mitzさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ある男(2022年製作の映画)

3.5

宮崎県の田舎町で再婚した夫と子どもたちと暮らしていた主人公。突然の不慮の事故で亡くなった夫の親族から別人であることを告げられる物語。
身元調査を依頼された弁護士が辿り着く「戸籍交換」の世界。他人を名乗
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ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.1

人の立ち入らない湿地帯で発見された変死体とそこに独りで暮らす少女カイア。孤独と隣り合わせの生活の中、自然豊かな環境で汚れなく育ったカイアが容疑者となり、その真相までを紐解く物語です。
不遇な境遇を逞し
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テリファー(2016年製作の映画)

2.0

ハロウィンの夜にピエロに扮した殺人鬼による無差別殺人ムービー。
特に何かキャラクターについての描写があるわけでもなく、ピエロが登場してからはとにかく殺し続けます。惨殺する手段が多様なため、視覚的な娯楽
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アムステルダム(2022年製作の映画)

3.6

第一次世界大戦でアムステルダムで出逢った3人が、その後殺人事件の容疑者に仕組まれ濡れ衣を晴らすまでの物語です。デビッド・O・ラッセル監督の作品であり、ポスタービジュアルを含めたこのキャスティングだけで>>続きを読む

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

1.5

日常の中にふと差し込まれた友人の訃報。それを知った主人公シイノがマリコの遺骨と共に旅に出る中で、彼女たちの過去を少しずつあぶり出すストーリー。
大きく分類すれば「美談」ですが、そもそもの設定に無理があ
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ソナチネ(1993年製作の映画)

4.0

北野武監督4作目。組織の陰謀により、沖縄へ派兵されたヤクザたちが現地の暴力団抗争に巻き込まれるだけのシンプルな物語です。
沖縄ののどかな海。特にすることもなくただただ時間だけが過ぎていく牧歌的な生活。
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タンポポ(1985年製作の映画)

3.0

伊丹十三監督 第二作目にして評価の高い昭和の名作。トラック運転手がたまたま立ち寄った未亡人が営むさびれたラーメン屋を再建するまでの話。監督自身が「ラーメン・ウェスタン」と名付けるように[西部劇×美味し>>続きを読む

恋する寄生虫(2021年製作の映画)

2.5

脳に侵入した寄生虫がその人間を支配してしまう世界。自殺も恋愛も全て虫のせいとされる世界で出会った潔癖症の青年と視線恐怖症の女子高生の物語。
他者を受け入れられない2人が、お互いに惹かれ合うことで徐々に
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.5

ジョーダン・ピール監督が描く映画史のど定番である未確認生物(≒地球外生命体)作品。
牧歌的な親子の日常から突如起きる異常事態までを描いた冒頭10分がとにかく素晴らしく世界観に引き込まれます。そして煽り
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X エックス(2022年製作の映画)

3.5

1970年代のB級ホラーに徹したA24製作の作品。
ポルノ映画を撮影するため、農園の一角にある納屋を間借りする若者たちと主である老夫婦。もうこの時点でお膳立ては充分揃い、あとは徹頭徹尾エログロの正面突
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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

2.0

シリーズ最終章と位置付けられた第6作目。前作から4年後、アミューズメントパーク「ジュラシックワールド」から蜂起されてしまった恐竜たちが自然繁殖を始めた世界。
冒頭一時間は「人類と恐竜の共存」を軸とした
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呪詛(2022年製作の映画)

1.0

ある集落に言い伝えられる禁忌を破り、呪われてしまった女性の6年間を記録したPOVホラー。呪いから後に生まれた娘を守るためにオーディエンスに訴えかけるモキュメンタリー演出が用いられています。
(この作品
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.0

高校生ゲイリーが10才年上のアラナに恋をすることから始まるポール・トーマス・アンダーソン監督が作った青春ラブストーリー。
1970年代の西海岸の雰囲気をたっぷり感じながら、ぶさいくでスタイルも良くない
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

3.0

2分先の自分と交信できるタイムテレビ。またそれを観ているのも2分前の自分。その2つのタイムテレビを繋げると・・・のような上質な「世にも奇妙な物語」案件です。
劇団ヨーロッパ企画による長編作品のため、ひ
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

2.5

児童養護施設にある「赤ちゃんポスト」に預けられた赤ん坊を連れ去り売買をするベイビーブローカーたちの物語です。
冒頭に出てくる「捨てるなら産むな」という台詞が表すように、善悪を超えた倫理観に訴えかけるヒ
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ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

4.0

ウェス・アンダーソンの代表作。
大富豪テネンバウム一家。別居中でホテル暮らしの元有名弁護士のロイヤル・テネンバウムが、ニューヨークの自宅に戻り、妻と3人の子供たちと22年ぶりに生活を始める物語です。が
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

4.5

富裕層が集まる結婚パーティーとその近くで経済格差に対する抗議活動を起こす暴徒化する市民たち。豪華絢爛な宴が一転して凄惨で無秩序な悪夢へと墜ちていくディストピアスリラーです。
物語は格差社会による分断さ
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.0

過去のウルトラマンのテーマを踏襲しつつ、庵野秀明による独自の見解を中心に踏み込んだ意欲作。ただし「一見さんお断り」の大変偏った作品です。
まず映像作品として、技術を駆使しながらも当時にざらついたレトロ
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

2.5

平凡な大学生 雅也 が24人の少年少女を殺害した連続殺人犯 榛村 に依頼された1件の冤罪を調査する中で真相に辿り着くまでの云々を描いたサスペンス映画です。
物語の大筋はとても興味深く、阿部サダヲを始め
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.1

村上春樹著の3つの短編小説を繋ぎ合わせた作品。突然最愛の妻を亡くした男が、喪失感とは異なるもう知ることのできなくなってしまった妻の秘密に葛藤する物語です。
構成がとても複雑で、舞台俳優であり演出家でも
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ロスト・ドーター(2021年製作の映画)

3.5

中年女性レダがバカンスに訪れたリゾートビーチでの生活。静かにひとりで過ごすつもりが突如現れたスノッブな家族旅行客により徐々に居心地が悪くなり始める日々。現地の人々や彼女たちとの関わりを通じて、次第に奇>>続きを読む

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

2.0

冤罪による死刑で夫を失った母娘の物語。耳の不自由な娘との慎ましい生活。死刑判決を下してしまった判事の贖罪。法よりも信仰を重んじる社会。未だに自国での公開が認められていないイスラム文化のタブーに斬り込ん>>続きを読む

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

3.5

「ボクたちはみんな大人になれなかった」で伊藤沙莉がこの作品についてマウントをとるシーンがあるほど、1980年代のサブカルシーンではエポックメイニングとなった名作。
メタ虚構の中で「学園祭の前日」が永遠
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少年の君(2019年製作の映画)

4.0

受験戦争を題材に心を閉ざした女子高生と社会に見放されたストリートチルドレンの物語です。
劣悪な家庭環境に生きる貧困層の子供たち。若者の未来を支配する高考(ガオカオ)と呼ばれる中国版センター試験。そして
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セブン(1995年製作の映画)

5.0

デヴィット・フィンチャー監督作。キリスト教の「7つの大罪」を題材とした連続殺人事件を退職の迫ったベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)と血気盛んにギラついた若手刑事ミルズ(ブラッド・ピット)が>>続きを読む

浅草キッド(2021年製作の映画)

3.0

芸人ビートたけしが浅草フランス座で師匠深見千三郎と過ごした青春時代が描かれた自叙伝を劇団ひとりが脚本・監督を務めた芸人讃歌です。
柳楽優弥のモノマネではない演技としてのビートたけし像や大泉洋の外連味溢
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ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

2.5

「今」を生きる40代の主人公 佐藤誠(森山未來)のそれまでの人生を1990年代まで緩やかに遡る「中年青春期」です。
ほぼ同世代の人間にとっては刺さりまくる作品です。各年代でのひとつひとつの出来事に既視
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.6

巨大彗星が地球に接近している!という散々擦られ続けた「地球滅亡系映画」です。それをアダム・マッケイ監督と豪華な出演者たちにより見事に昇華させた素晴らしい作品です。
テーマこそシリアスですが、ブラックユ
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さがす(2022年製作の映画)

3.5

貧しい生活から抜け出すため、懸賞金に垂涎し連続殺人犯を追った中年男性が失踪し、それを「さがす」娘の物語です。
(プレビューも含め)前半で大筋のストーリーを見せておいて上手くミスリードを誘い、予想とは全
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.0

「ベイビードライバー」のエドガー・ライト監督にブレイク直前の若い2人の女優を起用し、内容はオシャレタイムリープモノ。これでもか!とトレンドを詰め込んだような作品。
田舎からロンドンへ越し、ファッション
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ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

4.0

実在したノーベル経済学者であるジョン・ナッシュの半生を描いた物語。
序盤は数学者としての彼の功績が称えられ、研究に没頭する青年期から国家の陰謀に巻き込まれる中盤までミステリーの様相を帯びています。が、
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オールド(2021年製作の映画)

1.5

一生が一日で終わってしまうビーチに迷い込んだ家族たちの物語。「老い」をテーマにシャマラン作品らしいミステリーが融合された作品です。
とは言え「もしも○○が××だったら」モノとして、既にプレビューの段階
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MOTHER マザー(2020年製作の映画)

2.5

典型的な毒親映画。「実話に基づく」はこの作品において特別意味を持ちません。それほど汎用的であり、既視感の強い作品です。
テーマは(作中でも言語化されるように)親子の「共依存」です。なぜそこまで酷い仕打
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泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)

3.5

本題の通り秋田県を舞台にした人情話。自らの過ちで故郷を追われ、逃げ込んだ都会にも居場所のない男の「逡巡」たるモノをゆったりと描いた作品です。
登場人物はさほど多くなく、たすく(仲野太賀)とことね(吉岡
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.8

華美な世界観の中で描かれる復讐劇。ジェンダーバイアスをテーマにしながらも、しっかりエンターテイメントへと昇華された作品です。
中肉中背の男たちがクラブで酒を飲み騒ぎながら醜く踊るシーンから始まるこの作
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タイトル、拒絶(2019年製作の映画)

3.5

職場としての風俗店。セックスワーカーと経営者たちの日常であり、一般的には異常な環境をドラマチックに描いた作品。
登場人物の刹那的で自暴自棄な生き様を肯定と否定の絶妙なバランスを保ちながらストーリーが展
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