まさかさんの映画レビュー・感想・評価

まさか

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ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

4.0

原作はバスティアン・ヴィヴェスのバンド・デシネ(フランスの漫画)で、邦訳(年上のひと)はリード社から出版されている。映画を観たあとに読んでみたが、やや期待外れで凡庸な作品に思われた。映画の方がよい。>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

以下は完全にネタバレです。しかも作品の構成上、映画を観る前にこれを読むと、大いに感興が削がれることをご承知おきください。まだご覧になっていない方は、読まないでくださいね。


カンヌ国際映画祭脚本賞受
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

早くも今年のベストムービーに出会ってしまった。スコットランド出身の女性監督の長編初監督作。離れて暮らすイギリス人の父と娘が、トルコの静かなリゾート地で過ごした夏休みの記録。自伝的なのか否かわからないが>>続きを読む

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

4.0

『かもめ食堂』で注目された荻上直子監督の最新作。ムコリッタとは仏教の言葉で1/30日(正確に言えば48分)を指すらしい。日々の暮らしのなかでは、あっという間に過ぎ去ってしまう短い時間である。幸せとは非>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

韓国系アメリカ人のコゴナダ監督最新作。前作『コロンバス』はモダニズム建築の名作が集まるインディアナ州コロンバスを舞台にして、主人公の2人が街をそぞろ歩くシーンが印象に残る作品だったが、本作は打って変わ>>続きを読む

アザー・ミュージック(2019年製作の映画)

4.0

2016年5月に21年間の歴史に幕を閉じたレコードショップのドキュメンタリー。一軒のレコードショップがドキュメンタリーになるのは珍しいが、観れば納得の素晴らしさ。

単にレコードショップを追っただけの
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ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言(2020年製作の映画)

4.0

(Filmarksにレビューを書くのは自分がよいと思った作品だけで、本作も記憶に残る1本ですが、今回のレビューは自分のためのメモという側面が大きく、無駄に長い上に、映画の内容とは直接関係のない部分もあ>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

以下は完全にネタバレです。これから観たいと思っている人は読まないでくださいね。いちど観た人と一緒に作品について振り返るためのメモです。


映画史に残るような大作ではない。数年も経てば記憶の底に沈んで
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.5

個人的には久しぶりの是枝作品。カンヌ映画祭パルムドールを受賞した『万引き家族』や初期の名作『ワンダフルライフ』に匹敵するか、超えるほど素晴らしい。

今までの作品と違うのは、韓国を舞台に、韓国人キャス
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エルヴィス(2022年製作の映画)

4.0

エルヴィス・アーロン・プレスリーは1935年生まれ、1977年8月16日没。享年42。全世界で売れたレコード、カセットテープ、CDなどの総計は5億枚以上を数え、史上最も売れたソロアーティストとされる。>>続きを読む

帰らない日曜日(2021年製作の映画)

4.0

第一次世界大戦後のイギリスを舞台に、貴族の家に生まれ、一族の後継者として期待されるポール・シェリンガムと、孤児院育ちで、別の名家でメイドとして働くジェーン・フェアチャイルドの秘めた恋、そしてジェーンの>>続きを読む

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

イリノイ州ロックフォードはミシガン湖畔のシカゴから西北西に140kmほどの内陸に位置する中規模の都市(人口約15万人)である。2018年にはWall St. Journal紙において、全米で最も劣悪な>>続きを読む

マイルス・デイビス: クールの誕生(2019年製作の映画)

4.5

マイルス・デイヴィスは『クールの誕生』(1949〜50)から『カインド・オブ・ブルー』(1959)、『ビッチェズ・ブルー』(1969)に至るまで、20代前半から40代前半にかけて、10年おきにジャズの>>続きを読む

メイキング・オブ・モータウン(2019年製作の映画)

4.3

紛うかたなき傑作と断言します。以下、ネタバレのオンパレードになっているけど、これを読んだからといって感興が削がれるほどヤワな映画ではないのでご安心を。とはいえ、ブラック・ミュージックとBlack Li>>続きを読む

死霊魂(2018年製作の映画)

4.5

『鉄西区』『無言歌』『三姉妹〜雲南の子』『収容病棟』など、ドキュメンタリーを中心に世界の映画人を唸らせる作品を撮り続けてきた王兵(ワン・ビン)監督の最新作。

中国現代史の闇と言うべき「反右派闘争」の
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はちどり(2018年製作の映画)

4.3

監督はこれが長編デビュー作というキム・ボラ。大好きな韓国映画にまた新しい才能が現れた。繊細で詩情溢れる映像を現代的なテーマに即して撮れる稀有な才能。

主人公のウニは中学2年生の多感な女の子。舞台は1
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.5

1969年5月13日、東大駒場キャンパス900番教室で、三島由紀夫と東大全共闘の学生1000人が社会変革、天皇制、自らの理想などを巡って激論を闘わせた伝説的な討論会。本作はその模様を記録したTBSの映>>続きを読む

コロンバス(2017年製作の映画)

4.2

ドラマティックでもなくエンタメでもないけれど、主人公の心の機微を繊細に描いて、深い余韻を残す作品。時々こういう作品に出会えるから映画はやめられない。

物語の大半は主人公の2人が語り合うシーンでできて
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天気の子(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

『君の名は。』が社会現象にまでなった新海誠監督の最新作。天気の巫女の説話をもとにしたファンタジーで、祈ることにより天気を操る(特定の範囲の空を晴れにする)ことができる「100%の晴れ女」天野陽菜と、彼>>続きを読む

春画と日本人(2018年製作の映画)

4.3

2015年に東京の永青文庫で開催され、3か月の開催期間で21万人という入場者数を記録し、翌年には京都の細見美術館に巡回し、12万人が足を運んだ春画展。当時大きな話題となったその展覧会の開催に至るまでの>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

監督の今泉力哉を知らなかったが、新しい恋愛映画の騎手と言われるそうだ。すれ違い、戸惑い、揺れ動く2人。あるいは友人以上恋人未満、一方通行。そんな関係を描くのが上手いという。

本作もよくある恋愛映画と
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ビル・エヴァンス タイム・リメンバード(2015年製作の映画)

4.3

モダン・ジャズに多大な影響を与えたピアニスト、ビル・エヴァンスの人物像に肉薄するドキュメンタリー。エヴァンスと関係の深かった存命のミュージシャンが大勢インタビューに答えていて素晴らしい。彼を絶賛する言>>続きを読む

芳華-Youth-(2017年製作の映画)

4.3

文革時代(1966〜1976)、中国共産党軍の傘下にあった文芸工作団(歌劇団)の若き団員たちの人生模様を描いた人間ドラマ。文革の真相が暴かれる以前、共産主義の経済体制がほころび始めた時代に青春期を送っ>>続きを読む

ヒューマン・フロー 大地漂流(2017年製作の映画)

4.0

今や押しも押されもしない現代美術界の巨人、アイ・ウェイウェイが撮ったドキュメンタリー。世界中に6500万人いると言われる難民の現状を20か国以上を巡って追った作品である。延べ移動距離、撮影時間などを推>>続きを読む

マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!(2017年製作の映画)

3.5

1960年代は現代世界史、とりけわ文化史における特異な時代だ。

第二次世界大戦で破壊されたヨーロッパ各国やアジア、日本において、ようやく戦後の復興が成し遂げられ急激な経済成長が始まった時代である。
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ナディアの誓い - On Her Shoulders(2018年製作の映画)

4.5

終始胸を押しつぶされて涙が止まらなかった、ひとつには、大勢の人々がまったく理不尽な理由により虐殺され、10歳の女の子を含む多くの女性が性奴隷にされ、人身売買の対象にされてしまったという事実に。もうひと>>続きを読む

半世界(2018年製作の映画)

4.8

最近は頭で観る映画ばかりに触れていた。メッセージが先に立つ映画や、構成が複雑で考えさせる映画、そしてドキュメンタリーなどだ。もちろんそういう映画も好きだ。けれどこの作品に触れて、ああ、この感覚こそが映>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.0

クイーンは1971年にイギリス・ロンドンで結成され、1973年にデビューを果たした。1970年代を通じて世界的な人気バンドになり、僕もなんとなく、その頃のファンの熱狂を覚えている。その後は活動を休みが>>続きを読む

シュガーマン 奇跡に愛された男(2012年製作の映画)

4.5

多少ネタバレのレビューです。なるべく抑えて書いたつもりだけど、ヤバイと思ったら読まないでください。

ボブ・ディランの不朽の名曲「風に吹かれて」がリリースされたのは1963年。それから約5年後、似たよ
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欲望の翼(1990年製作の映画)

4.8

1990年製作の香港映画。日本ではバブル崩壊の1992年に公開され、映画ファンの脳裡にウォン・カーワァイの名前を深々と刻印した記念碑的作品。当然ながら中国語圏の数々の映画賞に輝いてもいる。原題は『阿飛>>続きを読む

ベルリンファイル(2013年製作の映画)

4.0

震えた! 韓国映画には恋愛ものとアクションものに優れた作品が多いが、本作はその両方が高いレベルで融合した名作。国家に裏切られ、巨大な陰謀に巻き込まれながらも、互いに大切な人と一緒に生き抜こうとする男女>>続きを読む

はじまりのうた(2013年製作の映画)

4.0

音楽を通して人と人が繋がり、豊かな関係ができあがる。激しい恋愛感情、年の差を超えたほのかな恋情、友情など、音楽が生み出す多様な交流を温かく描いた人間讃歌。

監督は『Onceダブリンの街角で』(200
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マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

4.5

マンチェスター・バイ・ザ・シーはアメリカ東海岸、ボストンから北に車で1時間半ほどのところに位置する実在の海辺の町だ。もともとはリゾートとして開発されたらしいが、今では一般の住宅地もたくさんあるという。>>続きを読む

At the terrace テラスにて(2016年製作の映画)

4.3

第59回岸田國士戯曲賞を受賞した『トロワグロ』を、演出家本人が、舞台の時とまったく同じ俳優で映画化した作品。

山内ケンジは舞台と映画を自由に作り分ける才能として稀有な存在だ。映画『友だちのパパが好き
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おとなの事情(2016年製作の映画)

3.5

2016年、イタリアのアカデミー賞とも言われるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の作品賞と脚本賞をダブル受賞した。

終始リビングダイニングだけで繰り広げられる会話劇であるにもかかわらす、俳優の演技と脚本
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台湾萬歳(2017年製作の映画)

3.8

『台湾人生』『台湾アイデンティティー』に続く酒井監督の台湾三部作の完結編。台湾南東部に位置する人口1万5000の街、台東懸成功鎮を舞台に、そこで暮らす人々の人生を丁寧に見つめたドキュメンタリー。

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