megurosさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

3.8

1961年。韓国では朴正煕が軍事クーデターを起こして新政権を樹立。その際に韓国初の情報機関として中央情報部(KCIA)が設立され、朴正煕の長期政権を支えることとなる。KCIAは南山にあったためKCIA>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

あまり情報は入れないように努めていたものの、噂レベルではそんな話も囁かれていたのは知っていた。しかしまあいつもの飛ばし記事だろう、そもそもそんなことができるはずがない、実現してもカメオレベルがせいぜい>>続きを読む

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

「欲望の翼」とか「恋する惑星」の頃の初期ウォン•カーウァイに、レフンの「オンリー•ゴッド」を足して、中国社会の下層をノワールに描いたような快作。「薄氷の殺人」には無かったアクションシーンが序盤からバッ>>続きを読む

無頼(2020年製作の映画)

4.0

WOWOW「W座からの招待状」で小山薫堂氏はこの映画について「主人公たちは何にも頼らずに”無頼”ということをまさに体現していた」...のような感想を話していらっしゃったが、自分の印象はむしろ逆。

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殺しのドレス(1980年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

デパルマ得意のサスペンス•スリラー(ヒッチコックリスペクト)。”女装する大男がエレベーターの隅に剃刀を握って隠れているのがミラーに映る”...というあの場面は何度観ても素晴らしい。

レイジング•ケイ
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アメイジング・スパイダーマン2(2014年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

前作描かれなかった両親の死の場面&オズコープのプルトニウム輸送車ハイジャック(何運んどんのじゃ…)と冒頭からすごいテンポ。パルパティーン卿のようなエレクトロのバトルシーンはどれも恐ろしい程に美しく、明>>続きを読む

青空どろぼう(2010年製作の映画)

3.8

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四日市ぜんそくの発祥地、四日市市磯津。戦後、軍需工場の跡地に石油化学コンビナートが作られ、およそ300本の煙突からは環境基準の4.5倍を超える亜硫酸ガスが放たれることとなる。住民は慢性気管支炎や肺気腫>>続きを読む

VHSテープを巻き戻せ!(2013年製作の映画)

4.0

ビデオテープの歴史と文化、その影響を映したドキュメンタリー。1975年にSONYからベータ、翌年日本ビクターからVHSが発売。ベータの方が画質には優れていたが、ベータが1本で1時間の録画だった一方でV>>続きを読む

水俣曼荼羅(2020年製作の映画)

4.5

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横浜シネマリンのオールナイトで鑑賞。

メチル水銀中毒症(水俣病)は長らく末端神経系の損傷だと信じられてきたが、中枢神経を中心とする大脳皮質損傷による感覚障害であることが研究によって分かってきたという
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スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち(2020年製作の映画)

3.8

女性スタントについてのドキュメンタリー。各種格闘術、ドライビングに至るまで覚えることはとにかく多いのに、歩きにくい靴、動きにくい服、露出が多いとパッドも付けられず、女優と似せる必要もあるから痩せてもい>>続きを読む

デ・パルマ(2015年製作の映画)

3.8

デ・パルマがどんなに酷い人だったかをキャストやスタッフに語ってもらうだったり、デ・パルマが語っていることの真偽を多角的に検証するようなことはせず、デ・パルマがインタビューを受けてキャリアを振り返る。ま>>続きを読む

アメイジング・スパイダーマン(2012年製作の映画)

4.0

サムライミ版のような思春期で糸を引いてしまうピーターではなく、ウェブシューターを自ら開発して装着する原作設定のピーター・パーカーにアンドリュー・ガーフィールド(冒頭、本当にモテなそうに見えるのが凄い)>>続きを読む

藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

4.2

曽根啓介原作(オールドボーイに続いて)またも韓国映画化。原作を読んでいなかったので最初から最後までハラハラと楽しんだ。ヴィトンのカバンに入った5億ウォン(=5000万円弱)をめぐって欲深い人間が騙し合>>続きを読む

ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

3.5

監督は絵画から強く影響を受けているらしいが、市井に生きる我々のふとした瞬間を集めた美術館のような映画と感じた。それは構図によるものだけではなく、登場人物は半ば死んでいるかのように(ロイ•アンダーソン監>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.3

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ジョナサンでの別れの場面。下の世代のカップルの会話シーンは最初にあの席に座れなかったことも含めて見事。ラストにはGoogle Street Viewの伏線も回収していて、全体通じて構造化された素晴らし>>続きを読む

長良川ド根性(2012年製作の映画)

4.0

まず、長良川河口堰問題についてWikiから引く。

“元は工業用水を溜めるために計画されたが、計画が30年以上紆余曲折するうちに重工業がさして水を必要としなくなったため、洪水防止に名目を変更して建設が
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音楽(2019年製作の映画)

3.8

まだ何も成し遂げていないから何の責任もなく、暇だけはあるから自分がやりたいと思ったことに全てを捧げることができる。そうした時期は今振り返ると輝いて思い出されるけれども、中にいるときはさほど意識していた>>続きを読む

フリーズ・ミー(2000年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

かつて3人組による集団レイプ被害に遭ったちひろ。逃げるように故郷を飛び出して5年、東京での居場所を突き止められてしまう。傷害で捕まった男の1人のための”出所祝い4Pパーティー”と称して男たちは1人ずつ>>続きを読む

ザ・ハント(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ブラムハウス作品。冒頭、エマ•ロバーツが出てきて主役かと思ったらすぐに脳漿をぶちまけて死亡。ジャスティン•ハートリーが続いて出てきたのでこっちが主役だったかと思ったら直後に爆死。出てくるキャラクターが>>続きを読む

死刑弁護人(2012年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

新宿西口バス放火事件、あさま山荘事件、ダッカ日航機ハイジャック事件、そして和歌山カレー事件、オウム真理教事件。死刑を求刑される事件を数多く担当してきた安田好弘弁護士の姿を追いながら、事件に至る日本の暗>>続きを読む

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

4.3

PFOAの危険性は1960年代から分かっていたにも関わらず、規制を受けていない(=規制団体がまだ感知していない)という理由で金儲けを続ける方を選択をしてしまうまずその神経が信じ難い。社員を人体実験に動>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

銀河拡大という大義のために惑星を育てては丸ごと潰していくセレスティアルズの真意が判明してから、善玉だと思っていたエターナルズが悪役反転して倫理的な葛藤が生まれ、そこにそれぞれの選択が生まれる後半の展開>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.3

歴史として参照される文献等の多くは男性によって、そして勝者によって記録されてきたものだ。実際の裁判の資料にも男性側の視点しか残されていなかったようで、映画化するにあたって制作総指揮のマット&ベン(有能>>続きを読む

(1985年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

“もともとは黒澤が「毛利家は『三矢の教え』で知られる毛利元就の3人の息子たちのおかげで栄えたが、もしもその誓いが守られなかったらどうなるか?」という問いに、3人の娘を持つリア王の悲劇に結びつけて着想し>>続きを読む

高地戦(2011年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

10年ぶりに再見。朝鮮戦争の末期。戦争が膠着状態となり停戦交渉が難航して長引く中、停戦協定の要となるエロック高地では激戦が繰り広げられていた。韓国軍防牒隊中尉のウンピョは北との内通者を調査するため、そ>>続きを読む

アンダーウォーター(2020年製作の映画)

3.5

マリアナ海溝の水深1万mにある石油掘削基地で事故。水圧で基地が壊れ、(なぜか原子力も使っているため)メルトダウンまで迫る緊迫感の中、襲いかかってくる謎の生物から逃れながら脱出ポッドを目指す。嫌なことの>>続きを読む

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

1969年から1972年の間の若松プロの模様、その時代を駆け抜けた人たちの姿を描く。1972年に急死した吉積めぐみを軸にすれば”映画が作れる”と監督は考えたということだが、本当にそのプランは得策だった>>続きを読む

首相官邸の前で(2015年製作の映画)

4.2

2012年夏、首相官邸前で行われた20万人の反原発デモ。80年代以降抗議デモを行ってこなかったこの国でこのような大規模デモはどのように立ち上がったのか、そして如何に市民グループによる首相会談へと至った>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.8

ストーリーはリンチ版からさほどの改変はなかったはずだが、今作の視点になるほどと唸った。

リンチ版はホドロフスキーのプロジェクトを引きずってか、あるいはLSDによってベトナム反戦意識が高まったという原
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砂の惑星(1984年製作の映画)

3.5

リブート版鑑賞前にチェック。リンチは日常のすぐ裏側に潜む狂気や恐怖を描く優れた監督であって、壮大なスペースオペラには相性が良くなかった印象(ラウレンティスがクリエイティブの自由を与えなかったという話は>>続きを読む

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

4.5

冒頭から信じられない映像の連続だった。ブカレストのクラブ”コレクティブ”における火災発生時の様子は、クラブの撮影カメラだけでなく個人のスマホ映像によって映され、火の手が奔流のように迫ってくる恐ろしさを>>続きを読む

落下の王国(2006年製作の映画)

4.7

石岡瑛子の衣装を確認するため15年ぶりに再見(花嫁衣装のヘッドドレスが特に素晴らしかった)。

怪我したスタントマンであるロイが病床で語る物語をアレクサンドリアが脳内で映像化、そのビジョンでストーリー
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魂のゆくえ(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

16世紀、権力を求め、金稼ぎに明け暮れ、世俗化を進めていた教会に対してルターは本来の信仰の形に戻るべきだと説いた。そうした教会に対する抗議者(=プロテスタント)の流れを汲んで登場したカルヴァンはジュネ>>続きを読む

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

妻も82年の生まれで、産後の不調に悩んでいるため急いで鑑賞。事前知識を入れていなかったので、産後精神病の一種として”祖母が憑依する”という設定に驚いた。がしかし、その設定に納得もいった。その設定によっ>>続きを読む

異端の鳥(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

第二次大戦中の東欧のどこか。子供は一緒に暮らしていた祖母を失い、家を失い、両親を求めて旅に出るも、その旅路は正に地獄めぐり。極寒の中、戦火に生きる人々からの強烈な悪意(*)にさらされることとなり、時に>>続きを読む

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.7

20年ぶりに鑑賞。Dommune Radiopediaでの町山さん解説も聞いた。

公開は99年。消費社会の進展によって都市が漂白され生の実感が薄れていたこの時期、肉体の痛みによって生の感覚を取り戻し
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