ぼさーさんの映画レビュー・感想・評価

ぼさー

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.7

政治的な闘争のなかで翻弄されるオッペンハイマーを描くことでオッペンハイマー博士の人物像と当時のアメリカの時代感を描写しようとした作品。
作品単体は史実を踏まえて"物語をこなす"感が優先されていて決して
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

ひさしぶりに人の悪意が全く登場しない映画を観た。フィルム写真のような映像もよかったしテンポもすごく心地よかった。ここ数年でいちばんくらいに好きな作品だと思う。
大好きな映画『写真家 ソール・ライター
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ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)

3.8

台湾を舞台に、新宿、夕張も登場。ヒモな彼氏に苦しめられながら酒とタバコと音楽を浴びて悶々と暮らす20代女性の青春映画。
映像がスタイリッシュでテクノ音楽と相まってすごくかっこよかった。

2001年の
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

映画としては珍しいループ物の構造を持った作品。2023年に流行った8番出口というループ系ホラーゲームがある。同じシーンをループしながら微妙な差異を8回見つけると脱出できるシンプルなゲームだ。本作は8番>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.1

「信長2:50」「光秀・村重」「秀吉トリオ」「家康ズ」「茂助・新左衛門」という各お笑い芸人たちが自身の得意なコントや漫才を演じ、舞台裏も見せながら、勝ち残りをかけて戦っていく、エンタメショー作品。>>続きを読む

クオリア(2023年製作の映画)

3.9

生命を目的としてではなく、目的の手段として扱うことの問題提起が、養鶏を通して、あるいは妊娠を通して描かれていたように思う。また、重いテーマに成りかねないところを全編テンポよく暗くならずに描かれていたこ>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

3.9

主人公の少女ルカのアーティスト名「キリエ」とは何なのか?ルカとは何者なのか?終盤までは時間を過去に行ったり来たりしながらキリエの謎を追う構成になっている。キリエの謎が全て解けた後で物語を終わらせるため>>続きを読む

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

4.3

この手の物語にありがちな思春期の少年少女と大人の対立という構造にはなっていない。本作では大人の介入は最小限に抑えられており、あくまで主人公たち少年少女の世界に閉じて描かれる。
安易に大人たちとの対立の
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ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)(2022年製作の映画)

2.8

シリル・ルティ監督(兼 脚本・編集)、ライターの小柳帝さんによるトークイベント付き上映を鑑賞。

『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』などの監督で知られるゴダール監督を追ったドキュメンタリー作品。

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ガラスの墓標(1969年製作の映画)

3.2

ジェーン・バーキンがすぐに裸になってセルジュ・ゲンスブールに抱かれる。

破滅に向かうストーリーであり泥まみれ羽まみれといった汚なさのある世界観を背景にジェーン・バーキンの裸の美しさや健康的さが際立つ
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東京ランドマーク(2019年製作の映画)

4.1

主演の藤原季節さんと義山真司さんによるトークイベント付き上映を鑑賞。劇中でも親友役でありながら俳優仲間として公私に渡って仲良い二人のいちゃいちゃトークが堪能できた。

親を頼ることができずうまく生きれ
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658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

3.8

主演の菊地凛子さん、熊切和嘉監督によるトークイベント付き上映を鑑賞。

引きこもりで人とうまく話せない陽子が訳あってヒッチハイクせざるを得なくなりドライバーと心を通わせながら東京から青森までヒッチハイ
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.0

京都貴船神社前の料理旅館を舞台に2分間のタイムループから抜けられなくなり、ひたすら2分間を繰り返す設定で繰り広げられるコメディ物語。2分間のタイムループを繰り返しつつも記憶は残っているため登場人物たち>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.4

主人公の成長を伴う冒険譚の構造。鑑賞者は物語の当初から最後にかけて主人公の成長を見守る構成であり、主人公以外の登場人物や登場鳥はあくまで主人公の成長を促すためのきっかけや障害といった装置の一部という演>>続きを読む

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.1

一人の人物の複雑な内面や言動にフォーカスして描いた作品。ゆえに他の登場人物たちはステレオタイプな固定キャラとして言動を繰り返すように演出されていた。マニーもディビッドも演出家、製作者といった役割に応じ>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

3.9

相手と対峙する側は相手を通してでしか相手の世界を見ることができない。相手の人間関係や膨大な背景を正しく把握することは難しい。

そのことについて、まず母視点での物語提示が行われ、この時「我が子の言動の
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聖闘士星矢 The Beginning(2023年製作の映画)

2.1

原作に比べてかなりスケールが小さくなってしまっている。
原作では何故アテナこと沙織さんは黄金聖闘士たちに狙われてるのかというギリシア神話と神殿を舞台とした大掛かりな謎解きの要素があったが、本作ではキド
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茶飲友達(2022年製作の映画)

4.1

某がある目的で集まった集団に加入→某が集団の目的を理解していく→集団の各メンバーの素性が紹介される→集団内に事件発生→結末と共にメッセージ発動
…という類型構造の作品。
似た類型構造は『万引き家族』。
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

2.8

テレビ版 仮面ライダーのおどろおどろしさが踏襲されておらず中途半端な出来だった。ラスボス(森山未來)も長老的な存在ではなく若く美しいし、気味の悪さ成分が全くない。今どきの推し活を意識したようなエンタメ>>続きを読む

私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは・・・(2019年製作の映画)

3.5

「東京の都市部や臨海部のなかに身を置いてみて、そこで出会った人との対話を通じて自己を描き出そうとする試み」を鑑賞するといった趣きの作品だった。

自分もしばしば東京の都市部や臨海部のなかに身を置いてみ
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

2.8

主役ダニーが直面した家族の不幸を癒すように、前半はじっくり丁寧に、そして美しく独自の集団生活が描かれる。途中、集団仲間の自死のグロいシーンもあるけど、それも夢物語のように美しく描かれていた。
そんな感
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グッドバイ、バッドマガジンズ(2022年製作の映画)

3.8

成人誌の編集部の物語だけれどエロ要素は少なく社会派ドラマっぽい作り。
真面目に成人誌の編集に取り組む大人たちが描かれている。しかし主人公を除き、一人一人どこかしらふざけていて、根は真面目ではあるが、の
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戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

4.6

「美学」「贖罪意識」「極限の中での楽しい思い出」という、3つの人物視点、観点での死生観が描かれていたと感じた。
難解で退屈かと思いきや、明快でテンポもよく、美しい映像も相まって、あっという間に観てしま
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道草(2022年製作の映画)

3.9

現代アートにも通じる示唆に富む作品だった。自分が価値を置くものとビジネス的な市場価値の対比を具象絵画と抽象絵画という切り口と二人の女性との恋愛模様を通して描かれる。

主人公の道雄は優しい笑顔の好青年
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ゆめのまにまに(2022年製作の映画)

3.5

東京浅草に実在する東京蛍堂という骨董屋さんを舞台にした人間模様と淡い恋の物語。
コロナ禍以降の作品であり、皆さんマスク姿で演じているもののスマホやSNSといった現代のツールが登場せずに恋や交流が描かれ
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

3.3

スラムダンクは少年ジャンプ連載時に楽しんでコミックスも全巻持っている。

当時自分もバスケ部にいたこともありアニメ版はバスケの動きが稚拙すぎて見る気が起きず全く視聴していない。

実際のバスケの試合中
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.5

新海監督が多くの宮崎駿監督から影響を受けたことを随所で表明している作品と感じた。二度目はオマージュ部分を探しながら観ると面白いかもしれない。

<構造>
・ロードムービー
・謎解き

<メッセージ>
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花様年華(2000年製作の映画)

4.1

同僚など社会的な繋がりのある既婚の人と、(仲間や友人として)親しくなる過程で淡い恋心を抱いたことはないだろうか?
そういう相手の言動から自分に好意があるのかもしれないという前提で相手との行く末を妄想し
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消えない虹(2022年製作の映画)

4.0

未成年殺人加害者と家族、被害者遺族の心情を提示し、それぞれの人物に自己投影して考えられるように工夫された作品。

複数の別々の暮らしをしている登場人物たちが描かれるものの関係性がわからないところから物
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

4.5

僕は物事を認識する時、出来るだけ正しく、あるいは他人や社会と同じように認識しようとしている。しかし時にはその認識をズラした方がいい場合がある。

困難に直面した時、イライラした時など冷静でいられなくな
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スウィートビターキャンディ(2022年製作の映画)

3.4

『スウィートビターキャンディ』
女子高生サナエの恋愛、家族、学校での日常が描かれつつ同級生以外の登場人物全員がサナエを子ども扱いしていて、まともに相手にされていない世界観の作品だった。

サナエ視点、
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さがす(2022年製作の映画)

4.5

社会問題と倫理観のグレーな部分への問題提起が秀逸だった。犯罪や脱法行為について、たとえ法をすり抜けたとしても「お天道様は見ている」という日本古来の宗教観に根差していてユニークであるし、堂々と海外にも紹>>続きを読む

コンビニエンス・ストーリー(2022年製作の映画)

3.6

ピリッとスパイシーに人生のオマケを描いた作品ともいえる。
狂気じみた女優・ジグザグを彼女に持つ映画脚本家の青年・加藤がコンビニで遭遇する事故をきっかけに異世界に迷い込み、そこでのコンビニのオーナー夫婦
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ビリーバーズ(2022年製作の映画)

3.5

小さな無人島で共同生活するカルト教団の信者男女3人の(睡眠中の)夢と性欲にまつわる物語。

無人島ゆえに自由に物が手に入らないという物理的制限、さらに教団の信仰のために精神的制限を受けるという舞台設定
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僕の一番好きだった人(2021年製作の映画)

4.1

恋愛において不器用なコミュニケーションを重ねながらどういう関係になりたいのかを互いに擦り合わせできずにいる二人の二晩の物語。

あらすじを読まずにタイトルとジャケ見で鑑賞。『僕の〜』とあるので男性が登
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幻の蛍(2022年製作の映画)

3.8

ロードムービーの系統であり、旅をしながら生じる交流によって相互理解や自身の環境の理解が深まり描くべきテーマの解像度が増していく構成となっている。

また脚本がまずあり、すなわちテーマがあり、結末に向か
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