真魚八重子さんの映画レビュー・感想・評価 - 26ページ目

真魚八重子

真魚八重子

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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

2.0

不思議な現象に意味がない。勝手に宗教的意味合いが受け取れてしまうだけの作品。

アート映画ではないのに不必要なまでに静謐、大半を占める風景ショットで仕上げたホラー映画が増えてきている印象だけど、なんだ
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殺し屋たちの挽歌(1984年製作の映画)

3.0

パコ・デ・ルシアの「さあスパニッシュギター界の大御所のお出ましだ!」という音楽の使い方がうるさいうるさい。

スティーブン・フリアーズは不思議と波長が合わない。これも気取ってるなアと感じてしまう。『プ
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女子高生に殺されたい(2022年製作の映画)

4.5

美しかった。

城定監督は相変わらず天才だった。乙女心の微妙な采配を見事に演出してみせる。この役割に田中圭の塩梅も最高。

整形水(2020年製作の映画)

2.8

コンビニ専用コミックのレディース棚を覗いた気分。

赤い靴(2005年製作の映画)

2.7

幽霊ならなんでもありな、理屈のないホラーなので正直それはどうでもいい。
2005年のこの映画でも長い髪の少女なんて古いのに、いまだに出てくるのが信じられない。心霊映画の劣化はひどい。

ポストコロニア
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午後10時の殺意(1974年製作の映画)

2.5

犯人は最初に見せる系で法廷もの。その事件で捕まった被害者の夫(ニック・ノルティ)がいつも通り野卑な面で、被告席でずっと同じ表情。
実の犯人は、この事件の陪審員を妻が務めているという非常事態なのに、なぜ
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ハンガリー連続殺人鬼(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

実際に起こった連続猟奇殺人を巡る映画。刑事や検事が互いを同志と呼び合う、ハンガリー人民共和国時代が舞台。

まず、女性殺害と屍姦容疑で捕まった男が冤罪なのだが、どうにも変な人物で、みずから犯人ぽく振る
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セイント・モード/狂信(2019年製作の映画)

3.8

ローズ・グラス、これが長編監督脚本デビュー作。素晴らしい完成度と、自分の個性や世界観をすでに持っている。
過去に何があったかをほぼ語らないのが、やはり観たいとは思わせつつ、語らないと決めた監督の判断が
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哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

3.0

久々に景気の良いスプラッタホラー。
謎のウィルスで人が殺人鬼化し、グロオンパレードな殺し合いになっていく。
あんまり深い意味はない。ただ汚く残酷という懐かしい風味の映画。
難しい映画の箸休めでちょうど
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マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)

3.0

2度ほどある狼の群れのショットは凄いし、主観映像の使い方など好きだけれど、今観るとちょっと主題が古くも思える。
難解さと長さはさすがに疲れた。

パトニー・スウォープ(1969年製作の映画)

4.2

相当イカれた作りで面白かった。スラップスティックというのか、当たり前の感情の流れがないので、出来事の羅列だけ眺めてる感じの映画。
差別の逆転描写や、スプリーキラーの原型のような存在が現れては消えていく
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セイント・フランシス(2019年製作の映画)

4.5

子宮が問題を抱えている間の不正出血や、中絶がどれだけパートナーが寄り添ってくれたとしても、結局女性の体が痛むだけでしかないとか、男性に伝わりづらい話を丁寧に語る。

男性と同様に、女性の浮気も結構気軽
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ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)

5.0

『オズの魔法使』の影響下にある映画を調べていて、久々に観返したらこんなにオズの要素が散りばめてあったかと、改めて驚いた。
ルーラの母親が顔を口紅で塗りたくるのは、西の魔女の緑色のメイクを模しているんだ
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オズの魔法使(1939年製作の映画)

5.0

ああ、何回観ても気持ち悪い映画だなあ!大好きだ!

マンチキン役の成人した小人病の役者が、ジュディ・ガーランドに性的嫌がらせをしたという最悪な話に、ますます気が滅入って好きになる。

私の20世紀(1989年製作の映画)

2.2

イルディコー・エニェディ監督の『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』が公開になるので、(あ~、わたしこれ見逃してたんだよなー。絶対観ておかないとダメだよな)と思って観た。

始まって5分で(もう観てるヤツ
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三姉妹(2020年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

三人三様の姉妹。性格が異なれば抱える問題もそれにふさわしくある。

ラストで彼らの幼少期の封じられた記憶に辿り着くシーンが重い。ひとつひとつの仕草に、幼い少女を性対象のように見る男、家父長制によって秘
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スワンソング(2021年製作の映画)

5.0

泣ける…。

ウド・キアが演じるのは、老人ホームで暮らす元美容ドレッサー。昔の友人が亡くなり、死化粧を頼まれる。だがその友人とは気まずい理由で疎遠になっており、故郷にはつらい思い出も多すぎて、なかなか
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モンド・トラッショ(1969年製作の映画)

5.0

もう20年以上観返していないけれど、大事に胸に抱えている。

わたしもかかとを三度打ち鳴らしたい。

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.4

監督、脚本、主演バーバラ・ローデン。
ちょっと知恵の回らない、不器用にしか立ち振る舞うことのできない女が、とある逃亡劇に巻き込まれる。でもそこではなくて、女性が監督して、愚かと言われる女の生きる難しさ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

2.9

ヨアヒム・トリアーってこんな緩い映画撮る人だったっけ。『母の残像』ももうちょっとソリッドだった気が。最近『テルマ』のことをよく考えていたので、え?!っという驚き。

30歳の女性の恋愛や仕事や妊娠に悩
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.3

重要なテーマを複数持った映画。多くの人に観られるべき作品なんだろう。アニメーションと実写を混合した作りも面白いと思う。

本当に、個人的にアニメの絵柄や間合いが合わなくて、ちょっと点数が低くなってしま
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.0

YouTuberがいまだにわからない。世代によって大変な憧れの職業であるのは知りつつ、じつは経費が掛かっていて内情は大変な人も多いとか聞くし、あの独特の画像加工と編集への馴染めなさから、どうしても距離>>続きを読む

炎のデス・ポリス(2021年製作の映画)

4.5

ジョー・カーナハン監督脚本。

警察署で一夜に起こる出来事。留置場には男が三人。仲間の警官たちも含め、信用できるヤツ、役に立つヤツがまったくいない中で、優秀な黒人女性警官が、きな臭い出来事をかぎつける
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ジャンヌ(2019年製作の映画)

4.2

『ジャネット』よりは真面目で、時々しかふざけてはいない。
相変わらずすごい顔博覧会。本当にデュモンは変な顔の人が好き。

幼く、言葉はりりしく、愛国心と神への愛が強い少女。思春期の少女の神懸かりを真剣
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ジャネット(2017年製作の映画)

4.0

ミュージカルというかロックオペラ。
ブリュノ・デュモンは悪趣味なものである。日本に紹介された最初からだ。幼いジャンヌ・ダルクや尼僧がヘドバンをする。彼の映画なら意外じゃない。
少女から乙女へとジャンヌ
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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

2.5

親との関係で心を病み、奇妙な力をため込んで爆発してしまう少女の映画はいったい何本作られているか。その中ではさすがに凡庸な印象を受ける。

グロリアス 世界を動かした女たち(2019年製作の映画)

3.0

4人の女優でグロリアを演じる。アリシア・ヴィキャンデルのまだピリついた若さと、ジュリアン・ムーアのしっとりしてきた年代の差が、一人の女性の変遷としてうまく機能していた。

我々の父親(2022年製作の映画)

3.0

Netflixの厭ドキュメンタリー。コメントで教えてもらって観ました。
結局犯人の正確な動機とかがわからないのも、厭さが増す。『人生、ブラボー!』や、リメイクのヴィンス・ヴォーンの『人生、サイコー!』
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X エックス(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ななまがりの、老婆が「あの若者と、ヤリたいのう」っていうコントを思い出してしまった。
丁寧で生真面目なスプラッター。テレビ画面を入れる編集も律儀。若者集団が、きちんと一人ずつ夜に外出して、一人ずつ違っ
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あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

3.5

いま、ホン・サンス作品は過渡期にあるのだと感じる。中年後期の女性が主人公で、もはや色恋ではなく、命や今日を生きることに目を据える。微笑ましさは醸し出せない、違う世界線に移行していく途上。