南さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

The Enchanted Drawing(原題)(1900年製作の映画)

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四文字熟語の「画竜点睛」は、「壁画の龍に目を描き入れるやいなや本物の竜となり壁から飛び出した」という故事に由来する。

現代のアニメ・漫画・ゲームでも「絵に描いたものを具現化させる」という能力はおなじ
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見えざる敵(1912年製作の映画)

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グリフィスは今作で初めてリリアンとドロシーのギッシュ姉妹を主演に据えた。

「強盗により自宅に監禁された二人の女性が主人公のサスペンス」

という、100年近く後の『パニックルーム』などにも見られる型
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マックスの快癒(1911年製作の映画)

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マックス・ランデーはサイレント映画における最初の喜劇王。

『マックス』シリーズの一つである今作は、紳士がいたずら者の馬に翻弄されるドタバタ劇。

彼は今作の数年後に第一次世界大戦に従軍。

退役後に
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マルタの鷹(1941年製作の映画)

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40年代〜50年代に隆盛したフィルムノワールの礎と評価される作品。

登場するのは、100万ドルの価値を持つと噂される彫像を手に入れるため、欲望に突き動かされるまま仲間を裏切り殺人を犯す悪人たち。
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ビトウィーン・トゥ・ファーンズ: ザ・ムービー(2019年製作の映画)

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事前情報なしに観てかなり笑った。

「タモさんがどぎつい毒舌しか吐かないテレフォンショッキング」といった内容。

『タクシードライバー』のテーマが流れて冒頭からゴキゲン!

実際にある番組だそうで、概
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ファンタスマゴリア(1908年製作の映画)

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最初期のアニメーション。恐ろしくクオリティが高い。

寺院の前で小銭を拾う安南の子供たち(1902年製作の映画)

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動物にエサを撒くように笑顔でカネを放り投げる宗主国の貴婦人。

そして必死でカネを拾い集める植民地の人々。

強烈すぎる映像だ。

どういう意図のもと記録されたのやら。

以前どこぞの成金経営者が「お
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La petite fille et son chat(原題)(1899年製作の映画)

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La petite fille et son chat(小さな女の子とその猫)

リュミエール映画には印象派に通じる美学がある。

『赤ん坊の食事』や『赤ちゃんの口喧嘩』など無垢な少女をたびたび出演さ
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サック・レース(袋競走)(1896年製作の映画)

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賑やかな小品。

演出、つまり作り手のコントロール下にある必然的要素。
そして作り手の制御が及ばない偶然的要素。

この2つがないまぜになる快感が映画芸術の醍醐味であり、それは映画の黎明期から変わらな
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皿まわし(1896年製作の映画)

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『変化する帽子』同様、「飲み会の余興」系の作品。

赤ちゃんの口喧嘩(1896年製作の映画)

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右の赤ちゃんが左の赤ちゃんを一方的にやっつける映像。

たった1分の中に以下のバリエーション豊かな攻撃シーンが詰まっており、流れと躍動感がある。

・服を引っ張る
・ひっぱたく
・相手の物を奪う
・ス
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雪合戦(1896年製作の映画)

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最古のアクション映画の一つ。

「雪合戦で始まる映画」と言えばコクトーの『恐るべき子供たち』だが、映画黎明期には既に躍動的な雪合戦を記録した作品があったのだ。

以下の手段で演出される映像の奥行き/立
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リヨンの消防隊(1896年製作の映画)

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『ラ・シオタ駅への列車の到着』同様「でかい塊がこっちに向かってくる」様子を描写した映像。

『セッション』終盤など、

「画面の向こうから主人公(ひいては視聴者)めがけて猛スピードで突進してくる車」
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馬芸(1895年製作の映画)

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「平均台のような技を繰り出す身体能力を持つにも関わらず乗馬には延々と失敗し続ける男」というTikTok向けネタ動画。

全自動の帽子屋兼肉屋(1900年製作の映画)

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リュミエール兄弟に端を発する「自動ソーセージ屋」派生作品の一つ。猫肉ソーセージと帽子という妙な組み合わせ。マシンからたなびく煙が画面に動きを与えていて楽しい。

港を離れる小舟(1895年製作の映画)

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荒海に漕ぎ出す手漕ぎのボート。それを見守る貴婦人と子供たち。

躍動的で、サスペンス映画のような緊張感もあり、「動く海洋画」といった趣がある。

「危ないものを安全圏から見てみたい」

という好奇心を
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海水浴(1895年製作の映画)

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人々が次々と海に飛び込む様子を記録したループ映像。

映画に先行する発明であるフェナキストスコープやゾエトロープ(※)の機構をフィルムを用いて再現したような趣があり面白い。

※内側に絵が描かれた筒を
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自動ソーセージ屋(1895年製作の映画)

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左の箱に豚を投入し、クランクをぐるぐる回すと、右の箱から部位ごとに加工された豚ハムが次々と登場する、という内容。

原初のSF映像。

腸詰めが機械の中からニョロニョロと出続ける描写には、眺めていてo
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変化する帽子(1895年製作の映画)

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ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!の企画を思わせるネタ映像

赤ん坊の食事(1895年製作の映画)

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リュミエール兄と妻、そして夫妻の娘のほのぼの食事映像。

史上初の食事シーン。

「自然の中での食事」というコンセプトが、マネの”草上の昼食”などフランス印象派絵画に近い美意識を感じさせる。

この赤
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哀れなピエロ(1892年製作の映画)

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最古のアニメーションの一つで、
最古の劇映画の一つで、
パーフォレーションを備えたフィルムを用いた最古の映像の一つ。

リュミエール兄弟に至るまでの映画黎明史、本当に面白い。

沢山の人々の苦心と発明
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魔女がいっぱい(2020年製作の映画)

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ロアルド・ダール原作&ギレルモ・デル・
トロ脚本の楽しくてちょっぴり怖いファンタジー映画。

動物のCGがとにかく可愛い。

「雄弁にしゃべるネズミ」を観ると大好きな『スチュアートリトル』を思い出しち
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

5.0

ー 俺たちが繋いだもんが真実なんだよ ー

以下の自戒が強まり、居住まいが正される作品だった。

「日々メディアから垂れ流される " 真実 " が、演出され編集された虚構である可能性を常に疑え。安易に
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哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

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ヒト凶暴化ウイルスに感染した人々が台湾の街で大暴れ!

凄絶すぎるゴア描写が魅力のパンデミック映画だ。

電車内で首を刺された男性の血しぶきが天井にドバッと噴出するシーンなど、椿三十郎もかくやという勢
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女神の継承(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

人間や動物や虫などあらゆる怨念の融合体。

それが今作のヒロインであるミンに憑いた悪霊の正体だった。

同じくこの映画の構成自体が、往年の名作ホラーの要素を詰め合わせた、恐怖の幕の内弁当となっている。
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