マチさんの映画レビュー・感想・評価

マチ

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ハニーレモンソーダ(2021年製作の映画)

2.5

少女漫画は感情描写が多く、登場人物に入りこまないと読み解けない濃縮した作りになっている。それを120分以内にまとめあげるために少女漫画原作モノは本筋の展開が速くなりがちである。

本作はそのなかでもと
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3年目のデビュー(2020年製作の映画)

2.9

映像作品としては平凡に感じた。
しかしこの二時間のあいだに顔の識別もできただけでなく、すっかり彼女たちに惹かれてしまっていた。

男性グループは年齢を重ねても活躍し続けるけど、女性グループの場合、卒業
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哀愁しんでれら(2021年製作の映画)

3.2

積み重ねがしっかりしていたこともあり、ダレずに最後まで飽きずに楽しめた。
あおりを生かした画作りも、照明や美術の工夫も効果的、且つしつこくなかったため、とても仕上がりは見やすい。

被害者のようで加害
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いとみち(2020年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

設定、舞台からほのぼのしたNHKドラマ的な印象を受ける一方で、照明や構図は実に映画的な作りでカッコいい作品。
暗がりで三味線を弾くいとの顔がテレビドラマのようにはっきりと見えなかったのがよい。内面を観
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おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)

4.1

大人になりたい雪、成長したい雨。
子育ては大変だけど、親の営みとして独占できるものではない。少しずつ少しずつ離れていってしまう。その戸惑いと喜びがよく描けている。

育休中に繰り返し借りてみた作品で思
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Arc アーク(2021年製作の映画)

3.9

舞台装置の至るところにメタファーを散りばめ、圧倒的な画の説得力で語られる女性の一代記。

不老不死を得た彼女は、生まれ変わって再びめぐり逢うことのできない、ある意味永遠に続く「別れ」を生きなければなら
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1秒先の彼女(2020年製作の映画)

3.6

手紙、写真、路線バスなどの道具立てから、DJモザイク、海辺のタイタニックごっこなどの演出までが「昔の映画?」っていうくらいにベタ。
ベタをベタとわかっていながら、あえてベタのままやり切ってしまうところ
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猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

人物造形が好きな作品。どの人物も現実的で具体的で抽象的で記号的である。

「田中ユカ」は割とどこにでもいる女の子だ。
似た人はたくさん思いつくし、ある時期のわたしにも似ている。
背伸びをしてたら、着地
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

3.4

編集と劇伴にライドする視座に切り替えれば、堪らない高揚感が得られた。

やや不満な展開と設定がノイズになることもあったが、おおむね満足な鑑賞だった。
うまくニュアンスを伝えられないが音楽鑑賞に近い体験
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グーニーズ(1985年製作の映画)

4.1

正論との「答えあわせ思考」をしなければ、映画につまった夢や魔法をたくさん受けとれるジュブナイル映画の傑作。

作り手はおそらく、純真な心を持つ観客が楽しむためなら湿気ていたはずであろうダイナマイトさえ
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まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

3.4

「普通」でない成田凌の仕上がりがまず良い。かなり推進力のある演技で、どこにでもいそうでありながら「こんな人どこにもいないよ!」な加減がエンタメとして楽しい。

経験値はないのに「普通」を説く、背伸びす
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二重のまち/交代地のうたを編む(2019年製作の映画)

3.7

震災の起こった「事実」を語るのは安易でも、被災者たちの「真実」に触れてしまったとき、言葉には戸惑いが生じる。

劇中に登場する若者たちは、受け取った「真実」たちに言葉を失う。自分を介して発する言葉が、
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スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

3.0

こどもの頃金曜ロードショーでみてから、数十年ぶりに金曜ロードショーで見直した。

正直な気持ちをいうと、誰もが思い当たりそうなノスタルジーな気分や景色を流す雰囲気系映画だと思っている。

それぞれの人
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カランコエの花(2016年製作の映画)

3.8

社会の座標軸に縛られずに、すべての人が一個人として認められるには、誰が、何を、どうしたらいいのだろうか。

おそらくこのような問題に、最も適しているのは政治よりも文化かもしれない。フィクションの力かも
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激動の昭和史 沖縄決戦(1971年製作の映画)

3.7

終盤の畳み掛けや、時折見られる省略した見せ方などは実に映画的。丹波哲郎はじめとする俳優の実存感にも演出が行き届いている

ランブラーズ2(2021年製作の映画)

3.5

「リアリズムの宿」から変わらないオフビートの心地よさ。
人との別れも悲しいことばかりではない、そう思わせてくれる秀作。家出娘の後日談も気になるので、さらなる続編希望。

すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.3

・人生の大半を刑務所で過ごした元ヤクザは、自転車を買い与えられると、手を振りクルクルするのか。
・身内が警察に囲まれているときに、草葉からひょっこり現れて危険を知らせようとするだろうか。
・六角精児の
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おもいで写眞(2021年製作の映画)

3.7

作中の高齢者が抱く思い出のなかに、事実と食い違うものが出てくる。
人はときに「事実」よりも、自分のなかの「真実」を糧にする。
その矛盾が、嘘を許せない主人公の現在・未来に影響を与える。

エピソードの
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

作品を好きになるのに、ストーリーがもっとも重要とは思わない。
ましてやジャンル、出演者でもない。
構造体として楽しんでいるところがある。色、かたち、骨組み等を吟味している。

好きなストーリーではある
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樹海村(2021年製作の映画)

2.1

このレビューはネタバレを含みます

理由がわからないシーンが3つ、4つくらいはあった。

安達祐実さんの指が切れて、樹海村のみなさんが歓声をあげていたけど、何かいいことあったのか。

最後、響が取り込まれていったときに荘厳な音楽がかかっ
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パラサイト 半地下の家族 (モノクロVer.)(2019年製作の映画)

3.6

格差社会に対する問題定義をふくみ、名だたる映画賞を席捲した世界中で知らない人がいないんじゃないかってくらい有名な作品。
はじめてモノクロバージョンを鑑賞した。

個人的にはポン・ジュノの、少しだけチー
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

3.8

シン・エヴァ公開のために見返し。
はっきり言って正確に理解できていない。にもかかわらず、硬質でかっこいいと思わせる作品。ドキッとするショットや演出が多数ある。その意味ではノーランの「TENET テネッ
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

3.3

シン・エヴァ公開のために見返し。
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」を見てからアニメ全話を制覇してはじめて劇場で観たエヴァンゲリオン。少しエヴァについての見識が芽生えた自分にとっては、ラブコメ要素が強め
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

3.2

私にとってはじめてのエヴァンゲリオン。シン・エヴァ公開のため見返したのに、延期のニュースは本当に残念。
当時本当に内容を理解できていたのか、というくらいダイジェスト感の強い構成。このあとにアニメシリー
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PARKS パークス(2016年製作の映画)

3.3

個人的に前半のジャンプカットが映画のなかを流れる時間よりも飛ばしすぎに感じた。作為的に見えた分、観る側の対象を掴む力に制限を与えている印象があった(次作の「ジオラマボーイ・パノラマガール」はカットと事>>続きを読む

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

3.9

煉獄さんと猗窩座のシーンはグッときた。猗窩座の問いに答えることで引き出される煉獄さんの名言の数々。
時代設定は大正だけれど、神話のようだと思った。
旧約聖書の「人はパンのみにて生きるにあらず」みたいだ
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私をくいとめて(2020年製作の映画)

2.8

みつ子を演じる能年玲奈さんの仕草、声色、表情があまりにも魅力的。こんな同僚や後輩がいたら仕事そっちのけでずっとかまっていたい。どんな事情があったにせよ、あの宝石のようにキラキラな瞳を観客から遠ざけてい>>続きを読む

タイトル、拒絶(2019年製作の映画)

3.4

タイトルに「タイトル、拒絶」とつける自意識には最初から抵抗があったが、それ以上に不安だったのは予告にあった独白部分である。
「私の人生、クソみたいなもんだと思うんですよね」
「不特定多数のベーシックス
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

3.7

高校時代を過ごした友人達のライフステージが就職、結婚、出産、と変化していた頃、佐々木は高校の頃と変わらずバッティングセンターに通い、ついにはホームラン記録を作るまでになっていた。

それは様々なものを
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旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

 テレビ番組制作のため、ウズベキスタンを訪れロケを行う撮影クルーとリポーターの前田敦子演じる葉子。期待した幻の怪魚は見つからず、尺も足りないために、現地の大衆食堂、現地の小さな遊園地、と次々に(おそら>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

黒沢監督のフィルモグラフィーは「夫婦」という単位と、その関係性に関心を持つものが多い。
本作の時代は太平洋戦争前夜ではあるが、戦争をともに生きた夫婦の絆を描いた作品でもなければ、スパイ容疑をかけられた
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

2.6

このレビューはネタバレを含みます

一果と凪沙が同じ画面に収まらないで分離したまま終わった感。

服部樹咲のこの映画での被写体としての存在は本当に素晴らしい。撮影者には新人俳優が演技を覚えていくうちに生じる変化や眩しいダンスに心を奪われ
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