名傑作漫画のリメイク版。冒頭から虫プロらしい動作とキャラクターに興奮したが、次第に、大友色が強くなり、中共色が露見する。第三次産業革命を見事に予見した造>>続きを読む

バルジ大作戦(1965年製作の映画)

3.5

最強戦車タイガーが、おんぼろ中型戦車のアメリカ軍を圧倒するが、物量作戦に全滅の憂目に遭う結末に、同じ敗戦国の日本人としては後味の悪さは否めない。だが、本物志向のワイドスクリーンの迫力は流石である。また>>続きを読む

飢餓海峡(1965年製作の映画)

3.5

左幸子の健気な女の一生に尽きる。前半は、フェリーニの名作「道」。後半は、山本薩夫で同じく三國主演の傑作コメディ「にっぽん泥棒物語」に似通っている。敗戦後のどさくさ日本の土俗的情景描写は素晴らしいが、推>>続きを読む

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

5.0

世界的影響を与えたヌーベルバーグの象徴的作品。変革期の今こそという視点で今回観たが、矢張り、当時の躍動感と空気感の違い今と歴然。ジーン・セバーグのスタイリッシュな美しさと、ジャン・ポール・ベルモントの>>続きを読む

白い恐怖(1945年製作の映画)

5.0

「レベッカ」から「汚名」のヒッチコック最盛期の完璧サスペンス群の中で最も好きな作品。バーグマンの美しく献身的な心理分析官と、記憶喪失の美男子ペックの愛に満ちたサイコホラーの金字塔である。ダリの美術とヘ>>続きを読む

汚名(1946年製作の映画)

5.0

ヒッチコック最盛期の傑作サスペンス映画。ケイリー・グラントとイングリッド・バーグマンの愛憎を巧みに操った心理描写とカメラワークが見事。アメリカ諜報員の職務に対する冷徹さと私情の愛の葛藤、ハニートラップ>>続きを読む

怪獣大戦争(1965年製作の映画)

5.0

ゴジラのキャラクター化に決定的影響を与えた「シェー」に尽きる。お子様ランチゴジラシリーズのスタートをきった記念すべき一作。但し、この作品のメインは、サングラスに特徴的なX星人、取り分け、水野久美の妖艶>>続きを読む

クレオパトラ(1963年製作の映画)

4.0

クレオパトラ=エリザベス・テイラーの評価さ
れた彼女の代表作。人海戦術で創られた大作群でも突出して製作費が掛かった問題作。巨大スフィンクスのローマ凱旋シーンは、流石に度肝を抜く。アレクサドリアの見事な
>>続きを読む

昼下りの情事(1957年製作の映画)

5.0

ビリー・ワイルダー監督のお馴染みロマンティック・コメディーの名品「麗しのサブリナ」の焼き直しで、モノクロ映像はやはり分が悪いのだが、ラストシーンの緊迫感は映画史上に残る歴史的感動作。ファニーフェイスの>>続きを読む

大殺陣(1964年製作の映画)

3.6

「下馬将軍」と渾名され北条執権を目指し宮将軍を画策した大老酒井忠清と、兄将軍家綱と弟後継将軍綱吉の間に生まれ悲運にも甲府宰相に終わった綱重との密約に始まる天下一大事を扱った時代劇スペクタクル。大坂志郎>>続きを読む

慕情(1955年製作の映画)

3.0

昔の香港が観たくて再見。中共が生まれる以前から朝鮮動乱の「波乱の東洋」が緊迫感を持って描かれた、当時代表的二枚目と美人女優のウィリアム・ホールデンとジェニファー・ジョーンズ共演のラヴロマンス大作。チャ>>続きを読む

愛情物語(1956年製作の映画)

4.0

名作多数のスターだったが、いまひとつ印象の薄かったタイロン・パワーの作品の中では、最も熱演が光ったミュージカル映画の名作。ピアノの曲弾きが見事で、明朗快活な実在ミュージシャンの人生と、若くして亡くなっ>>続きを読む

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

5.0

間違いなく名作だろう。日本にキリスト教を根づかせるのは不可能だ。イッセイ尾形や浅野忠信等奉行人のポルトガル人宣教師への説得に、日本人らしい宗教観が良く出ている。白人優越主義の嫌らしさが無く、偏見も無く>>続きを読む

太陽の季節(1956年製作の映画)

5.0

太陽族映画の元祖、中平康の「狂った果実」とワンセットで観た印象。石原裕次郎の存在感は抜群だ。迫力、スピーディ、熱情が良く伝わった名シーン多数。長門南田夫妻の最高作はこれだろう。日活50年代は力作揃いの>>続きを読む

拳銃王(1950年製作の映画)

4.0

確かにヘンリー・キングの力作。だが、何故か馴染めないのは、ペキンパーの「ビリー・ザ・キッド21歳の生涯」の印象が強いからだろう。老成で世間の見世物に晒されるヒーローキッドのリアリズム西部劇。発展系は、>>続きを読む

日本沈没(1973年製作の映画)

4.5

黒澤明の秘蔵っ子であり東宝青春映画の巨匠森谷司郎監督と、デビュー作で名作「首」で主演の小林桂樹の東宝初のパニック映画となった、ベストセラー小松左京原作の話題作。丹念な映像感覚で知られる森谷にしては速成>>続きを読む

頭上の敵機(1949年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

爆撃隊の鬼指揮官をグレゴリー・ペックが好演。実写シーンを効果的に活用して、「スターウォーズ」に負けない迫力と、撃ち落とされた飛行機には、日本映画の「加藤隼戦闘隊」等同様の無常感があった。現場の官の厳し>>続きを読む

戦場(1949年製作の映画)

4.0

「姉妹と水平」で有名な青春スターのヴァン・ジョンソンと、「つばさ」の巨匠ウィリアム・ウェルマンによる、「フルメタルジャケット」級の戦争映画の傑作。フロンティア精神溢れた陽気で統率力の取れた米軍の強さを>>続きを読む

翔んだカップル オリジナル版(1982年製作の映画)

4.5

久々に観た。新たな時代の鳴動を感じさせる斬新でスピーディーな映像は、今も変わらないが、個人的には、公開版の方が良かった。薬師丸ひろ子がブレイクしたのは、「セイラー服と機関銃」だが、こちらの方が断然良い>>続きを読む

グラン・プリ(1966年製作の映画)

5.0

最も活力に満ちたカーレース映画。当時の自動車に対する注文度は半端ない。同年の名作「男と女」に、ポールニューマンの「レーサー」と並ぶ同分野の三大傑作。レーシングカーは、「走る棺桶」と言われた非情さが、コ>>続きを読む

ザッツ・エンタテインメント(1974年製作の映画)

4.5

ハリウッドのお家芸ミュージカル映画の中心にMGMがあったという、名場面満載のアンソロジーだから、満点とはいかない。ただ、熟成した芸達者の個々のボードビリアンの凄みは、過去の物となった事を実感。最近の芸>>続きを読む

病院坂の首縊りの家(1979年製作の映画)

4.0

石坂金田一シリーズの集大成とも言うべき傑作推理映画。軽妙な草刈正雄のアシスタントを得て、例によって血族を巡る凄惨なストーリーだが、時折ユーモアがあり、市川崑流の鋭角なタッチ鮮やかなカット割りによるカタ>>続きを読む

襲われた幌馬車(1956年製作の映画)

4.0

リチャード・ウィッドマーク主演のアドベンチャー西部劇。中身が濃い内容もさる事ながら、ワイドなスクリーン上の西部の荒野が、聖書の舞台を連想させる移民の国アメリカは、つくづくキリスト教多人種の総体だなと思>>続きを読む

ヨランダと泥棒(1945年製作の映画)

4.5

アステアのMGMアーサー・フリートとヴィンセント・ミネリとの初の作品かな。久々に観ても、映像のインパクトが凄い。後の「イースターパレード」の前哨戦ってとこ。むしろ、ジーン・ケリーの「巴里のアメリカ人」>>続きを読む

禁断の惑星(1956年製作の映画)

5.0

今日、中古のLD装置が届いて、再生一発にこの映画を選択、画像は落ちるが、内容は期待通り楽しませて貰った。1950年代のノスタルジー空想科学映画の頂点であり、私にとり、キューブリックの「2001年宇宙の>>続きを読む

若草物語(1949年製作の映画)

4.5

米国でも日本でも四姉妹物語は、映画の定番ですが、このジューン・アリスンの「若草物語」は、キャサリン・ヘップバーンの同作品を超えて、ジュディ・ガーランドの「若草の頃」に次ぐ名作だろう。ジャネット・リー、>>続きを読む

リオ・ブラボー(1959年製作の映画)

5.0

ハワード・ホークスの「赤い河」と並ぶエンターテイメント西部劇の傑作。ジョン・ウェインは、ケイリー・グラントと共にホークス映画の重要キャラクター。ある意味、異論はあるかもしれないがウェインの最高傑作か?>>続きを読む

ドクトル・ジバゴ(1965年製作の映画)

4.0

ラーラの生き別れた娘が過去と決別した様なラストシーンに、米ソ冷戦雪解けムードで製作された雰囲気を醸し出しているが、前半の共産革命の恐怖をリアルに描いた部分と、後半の独裁政権から身を逃れながらの美しい三>>続きを読む

アラモ(1960年製作の映画)

4.5

戦争抒情詩では済まない迫力ある傑作。アメリカ人気質は、日本精神に相通ず。これは、日本の歴史で言えば、大坂夏の陣、或いは西南戦争の城山、そうラストサムライだ。アラモは、今日あるアメリカの開拓史である所の>>続きを読む

オズの魔法使(1939年製作の映画)

5.0

言わずと知れたジャンルを超えた映画史上の名作。農村カンザスから竜巻により、虹の彼方、不思議の国に異次元移動した少女が、桃太郎ばりのワラ男、ブリキ男と弱虫ライオンとの冒険珍道中。そして目出度く家帰還まで>>続きを読む

男はつらいよ フーテンの寅(1970年製作の映画)

2.0

最も危険な寅次郎映画。渋谷実や前田陽一系統の作風森崎東監督起用が全て。定型に添っていても、寅次郎シリーズにドライさとクールさは不似合い。但し、ラストの大晦日テレビ中継に写る寅次郎の場面は秀逸、森崎らし>>続きを読む

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)

3.5

硫黄島の激戦を描いた作品では中級の出来。イーストウッドの力点は、父親…に掛けている。米国人の🇺🇸にかける思いは、並大抵ではない。

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)

4.0

クリント・イーストウッドの最高作。師匠の「突撃隊」を手本にしたのか?硫黄島の激戦は、日米の歴史の重要な一幕。対等に描かれていた。星条旗の一件はよく知られていた話だが、当事者兵士の心境は名誉とは程遠い。>>続きを読む