まどろっこしい。これが今の若者の恋愛だと押し付けられている感じと監督の目線が気持ち悪い。
若者は一体何を必死に隠してるのか。何を求める。自分でもおそらくわからないから、この虚無感が残るのだろう。ファックシーンゼロで描かれる堕落した青春。現代の若者を切り取った意義ある作品だが、アメリカン・ニ>>続きを読む
ひたすらディカプリオが乱痴気騒ぎを繰り返さなければならないのは、やはり毎度のスコセッシの執拗なまでの罪悪人や異質に対するこだわり=愛からだが、此処ではジェイク・ラモッタやヘンリー・ヒルの鮮烈さの代わり>>続きを読む
悪趣味にしか成せない形の反戦映画。胸糞悪い皮肉だらけのこの映画の中で起きた階級無関係の些細な喧嘩だけが、生の人間の愛すべき行動だった気がする。
数年前ジョディ・フォスターが飛行機で消えた娘を汗水垂らして探していたが、こちらの方がバラエティに富んでいて面白い。派手な爆発より、乾いた銃撃戦の方が数倍怖いのです。銃撃戦の最中に垣間見られる人間の多様>>続きを読む
根源的本能による二人の行動は、理性を保つ人間からするともはや頽廃的に映り、それは美しく昇華しようとするが、ヴァーホーヴェンがヒッチコック愛を炸裂させた為に不具合が生じた。見事なお尻である!
人間の源のあらゆる物事をーそれの表現を試まんとする愛して憎むべき「映画」そのものをーささやかながら描きあげる。詠み、奏で、謳いあげる。豊かだ。此処では人生と映画は同義であり、豊かという共通項で結ばれる>>続きを読む
マコノヒーのような男がいなければ、彼はストーカーと成り果てただろう。よりあの女に執着していっただろう。この映画の筋とは見当違いだが、つまりはそういうことなのだ。人と人とのぶつかり合いが何よりも大事なの>>続きを読む
いかに観客を騙すかを極めてきたヴァーホーヴェン監督が、敢えて全て晒け出して贈る快作。監督の意図通り、賛否溢れた頭で混乱しながら映画について考えさせられる。
退屈が心地よい。そうなってくれれば良かったがあと一歩。ただ仏映画の良いところは詰まってる。お洒落なポスターもある。地下鉄というのも楽しい。薄汚いロマンがある。ということで、再見が楽しみではある。
異国情緒漂うロマンチックな画の中のクソッタレな男の可笑しさと言ったら、笑った。エンドが良い。アレンの映画は意外に音楽は少ないが、常に頭に鳴っている。無音と台詞と都会のリズム。言わずもがなのスカヨハダイ>>続きを読む
終わってしまった。大部分が理解できないが、それでも嗅ぎ取れてしまうギリシャの匂い。錆びた看板。濡れた街路。トレンチコートに吹ける風。230分後の無常な終幕。時代の悲鳴。歌。終わってしまった。果てしない>>続きを読む
130分間ひたすら酔わされ、見せつけられる褐色の汗。挙げ句の果てに飛び散る血の醜悪さ。なんだこの血は? 英雄なんて何処にいたんだ?
台詞は少ない。主人公の表情を追うしかないが、そもそも自分の行為に疑問があったんじゃないかとも思える。難しい。イタリアの豊かな音楽と現実のギャップ。
ジョン・カサヴェテスはかつて、「映画で性行為を再現するのは無理だ」と言った。それでは、此処で沸き起こる、肉体のぶつけ合いの切実さや哀しさは何なのだろう。この映画は決してゲイの男の切実な社会を鋭く描く映>>続きを読む
あら不思議。ハリウッドの古典を見ているかの如きムード。現代ながらリック・ブレインさながらの哀愁。映画が持つ夢心地を上海で体験する。
決められた運命に抗うかの如く混乱しながら進む人間たち。死んだ夫の心臓を持つ男が目の前にいるという現実を拒絶する女。朝起きるとその男の胸に顔を沈める女。理屈じゃない。一人じゃ生きられない。この作品を凝縮>>続きを読む
何よりも怖い映画。人生の末期に全てを否定されるバーグマン。その皺と目ん玉。何よりも残酷。その記憶が今回は微量だが和らいだ。感情を剥き出しにしただけ道は見える。全て現実。でも真意はわからない。男が入る隙>>続きを読む
見ていて心が動かない。見た後少し良かった気もする。個人的に『性戯の達人 女体壺さぐり』より気持ちが悪く、タチが悪い。園監督の意図がわからない。
日本でさえこうはいかないだろう、という楽観主義な展開をイスラエルとパレスチナでやる。人間の汚い部分はあまり見えない。そこが見ていて物足りない。そこにこの映画の意義があるのだろうが。
思いもよらず『風と共に去る』が頭をよぎるが、それをも裏切る残酷な真実。過去が現れ、現実を見る。赤の妙な爽快感。
これほどあらゆる存在が誇張され、肥大化されてもパーソナルな部分を感じ取ることができる。感情である。人間である。この映画に人生の130分を捧げて、何を後悔しようか。あるとすれば、嫉妬。この途方もない感情>>続きを読む
僕はヴィスコンティからデカダンを教わった。此処にある、ヘルムート・バーガー、ダーク・ボガートのそれぞれの破壊性。汚く、切実さに溢れ、なぜか美しい。
また、常に知識不足ではあるが、それが逆にこの世界に存>>続きを読む
長く、退屈。しかし見てしまう。これがロッセリーニ。ネオレアリズモ。なにも起きないとは違う。徐々に崩れるこの感じ。徹底的な人物描写。デ・シーカの絶望的な環境を執拗に映す。嫌だ。見たくない。でも見ちゃう。
チャールズ・ロートンが煙草を咳き込む。二度、三度とふかす度に男らしくなっていく様は劇中の彼の生き様のメタファー。誇りをついに獲得する男と、堕ちる男。群像劇の楽しさが詰まってる。戦中の思想に関しては、時>>続きを読む
誰もが願う永遠のテーマを、暖かく、夢のような映像で表現してくれた。切実だが、真のファンタジーはそれを伴わざるを得なく、しかし現実世界にちょっぴり指標を与えてくれる。
ミシェル・ゴンドリー監督の妥協を許さない、ポップかつシュールな世界観が段々と悲しさを帯びてくる。ロマン・デュリスの歪んだ銃の如く、また撃ちこまれる花の如く、辛い現実を見てしまう。表現というものを考えさ>>続きを読む
見事な脚本。テンションは落ち着きつつあるのに高まる緊張感。息苦しさを感じる。人間の根底にある魂を感じる。そこに在るという奇跡。失う必然。絶望。感謝。確かな一歩の前進である。
車中。浮世離れの恋愛劇。アルモドバルの思想には毎度の如く傾倒してしまいそうになるが、恐らく僕には彼のように世界を鮮やかに彩る希望を未だ見出していないので、この結末をどう受け取ればいいのかわからない。
カメラに向ける二人の表情は、決して綺麗なものではない。だって、安っぽい笑顔など必要じゃない。しかし此処にある、青春の歪み、不安、拒絶、それらが陰影となって現れた表情には、時の法則を忘れさせる美しさがあ>>続きを読む
身震いする。この張りつめた空間。視線。ナチスというものを現実には知る由もないが、映画の中のそれが持つ魔力は一体何なのだ。なぜ鉤十字をまとった男が現在の夜明けに降り立つことにウットリしてしまうのか。色々>>続きを読む
特に窪塚が良い。つまらないが嫌いにはなれない、なんて曖昧な意見を封じるならば、役者は良い、その他はつまらん、ということになる。
少年にとって、遊び場だった荒れた市街地は牢獄に変わる。終盤。彷徨う少年を延々と追うロッセリーニの視線のなんて優しいこと。同時になにも出来ないもどかしさと残酷さも感じる。この矛盾。偽善。