アラン・レネはどうにも相性が悪くて、かの『去年マリエンバードで』も二回見て二回とも眠ってしまった。
小学校と中学校のときに二度見ている。A面が『鉄道員』、B面が『刑事』のサントラEP盤もまだ手元にある。もちろん例によってほとんど忘れていたのだけど、覚えていたショットがいくつかある。まず、走行する機関>>続きを読む
階下のスタジオにマイクを付け、そこで繰り広げられたセッションを録音するだけでなく、廊下や階段にマイクを付け、さらには電話やラジオまで録音していたというユージン・スミス。写真家というより録音家だ。怪しい>>続きを読む
一作目から回を追うごとに壮大になり、上映時間も長くなってきたこのシリーズは、ついに3時間に近づいてしまった。それでも、閉鎖集団内のルールに縛られていたり、街中から刺客が湧き出てくるなんていう厨二病っぽ>>続きを読む
フリッツ・ラング版の『ラルジャン(カネ)』は教育的な一篇。オープニングは、ミュージカル仕立てで「何でもできる、カネさえあれば」という歌が流れる。そして、犯罪者たちに、犯罪では儲からないことを黒板を使っ>>続きを読む
『ヘンリ・シュガーのワンダフルな物語』に感想を記載。
https://filmarks.com/movies/109193/reviews/162025568
『ヘンリ・シュガーのワンダフルな物語』に感想を記載。
https://filmarks.com/movies/109193/reviews/162025568
ロアルド・ダール原作の4連作は、近作『アステロイド・シティ』より好み。同作で顕著だった舞台劇の手法が極まっている。背景の書き割りが横移動し、あるいは、カメラがセットの中を横移動して場面転換する。また、>>続きを読む
フランスの大スター・イヴ・モンタンと、米国のちょっとスター・キャサリン・ロスが出演しているのが信じられないほどの怪作。カルト映画扱いされるかも知れない。偶然と暴力(原題)に関わる寓意を込めたようだ。モ>>続きを読む
映画を観ては映写機に目を向け、着色ガラスを通して風景を見る。この少年の関心は光学から、1秒間に24コマの静止画を見せる映画の原理に移行し、仲間とともに映写装置を自作する。実際のところ、フィルムの1コマ>>続きを読む
どんなにテンポ良く作っていても、小児向けロバロド作にはあまり心が動かされない。配役やVFXがいい感じに雑なところは好感が持てるけど。一作目と同じ構成において、一作目のダニー・トレホみたいなおっさんが出>>続きを読む
モロッコでロケーション撮影し、アメリカの(準)スターを招き、撮影時より数十年前の衣装を用意し、クラシックカーを集める。そんな大規模なプロダクションでも、ダニエル・シュミットが作り上げる世界にブレはない>>続きを読む
山間僻地の学校に教師が赴任するというジャンルの中では好感が持てる一作。風景もさることながら、人々の顔が素晴らしい。台詞が多い俳優以外は、級長の少女を含めて現地の人たちのようだ。映画って現実の人やモノを>>続きを読む
30数年ぶりの再見。すべての場面のすべてのショットに作家の意志が貫徹されていて、素晴らしいけれど食傷する。幼児期のトラウマからファシズムへの傾倒っていう図式を、ヒネりなく扱っているのも鼻につく。前作『>>続きを読む
多芸多才のコクトーはオリジナル映画を作っても上手いし、舞台劇を映画にしても上手い。舞台劇を映画にするにあたって、サッシャ・ギトリが演劇的なアプローチの中で奇抜な映画表現を繰り出すのに対し、コクトーの映>>続きを読む
アキ・カウリスマキ作品ではこれが一番好き。物語を手際よく進める一方で、剣呑な眼差しの主人公ジャン=ピエール・レオやシワい表情の殺し屋ケネス・コリーのエピソードはじっくりと描く。フランスつながり(フレン>>続きを読む
ストリートに住まう連中がゆるい笑いを誘う。なかなかよき。誰もがよく喋り、相手に頓着せず自己主張を貫く。よく言えば、ギリシャ悲劇っぽい。たとえば、クルマに轢かれそうになった子どもを助けた〈市長〉に対し、>>続きを読む
レオーネやタランティーノやジョン・ウィックからの引用には思わずニヤリとするけれど、キレのない演出が残念。
劇中劇を作る人々—劇作家、演出家、俳優たち—がモノクロの世界で沈潜する一方で、ポップなウェス・アンダーソン・カラーの人造的な劇中劇で俳優たちがドラマを生きる。唐突に立ち上がるキノコ雲や逃走車とパトカー>>続きを読む
バンリューを舞台にしたファンタジー。苦手。バンリューに住まう貧しい有色人種たちが、ちょっと騒いだだけで粛々と立ち退いていくという世界観は『レ・ミゼラブル』とは正反対。廃物商のドニ・ラヴァンが、本物にし>>続きを読む
ロバロドって、ちょっと下品で切れ味のよい作品よりも、キッズ向けの方が好きなんじゃないかと疑っている。
神話劇、SF、サスペンスといったジャンルの立派な作品で名声を得たラングが、異国で初めて手がけた通俗劇。といっても、オーストリア=ハンガリー帝国出身の作家による原作は、ラングにとって馴染みのあるものだっ>>続きを読む
切れ味のよい密室サスペンスを短い尺でまとめているのは美徳。解離性同一性障害(多重人格)でモーテルといえば、アレを思い出さずにはいられないところ、ビニールのシャワーカーテンで控えめにアレに言及している。>>続きを読む
ときどきトラックや船に乗る以外はひたすら徒歩で移動するロードムービー。徒歩旅なら雨が降る辛い日もあるだろうけど、本作では気持ちの良いピーカンが続く。行く先々で別れた人物と再会するのを含めてファンタジー>>続きを読む
豪勢な映画だった。
オープニング、豪快な発破と斜面を転がり落ちる無数の小石。一転して、眺望のよい坂道を登るバスから降り立つマドレーヌ・ロバンソン。ここは清水宏の『明日は日本晴れ』みたい。コイバナの舞台>>続きを読む
作り込みはすごい。三次元の物体と背景の壁にある二次元の絵が渾然一体となった悪夢を見せる。壁の絵はセルではなく、壁に描いた絵を次々と上塗りしていくという途方もない手間ひま。ある場面では、蝋燭が見る見る短>>続きを読む
チョン・ドヨンは事件が起きる前から何かしでかしそうな不穏な表情を浮かべている。子どもが家の中に隠れて見つからず泣き声を上げるところから始まって、ソ・ガンホが勝手に壁に下げた偽のピアノ経歴書をそのままに>>続きを読む
剣呑な眼差しと身勝手なふるまいの永遠の小僧、ジャン=ピエール・レオが堪能できる一作。トリュフォー、ゴダール、リヴェット、そしてユスターシュなんて人たちがレオの代表作を作っていて、好みなのはリヴェットの>>続きを読む
男が二人で街を歩くと女をナンパする。ジャック・ロジェの『ブルー・ジーンズ』やジャン=ピエール・モッキーの『今晩おひま?』なんてのも同じ設定で、展開がぐだぐだなところも同じ。本作だと、ナンパした女が失業>>続きを読む
だらしない母と、それに反発しながら同じような道を辿る娘という基本的な設定の上で、ストーリーが行き当たりばったりに進んでいく。これは田中小実昌の原作通りかも知れないけど、紛れもなく神代辰巳ワールド。>>続きを読む
たいていの映画は1時間半以内に収めることができる、ということを痛感させる教育的な81分。主役のアン・シェリダンが街の女から主婦に転身することに逡巡する以外は、相手役のスターリング・ヘイドンを始めとして>>続きを読む
数多い登場人物たちの関係を、観る者に苦も無く把握させる手腕。ルノワール『ゲームの規則』や濱口竜介『パッション』にも似た恋愛遊戯で、カップルが次々と壊れていく。公務員ミンの父と内縁の妻のカップルは、死に>>続きを読む
『フェイシズ』に継承される顔への執着。『ハスバンズ』に継承されるぐだぐだにして目が離せない展開。1950年代にして黒人が主要な登場人物。
トニスコの『デイズ・オブ・サンダー』に描かれたヒロイックなストックカーレースの世界とは対極にあるベタなギャグワールド。観ているうちに次第に馴染んでくる。主役の不真面目顔ウィル・フェレルは『バービー』で>>続きを読む
簡潔に物語を回し、立ち回りに加えてコメディまで織り込んでいて、苦手な黒澤映画の中では好印象。
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』ではまだ控えめだった教育的なメッセージが本作では剥き出しになっている。それを極彩色のキッチュワールドに埋め込み、ヒット作にしてしまう豪腕ぶり。極彩色の>>続きを読む