これまで観てきた、そしてこれからも繰り返し観るであろう回数なら、5つ星をつけた生涯ベスト級並みか、むしろ上回るかもしれない。Rocky Ⅳ は、僕にとってそういう映画だ。ひとつの映画作品としてどうこう>>続きを読む
ときどき軋む天井。室(むろ)の扉。鬱蒼とした茂み。そういった、ちょっと謎めいた場所は、怖くもあったけど、ここよりマシなどこかへ繋がっているような気もした。一旦そこへ足を踏み入れたら、もうもとの世界へは>>続きを読む
去る8月9日、Raymond Briggs 氏が他界した。享年88歳。
去年(2021)のいつ頃だったか、amazon prime でたまたま映画版に巡り会い、それ以来何度も繰り返し鑑賞してきた。原>>続きを読む
「世の中変えたきゃ、真ん中行かなきゃならん。」
そんな趣旨のことを言っていたのは、たしか浅田彰氏だったような気がするけれど、記憶は定かではない。
なんにせよ、原恵一監督作品を観ていると、必ずこの言>>続きを読む
「子供たちは夏休みだし、僕もアニメを観まくるか」と、よく理屈のわからない動機で、この夏の映画鑑賞はアニメに的を絞っている。予めリストアップした中でも、Laika 作品への期待値は高い。設立以降、名だた>>続きを読む
ある晩、チェロキー族の老人が「人の心の中で行われている戦い」について、孫に語った。
「我々の心の中にはいつも二匹の狼が戦っているんだ。
一匹の狼は悪い狼。悪い狼とは、怒り、妬み、嫉妬、悲しみ、後悔、>>続きを読む
★★★★★ × 1,000,000,000,000
予告を観た段階で心を鷲掴みにされていた。残念ながら公開規模が小さく、一番近くても仙台(盛岡在住です)、しかも短期上映ということで劇場での鑑賞を諦め>>続きを読む
擦った揉んだありつつも、戦争未亡人の孤独は次第に癒され、偏狭な人々の心は読書を通じて解れていき、書店を舞台に緩やかながらも掛け替えのない絆が結ばれていく物語…なのかと思ったら全然違った!
観賞後、真>>続きを読む
感動とはちょっと別な次元で、自分にとっては愛おしくてたまらない大切な作品てのがある。よくできている上に、身に覚えがあったり腑に落ちたりすることだらけで、頬を緩ませ和ませたり、呼吸困難に陥れたり、元気を>>続きを読む
昨年末から私的スタローン祭りをやってて、主要作品を色々と観てきてるんだけど、久々にレビューを綴りたくなった。
この作品は、すごく誤解されている気がする。
公開年と劇中の少年(マイケル)の年齢から察する>>続きを読む
父親になった分だけ余計に楽しめたのかもしれない。観てから時間が経つほどにじわじわと感動が増してきた。
不良娘にいいところを見せようと、かつての自分を突き放しにかかるが、足搔けが足掻くほど悪い方に悪い方>>続きを読む
力抜いて観れるラブコメ且つ料理も絡んでればなおよし!という妻のリクエストに応えるかたちで選んだ本作は、トホホ感満載!
細かいことは考えずに苦笑する映画です!
神にその近くで仕えてあるとされる人々が実は最も俗であり、最も遠くにいると見做された者が、最も敬虔だったという皮肉。権威は必要だけれども、権威主義は最悪だ。
話を展開させる車輪の部分にあたる息子探しがや>>続きを読む
Say, its only a paper moon
Sailing over a cardboard sea
But it wouldn’t be make-believe
If you belie>>続きを読む
泣けた。マジで。これを下品で疲れると評した人もいたけど、基本的に人間の良心を描いた作品でしょ。ダメダメなとこをデフォルメした上でさ。愛すべき大バカ野郎達。さらに言うなら、中年ヴァージニティだけじゃなく>>続きを読む
この映画をめぐっては公開後かなり活発に論じられてて、ちらほら目に入ってきてた様々な意見や感想を予備知識にしての初見だったのですが、おそらく「セッション」という邦題のせいで、とっても大きな誤解をされてい>>続きを読む
「読んだら焼き捨てろ」というタイトルだったり、登場人物が国家機関のスタッフだったりして、どんなスリリングな物語かと思えば、徹底してくだらない。この徹底的なくだらなさこそが描きたかったんだろうな。
導入>>続きを読む
シンプルなストーリーで展開も少ないけれど、人情喜劇としても、プロフェッショナルの物語としても、社会風刺作品としても、傑作。
アフロキューバンを中心としたサウンドトラックも秀逸で心が躍った。
あ、あと、>>続きを読む
ティム・バートン作品ではシザーハンズと双璧。人は物語なしでは生きていけない。そして、芯にある真実の人生に嘘がなければ、物語の虚実などはたいした問題じゃない。大切なことは、その物語を愛し、人生そのものを>>続きを読む
コメディータッチで描かれた現代版『欲望という名の電車』かな。笑えるんだけど同時にものすごくいたたまれない気持ちになる。ケイト・ブランシェットがとにかく素晴らしい。玉の輿生活が崩壊していく様と、その後主>>続きを読む
綻びを敢えて放置してスピード感たっぷりに展開していく感じとか、面白いんだけど悪ノリが過ぎてこちらがやや引き気味になってしまうあたりとか、三谷幸喜を彷彿とさせた。
アイロニックでファンタジックでサーカスティックでロマンティックで、つまりいつものウッディ・アレンだ。彼の映画はいつも緊張を拒絶しているような気がする。「“そうかしこまらずに映画なんて気楽に観ようぜ” >>続きを読む
近未来が舞台で全体主義とレジスタンスが衝突する映画は少なからず観てきたと思んだけど、この作品が間違いなくベスト。
ネオコン勢力への批判も散りばめられているし、極めて政治色の強い映画ではあるけれど、物語>>続きを読む
短いけれど研ぎ澄まされていて、ディテールがきめ細かいけれどしつこさは皆無で、静かに心を震わせてくれる作品だった。
この世界のあり方の是非を外野席から問うことの容易さを自覚せずにはいられない。
野生の文明と文明の野蛮。親子、夫婦、世間の関係性。重要なテーマを取り上げ示唆に富みつつ語り口はどこまでも軽やかという作風はここでも見事に炸裂してる。キャラクター達と一緒に表情をコロコロ変えながら観てい>>続きを読む
決めつけへのアンチテーゼ。これまでに観た作品の中では『きっとうまくいく』や『チョコレートドーナツ』と重なるテーマ。少しテンポが悪い印象で、時々飽きそうになってしまったが、全体的には良作。
小さな恋のメロディを思い出した。フランソワーズ・アルディの曲使ってるあたりでフランス映画的作風を意識したのかもしれないと推察。
窮屈極まりない世界からの逃避行。でも所詮は全長26kmの島の中。あっさり>>続きを読む
愛すべき阿呆どものドタバタ群像劇なんだけど、しっかりと柱はある。地理的な意味ではなく、心の拠り所としての「家」。それがソウルキッチン。人生は旅や迷走に溢れてる。でも帰る場所さえあれば、何かが約束されて>>続きを読む
欧州人ほどヴァンパイア伝説を知らないからというのも一因ではあると思うけど、余白と余韻の残し方が絶妙な作品と感じられた。
オカルト的要素も振り返ればてんこ盛りだし、恋物語でもあり、成長の物語でもあるんだ>>続きを読む
ITの進化は世界を広げ変化させていくように思えるけれど、実際のところそれを用いる人間自身はそう大きく変わりはしない。
A.I.であるサマンサの世界は、セオドアへの愛が深まるほどに広がり無限へと近づいて>>続きを読む
子供たちを「メインの王子、ニュー・イングランドの王たち」と呼ぶラーチ院長の孤児院で育った、高潔な良心の象徴のようなホーマー青年。外界に飛び出した彼は、世界がどれだけ広く(海はきっとその象徴)あろうとも>>続きを読む
あの物語を映画の尺でどうまとめるんだろうと思ってたら二部作でしたかwww いやいや面白かったです。映画作品としての物語の再構成は見事だったし、演出やカメラワークも魅力的だった。
阿部サダヲさんの配役と>>続きを読む
海の上のピアニストの時もそうだったんだが、途中まではすごく引き込まれて、後半からちょっとあやしくなってきて、オチでポカーンとしてしまう。風呂敷を広げられるだけ広げておいて、その風呂敷広げる意味あったの>>続きを読む
「静寂に勝る音楽はジョアン・ジルベルトだけだ」というカエターノ・ヴェローソの言葉を思い出した。
予告編を観て犯人あぶり出しのミステリかと思ってたが全然違った。人の心に様々な形で巣食う闇や負の部分を極めて純度が高い状態で描いた群像劇。それは重苦しく不快ではあるけれど、まっすぐな性善説のウェルテルが>>続きを読む
ハリウッド女優と冴えない本屋の恋愛が中心にはあるのだけれど、全体像としては市井の人々が人生の拠り所にしている絆を描いているように感じるな。ジュリア・ロバーツは苦しんでいる時の演技が秀逸だといつも思う。