佐藤克巳さんの映画レビュー・感想・評価 - 33ページ目

佐藤克巳

佐藤克巳

映画(1188)
ドラマ(0)
アニメ(0)

愛よ人類と共にあれ 前篇 日本篇(1931年製作の映画)

3.0

日本映画離れしたスケールとスピード感は見事であり、名匠島津保次郎監督の都会的でバタ臭い演出に魅了されたが、最後の西部劇のような場面には興ざめした。

家族はつらいよ(2016年製作の映画)

1.0

最近の山田洋次の小津気取りはウンザリ。
1960年代の「なつかしい風来坊」や馬鹿シリーズに匹敵する傑作は、「男はつらいよ」以降、1本も無し。矢張り期待に違わぬ出来映えに納得。

ミニー&モスコウィッツ(1971年製作の映画)

3.5

一気呵成に燃え上らない、若くないラブコメといった所だが、前半の映画趣味の世界は、なかなか粋だ。ヒロインのミニーは、どんどん映画進行に従って美しく映えて好演だった。

怪獣ゴルゴ(1959年製作の映画)

4.0

海難救助船が、子供の怪獣を捕獲し、サーカスに売り飛ばす前半からは想像出来ない位後半は飛躍し、NATOが全力で親怪獣に対し防衛するが、ロンドンが全面的に壊滅する展開だが、そのパニックシーンは秀逸で、イギ>>続きを読む

生さぬ仲(1932年製作の映画)

4.0

成瀬巳喜男監督の、遅咲きの助監督の下積み10年を経て、短篇から長編監督に移った初年度の親子の情愛を描いた佳作。ハリウッド女優で成功を収めた岡田嘉子が帰国し、ヤクザな弟分結城一朗が出迎え6年前に残した乳>>続きを読む

青春の夢いまいづこ(1932年製作の映画)

4.0

学生ロマンスを描いた小津安二郎監督の一連の作品では、「若き日」が突き抜けている。しかし、急遽早撮りで製作されたにしては、我が母校早稲田大学前パン屋娘田中絹代と早大落第生斎藤達雄の「落第はしたけれど」を>>続きを読む

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)

5.0

麻布のサラリーマン家族が郊外に引っ越し、長男菅原秀雄、次男突貫小僧の転校生が、地元の子供に喧嘩を売られ授業をサボタージュするが、酒屋の小僧小藤田正一の手を借り餓鬼大将飯島善太郎を懲らしめてそれに取って>>続きを読む

七つの海 後篇 貞操篇(1932年製作の映画)

3.5

前篇で、急死した父と発狂した姉に絶望した女が、家庭崩壊を企んでの復讐劇と、夫から貞操を守りきる執念が報われて、永遠の愛を誓った彼氏とハッピーエンドの結末は、正直、納得出来ないが、ドイツ映画の「制服の処>>続きを読む

路上の霊魂(1921年製作の映画)

4.5

小山内薫総指揮、村田実監督作品として貴重な文化財であり、日本映画の黎明を告げた歴史的傑作だ。初見は京橋フィルムセンターで、生前の牛原虚彦氏の解説を受けながらの懐かしい学生時代の思い出の一つ。また、作品>>続きを読む

その夜の妻(1930年製作の映画)

5.0

「非常線の女」と並ぶハリウッドダンディズム満点の小津安二郎監督の犯罪アクション映画の傑作。映画の看板描き夫岡田時彦は、ベッドで病に臥せる娘市村美津子の医療費金策の果てにビジネス街で拳銃強盗するが、素早>>続きを読む

東京行進曲(1929年製作の映画)

4.1

10巻物のうち31分余りではと思われたが、総集篇と見れば溝口健二監督初期を偲ぶ作品として上出来である。富裕家テニスコートに興じる息子一木礼二と親友小杉勇。テニスボール🎾が落下、下の貧しい長屋住まいの娘>>続きを読む

沓掛時次郎(1929年製作の映画)

3.5

サイレント作品としては、加藤泰版に匹敵する。

落第はしたけれど(1930年製作の映画)

4.0

生まれた時によって運、不運の分かれ目。私も一つ前に生まれて居ればバブルの恩恵を受けていた。1930年は大恐慌、卒業しても就職は無しの皮肉が主題だが、いつの時代も大学は楽しだった。斎藤達雄等のおどけたス>>続きを読む

学生ロマンス 若き日(1929年製作の映画)

5.0

アメリカナイズされた楽天的学生ラブコメディの傑作で、小津安二郎監督完全現存フィルム最古の貴重な一作。厚かましいが気風の良い二枚目結城一郎とお洒落で真面目だがドジを踏む斎藤達雄が、キュートなモダンガール>>続きを読む

朗かに歩め(1930年製作の映画)

4.5

「民衆の敵」等のアメリカ犯罪映画を模したモダニズム性の強い小津調とは異質な雰囲気のある秀作。港街の暗黒世界の顔役高田稔が、車で跳ねそうになった少女松園延子の姉川崎弘子に一目惚れして交際が始まる。「夜霧>>続きを読む

淑女と髭(1931年製作の映画)

4.5

現存しないフィルムで傑作の誉の高い「お嬢さん」のソフィスティケイテッドコメディを更にナンセンス度を加えた、北村小松脚本、小津安二郎監督、岡田時彦トリオの傑作サイレント映画。学生剣道大会祝勝で男爵家子息>>続きを読む

腰辨頑張れ(1931年製作の映画)

5.0

成瀬巳喜男監督の出世作となった記念すべき作品だが、後年の派手さを捨て去った彼の作風とは違い、フラッシュバック等映像処理の鮮烈さは、同じ短篇作品の名作「新学期・操行0」に先んじ、同年小津安二郎「東京の合>>続きを読む

番場の忠太郎 瞼の母(1931年製作の映画)

4.0

サイレント松田春翠活弁、カラー調整版で再見した稲垣浩監督の出世作で、彼の戦前名作中数少ない現存する貴重な作品。番場忠太郎片岡千恵蔵が母を探して20数年、噂を頼りに江戸に、夜鷹の老婆澤村春子から江州番場>>続きを読む

マダムと女房(1931年製作の映画)

4.5

「巴里の屋根の下」に浮かれて劇作家渡辺篤が女房田中絹代と女の子と赤ん坊を引き連れ郊外に引越し、台本作業に掛かるが色々な雑音に悩まされ捗らない志村けんがやるコントとそっくり一日。翌日、渡辺が再び張り切っ>>続きを読む

東京の合唱(コーラス)(1931年製作の映画)

5.0

小津安二郎監督の真髄を観た様な、野田高梧脚本の秀逸さと軽快でテンポ良く微笑ましくほろ苦い小市民映画の傑作。小津の前作犯罪映画「その夜の妻」から引き続き共演した、男っぽい佐分利信と軽妙で清々しい佐野周二>>続きを読む

七つの海 前篇 処女篇(1931年製作の映画)

4.0

清水宏監督の松竹蒲田サイレント映画の一本で、当時のモダニズムに溢れる好メロドラマの前篇。悲劇のヒロインに川崎弘子。それに、兄の非情な婚約者を岡譲二、弟で好青年に江川宇礼雄が対象的なキャラが立った見事な>>続きを読む

初恋問答(1950年製作の映画)

4.0

松竹の鬼才渋谷実監督作品。1950年占領期、田舎の温泉旅館から、妹の見舞いにやって来た山口淑子の姉が、掘建小屋が建ち並ぶ復興東京の下町で、麻雀狂いの居候佐分利信、金貸老婆の番頭佐野周二等とのドタバタ騒>>続きを読む

霧笛(1952年製作の映画)

4.0

明治初期、日本人ポリスも立入れ無い居留地での、怪しげで異国情緒溢れるムードが堪らない谷口千吉監督の快作。妖艶で謎めいた侍の娘を山口淑子、外国人に仕え洋行を希望する馬丁の青年を三船敏郎が好演。

誘惑(1957年製作の映画)

5.0

アクション映画全盛以前の初期日活作品群は、良作揃いだが、その中心を成した中平康監督と、彼といつも意気投合して際立つ芦川いづみに、左幸子、葉山良二、安井昌二等の野心的芸術家グループの痛快青春群像高らかに>>続きを読む

五重搭(1944年製作の映画)

3.5

花柳章太郎と森赫子のコンビと言えば、溝口の「残菊物語」にとどめを刺すが、この五所平之助の異色作も、一連の芸道物の流れをくむ宮大工職人の師弟関係を美化した力作であるが、名優柳永二郎の演技が際立っていただ>>続きを読む

思春の泉(1953年製作の映画)

4.0

宇津井健のデビュー作で、左幸子が共演した、1953年、新東宝、中川信夫監督の力作である。
草を刈る明るく聡明な娘と、馬に乗って颯爽と現れた二枚目青年をお見合いさせ、交際が順調に発展する展開に、戦後の活
>>続きを読む

悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46(2015年製作の映画)

3.5

AKB公式ライバルとして誕生した美形アイドルグループ乃木坂としてより、主力人気メンバー個々の存在感と、それぞれの深い悩みに突っ込んだ、絵空事ではない、本物の青春群像を追い掛けたドキュメンタリー映画の秀>>続きを読む

若い川の流れ(1959年製作の映画)

5.0

乳母車に始まり、本作で終了した健全な日活の田坂-裕次郎-洋次郎物のベスト作品で、戦後復興から高度経済成長初頭の時代風景と、瑞々しく、ドライな青春映画のお手本である。出来れば、最近ヒットの「君の名は」と>>続きを読む

日本の悪霊(1970年製作の映画)

4.0

未見の黒木和雄作品を遂に観れた。内容については省くが、フォークの神様岡林信康の存在感は圧倒的で、黒木のデヴュー作「とべない沈黙」から「祭りの準備」までの最盛期の中でも、いずれにも見劣らない傑作である。>>続きを読む

有難や節 あゝ有難や有難や(1961年製作の映画)

3.5

ダイヤモンドラインの一人和田耕治の代表的な作品。浜口庫之助の音楽が楽しい。かまやつひろしが奇抜。スピード感ある西河克己の演出。

|<