レインウォッチャーさんの映画レビュー・感想・評価

レインウォッチャー

レインウォッチャー

壁の向こうのあなた(2024年製作の映画)

3.0

壁激薄アパートでピアニストを目指すガールの隣人は、騒音NGの繊細引きこもりボーイ。…イイ!着眼点は。(倒置法)

スペインらしく明るい甘辛なカラーパレットが映えるインテリア、ぶきっちょさがチャーミング
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

4.0

記憶や想い出が、《色》つきで保存されていることってないだろうか。
鍵盤ハーモニカのドレミについていたシール。アルファベットのパズル。《ド》は赤で、《J》は緑?

なんでも、世の中には音を聴けば実際に色
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マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

3.5

年代、性別、貧/富(※1)、地元民/移住者、陽キャ/陰キャ、さまざまな境界を越える奇縁友情譚。これは案外、パワーバランス等のチューニングをいじくれば『カラオケ行こ!』に近かったりして(特に序盤)。>>続きを読む

イリュージョニスト(2010年製作の映画)

3.5

変わってゆくものと変わらないもの。
その両方を見つめたとき、ふたつを結び付けるものを魔法と呼ぶことに気付くのだろう。

あなたに降る夢(1994年製作の映画)

3.5

「奇跡は、たまーに起こるのです」。

一枚の当たりくじによって結びついたふたり。しかし、宝くじはあくまでも天使が背中を一押しするきっかけの一つであって、その前にちゃんと彼は彼女を、彼女は彼を見つめてい
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劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

4.0

烏野VS音駒、因縁・念願・眼光炯炯の一試合。

90分の中に詰め込まれ展開する一挙手一投足が彼らのこれまでの物語を語り、敵も味方もなく引き込まれる。
むしろ今作の主の視点は音駒側(研磨・黒尾)にあると
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プリシラ(2023年製作の映画)

3.5

四捨五入すると『マリー・アントワネット"2"』。

プリシラがエルヴィスと出会ったのはアントワネットが嫁いだのと同じ14歳、グレースランドはヴェルサイユ、閉塞と退屈の捌け口としての放蕩、そしてやがては
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The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ(2017年製作の映画)

3.5

南北戦争時代のアメリカ南部、森の小さな女学院に、ひとりの負傷兵が運び込まれる。斯くして秘密の園の均衡はぐらつき、崩れていく…

まあ案の定、という流れではありつつ、密室空間のパワーバランス変化が味わえ
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ブリングリング(2013年製作の映画)

2.5

…ほ、ぼ、無味無臭!

実在したセレブ宅専門の空き巣グループ、《ブリングリング》の顛末が語られるクライム×青春モノ。

空疎で短絡的な物欲・承認欲から窃盗行為が明らかな時限爆弾的にエスカレートしていく
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

あのぅ、これは大暴投であることを承知なのですけれど…もしかしてクリストファー・ノーランさんって、『オッペンハイマー』に向いてなくない…っすか?

さてまず初めに、この評価は「ヒロシマ・ナガサキ描写がヌ
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マリー・アントワネット(2006年製作の映画)

3.5

ごっどせーぶざ…?

S・コッポラ監督の長編3作目は、なんと歴史モノだった。
『VS』『LIT』(※1)と、どちらかといえば小作りでインディー感の強い作家だったのが、ここに来て伝記、しかもヴェルサイユ
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

4.0

「悪魔に眉毛を売り渡した女」ことミア・ゴス怪進撃、間違いなく今年の《ごきげん枠》です。やったぜ。

やっぱりわたしの映画ライフにはエログロが必要なんだと強く再認識すると同時に、エロandグロでもエロo
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ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

4.0

『Translation』の捉え方によって、いくつかの解釈ができるタイトルだと思った。

まずひとつは『翻訳』の意で、タイトルは『翻訳の過程で失われてしまったもの』ってニュアンスになる。これはそのまま
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.0

『恋はデジャ・ヴ』に『バタフライ・エフェクト』…例を挙げると切りがないほど、「もしもあのときこうしていたら」を題材にした恋愛映画は数多ある。

というかそもそも恋愛ものに限らず、映画それ自体が様々な《
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ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)

3.5

「先生は十三歳の女の子だったことはなかったでしょ」

このセシリアの言葉が、今作のすべてを表している。
彼女は自ら命を絶ち、やがては4人の姉たちも後を追うことになるわけだけれど、その直因は最後まで明ら
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ポップスが最高に輝いた夜(2024年製作の映画)

4.0

遠い昔、あらゆる人間の髪型がフワフワだった銀河系で…

世紀の名曲『We Are the World』誕生のとき、そこで何が起こっていたのか。名実共に中心人物であったL・リッチーを軸に、その(What
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.5

「ちょっと君、教会建ててきて。アイスランドに」
「…おかのした」

というわけで、大ブラック無茶振りを食らった若神父が孤独地獄旅へどんぶらこ。その先で今作が描き出すのは、あらゆる争いが起こる本質ともい
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猫とピットブル/キットブル(2019年製作の映画)

3.5

ねこといぬ、ひとりぼっち同士の出会い。

特にねこの方はかなり見た目がディフォルメされてるのだけれど、おうちにn家主(ニャぬし)がいる等ねこ解像度が高い人であれば、細かい仕草の再現度に気がつくことだろ
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暗殺の森(1970年製作の映画)

4.5

哲学とハサミは使いよう。

…しかしなんて美しい映画なんだ。美しい、ってのはワードとしてちょっと大きすぎる気がして普段あまり使いたくないのだけれど、ここまで極まってたら致し方ないんじゃあないか。ベルト
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ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

3.0

たとえるなら、これは欲張って盛りすぎたバイキングのプレートである。
やめとけって言ったのに案の定食べきれず、ほらどの料理も「冷めて」しもたやんかええ加減にしときや。

つまりなにがマズかったかってーと
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劇場版 名探偵ホームズ デジタルリマスター版(1984年製作の映画)

4.0

Filmarks企画の40周年デジタルリマスター!スクリーンにでかでかと『Filmarks』のロゴと文字、なんだか妙に感慨深かったな。

このシリーズ、認知はしていたもののアニメ体験としては記憶の限り
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ふたりの女、ひとつの宿命(1980年製作の映画)

4.0

おやおやこれはまさか、《パワーバランスが変わってゆく映画》と《誰かが段々おかしくなる映画》のハイブリッドじゃあないか。つまりわたしにとってはあいがけカレーでありエビフライのせカツ丼。Hoo!

WWI
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ドント・クライ プリティ・ガールズ!(1970年製作の映画)

3.0

ハンガリーにも、ロックと共にヒッピーカルチャーの波は届いていたのか。ただ、当時はソ連の占領下ということもあってか、享楽的な解放感には至りきっていないように見える…というか、少なくともそのように巧く切り>>続きを読む

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)

3.0

ある四月の朝、藤代(佐藤健)のもとから、結婚目前だったはずの弥生(長澤まさみ)が前触れなく姿を消す。学生時代の恋人・春(森七菜)から10年振りに届いた手紙と、何か関係が…?わからないまま、ひとり残され>>続きを読む

プリティ・ブライド(1999年製作の映画)

4.0

「俺以外誰が褒めるんだ」系映画。

有権者の皆様にまずお伝えするべきは、かの『プリティ・ウーマン(以下PW)』からは完全独立した一本ということであります。勿論、このレジェンド主演2人+監督も同じという
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プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)

3.5

ここ数年、定期的に「ごはんは男が奢るべきか」「初デートでサイゼはアリか」みたいな類の論争が浮上してる気がするのだけれど、あれって「『プリティ・ウーマン』観なはれ」で即終了する話じゃあないんでしょうか。>>続きを読む

ケロッグ博士(1994年製作の映画)

3.0

現代社会で結局「売れる」話題といえば、《金儲け》《恋愛(性)》、そして《健康》なのだそう。
どれもがインスタントな欲で釣るものであり、中でも《健康》は科学の常識(エビデンス)が置き換わってゆくことでみ
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

DUuuuuuuuNE.

なるほどわかった。こいつは映画じゃない。「風呂だ」。
なぜなら、映画なら「観る」「聴く」ものだけれど、これはどう考えても「浴びる」「浸かる」ものだからである。もっと言うと砂
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心と体と(2017年製作の映画)

4.0

同じ夢を介して交わる二つの孤独な魂。

映画の中で起こるマジックやファンタジーには、愛を助けることはできても叶えることはできない。最後には、自分の言葉で伝えなくっちゃ。
当たり前ながら、そんなことを思
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blue(2001年製作の映画)

3.5

人の心がこわいのは、髪が交差するほど近くに居ても目に視えないからだ。わたしの好きとあなたの好き、それぞれが胸に映すそれぞれ、同じだけの強さと色なのか、わからない。
だから水面に辿り着きさえしなかった無
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DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

4.0

突然ながら、まずはクイズから。
犬が3つ集まった珍漢字、《猋》。これ、何と読むでしょう?

…チッチッチ…ワン !!!

正解は「つむじかぜ(ヒョウ)」。犬の群れが走り回る様からの連想だろうか。
そこ
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ANNA/アナ(2019年製作の映画)

3.0

おおむね『ニキータ2:ロシアより愛を(マトリョーシカに)こめて』。

LUCY/ルーシー(2014年製作の映画)

3.5

超展開に超展開が地層くらい重なると、「そうはならんやろ……と・も・言い切れない!」(CV.松陰寺太勇)てなることを知った。

ヒトが普段使える脳の領域は10%、もしもそれが100%に到達したら?
そん
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