木葉さんの映画レビュー・感想・評価

木葉

木葉

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異端の鳥(2019年製作の映画)

4.4

恐ろしくも孤高で美しいホロコーストの傑作だ。
100%不快になる予感的中で覚悟は要るが、コロナ禍でより露呈したレイシズム、排他主義をこの映画は可視化させる。

ヴェネチアでジョーカーやパラサイトらと競
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死霊魂(2018年製作の映画)

4.7

中国の歴史上、痛恨の極みであるこの出来事はどれほど多くの人に認知されているのだろうか。
人は何に支配されているのだろうか。
お金だろうか、権力だろうか、人々の意識無意識だろうか。人がどれほど無知か、無
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.5

崇高でこの上ない愛の物語。
LGBTの生きる苦難、バレエ、貧富の差、ネグレクトが題材だがここまで究極に愛を唄い、愛について思慮深く投げかけてる作品はあっただろうか。
映画は胸を締め付けられるほど、ヒリ
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喜劇 愛妻物語(2020年製作の映画)

3.7

「百円の恋」の足立紳監督の夫婦、家族、実体験映画。終始鬼嫁ダメ夫の漫才を観ているようで笑いが止まない映画。
でも笑いの底には夫婦の歴史、初心、日々の積み重ねが詰まっていてグッとくるものもある。
どこに
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ハニーボーイ(2019年製作の映画)

3.9

トラウマの追体験のような映画だ。
あまりに唐突過ぎて、そこまで感情移入出来る情報も少ないのに、心が張り裂けそうになるシーンの連続に胸が打たれる。
早く大人になり過ぎていい子で従順で父に愛されたかった息
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はちどり(2018年製作の映画)

4.1

世界は不思議で美しい(劇中のセリフ)。
理不尽で自分の力では消化出来ない出来事が起こったりするけれども、
生きていればこそ、生きる価値を感じる美しい瞬間に出会えたりもする。
舞台は90年代激動のソウル
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田園の守り人たち(2017年製作の映画)

4.4

抑制という美徳が貫かれた気高い戦争映画。
ミレーの絵画を観続けてるようで、心地よく、ミシェルルグランの奏でる旋律も絶妙な品格あるフランス映画。
舞台は世界第一次大戦、戦場を殆ど描かず、フランスの広大な
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ひとよ(2019年製作の映画)

3.0

ひとよ(11/8公開)
閉鎖病棟(11/1公開)を一足お先に先々週観てきました。
ひとよ
傑作とか前評判が高かったし、
白石監督、田中裕子、絶妙な配役に正直期待していました、、
が、蓋を開けると、
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.5

私にとって、救いになる映画だ。
苦しい、
始まった瞬間から悪い予感しかないのに、スクリーンに釘付け。
鑑賞後は、エネルギーを吸い取られ、放心状態、
ただただ苦しいのに、また観たい。
奪う側と、搾取され
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火口のふたり(2019年製作の映画)

3.6

火口のふたり、
オンライン試写にて。
柄本佑と瀧内久美の二人映画で、セックスシーン、ご飯のシーンが代わり番こで映し出されるのだが、観ていて飽きない。
身体の相性がぴったりで、いとこ同士な故に離れていた
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COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

3.6

原題は冷戦。
ソ連支配下の冷たい空気がひしめき合うポーランドで
電撃的に惹かれ合う男女。
2人が音楽を聴いたり、奏で通じ合う時が、唯一、抑制からの解放、自由を感じられる。
2人はお互いを求め合うんだけ
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ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

3.8

西部劇が大好物なので、点数は甘め。
私は個人的に好きな監督なのだけど、西部劇映画としてのストーリーテリングはちぐはぐでちょっと中途半端。どちらかといえばノスタルジックなヒューマンロードムービー寄り。
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ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス(2016年製作の映画)

4.1

飄々と堂々と。
じっくりと世界の憧れの的であるニューヨーク公共図書館の裏側を眺められる。
連日の満席でチケット取れなくて、
3時間25分という長尺のドキュメンタリーに集中力が耐えられるかと、
チャレン
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新聞記者(2019年製作の映画)

4.0

SNSによる情報操作、現実の裏側にある真実、都合のいい情報を流す巨大権力、闇を暴こうとする強い信念があっても砕かれてしまう権力の闇の深さ、生々しく、サスペンスフルに炙り出す。
今の日本でよくここまでの
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凪待ち(2019年製作の映画)

4.1

映画のテーマは喪失と再生。
生きることは苦悩の連続かもしれない。
人生を諦め、逃げ続け、ギャンブル依存症の郁男を演じる香取慎吾の大きな背中がスクリーンに映し出される。
大きな哀しみや苦しみをまとった身
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運び屋(2018年製作の映画)

4.1

なぜこんなにも惹きつけられるのか。
なぜ、家族を蔑ろにして、仕事ばかりしてきた男アールに愛おしさを感じてしまうのだろうか。
イーストウッド自身が投影され、彼の魅力が随所随所に散りばめられている。
グラ
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主戦場(2018年製作の映画)

4.0


日本がヤバすぎて、背中がゾゾゾっとする。
日本の負の歴史を掘り返し、日韓関係の根深い溝の真の原因を考えさせ、私たちも戦場に立つ覚悟でスクーリンと向き合う意識で観れるから凄いんです、本当に。
GW前か
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翔んで埼玉(2018年製作の映画)

3.4

これは埼玉出身の友人と観た。
自分だったらチョイスしないような映画をチョイスするということは、やっぱり地元愛溢れてるよね、と思ったが、
どうやらそうでもないらしい。
埼玉はあってないようなもんだ、
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.0

愛がなんだ!
って本当に叫びたくなる。
それは好きな人の好きな人にはなれない、
叶わない恋の方が圧倒的多数だから。
これは報われない恋をしている、それをわかっていてもやめられない、総ての女性に向けた賛
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荒野にて(2017年製作の映画)

4.6

容赦ない過酷な運命を生き抜く少年が荒野の果てに見たものとは。
さざなみで頭角を現したアンドリューヘイ監督が心から離れられない名作を作ってくれた。
教養もなくその日暮らしだが愛情だけは深い父親が、ある日
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芳華-Youth-(2017年製作の映画)

4.0

監督の思いがタイトルにまで込められている。若かりし頃、眩い青春を送った全ての人へ。
文化大革命の時代、毛沢東の全盛期、逝去、中越戦争、80年代90年代の中国、文公団(中国人民解放軍に所属し、各地の軍を
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12か月の未来図(2017年製作の映画)

3.8

教育ってこういうことだよなと、新たな気付きと共に頷かされる映画だ。
名門高のエリート教師が、郊外の移民、貧困層の多い、教育困難な荒れた中学校に1年間だけ派遣されて教育改革を起こせるか試すドラマなんだけ
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グリーンブック(2018年製作の映画)

3.8

既存のステレオタイプを壊し、絶妙なバランスのユーモアと感動で包み込む、素晴らしい映画である。
主人公二人のキャラクターが抜群にいい。
教養と威厳、品があり、もの静かな黒人ドクターと、無骨でがさつなおし
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.0

極めて繊細な映画。
どこまでも寂しく、切なく、殺伐と閉塞的な世の中で、心の繋がりを求めている人たちの魂の叫びのようにも聞こえた。
救いは、作者の、普通に生きられない、行き場も逃げ場もない若者たちへの眼
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

3.9

偶然の出会いが齎す、一目惚れで始まる恋から突っ走り、恋愛ドラマで盛り上がる要素、障害を全て排除し、主人公の感情の動きのままだけで魅せられる恋愛ドラマはあまりない。
ホラー的な不穏さ音楽で増強される不気
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判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)

4.0

二人の男のほんの些細な諍いから発展する、レバノンとパレスチナの問題。二人の裁判はメディア、国、大衆を巻き込み、
映画は多角的に切り、解決の糸口を模索する。
パレスチナ人は国を奪われ居場所をなくした歴史
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追想(2018年製作の映画)

3.7

イアンマキューアンの初夜 を8年前ぐらいに読み、何年も前から映画化されることを知った時から、ずっと楽しみにしていた本作。
つぐない、アムステルダムのイアンマキューアンが自ら脚本も手がけ、原作には収めら
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沖縄スパイ戦史(2018年製作の映画)

4.2

沖縄戦の犠牲者たちの怒り、底知れない闇、憎しみを肌で感じるドキュメンタリーである。
沖縄戦の裏側を証言者の声、残っている写真から、戦争が齎す負の遺産を、一言では済ませられない沖縄の人々の肉声、痛み、心
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ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.1

私の中でジェレミーレナー史上傑作で、今年ベスト3に食い込む勢いの映画。
ウィンドリバーとは、アメリカの北中西部に現存する先住民保留地のこと。
凍りつくような辺境の地で起こったサスペンスに、ヒューマンド
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ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

3.7

25年間、信じてきたものが、ある日、嘘だとフィクションだと伝えられる。自分は赤ん坊の時誘拐され、誘拐犯に育てられ、シェルターから一歩も外に出たことはない。そんな彼が毎日楽しみにしてたのが、誘拐犯の父親>>続きを読む

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス(2016年製作の映画)

3.8

キューバ音楽の歴史を人気ミュージシャンを通して紐解くドキュメンタリー。不遇の時代が長く高齢で成功した彼らのサクセスストーリーを追いながら、成功後の人生がどう変わったかに迫っているのも見どころの一つ。>>続きを読む

子どもが教えてくれたこと(2016年製作の映画)

4.1

紛れもなく良作。画面上から優しさや温かさが伝染し、心の奥底にある温かいものが自然に込み上げてくる。
5人の難病を持つ子供たちの等身大の姿を通して、ありのままを受け入れ、生きることの難しさ、命の重さを考
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菊とギロチン(2016年製作の映画)

3.8

菊とギロチンとは、女相撲とアナーキスト集団。戦争に押しつぶされそうになる時代、それに刃向かい強い精神で時代を突破しようとする若者たちが今にダブる。今は政府や国家に立ち向かおうとする人たちはいないけど、>>続きを読む

未来のミライ(2018年製作の映画)

3.0

かまってちゃんの主人公が時空を超えて、家族の歴史を知る。妹が出来たことにより、両親の愛情が妹に根こそぎ持って行かれ、駄々をこね、あの手この手を使って両親の注意を惹き、困らそうとするくうちゃんが未来や過>>続きを読む

それから(2017年製作の映画)

3.8

モノクロの中で、キムミニの表情がいきいき輝いている。
実生活でも不倫を公表し、未だ堂々と愛を貫いているホン・サンスとキムミニの四作目。
一人の男(社長)と愛人、妻、それに巻き込まれる女キムミニ。この男
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告白小説、その結末(2017年製作の映画)

3.6

スランプに陥った小説家と熱心なファン(エル)が親密になり、小説家デルフィーヌはエルに信頼を寄せ依存し、エルはデルフィーヌの弱みに付け込み、立場が逆転していき、サドマゾの関係性には凍りつき、戦慄が走る。>>続きを読む

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