鱒子哉さんの映画レビュー・感想・評価

鱒子哉

鱒子哉

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関心領域(2023年製作の映画)

3.2

映画というより現代アート。
カメラはほとんど動かず、画面の構図で観せ、語ろうとしていた。
“慣れ”がテーマなのは鑑賞前から分かっていたけれど、鑑賞者にも体感させるのは面白いと思った。もはや流れているの
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

4.1

処女作というのは往々にして作者のやりたいことや意図がよりはっきり見えやすいという。本作においてはさらにはっきりしていて、多分に入れ替えられた時間軸はため息が漏れるほどのストーリーテリングを効果的にさせ>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.8

かなしい話だった。

最後には褒賞を受けていたけれど浮かばれず、それ以前の戦いに大きな時間が割かれていて、戦い(迫害)の映画だった。
オッペンハイマーのやりたいことは映されていたが終始真意は明かされず
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抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(1956年製作の映画)

3.6

初ブレッソン。

'禁欲的'とパッケージにあったが、向かうべき点が唯一でただそれのみを映しているのに好感が持てた一方、少々のコメディ要素もあり退屈しなかった。

本来の観方ではないのだろうけれど、「脱
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.8

起きることは暗いことばかりなのに、どうしても暗い空気にはならなくて、さすがカウリスマキ監督。やはりチャイコフスキーは至るところでかかり、鮮やかな色々、冗長でない台詞、そしてスキがないにもかかわらず単調>>続きを読む

Winter boy(2022年製作の映画)

4.5

開始早々、すすり泣く声が場内できこえた。鑑賞後、そのひとは死を経験したことがあるのだろうと思った。

ぼくは幸運にも経験したことがないけれど、その差は思っていたよりも大きいのかもしれないと思った。
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.0

現代で考えたら間違いなく西側と同じ考えを抱くであろうに、AI側になってしまう。
新しい/古いで考えれば簡単だが、結局両者の溝はそのままに、戦いの手段が失われたにすぎない。とりあえずよかった、という終わ
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緑の光線(1986年製作の映画)

3.8

生きづらさを感じる瞬間はきっと誰にでもあって、そんな時に限ってどうでもいい誰かの講釈に傷心したりすべてに飽きたり自分が何をしたいのかも忘れてしまう、そんな不安定を観ていて思い出した。何もわからなくなっ>>続きを読む

ボーイ・ミーツ・ガール(1983年製作の映画)

4.0

「ぼくらはみんな退役軍人」
これが言いたくて作ったようなかんじがした。たしかにゴダール的で隙がなかったが時代が追いついているせいかゴダールのような衝撃! はなかった。でも好き。
話としては独りよがりで
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

3.2

初めてミニシアターで観た映画で、こんなにはっきりしない映画もあるのかと驚き好きになったが、大いに思い出補正もあったと思う。

あまりにも死が日常と接近していて、距離のあるものだと思っていたものたちとむ
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メン・イン・ブラック2(2002年製作の映画)

2.6

あっという間だった。ピカッのあとにやる神父みたいなお言葉がだいすきで、それをたのしみに観ていた。
伝説の復活がしょうしょうあっさりで、Jはうれしくも複雑だったのかもしれない。
前作よりもモンスターへの
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ヴェノム(2018年製作の映画)

3.5

のっけから曲がよく、カットの移り変わりも勢いがあり終始たのしんで観られた。冗長でも性急でもなく、ボリュームとスピードがバッチリだった。
2も観る

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

3.7

感情の線がほそくなっているとき、その場限りの言葉があとを引いて浮遊もせず沈殿もせず囚われることがある、それだけで非情なのに、きっと彼はずっと罪として背負っていくだろうと思えてしまいつらい。
一対一の事
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.2

輪郭のはっきりした推進力や誘導がなく、鑑賞というよりは眺めていた。
誰もがもっているようでもっていない記憶をよびおこされ、つよい感情こそ生まないものの何かを残された気がした。
不器用な父親をはじめてや
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悲しみよさようなら(1990年製作の映画)

3.2

パッケージがウィノナ・ライダーを推しまくっていたので買った。
憎しみの対象でしかないような役がないのはいいが、完全なハッピーエンドのように締めくくられたのが腑に落ちない。ディンキーの思惑どおりにもいか
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ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(2016年製作の映画)

3.0

ホグワーツレガシーをやっていたので、二フラーやデミガイズが出てきてうれしかった。
ただ話にはうまく入り込めなかった。次作からは世界観が分かって楽しめるといいな。

ミッション:インポッシブル2(2000年製作の映画)

2.1

冗長なカットが多すぎて笑ってた。中身がないのを引き伸ばしているのかな?
面白かったのは最初のビル侵入くらい。

ミッション:インポッシブル(1996年製作の映画)

3.5

既視感のあるシーンがいくつもあって答えあわせみたいだった。とはいえ音の使いかたがとても現代的に感じた。
思っていた以上に前半部分が易しくなかった。

メン・イン・ブラック(1997年製作の映画)

4.3

いくつかのシーンは目を細めたが、それにしてもリンダが美しすぎた。加えて死体安置所で働いているなんてセクシーな設定。
続編があるのは勿論知っているが、終わり方がきれいすぎる。
「いい映画観た〜!」が視聴
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浮き雲(1996年製作の映画)

4.0

一本目が白黒だったこともあり、色彩に注視させられた。現実からするとすこし不自然な動きが却って様式美をつくっているような、すみずみまで計算されつくしている統制を感じた。わるい意味ではなく、一定の幅で揺れ>>続きを読む

愛しのタチアナ(1994年製作の映画)

4.4

互いが互いだけを信頼している図がなつかしい。
それぞれが何を考えてるのかほとんどわからなくてうつくしい。
そしてチャイコフスキーの使い方がめちゃくちゃいい。

せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.2

この時代設定と白黒である必要が容易に理解できておもしろかった。

とくべつ物語の鍵となる場合や奇を衒う場合をのぞいて、排泄シーンは小説でも映画でも排除されるが、まさかそれを主題にするところに驚かされた
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高速道路家族(2022年製作の映画)

2.6

お父さんがかわいそうでしかたなかった。
実存主義的展開に狼狽しながらも、あえてもやもやを残そうとする特有の(と韓国映画を認識している)非接続のあいだに、終始納得いかなかった。
友人はお母さんがかわいそ
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はちどり(2018年製作の映画)

4.2

それぞれのカットが冗長でなく、余分な余白を残さない意思が感じられた。それから、家にいるときと先生の前でウニが表情まではいかない雰囲気のような不確かなレベルなのに、でも明らかに変わっていて、演技ってそこ>>続きを読む

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)

3.0

数学(物理)モノには惹かれてしまう。引力でも働いているのかな。
ストーリーがあまりドキュメンタリー風でなく、むしろ映画らしさを感じられてよかった。
演出がとてもいい。