えむえすぷらすさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

5.0

前作が編集の力でフォーカスを変えていたのであろう事がわかる。
前作が嫁に行った主人公の目から見た銃後の暮らしがテーマだとすれば本作は夫婦となって呉に生きる事を選んだ女性の物語といえる。

リンさん、テ
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飴色のラプソディ(2015年製作の映画)

4.0

室内楽ではありがちな離散集合。弦楽四重奏楽団は長く続くところもあればメンバーがどんどん入れ替わっていく所もあり、同じ名前でもキーパーソン以外は取っ替え引っ替えはよくある話。プロ奏者たちは目指すものが合>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

5.0

科学考証してるところとしてないところの落差がすごすぎる。
大雨で大橋が沈むとかそれは温暖化の海面上昇がないと起きません。それも50m級。
大雨で水没するのは海抜がマイナスの地域。降雨量>排水能力となれ
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ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス(2016年製作の映画)

4.0

NYPLの動向は国立国会図書館のカレントウェアネス・ポータルというサイトでチェックできます(今起きているNY市の予算削減案については出てませんが2010年にもやはり市が予算削減を言い出していた事はカレ>>続きを読む

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

4.5

原題は「SISTERS BROTHERS」。
オフビートな割に夜間銃撃戦は過去例のないリアルさというか何が起きてるか分からないという思い切った見せ方をしている。これ、一貫してるんですよね。

取り止め
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新聞記者(2019年製作の映画)

5.0

 WebDICEに監督インタビュー記事が出てますが、政治に興味もなかったけど製作の方が口説き落としたらしい。制作の人は政治情勢に対する危惧があるけどそういう自分のような視点の人物ではない人の方がいいと>>続きを読む

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019年製作の映画)

5.0

 時代はフェイクニュース。それはフェイクな行為をやっている側が俺が正しい、あの報道はフェイクニュースだと言い張るわ信じ難いことにそんな事をやらかす人が大統領になる時代。まさか徹頭徹尾この要素で攻めると>>続きを読む

きみと、波にのれたら(2019年製作の映画)

4.9

 水、異界との関わり、死という観点では前作「夜明け告げるルーのうた」を引き継いでいる。変わったのはキャスティングと演出方針だろうか。

 消防士の港と大学生のひな子が出会い、消防士のある思い出ゆえに惹
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X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)

5.0

ファイナル・デシジョンはなぜ悪評が強いのかは先ほど理解。

本作の作りは「ローガン」的に思えた(監督は制作でクレジットされていた)。小さな物語をその世界内で大きく見せる仕掛けなので本来このシリーズの区
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アラジン(2019年製作の映画)

5.0

字幕版にて。

OPのクレジットでガイ・リッチー監督なんだというのに気付く。
極端にミュージカルにせずドラマとしても楽しめる作り込み。そしてアップデートしてきた女性主人公像。英語で聞くと封建的な所はそ
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ザ・シークレットマン(2017年製作の映画)

5.0

フーバー長官に仕えてきたマーク・フェルト副長官。フーバー長官の死去の後、外様のグレイ長官代行に仕えることになるが、ニクソン政権の鞍部であるウォーターゲート事件捜査を妨害された事からワシントンポスト紙の>>続きを読む

ガラスの城の約束(2017年製作の映画)

-

まだ主人公が高校生で父親とバーにいてある事がバレて酷い裏切りをやられるんですが、そこでギブアップ。父親の実家がヒルビリー。そして父親もまたそういう思想に染まっているのがきつい。

ヒルビリーの精神性に
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リハビリ・ボーイズ 一歩ずつ前へ(2018年製作の映画)

5.0

Netflixにて。薬物依存症患者の合宿施設「ジェイコブズ・ラダー」のドキュメンタリー。

薬物依存症は別に人でなくなったりしない。無差別殺人を犯したりもしない。ただクスリのために窃盗をしたりするが、
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ヘロイン×ヒロイン(2017年製作の映画)

5.0

Netflixにて。怪我などでオピオイド鎮痛剤を処方され、それを常用するようになった人がヘロインやフェンタニル、カーフェンタニルに手を出して過剰摂取で死亡する事故が激増している中西部のブルーカラーの街>>続きを読む

シンプル・フェイバー(2018年製作の映画)

5.0

原作が刊行される前に映画化が決まったとか、原作著者デビュー作とか思わぬエピソードが多い作品。

ヘンリー・ゴールディング from クレイジー・リッチ!はなんとも言い難い展開の役をしている。

スノー・ロワイヤル(2019年製作の映画)

4.4

リーアム・ニーソンという羆が息子の仇を求め、そしてその事が関係ない組織にも飛び火して殺し合いの輪が広がっていく。

北欧を舞台とした「ファイティング・ダディ」を撮った監督自身によるアメリカ・リメイク。
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ベン・イズ・バック(2018年製作の映画)

5.0

 オピオイド処方鎮痛薬問題を扱った作品。松浦美奈訳はその点をきちんとおさえていて良かった。

 アメリカの麻薬の戦いは1995年に依存性の低い麻薬じゃないとされた処方鎮痛薬の発売が徐々に様相を変えてい
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ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男(2016年製作の映画)

5.0

 珍しい南北戦争背景の映画。ジョーンズ自由州を作り、逃亡奴隷や南部軍の弾圧に苦しんだ農民を率いて蜂起したニュートン・ナイトとその彼の子孫のある裁判を描く。

 理不尽な南部軍での体験。軍を抜け故郷に戻
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海獣の子供(2018年製作の映画)

5.0

 思うところがあってもう一度見た上で内容書き換えてます。

 電子書籍1巻は期間限定で無料公開中(Kinoppyで確認)。
冒頭部は比較的原作に忠実。ただ海と空のような存在に関する設定は変更されている
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さよならくちびる(2019年製作の映画)

4.0

インディーズの女性デュオ+ブッキングからローディーまでなんでもやる謎の男性のこれが終わったら解散するという7カ所ツアーを描く。

インディーズで人気があるというなら浜松や四日市、大阪ももっと混んでない
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ガルヴェストン(2018年製作の映画)

5.0

俳優でもあるメラニー・ロランの監督作品。ベン・フォスターとロッキー役のエル・ファニングの演技、演出と観客に望むものを安易に与えないビターなプロットが本作の核となっている。

絶望からの逃避、そして未来
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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

5.0

人間ドラマが希薄と言われたけど見てみたら、凄い密度で物語が構成されていてしかも家族の物語とゴジラの戦いがリンクもしている。
無理をしてると思うところもありますが面白い。物語がストップせず中だるみもなく
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主戦場(2018年製作の映画)

5.0

ホロコースト否定論の作家を批判したら名誉毀損で訴えられたアメリカのホロコースト研究者リップシュタット教授が書いたノンフィクションを映画化した「否定と肯定」の法廷シーンを独立させて慰安婦否定論について扱>>続きを読む

オペレーション・フィナーレ(2018年製作の映画)

4.5

アイヒマンもの。モサドの潜入チームがアルゼンチンからアイヒマンを連れ出す映画。「アルゴ」に似てますが、ともかくチーム内でのいざこざを描きこんでるのでストレス溜まりますね。アイヒマンが監禁中色々と話すと>>続きを読む

空母いぶき(2019年製作の映画)

-

1時間20分でギブアップ。

空母に潜水艦が随伴するのは米海軍の空母打撃群の方式ですが、攻撃型原子力潜水艦がやろうと思えば30ノット出しっぱなしにできるからの話であって通常型潜水艦では無理です。こうい
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パリ、嘘つきな恋(2018年製作の映画)

4.5

プレイボーイが新たな相手を求めてついつい下半身が不自由な身体障がい者のふりをしたら本気で車椅子の女性に恋してしまいズルズルと嘘を重ねていく。

概ねトレイラーにも嘘はなく進むがある所で秘密がバレていく
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プロメア(2019年製作の映画)

5.0

SF歌舞伎アメコミって感じでしょうか。独特の映像に見栄を切ったりするという形式を取り入れつつセリフで説明を極力回避して見せてくれるので乗り物酔いのような酩酊感を味あわされる。

風呂敷がめっちゃ広い。
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芳華-Youth-(2017年製作の映画)

4.8

芸能部隊内での対人関係の掘り下げは「リズと青い鳥」など見てとことん煮詰めたような精緻な関係描写を知ってると物足りない。俳優陣はいいけど演出が弱い。これは追記で詳細を触れるが理由はある。

文化大革命で
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アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)

5.0

Point of no return を越えてしまったとき、人は何を思うのか。

凄い映画を観た。冒険と思っていたものが人を傷つける罪であると知るがもはや取り返しのつかない事だったと気付く物語。

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コレット(2018年製作の映画)

5.0

「アリスのままに」監督・脚本夫妻による最新作。脚本のRichard Glatzerさんは2015年死去。監督のWash Westmorelandさんと結婚されていたとの事。

作品の組み立てはシンプル
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レプリカズ(2018年製作の映画)

3.9

お母さんの機転というか決断というか姉が弟に言うところは良かったけどもっと良く出来そうな感はある。プロット、脚本に難ありかな。

ザ・フォーリナー/復讐者(2017年製作の映画)

5.0

監督は映画を撮る以前に英国の架空の防諜警察を描いたドラマシリーズ「特捜班CI-5」で5エピソード撮っている人物。CI-5は痺れる渋さの警察アクションドラマの傑作でした。そういう観点で見ると本作を手がけ>>続きを読む

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)

5.0

講演会、依存症の会、街中での車椅子の転倒から語られ始める主人公の半生はアルコールで人生を破滅させた。そこから強烈なねじれを含んだ風刺漫画を描くようになり依存症の会のリーダーや恋人の助けを得て立ち直って>>続きを読む

ある少年の告白(2018年製作の映画)

5.0

エドガートンが監督、脚本、出演。
大学生の主人公が牧師の父親たちの手でLGBTQ治療施設に送り込まれて施設内の出来事を何も語るなと言われる。そうして知る治療の実態などミステリアスに語る。
エドガートン
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

恋愛で視野が狭くなってる主人公の痛さについて。リアルな描写、主人公のダメさが襲いかかってくるのがきつい。映画は悪くない。ただ私にはきつい作品で途中で逃げ出した。

「少女邂逅」ミユリ役の穂志 もえかさ
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アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

5.0

運命と選択、得られるもの、代償として支払うもの。因果応報の物語だった。

まさかMCU作品で泣かされるとは思いもしなかった。見事なストーリーテリングと演技、演出。監督のルッソ兄弟や出演陣、製作陣の努力
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