marikologyさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

marikology

marikology

映画(158)
ドラマ(0)
アニメ(0)

マディソン郡の橋(1995年製作の映画)

3.0

よそ者同士の恋にしても、「ロスト・イン・トランスレーション」等の切ないけど爽やかな感じとは違い、体重の乗った恍惚とエロス。しかし美しい田園風景の中、あくまで上品に展開され、いつの間にか距離が縮まる過程>>続きを読む

晩春(1949年製作の映画)

3.5

父娘が互いを思いやる身振りが、あまりに何気無くて見過ごしていても、あとからジワリ、ホロリと来る。
沈黙に拘束されながら感情のベクトルがすれ違う、能の場面が凄い。北鎌倉というロケーションも含め、細部まで
>>続きを読む

ペイルライダー(1985年製作の映画)

4.5

フェロモンの原液を嗅がされたような感じ、カッコ良い。「いろいろ西部劇を観たあとに再度見返せば、もっとその良さが分かるのだろうなぁ…早くそうなりたい」と思わせてくれるのが、一番凄いところかもしれません。

めし(1951年製作の映画)

3.5

この「耐える妻」、若干モヤモヤするなぁ…と感じながら見ていると、それをスッキリ代弁してくれる義弟のセリフに、原節子とともにハッとさせられ、ラストは爽やかな喉越しに。小津に見た「家族が離れること」とは対>>続きを読む

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

4.5

誰が撃ったか分からない弾が雨あられと降るのではなく、一発の「完全被甲弾」が人の心身をえぐるさまを観念的に印象づける。

ハートマン軍曹、ほほえみデブ等濃すぎるキャラたちに目も心も奪われるけれど、実は主
>>続きを読む

霧の中の風景(1988年製作の映画)

4.5

幼い二人の体験が通りすぎるうちに、彼らの生身の人間感まで霧に薄れゆく。哀しげな暗示に胸がチクチクするものの、古い童話を味わうような感覚にも包まれ、美しいラストシーンには、彼らにとっての幸せを静かに願う>>続きを読む

現金に手を出すな(1954年製作の映画)

4.0

情に厚く、相棒にタオルと歯ブラシまで甲斐甲斐しく世話する一方で、いざという時は機関銃もぶっ放す初老ギャング。そして、彼の人生が抱える哀しさを見事に垣間見せる演出。
「穴」もそうだったけれど、確固たるフ
>>続きを読む

007 ドクター・ノオ/007は殺しの番号(1962年製作の映画)

2.0

スパイ界のスター、諜報活動はあまりしない。

でも、あのテーマが流れるだけでワクワクしてしまうのは否めない。

グッドモーニング、ベトナム(1987年製作の映画)

4.0

戦争をめぐる映画には、いろんな形がありますね。「もうこんな悲惨な出来事はごめんだ」と、恐怖とともに再認識させられるものもあれば、「バカバカしい理不尽を見抜く眼と、訴える口を持てるか」という命題を与えて>>続きを読む

チェンジリング(2008年製作の映画)

4.0

過酷な運命に翻弄される不条理さに、主人公とともに打ちのめされる。それだけに後半の流れは痛快だが、「希望」が人生にもたらす二面性、実話を扱うことなど様々なテーマがやるせなさを伴って湧き出し、数日引きずる>>続きを読む

セルピコ(1973年製作の映画)

3.0

セルピコ本人のように真面目に、静かな熱さを感じさせる演出。普通に恋もするし、特別強くもないし、危機には自我が壊れかける青年が、「信念」によってのみ英雄になる。この腑に落ちる感じ、心地よい。

お早よう(1959年製作の映画)

4.0

ヴィヴィッドでファンシーな、高度経済成長期の日本!プライバシー無き、「シルバニアファミリー」のような箱庭の中、大人も子供も煩悩としがらみに右往左往するさま。堪らなく愛おしい。

ニューヨーク・ニューヨーク(1977年製作の映画)

3.0

音楽で結ばれた男女の半生をじっくりと。映画内バイオリズムの幅はすごい。モヤモヤも多少あれど、やはりミュージックホールの描写や、ラストの歌の勝利。ライザ・ミネリの凄まじい神々しさ!

東京物語(1953年製作の映画)

4.5

性根の善し悪しの次元ではなく、「最も濃い共同体」だからこそ生まれるビターな部分を、穏やかにド正面から突きつけられる。そうしてえぐられた心をも、じんわりと包み込んでくれる、尾道の美しさ。

麦秋(1951年製作の映画)

4.5

みな幸せであって欲しいと心底思わせられる、家族、ご近所、友人たち。人物が去ったあとカメラが残る数秒の「間」に、置いてけぼりになったような淋しさを覚えるのも、この人たちのことが大好きだからなのでしょう>>続きを読む

(1960年製作の映画)

4.5

見てるだけで疲れる生々しい肉体労働と、冷徹なまでにカッチリ組み上げられた構図。犯罪映画とは違う、脱獄モチーフ自体の最大限の格好良さ。こんなにヒリヒリする映画があるだろうか?

アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)

4.0

手際良く淡々と進むのに、その写し方と耳に残る高音がなんとも不気味に不安を煽る。無駄な間を取らないストイックさの中、ほんのり人間ドラマが効いてくる「仕事人」的脱獄映画。

救命士(1999年製作の映画)

4.5

ボロボロ救命士の心象風景としてのNYを、火の粉を散らし爆走する救急車。ネオンとロックと血と汚物で彩られたハーレムの「果てしなさ」が、やるせなくも爽快なのは何故。
ニコラス・ケイジだけでも美味しいのだが
>>続きを読む

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)

5.0

「星条旗」と本作が補完しあいながら、浮き彫りにする戦争の本質。安いヒロイズムも過剰なドラマ性も無いこの2本が、壮絶な説得力を持って教えてくれる。これをやろうとしたこと自体が発明かと。

日本キャスト陣
>>続きを読む

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)

4.5

二次大戦はこの星条旗写真のように、臨場感ある「戦場」のイメージが一般市民に伝えられた初めての戦争でしたが、それが返って本国と現場の距離を更に拡げる、という現実は皮肉ですね。アメリカ人でも軍人でもなく只>>続きを読む

都会のアリス(1973年製作の映画)

4.0

デコボコ二人旅も、女の子になるとまた事情が変わる。我が儘に大人を振り回しても、「子供」という不可抗力に捕えられちゃう切なさは、異性だからこそ。
旅が、そして二人の心情が動くにつれ、ヴィヴィッドに輝く都
>>続きを読む

パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)

4.0

父性に飢えた大人と子供。逃亡の旅で築かれる、友情でもあり、擬似的親子関係でもある絶妙な距離感は、イーストウッド監督の美学の一つである「男同士の絆」を高純度で伝えてくれる。
お化けのキャスパーの衣装がズ
>>続きを読む

コットンクラブ(1984年製作の映画)

3.0

バイオレンスの香りとゴージャスネスではち切れそうな、禁酒法時代のおとぎ話。死なない限りは何でもOK、隙あらば這い上がっちゃう逞しさ。清々しい。

それにしても、YouTubeで見られるキャブ・キャロウ
>>続きを読む

レナードの朝(1990年製作の映画)

3.5

心と体のアンバランス、暖かいファミリー映画っぽさ、「ビッグ」の監督と知り納得。題材の力だけに頼らず、何よりも心情を、寄り添うように丁寧に描けているからこそ、こんなにも泣かされてしまう。

リミッツ・オブ・コントロール(2009年製作の映画)

3.0

雑に投げっぱなしにする訳でもなく、押し付けがましい説教でもない。別にそんなジャンルなど無いのですが、「可能性」が閉じない映画、いいですね。そのための緻密なディティールがまたいちいち格好いいから、「雰囲>>続きを読む

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)

3.5

映像と言葉のバランスがけっこう特異な語り口で、新鮮な驚きを持った伝記映画。長い沈黙のうちに、虐げられる悲しみを追体験させられる、この絵力。
でもキャラクターのコントラストがはっきりしていて、観やすさも
>>続きを読む

聖者たちの食卓(2011年製作の映画)

3.5

気の遠くなる行列、美味しそうなカレー、人間の所作そのものの美しさ。

インビクタス/負けざる者たち(2009年製作の映画)

3.5

改めて、映画におけるエレメントの優先順位付けを間違えない監督ですね。そしてその作り方が、人物伝や史実に向けられた時にも、物凄い威力を発揮する。
歩き方までそっくりのモーガン・フリーマン、凄すぎ。

ピアニストを撃て(1960年製作の映画)

3.0

やりたい放題なのだが、一つ一つのシーンがとても魅力的で疲れない。
「国民的ピアニストが、名を変えて場末のダンスホールに転がり込む」という原作の設定自体に無理があっても、ギャング映画が嫌いでも、撮りたい
>>続きを読む

ミーン・ストリート(1973年製作の映画)

3.5

ある時代と場所の空気を、密封して届けてくれる映画は貴重だ。疾走感も甘酸っぱさも無い、あるのは小汚い若さのみ!
ファンにとっては、作家性や美学のエッセンスがそのまま美味しくいただける嬉しさで、終始ニヤニ
>>続きを読む

ベン・ハー(1959年製作の映画)

4.0

オペラ的構成、国策映画規模のセットとエキストラ…この仰々しさがふさわしい映画。仮に歴史に宗教に興味がなくても「持ってかれる」オートマチック仕様。馬車レースのシーンは、あれのために4時間を捧げる価値があ>>続きを読む

ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

4.0

家族と隣人たちを守るため「ファミリー」を築いていったヴィト、「ファミリー」を守るためそれらと決別してしまったマイケル。他のマフィア映画にはあまり見当たらないこの上品さや重厚感は、戦国大名を描いた昔のN>>続きを読む

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)

5.0

定期的に観たくなる作品の最上位。観るほどに、コルレオーネ家の人々のファンになっていく。

ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)

4.0

「人生は旅のようなもの」よくある言い回しだけど、これほどこの言葉を体現したロードムービーはないかも知れない。

途中で出会う孫世代、子世代、同世代の人々に、与えたり与えられたり、分かち合ったりしてゆっ
>>続きを読む

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)

4.0

舞台、映画、そして音楽そのもの、ショウビズの美味しいところをきらびやかに料理。一方で、臨場感と忠実さに溢れた再現演奏シーンの数々には、ビートルズ・アンソロジーのようなドキュメンタリーっぽさすら漂い、そ>>続きを読む