mitzさんの映画レビュー・感想・評価

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プリシラ(2023年製作の映画)

3.0

ソフィア・コッポラ監督作。エルビス・プレスリーの元妻プリシラの回想録「私のエルヴィス」から脚本を手掛けた作品。
父親の赴任地である西ドイツに暮らしていた14歳のプリシラが、世界的スーパースターと出会い
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

3.5

アメリカプロレス界の「呪われた一家」フォン・エリック・ファミリー。日本でも活躍したアメリカの伝説的なプロレスラー フリッツ・フォン・エリック とチャンピオンになることを宿命づけられたその息子たちの物語>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

2.0

クリストファー・ノーラン監督による「原爆の父」ロバート・オッペンハイマーの半生を描いた今年度のアカデミー賞受賞作品。
物語の本筋は科学者としての探求心、そして原爆の開発成功により人類を焼き尽くす力を与
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.0

浅野いにお作品、初のアニメーション化。
巨大な宇宙船が襲来してから三年後の東京都。上空に浮遊する「母艦」が次第に日常へと溶け込んでゆく世界の中で生活する女子高生5人の物語。
未知との遭遇を通じて混乱す
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.1

2023年カンヌ映画祭にてパルムドールを受賞したミステリーのようでミステリーではない作品。
雪山の山荘から転落死した夫、残されたその妻と視覚障害を持つ息子、そして飼い犬。後半から始まる法廷劇で語られる
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.9

アリ・アスター監督によるA24史上最大予算で製作された(あえてカテゴライズするならば)ダークコメディ。
急逝した母親に会いに行く主人公 ボー の里帰りが本筋です。物語は主に4部構成、アクシデントにより
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

5.0

ヨルゴス・ランティモス監督による芸術性豊かな「性悪説」の塊。ユーモアと毒気に満ちた大人の寓話です。
自ら命を絶った女性ベラから胎児を摘出し、その脳を移植し蘇生するマッドサイエンティスト バクスター。大
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ちひろさん(2023年製作の映画)

3.0

海辺の弁当屋で働く元風俗嬢 ちひろさん の物語。周囲から色目を使われることがあっても前職を隠さず飄々と自由でマイペースに生き、誰に対しても分け隔ることなく接する人柄から老若男女多くの住民たちに愛される>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

ヴィム・ヴェンダース監督による日本の映画。
主人公である平山(役所広司)が早朝に起床してから外出するまでの行動だけで彼の日常を無駄なく自然に伝え、つなぎの背中にある「The Tokyo Toilet」
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

2.5

1800年代の西部開拓時代のアメリカを舞台に、2人の移民がドーナツで一攫千金を狙う与太話。川のせせらぎや風に揺れる木漏れ日など、終始牧歌的な演出に特化し芸術性の高い映像作品です。
ストーリー自体は「牛
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ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

4.0

ラース・フォン・トリアー代表作。
弱視のシングルマザー セルマ とそれを支えるコミュニティー。物語はひとりの人物の悪意から、雪崩式に不幸へと転じていきます。
(好き嫌いの分かれる)ミュージカル形式を採
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(2023年製作の映画)

3.0

説明不要の北野武監督による「本能寺の変」。
一部では神格化されることも珍しくない織田信長というコンテンツの新説。かと言って歪曲された解釈ではなく「そうだったかも知れない」と思わせる説得力があります。同
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正欲(2023年製作の映画)

3.5

朝井リョウ原作。本来の心の内を理解されない苦しみを抱えたマイノリティーの人々に焦点を当てた物語です。
多くの出来事が現代を描いていて、YouTuberを目指す不登校の子どもたち(とその親)や自身の容姿
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

日本が誇る映画スター「ゴジラ」の生誕70周年記念作品。山崎貴氏が監督・脚本・VFXを手掛けた国産実写ゴジラ映画30作目。
舞台は1947年。戦後の復興が進む中、突如として巨大怪獣が上陸し街を破壊すると
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オペレーション・フォーチュン(2023年製作の映画)

2.5

ガイ・リッチー監督による実写版ルパン三世。
インテリ武器商人を相手に主人公たちがスパイ潜入するのが本筋。今作もジェイソン・ステイサムが主演なのでどの場面にも既視感は拭えない英国気取りの(爆薬増し増し)
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.5

1920年代のオクラホマ州。その地で採掘される石油の利権を巡って、先住民たちの既得権益を強奪し、殺人に手を染める白人たちの実話を基にした物語。
とにかく登場人物が多く、そしてひとりひとりのバーソナリテ
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(2023年製作の映画)

1.5

2016年に起きた相模原市での障害者施設殺傷事件を題材とした作品。職員による施設内での暴力など、社会が見て見ぬふりをしてきた事実を晒し、同時に勤務するひとりの人物の「正義感」や「使命感」が変容していく>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

4.5

1923年 関東大震災の混乱の中、この国で起きた日本版ホロコーストの詳細を暴いた社会派ドキュメンタリーを手掛ける森達也監督の初映画作品。
前半は千葉県福田村の人々の人間関係。そして東を目指して香川県を
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

2.0

結果(興行収入)ではなく過程(映画制作)に重きを置いた純粋な映像作品。
「シン・シリーズ」の庵野秀明も引退を撤回してまで現場復帰した宮崎駿も共通して言えるのは世間に迎合する気がないことです。要するに地
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Pearl パール(2022年製作の映画)

3.5

2022年公開「X エックス」の前日譚。ミア・ゴス演じるシリアルキラー婆の若かりし頃を再びミア・ゴスが演じています。
ミュージカルスターを夢見ながら、現実は家畜の世話をするばかりの田舎暮らし。敬虔で厳
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怪物(2023年製作の映画)

4.1

日本映画のドリームチームが集結し、坂本龍一氏にとって遺作となったことも重なり、今年最も「みぞみぞする」作品のひとつです。
物語は3部に構成され「親の目線」「学校(教員)の目線」「子供たちの目線」からそ
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ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)

2.5

ヘイトクライムを題材に全編ワンカットで演出された白人至上主義の会合に集まった6人の女性の物語。
何かと多様性が重んじられる風潮に「逆差別」としてお互いの日々の不満を吐き捨て合う中で起こるエコーチェンバ
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流浪の月(2022年製作の映画)

4.0

凪良ゆう原作、2020年本屋大賞受賞作品。家出少女(更紗)を保護した青年(文)が誘拐罪として捕まり、その15年後に邂逅する2人の物語。李相日監督作品らしい不確定な善悪の線引きと純文学的で静謐な描写が美>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.3

ケイト・ブランシェットによる架空の世界的指揮者リディア・ターの物語。
物語冒頭、プロローグとなる冗長にも感じるインタビューシーン。高尚で哲学的な思想を語り続ける長回しのシーンが、その後の展開を提示する
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.0

アイスランドの田舎で静かに暮らす羊飼いの夫婦が、羊から産まれた羊ではない何かに亡くした娘の名前「アダ」を授け育てるまでの(最終的には)サイコスリラー的な作品です。
山間の静けさと羊の鳴き声、そして濃い
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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.0

イランの聖地マシュハドで実際に起きた娼婦連続殺人事件を題材とした社会派サスペンスです。
帰還兵として一般社会に紛れ込み家族と平穏な生活を送るサイコキラー サイードとそれを追う女性ジャーナリスト ラヒミ
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.5

人生の喪失感から部屋に引きこもり、過食を続け重度の肥満を煩った中年男性チャーリー。4:3の狭い画角を駆使し、チャーリーの息づかいを感じるほどの距離感で精神的に閉じこもってしまった男が人生の最期に殻から>>続きを読む

ロストケア(2023年製作の映画)

2.0

「社会の穴」を描いた社会派ドラマ。
介護士として42人を殺害した連続殺人犯と検察官の物語。父親の介護の末に社会に絶望し、救済と信じて老人たちを殺める行為の是非がテーマです。
正論を振りかざす検察官(長
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.6

すごい!の一言。
コインランドリーを経営する中国系移民の中年女性が並行世界の崩壊から世界を救う[A24]らしい独創性溢れるアクション作品です。
並行して存在するマルチバース内の能力を取り込むことで自分
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.5

人喰い(イーター)として生まれた少女マレンが自分の生い立ちを探るために母親に会いに行くロードムービー。
道中で同族の青年リーとの出会いからラブストーリーの要素も重なり、猟奇的なカニバリズム描写も含め結
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エゴイスト(2023年製作の映画)

3.0

極めて純粋な恋愛映画。
とは言え、年の離れた二人の男性が惹かれ合い、そうなるまでのゲイカップルにおける「能動×能動」的なリアリティーが剝き出しです。ただし過激な性的描写とは対照的に登場人物の悠揚とした
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

1920年代の架空の島「イニシェリン島」を舞台にした物語。
小さなコミューンの中で起きる親子ほど年の離れた2人の男の些細な行き違いから始まるブラックユーモアを内包したコメディの様相を経て、絶妙なバラン
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

2.5

聴覚障害を持つ女性ボクサーの物語。
音楽もなく、必要最低限の演出で時には手話にも字幕がなく、表情や視線などから主人公ケイコの心の機敏が繊細に描かれています。また16mmフィルムを使用し、ざらついた画質
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母性(2022年製作の映画)

4.0

湊かなえ原作、母と娘の物語。
親は子供を愛し続け、子供は親に愛されようとする絶対的な不文律を「ネグレクト」や「虐待」など手垢のつきまくったテーマを用いずに「親子愛」の不条理に近い言語化できないモヤモヤ
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

5.0

制作が発表された時、咄嗟に「え?どのストーリー?」と疑問に思い、結果的には全ての人の期待に応え、と同時に誰も予測しなかった「原作・脚本・監督 井上雄彦」による[新章SLAM DUNK]、もはや聖域です>>続きを読む

ある男(2022年製作の映画)

3.5

宮崎県の田舎町で再婚した夫と子どもたちと暮らしていた主人公。突然の不慮の事故で亡くなった夫の親族から別人であることを告げられる物語。
身元調査を依頼された弁護士が辿り着く「戸籍交換」の世界。他人を名乗
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