かなみさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

かなみ

かなみ

映画(198)
ドラマ(0)
アニメ(25)

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

序盤から中盤が最高にかっこいい。
原爆という人間には大きすぎたエネルギーの質量そのものは、人の行動力にまったく釣り合っていないものだ。ロマンスとカタルシスでは覆えないほどに男は疾走し暴走し、果てには無
>>続きを読む

青春の殺人者(1976年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

親離れ、そして女からも逃げても、男は結局自分の行く場所を知らないまま。希望も未来も与えられなかった男のカタルシス 大切なモンは全部過去にしか無かった。
どうしようも無いほどの悲劇、両親の殺人は気持ちの
>>続きを読む

泥の河(1981年製作の映画)

4.0

子供に押し寄せるにはあまりにも強大な試練、しかしそのすべての問題の重大さに子供ゆえ気づくことは無い。

映画は強烈な死のイメージから始まる。戦争が人の命をいつまでも追い奪い取っていく。きっちゃんが忠実
>>続きを読む

欲望の翼(1990年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

感情的な酷いひとばかりだった。
人間性がみんないまいち掴みきれないままメロドラマ的で劇的な展開をされてもどんどん冷めていくだけで、ずっと作品の外縁から何となく見てる感じ。

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

キャラクター性の位相の目まぐるしい転換。観客と演者の板挟みの中で純粋な問題が次々と浮上しては映画を汚していく。この上なくみっともなく、この上なくあるがままで、ひたすらに体のうちが崩されていく感覚が鑑賞>>続きを読む

8 1/2(1963年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

フェリーニの圧倒的な幻想が目まぐるしく、時に軽やかに華々しく、シニカルに毒々しく映画という表現の中で瑞々しく描き出される。
グイドは他者を拒絶し内世界的で閉鎖的なアートに篭ろうとするが、その実作り上げ
>>続きを読む

鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)

3.4

意味わかんねー!
エキセントリックでメカニカルでジャンキーなこの煩雑な感じ日本のサイコなエンタメ描写にすごく通底してると思う。自主制作映画ならではのやり放題感が個人的には合わなかった。
コマ撮り描写を
>>続きを読む

欲望(1966年製作の映画)

4.0

虚構と現実の背反、欲望のままに生きる。
写真は撮影者の主観の世界。そこに映るのは真実だとは言いきれない。被写体にあらゆる言葉を投げかけ望む姿をトリミングしようとするカメラマン。あるがままの風景や自然は
>>続きを読む

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

3.8

戦場での死というのが嫌という程リアルに叩き込まれる。軍人たちの劇的なバックグラウンドやドラマを丁寧に描くのではなく、あくまでその場その場のあっけなく終わる命を強烈に描写する。戦場へのイリュージョン。>>続きを読む

戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

3.8

虐殺シーンのモンタージュ凄まじい。画面の作り方も、モティーフを上手く使ってる。

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

3.9

すごい映画だった。初アニエスヴァルダ
人々に対する愛しいまなざしと同時に、都会や社会という集合体の中で生きるということの蒙昧さを冷酷に見ている。
奇術に騙されて娯楽を享受し、それで終われば人生なんてよ
>>続きを読む

大いなる幻影(1937年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

最高に愉快で優雅でシニカル、見ていて楽しい映画。脱獄の話がほとんどのストーリーだがそれ以上に滲む人生賛歌と反戦争の要素が上手く表現される。当時の社会思想が程よく風刺されている。
ジャン・ルノワールのこ
>>続きを読む

(1955年製作の映画)

3.7

牧歌的な田舎の風景が詐欺行為で華々しい生活を手にする男たちの滑稽さを助長する。
どこまでもシニカルだが品がある。自由で華があり開放的なパーティーのシーン、女性の豊かで美しいボディラインがなんとも魅惑的
>>続きを読む

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

4.2

予言という蜘蛛の巣に絡め取られる。

黒澤明がいかに唯一無二の天才であるか知らしめる作品。黒澤明は日本版マクベスを完全なる形で作り上げた。
凄まじい気迫、画面の力強さたるや、能面の芸術としての性質を完
>>続きを読む

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ストーリーの行き当たりばったり感が勿体なく感じた。しかしシーンやショットの単位で見ればどこまでも惹き込まれる美しさ。色相が素晴らしい。作品からはアジア特有のスパイシーで湿った空気感がする。

哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

曇天に包まれた世界

トリスターナにおける白い服とと黒い服の対比は顕著である。無垢で清純、神格的な姿を形作る白。彼女自身の自我、自由意志の黒、そして彼女の性的な要素を象ったブラウン。
映画の前半はトリ
>>続きを読む

理由なき反抗(1955年製作の映画)

3.6

周りに許容されないジェイミー。
子供から見た両親のエゴの残酷さや、若さゆえの蒙昧で内省的な享楽に身をやつしてしまう愚かさ。何故理由がないのか、それは未来を見据えない「明日は死んでしまうかもしれないから
>>続きを読む

一晩中(1982年製作の映画)

3.7

夜の徹底したコントラストの描写は男女の深い抱擁を照らしだす。観客はあくまで舞台装置としての定点カメラでしか彼らを見ることは許されない。暗い夜に消えてゆく人々にに置いてかれるばかりである。

ピクニック(1936年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

都会と田舎の滑稽さが交互に浮上する。華やかで軽やかで優雅にも見えるが常に蒙昧で浮かれているさまが鼻につく。田舎者は無知で勝手だ。
草むらの自由で自然的なさまや、都会から来た家族の華美で放恣な様子、絵画
>>続きを読む

女は女である(1961年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

放恣で直截的なアンナ・カリーナの軽やかさとゴダールの自由なアーティスト性が、いつまでも永遠に朽ちることのないシネマという形の中でミュージカルを作り上げている。なんてフェティッシュな作品なんだ。
ブツ切
>>続きを読む

女が階段を上る時(1960年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

幻惑的で酩酊感漂う世界
旦那の骨壷に手紙と写真を入れた女の、毅然としていて気品に満ちた淑女のその姿が惨めで淋しくて切なく瓦解していく。鬱陶しいと引きばかすことも可哀想だと同情を寄せることもはばかられる
>>続きを読む

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

邦画って感じの東京の湿度と長たらしいセリフ
文学まがいで叙情的すぎるクサいセリフもこの映画の中だからこそ悪く働かず成立していた。一見斜に構えているようにも見えるけど馬鹿で寂しがりなだけの登場人物たちが
>>続きを読む