TaTuminさんの映画レビュー・感想・評価

TaTumin

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ペイン・アンド・グローリー(2019年製作の映画)

3.0

若い日に、
ベルトリッチは基準を与えてくれた。
ペドロ・アルモドバルは故郷に踏みとどまることを余儀なくさせる。もどかしさは否めないが、それなりに平穏で、安定している。

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)

3.5

現実のおぞましさが人の心に拭いがたい痕跡を残しつづける一方で、こうした映画があることを考えずにはいられない。今も、この映画が物語るいくつかの破局と幸福な幻想に、苛立ちを禁じえない人がいる。また別の場所>>続きを読む

山猫(1963年製作の映画)

4.0

なんとなくつけたテレビの画面に流れてきたのでなんとなく目をやって、終わりまで見てしまった。
この名匠の作品は今日までまともに見た記憶がない。昔『ベニスに死す』を見ているはずだが、そんな記憶はお構いなし
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シルビアのいる街で(2007年製作の映画)

3.5

東京で一人のエトランゼであれば、私も彼のような「ストーカー」でありつづけられるかな。それでも6年後の彼と同じように父親の視線でさまようことになるだろうから、そうなったら、きっとここでは救われないな。>>続きを読む

ニーチェの馬(2011年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

《朝はやがて
夜に変わり
夜にはいつか終わりが来る》

昨日の朝3分の2を見て、
今日の明け方終わりまで。
昨日の朝飲んだコーヒーは軽かった。味気ないくらい澄んでた。キリマンジャロブレンドのドリップバ
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.0

「世界の中心」が周到に省かれている。私の目には馴染みがない。ただし真実だけが描かれていない物語を見ても衝撃はさほど感じない。実世界で、真実だけがくりぬかれて見える目のことを知っている。描かれていない真>>続きを読む

アンダー・ハー・マウス(2016年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

Favorite Scene

○トロントのゲームセンター(夜)

バーカウンターの隅で向かいあわせに座るダラス、ジャスミン。

ダラス「バリバリの編集者なんだっけ?」
ジャスミン「バリバリじゃない」
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彼女の人生は間違いじゃない(2017年製作の映画)

3.0

後部座席でやっと一息ついてる彼女の顔がハイライト。

波は一つの恋も攫ったろう。
週末のたびに、彼女はありふれた暴力の危険に身をささげ、窓越しに私たちを見ていた。

奇妙なことに、扉一つ隔てて私たちは
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未来よ こんにちは(2016年製作の映画)

3.5

あなたほどには人生を知らないとはいえ、他人事には思えない。
でも、決してアウフヘーベンなどではないけれど、いかにも高級な、キャンディの包み紙のような装丁を提案できるほどの柔軟性はまだある。そして誰かが
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ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)

3.0

夢のような現実をひっくり返した世界の断片をきれいに組み合わせてできてる。
ここまで振り切れてれば潔く、ギルバート・グレイプのようなかわいい友人と出会う旅にもでたくなる。徒歩で。鉄道で。また徒歩で。バス
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ビフォア・ザ・レイン(1994年製作の映画)

3.0

《時は死なず、巡ることなし》

冬よ、さらば……
巡ることなく
春よ……
夏よ……秋よ……
巡ることなく
それでくたばらなけりゃ天国だ……
天国よ、さらば……
あゝ地獄よ……
巡ることなく
生まれた街
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ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

4.0

目が覚めて一本目のタバコが消える、それから、恐怖がやってきた。
死はいつになく謎めいており、いつになく確かなものとして私をとらえ、強烈な反復そのもので、私の「世界」をもう一度深い闇にひきずりこもうとし
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マグダレンの祈り(2002年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

《突き出てるもんはもげるんだよ!》
《煙突じゃないのよ!》

この作品には「ちょっとエッチで思わずクスッとできる独特のユーモア」がある。

でも彼女のいる場所のことが見当つくなら、止めた車に乗らない理
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(2017年製作の映画)

3.0

なにも変えずになにかが変わる時、
乗り越えがたく不透明な壁の手前で私たちが簡単に身をすくめて諦めてしまう一方で、この映画の登場人物たちが静かに息をきらせて示すように、誰かが人知れず命をかけて自分の夢の
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ポーラX(1999年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

それから、あなたが見たという新しい映画の話、聞かせてほしい。わからなくても偽らないで、あなたのことを。私を信じて。その自伝はやがて激しい愛に変わる。静かな愛に。
この映画が人目を避けて存在せず、怪しげ
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ミスター・ロンリー(2007年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

何の気なしに見たけど、前回見た映画と次回見る予定の映画の監督が出演してた。
こういうのでいいの、ちょっとした奇跡みたいなこと。
ドラマは素敵だった。首吊りの木の歌が象徴的に使われてる。
エンディングの
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小人の饗宴(1970年製作の映画)

2.5

あなたの小さな恋人たちは誰一人ジェダイではないのになぜかみなフォースとともにある。それは冗談だけど、あなたはいつも彼らのような恋人たちのすぐそばにいて、彼らを彼らの敵から守ることを自分に課している。だ>>続きを読む

さようなら(2015年製作の映画)

3.0

私たちの国のようでもあり、
そうではないようでもありながら、
かつて未曾有の危機に襲われた
私たちの世界の片隅で、彼女たちは生きていた。
想いの箍がはずれ、枯草のような時、
愁いも希望もなく、
今、た
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愛の嵐(1973年製作の映画)

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インスタントコーヒーと、聖書の話です。
嵐とともに行方知れずになった一組の男女がいて、共感以外の術も持たないのに、嵐のあと残される私たちはいつも各々の言葉で彼らを理解せずにはいられない、彼らを誤解せず
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グランドフィナーレ(2015年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

違う。女は何も言わない。男だけが語る。フレッドが。
彼は言う。“彼らは知らない”
“彼らは私の慄きを知らない”
“舞台に立つ君を初めて見た時の
恋に落ちた私を見て楽団員は笑っていた”
“私の意外な脆さ
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