遊さんの映画レビュー・感想・評価

遊

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

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理想的な映画
理想的な映画は、観ている間に「映画を観ている自分」という自意識を抱かせない 眼に映像は映っているけど、頭ではぜんぜん別のことを考えている でもその考えている内容は今その映画を観ているがゆ
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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終始アイロニカルだけど思ってたよりゆるやかなコメディで、スパイク・リーが撮ってたらもっと激しく黒人へのステレオタイプ押し付けを糾弾する映画になっていたのでは?...と思うこの心理がまさに、黒人へのステ>>続きを読む

処女の泉(1960年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

祈りが通じず、不幸な出来事が起き、著しく傷つき、それでも「自分の信心が足りなかったから(間違っていたから)」と自責してしまうメンタリティ、端的に言ってDVと同じ構造に見えてしまう

でも「娘が強姦され
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ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

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「娘さんは、僕が必ず幸せに"します"」じゃなくて「僕ら、ふたりで必ず幸せに"なります"」だろうが!!!!!!!という怒りの作品

男女問わず「自分で自由に考えて選んだ人生を謳歌したい人」が主流の是(ぜ
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

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映画館で観るべきだったな〜と思いつつ、西暦10000年代で普通に西暦2000年代の英語をしゃべってることに違和感を抱いてしまい本当にもったいなかった SFでそんなこと言い出してもしょうがないのに そう>>続きを読む

ツレがうつになりまして。(2011年製作の映画)

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どう扱っても暗くかなしく重くなるであろうテーマを、巧みな(あえて、ひどくベタな)演出と演技のバランスでやわらかく、かつ不謹慎でなく描けているように感じた

作品に対する難癖ではまったくないのだけど、タ
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コックと泥棒、その妻と愛人(1989年製作の映画)

4.7

かーーー、とてもとても人に勧められる内容ではないのだが、強烈に荒れ狂っているのに精緻で、かゆいところを完璧に気持ち良く掻いてくれる、一寸も飽きのこない最高作品だった......

原色カラフルの均整で
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ケープ・フィアー(1991年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

車の下にずっと引っ付いてるの、恐怖と笑いは紙一重だなと実感せざるを得ない 笑ってはいけないとかでありそうだもん

ザ・キラー(2023年製作の映画)

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ずっと主人公のモノローグで進むのに、その主人公が他人と対峙するとき基本めちゃくちゃ話通じない人なのが笑けた

プリシラ(2023年製作の映画)

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精神的に未熟だった頃の、その時は深く愛して身を捧げていると思っていたけれど、あとから思えば深く考えられずに自分の尊厳を明け渡してしまっていたような恋愛 その経験と記憶は、真っ黒に塗りつぶして否定すべき>>続きを読む

レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

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完全にnot for me アクションに興味が無さすぎる 寝ようと思って寝た

フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

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オッペンハイマーより追いつけなかった 2回目なのにね
でもやっぱ、撮影も編集も自主制作の粗さでプンプン(擬音合ってる?)なのに作家性一本で価値のある作品に押し上げられていることがひしひしと感じられて頼
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

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そう、その「美しい物語の中で、自分はいま邪魔者役だ」と思わずにいられない、その彼の心情と表情を描いてほしかったんだ、それが観たかったんだ、観させてくれてありがとう

愛するひとをひとりだけ選ぶことにど
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

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多感な時期の"世界への不信と絶望"を破壊兵器的なメタファーで表現する作品はもうエヴァとフリクリで充分楽しませていただきましたが...と思ったけど、伝染病と戦争をリアルタイムで経験している(戦争は今に始>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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結論ありきで過酷な追及を受けるオッペンハイマーがだんだんジャンヌダルクに見えてくる、ノーランによる"裁かるるオッピー"?と思いつつ GIFTを授かった人間の背負う業、というテーマはもろ『風立ちぬ』だな>>続きを読む

アフター・アワーズ(1985年製作の映画)

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ひさびさに家で映画観た

なんか「ボーはおそれている」に似てるな、参考にしたのかなと思ってググったらまさにそうで、ちょうど良いタイミングで観られてよかったなと思った次の瞬間、そういえばボーはおそれてい
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それぞれのシネマ 〜カンヌ国際映画祭60回記念製作映画〜(2007年製作の映画)

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監督たち集めて「映画館」をテーマに3分の映画つくれって言うもんだから、それぞれの作品内に登場する映画館で《なんの映画が流れてるか大喜利》になりかけている 北野武やトリアーは自作を流す安牌チョイスだった>>続きを読む

美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

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ひさしぶりにほぼまったくハマれない映画だった 肉体美というものにまったく興味がないのかも☺️

ひとつ前に観た映画の余韻で書くからこの映画とはたぶん全然関係ないんだけど、やっぱり「みんなが言ってる」「
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愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)

4.7

分厚い、分厚い映画
水曜の朝観て、今日の朝2回目観た また観たい
288分版もあるのかよ それも観たい

人生の悲喜と、音楽の力 分け隔てのないエンパワーメント
おれの国立フィルム保存簿が発足した場合
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ZOO(1985年製作の映画)

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登場人物全員が自分の狂いを社会の中でどう擬態させるかなんてまったく考えてなくて、ただただ「どうすれば満たされるか」の方法について試行錯誤し、それらの行動の積み重ねがひとつの物語になっているのが(あとか>>続きを読む

季節のはざまで デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

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ノスタルジア 4K修復版 を観に来た人が間違えてこの映画観始めちゃっても最後まで気づかない

トア(1949年製作の映画)

4.7

「恋人と大喧嘩の末に別れた劇作家が、その経験をもとに自分が主演をつとめる新作の戯曲を執筆した。上演初日、幕が上がると客席に別れた恋人が居て、舞台に立つ劇作家本人に『私たちのプライベートを切り売りするの>>続きを読む

神の道化師、フランチェスコ デジタル・リマスター版(1950年製作の映画)

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ふだんから「どういう瞬間に幸せを感じるの?」「どうすれば他人を踏み台にせずに自分で自分の充足を得られるの?」みたいなことばかり考えるし、ひととはそういうことばかり話したいので(みんな初対面の飲み会とか>>続きを読む

幸運を!(1935年製作の映画)

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あまりにも簡単に、躊躇なく、荒唐無稽に幸せになっていくギトリ映画
現実で新婚ホヤホヤの監督と女優による公然イチャイチャムービーなのにまったく悪い気しない よかったね、って キムミニ主演でホンサンスも
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カントナックの財宝(1950年製作の映画)

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ずっとナレーションが入り続けるのにうるささも違和感もない、という点でスコセッシを思い出した
ギトリの森のシルバニアファミリー
ギトリ専用ミニシアターつくってくれんかなあ、誰か クラファンあったら支援
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

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観る前に、ご飯おかわり自由の飲食店に入ってしまったことが明確な敗因 一生同じ過ちを繰り返す伝説の血糖値スパイカー こと 遊

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

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自分のことでいっぱいいっぱいになって周りの人のことを慮れない状態にはなりたくない、そんな状態になってまで取り組まなきゃいけないことって本当にある?というマインドをなるべく忘れないようにして いつも余裕>>続きを読む

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

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名作とか傑作って単語は簡単に使わないようにしているのだが、これはもう......2時間の中に脚本のダレも不自然さもなく、メッセージは端的にがっしりと据えられて、主要人物5人、テルマ・ルイーズ・JD・ハ>>続きを読む

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

スポーツを題材にしたうえで「勝つこと」よりも「生活の幸せ」を優先する人々を描くのはめちゃくちゃ興味深いんだけど、それゆえにラストで「彼らはそれ以降いちども最下位に落ちていない」と締められたのが少し悲し>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ウェルメイドな法廷劇だと思うけど、パルム・ドール作品には勝手に「観てると胸がザワザワして、未知の世界に連れていかれる/自分の中にあったけど、見て見ぬ振りをしてきた感情に向き合わさせられる」というかなり>>続きを読む

ひなぎく(1966年製作の映画)

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マスキュリニティを構成する主要素のひとつに「合理性」があって、「合理的だから正しい」を根幹に置いた「合理的な社会」=「男性社会」が形成されて、そこでは「非合理的なもの」≒「感情」は、「女性的」で「無価>>続きを読む

ミカエル(1924年製作の映画)

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ドライヤーを全部観ないと映画を語っちゃいけないって蓮實が言ってるの、権威ジジイの過言だなあと思ってたけど 最近ほんとにそうかもなって....クヤシイ

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

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クジラもプリンスも突然の暴動も、「全然わからないけどなんかドキドキワクワクする」「全然わからないけどなんかめちゃくちゃ怖い」みたいな、世界に対する解像度が低いけど感情の振れ幅は大きかった6,7歳くらい>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

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ロック、ストック〜とスナッチがあまりにも個性あるエンタメとして確立しきっていたゆえに、それ以降も「みんなから求められるもの」がはっきりしすぎているガイリッチー、ここ数年で「おれはいろんなことができて、>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

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冒頭からさすがにちょっとアピチャッポンすぎると思いつつも、帰りの電車ミスって朝まで街をうろつかなきゃいけないという状況はいかにもミニシアター映画の趣で良いよねとノレそうな手応えを感じてたらそのまま入眠>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

移動映画館、スクリーンのこちらとあちらの被膜虚実、父を探すこと、自分を探すこと、"アナ" 自分の(ものすごく少ない)フィルモグラフィを前フリにして、数十年ごしにぜんぶ回収する長編を完成させるのあこが>>続きを読む

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