miporingoさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

miporingo

miporingo

映画(298)
ドラマ(8)
アニメ(0)

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(2009年製作の映画)

4.0

大好きでシリーズ通して何度も観ていて原作も最高なんだけど、ひとつだけ納得いかないというかモヤモヤが残るのは、ニーダーマンの扱い。言ってみれば彼もまた被害者で人権侵害を受けてきた孤独な子どもですよね?何>>続きを読む

こころ(1955年製作の映画)

3.6

この作品が現代用語のホモソーシャルで語れることに気づいてしまった。洋画で言うと”Once Upon a Time in America” と同様に。マドンナ的な女性を置くことも共通していて、奪う方はそ>>続きを読む

ふるさと(1983年製作の映画)

3.9

友人が昔徳山村を訪れてその時に会ってお話を聞いたという増山たづ子さんのことを知ったのが去年か一昨年だったかな。この映画をすでに観ていたにもかかわらず、しばらくわたしの頭の中で繋がってなくて、ハッとして>>続きを読む

クリスマス・キャロル(1938年製作の映画)

3.7

ジョン・アーヴィングの『オウエンのために祈りを』で、オウエンがクリスマス・キャロルの劇で3番目の精霊の役を演じる場面があって、セリフがひとつもないが存在感が群を抜いているという役柄で、「そうだったかな>>続きを読む

しろばんば(1962年製作の映画)

4.0

昔原作を読んで、すっかり内容は忘れてしまったものの、甘えん坊の主人公と彼を溺愛するお婆さんとのやり取りが良かったということだけは覚えていた。プライムで見つけて「おお!」と思って鑑賞。映画も素晴らしかっ>>続きを読む

ゴッドファーザーPART III(1990年製作の映画)

3.8

男の世界の話なのに、印象に残るのは女たちだった。若い頃にはピーピー泣いたりわがままし放題だったのに、大人になったら眩しいほどの貫禄を見せるコニー。この世界の外の男とは理解し合うことはできないことを悟っ>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984年製作の映画)

3.8

伏線と謎とに富んでいて時系列もバラバラなので、一度ではなかなか理解できなかったし、たぶん解釈もいろいろあって、そういう意味でも後を引く映画だった。わたしの印象は、マックスの、ヌードルズへの男としての憧>>続きを読む

バルカン超特急(1938年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

列車と言う密室劇なのがオリエント急行殺人事件と似ている。これってミステリーのひとつのスタイルなのかも。鼻持ちならないご令嬢とわけのわからないミュージシャン、どちらも最初は好きじゃないのが終盤は好きにな>>続きを読む

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

3.9

ユージン・スミスの視点で描かれた水俣病の「物語」。このようなデリケートな社会問題を扱うときには製作側もできうる限り丁寧に作る必要があり、各方面に心を砕かなくてはならない苦労があることは想像に難くない。>>続きを読む

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

3.0

ダンスは素晴らしかった。戦争が悲しいことも伝わってくる。でも、fuckin' ideology というのは、ちょっと違うと思う。理想に基づいて社会的思想を持つことはわたしはクソとは思わない。ただ、冷戦>>続きを読む

ケープ・フィアー(1991年製作の映画)

3.4

14年間の獄中生活で辛酸を舐めながらも、読書で知性を、筋トレで強靭な肉体を作り上げる、デニーロ演じるマックス・ケイディが、自分をかつて担当した弁護士サムがおざなりの仕事しかしなかったことを恨みに、出所>>続きを読む

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)

3.8

実写版が現実なら、こちらはファンタジー。でもわたしは現実もアニメ版のようであって欲しいと願う、あたまお花畑の人かもしれない。
実写版を観たときに「まあ、そうなるよな」と思いつつも諦めがつかなかったので
>>続きを読む

異端の鳥(2019年製作の映画)

4.5

人間はどういう条件の下でこのように不寛容に、残虐になれるのかとずっと考えながら観ていた。とても悲惨ではありながら、詩情豊かで芸術性も高い映画だと思う。このような作品に触れると、戦争体験者の多くが口を閉>>続きを読む

サイモン・バーチ(1998年製作の映画)

4.5

二回観たけど、二回目も号泣してしまったし、いまでも思い出すだけでも涙腺が危うくなる。とてもいいから、みんな観て。
原作であるジョン・アーヴィングの『オウエンのために祈りを』のいいところだけを抜き出し、
>>続きを読む

ドア・イン・ザ・フロア(2004年製作の映画)

4.0

ジョン・アーヴィングの『未亡人の一年』(上・下)が好き過ぎて、映画化された『ザ・ドア・イン・ザ・フロア』をずっと観たいと思っていて、やっと入手したんだけど、今度は好き過ぎて観るのがちょっと怖くなってし>>続きを読む

ガープの世界(1982年製作の映画)

4.0

かつて原作を読み、そのあとすぐに映画を観た時に「登場人物の外見が全員、想像したのと同じだった」と思って驚いたことを思い出す。そういえば、アーヴィングは彼自身の作品の中で『ガープ~』に限らず、人物の外見>>続きを読む

ジョーンの秘密(2018年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

実話をベースにした映画はやはりリアリティがある。彼女はスパイのようで、スパイとは言わないですね。誰かに雇われたわけではなくて己の信念だけで行動したわけだから。
ところで、彼女が情報を流さなければソ連は
>>続きを読む

パリのランデブー(1994年製作の映画)

4.0

3つのオムニバスから成り立つ、まさにパリのエスプリがたっぷりの恋愛悲喜劇。ずっと喋ってる喋ってる。そして男の人たちが女性を口説くときの忍耐強さよ。ファッションや雑貨の世界は今でこそ北欧が注目されている>>続きを読む

ハッピーエンドが書けるまで(2012年製作の映画)

3.6

作家が沢山出てくる家族の物語というので、ジョン・アーヴィングの『未亡人の一年』を彷彿とさせるのだけど、沢山出てくるアメリカの現代作家の名前にそのアーヴィングが出てこないのでちょっとがっかり。アーヴィン>>続きを読む

燃えよ剣(2021年製作の映画)

3.3

岡田くんも良かったけど、柴咲コウがきれいで健気で強くてよかったですね。「わたしは土方歳三の妻です」とキッパリ言い切ったときの美しさよ。池田屋事件のBGMがなぜカルメン 笑 あと、山崎進のキャラが良かっ>>続きを読む

コリーニ事件(2019年製作の映画)

3.8

現代におこった殺人事件がナチスの残虐な行為を掘り起こすことになるという内容で、映画もよかったけど、原作を書いたシーラッハがドイツユーゲントの責任者でニュルンベルク裁判でも裁かれたシーラッハの孫というの>>続きを読む

トルーマン・カポーティ 真実のテープ(2019年製作の映画)

3.9

ほんとに複雑で型破りで矛盾だらけで興味深い人、カポーティ。彼のことはだいぶ知っているつもりだったけど、知らなかったこともこの映画で知ることができた。卒論で彼の初の長編『遠い声、遠い部屋』を取り上げたと>>続きを読む

アラバマ物語(1962年製作の映画)

4.0

以前から好きで何回も観てるのだけれど、primeに上がってるのを機にまた観る。1930年代のアラバマでの、弁護士アティカス・フィンチと二人の子どもを中心とした法廷映画。とはいっても、アティカスの娘スカ>>続きを読む

顔のないヒトラーたち(2014年製作の映画)

3.8

ドイツは第二次世界大戦後に自国の行いを振り返り、きちんと総括したということはよく言われることだけれど、戦後13年も経って1958年時点でまだナチの残党が数多く生き残り、しかも彼らが社会での影響力を持っ>>続きを読む

罪と女王(2019年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

北欧でいろいろ賞を取っているというので観た。夫ペーターの先妻との子、グスタフ17歳を引き取ることになるが、誘惑して何度も関係したあとに保身のために身を翻し彼を拒絶するようになるアンネ。彼女に弄ばれ荒ん>>続きを読む

(1954年製作の映画)

3.7

取り返しのつかないことをしてしまったと自覚したらこうしてむせび泣くしかないのだろう。でも、泣いて泣いて、そのあとどうなるのだろう。どうやって生きていけばいいのか...と思ってしまった。
モノクロームの
>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.9

原作は未読。人は大切な人を失ったとき、喪失感や哀しみをきちんと受け入れるという段階が必要で、自分の内面を見つめ、他者と関わり合うことが出来るなら、再びその歩を進めることができる、というテーマは『ノルウ>>続きを読む

残された者-北の極地-(2018年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

登場人物は二人、セリフは数えるほどという静かな映画。それなのに冗長なところは無く、ずっと画面にひきつけられてしまう。主人公のバックグラウンドも何もわからない。何処から来たのかも、家族がいるのかどうかも>>続きを読む

存在の耐えられない軽さ(1988年製作の映画)

4.5

原作既読。4人の男女によるラブストーリーであるとともに、プラハの春と呼ばれる時代のチェコの雰囲気、急激な民主化をおそれるあまりのソ連による鎮圧が描かれており、現在のウクライナ情勢とも重なるものがある。>>続きを読む

ブラックブック(2006年製作の映画)

4.0

どの人がいい人でどの人が悪い人か何度も入れ替わり立ち代わりしてゆくところは、実際のところナチにしても連合軍にしてもレジスタンスにしても、欲深い人間も裏切る人間も弱い人間も包含しているということだ。終戦>>続きを読む

ノルウェイの森(2010年製作の映画)

2.5

大切な人を喪失したあとにも、わたしたちは生きていかなければならないし、そのためには、誰かをまた好きになる必要があるのだということなんだと思う。直子やハツミさんは一途過ぎて、ほかの人をどうしても愛するこ>>続きを読む

サンダカン八番娼館 望郷(1974年製作の映画)

4.0

こういうあからさまな人身売買は無くなったものの、日本での女性の地位が欧米に比較して相変わらず低いこととか、途上国では未だ搾取される子供や女性たちがいることをまず問題意識として持つことも大事なような…。>>続きを読む

アナタハン(1953年製作の映画)

3.3

これが実話というのが驚き。アメリカ人の監督がなぜこの事件を題材に映画を撮り何を思ったのか。異常な状況下であっても、自分の行動が後々恥ずべきものでないようにしたいものだと思ったりした。